
【プロ監修】砥石おすすめ12選!最初は中砥石だけでも十分!
包丁が切れなくなってきたら、砥石で研ぐ方法と、シャープナーで切れ味を戻す方法があります。シャープナーは刃先を荒らして一時的に食材への食いつきをよくするものなので、月に1~2回程度は砥石で刃を薄く細かく研いで、本来の切れ味に戻すことをおすすめします。
この記事では、包丁ブランド「堺一文字光秀」の専属包丁研ぎ師、渡辺 潤さんに監修していただき、砥石の選び方とおすすめの砥石を紹介します。
包丁は砥石で長持ちさせる!

包丁には、ステンレス製やセラミック製、料理人が使う鋼の包丁など多彩な種類があります。包丁の素材によって研ぎやすい砥石は変わります。
選び方①|番手で選ぶ

市販されている砥石には「番手」と呼ばれる番号が記載されています。番手に応じて、砥石は荒砥石、中砥石、仕上げ砥石の3種類に分かれます。番手の数が大きくなるほど、細かくきれいに研げると覚えておきましょう。
特定の番手だけの砥石もあれば、裏表で番手の違う砥石がついて使い分けられるものもあります。研ぎたい包丁にあわせて選ぶのがポイントです。
<刃こぼれなどの修繕に便利な荒砥石>
番手が#200前後の砥石です。刃が欠けるなどして修繕をするときに使います。普段使うことはほとんどありません。

渡辺さんのアドバイス
荒砥石は普段の研ぎで使用することは少ないですが、刃が欠けたときや、刃を研ぎ減らして刃先が厚くなったときなど、刃を大きく削る必要があるときに使います。研ぎが上手い人ほど荒砥石をよく使うので重要な砥石です。
<家庭で使いやすい中砥石>
研ぐときに必ず必要な砥石で、家庭で使うには番手が#1000前後の中砥石だけでも大丈夫です。中砥石は包丁に刃を付けて切れ味を戻すときに使います。
中砥石だけでも十分に切れ味は戻りますが、より切れ味にこだわるのであれば、さらに仕上げ砥石で研いだほうがよいでしょう。
<ピカピカに仕上げるなら仕上げ砥石>
番手が#2000前後の砥石のことで、名前の通り、最終的にきれいに仕上げるときに使います。
料理人は最後に仕上げるときに使いますが、一般的には使わなくても問題ありません。仕上げ砥石まで使って研ぐと、刃先の強度が上がりピカピカになります。

渡辺さんのアドバイス
仕上げ砥石まで使って研ぐと、中砥石まで研いだ研ぎ傷やバリが細かくなり、より切れ味が鋭くなるうえに刃がきれいにピカピカになります。
選び方②|砥石の素材で選ぶ

Photo by istock
<一般砥粒>
アルミナ質研磨剤は(A)、(WA)、(PA)などさらに細かく分類され、砥石の中で最も多く使用されている砥粒です。硬度と靭性のバランスが良く荒砥石、中砥石、仕上げ砥石用として幅広く使用されているオールラウンドな素材です。
炭化ケイ素質研磨剤は、(C)、(GC)の2種類に分類され、一般砥粒の中では最も硬度が高く、非常に研磨性に優れていて荒砥石や中砥石に使用されることが多いです。
こうした砥粒にセラミック質、硝子質や合成樹脂などを結合・成形・乾燥後に焼結させて砥石は作られますが、その結合剤や製法によって硬度や研磨力が変わり、商品ごとの違いにつながります。
<超砥粒>
超砥粒のダイヤモンド研磨剤は、世界で最も硬い物質であるダイヤモンドの素材を使用して、製法によって焼結タイプと電着タイプに分かれます。
焼結タイプはダイヤモンド砥粒を厚く接着しているため、長期にわたって研磨力が落ちないので、砥石が長持ちします。ハイス鋼などの硬い鋼を使用した包丁におすすめです。包丁を研ぐ作業はもちろん、セラミック包丁や砥石の面直しにも使用できます。
電着タイプは砥石の表面にダイヤモンドの砥粒をメッキ加工して付着させたもので、表面に砥粒が突き出ているので高い研磨力があります。ただダイヤモンド砥粒の層が薄いため、使用中に砥粒が剝がれてしまうことがあります。研げなくなったら買い替える必要がありますが、表面だけを張り替えられる商品もあります。
選び方③|包丁の種類に応じて、砥石の硬さを選ぶ

一般的なステンレスの包丁
普通の硬さから軟らかめの砥石まで、幅広い砥石で研ぐことができます。

渡辺さんのアドバイス
ステンレスの包丁は鋼よりもやわらかい割に、粘りが強いのが特長。硬い砥石で研いでも表面でツルツルと滑りやすく研ぎにくいため、やわらかい砥石のほうが相性がよいです。
セラミックの包丁
セラミックは硬いので一般的な砥石では研げません。自宅で研ぎ直しを行うならダイヤモンド砥石が必要です。セラミック包丁の刃先が欠けてしまった場合は、ダイヤモンド砥石でも時間がかかるため、専門業者に依頼するかメーカー修理に出すほうがよいでしょう。
鋼の包丁
ステンレスよりも鋼のほうが硬いですが、研ぎやすいのでやわらかい砥石、硬い砥石どちらでも研げます。

渡辺さんのアドバイス
研ぎ慣れていない初心者の方でしたらやわらかい砥石のほうが扱いやすくてよいでしょう。研ぎ慣れてきて、より切れ味を出したいのでしたら硬い砥石を使いましょう。また硬い砥石のほうが砥石の減りも少ないです。
選び方④|砥石台の有無で選ぶ

Photo by istock
砥石は水につけてから使うため、台が無いと底の部分が滑ってしまいます。台が無ければタオルや布巾で滑らないようにしなければなりません。また、砥石台があると高さが出るので研ぎやすくなります。コストとのバランスも重要ですが、台が付属しているものが使いやすいでしょう。
また砥石台には、砥石から削られた粒子を溜められるものもあります。周りを汚さずに研ぐことができるので、とても便利です。

渡辺さんのおすすめポイント
砥石台があると、包丁を握っている手が作業台に当たりにくいうえ、砥石割れを防ぐこともできます。

監修者 渡辺潤さんが選ぶ、砥石3選

渡辺さんのおすすめポイント
私自身よく使用している砥石で通常の中砥石よりも仕上がりがきれいに研げて、より切れ味鋭い刃にすることができます。上質なアルミナ系の研磨材を使用して、低温でしっかりと温度管理をしたうえで製造しており、こちらで研ぐと研いだ感触がとてもなめらかで、仕上げ砥石が必要ないくらいのきめ細やかな仕上がりになります。またシャプトン製刃の黒幕シリーズと同じく、砥石を水に浸ける必要がなく、研ぎ始めるのがとても楽です。砥石の減るスピードも遅く、同じ厚みの砥石でも寿命は倍近く変わってくるほど長持ちする砥石です。上級者向きの砥石ではありますが、もし中砥石一つだけでもよく切れるように研ぎたい方でしたらこの砥石がベストチョイスになると思います。台付きと台無しを選択できますので、自分の用途に合ったほうを選べます。


渡辺さんのおすすめポイント
砥石自体は一般的な中砥石で大きな特徴はありませんが、砥石台とセットなので安定感があります。この砥石のおすすめポイントは研ぎの角度を固定してくれる補助器具がセットになっていることです。初めて包丁を研ぐ初心者が一番最初に悩むことが、研ぎの角度が分からないこと、その角度を固定して研ぐのが難しいことです。この補助器具は家庭用では丁度いい角度に設定されていてしっかりと固定してくれるので、初心者の研ぎでよくある研いでいる最中の手首のグラつきを軽減してくれますので安定して研ぐことができます。言わば自転車の補助輪のようなもので、研ぎ慣れてきたら補助器具を外して補助なしの研ぎにチャレンジしてみてください。

渡辺さんのおすすめポイント
電着式のダイヤモンド砥石は価格が安いわりによく研げるのですが、正直すぐに砥粒が剝げてきて研げなくなるのでそれほど耐久性が高くないものが多いです。その中ではこのアトマのダイヤモンド砥石は他とは少し違う電着方法で製造されており、長期間使用していますが一度も剝げてきたことがないうえ、目詰まりも少ないのでいつまでも安定して使用できます。研磨力が落ちてきて新しく買い替えるときも、替刃方式で両面テープで表面を張り替えるだけなので簡単で経済的に交換することができます。またこのダイヤモンド砥石は砥石の面直しにも最適で、これに取っ手をつけた面直しタイプもあります。
編集部おすすめの砥石人気商品9選
一般的な家庭で使うのに適した砥石をラインナップしました。
※価格は2020年6月時点のものです。
シャプトンの刃の黒幕シリーズは粗さごとに色分けされています。オレンジは#1000のごく一般的な中砥石です。一つあれば家庭の包丁を研ぐのには困りません。鋼の包丁もステンレスの包丁も研ぐことができます。

収納用の箱は、滑りにくい仕様で研ぎ台としても利用できます。

渡辺さんのおすすめポイント
シャプトンの刃の黒幕シリーズはプロの研ぎ師も好んで使用することが多いほどクオリティが高い砥石で、私自身もよく使っています。使い始めに水に浸ける必要がなく、すぐに研ぎ始めることができるので非常に便利です。そして研磨力がとても高く硬い包丁でもよく研げるうえ、砥石の減りも少ないので面倒な砥石の面直しも少なく済みます。このオレンジは中砥石ですが、荒砥石並みの研磨力がありますので、この砥石一つだけでも十分すぎるくらいに切れ味が戻ります。またケース自体が研ぎ台になっているので台の上で研げば安定して研げるうえ、収納にもなるのでよく考えられています。おすすめの砥石を聞かれると、この刃の黒幕シリーズをおすすめすることが多いです。
#800と、一般的な#1000よりも番手が小さく、少し粗目で刃付けがしやすいです。超仕上げ砥石付きで、きれいに整えられます。ハードケースに入っているため、砥石を使ったあとの始末も簡単です。

渡辺さんのおすすめポイント
きちんと包丁を研ぎたいとなると、砥石の番手の種類を増やさないといけません。ただ家庭で砥石の種類を増やすのは大変なうえに、砥石は意外と収納と保管方法に困っていると言われる方が多いです。そういったときには一つの砥石で2つの役割をこなすことができる両面タイプの砥石がおすすめです。このトイシの王様は砥石の老舗メーカーのキング砥石の商品で、初心者にも扱いやすく、安心して使用することができます。#800と#6000の両面なのでこれ一つだけでも十分に切れるように研ぐことができます。また両面タイプは砥石を裏表にしながら使うので砥石が減って裏面がガタガタしやすいのですが、砥石台がセットなのはありがたいです。
#400の荒砥石と#1000の中砥石の両面タイプです。荒砥石と中砥石がセットなので、本格的な工程に沿って研げます。受け皿に砥石上の水を受ける溝がついているため、キッチンが汚れず快適です。
中砥石と仕上げ砥石の両方が片面ずつ配置されています。中砥石だけでも十分に研げますが、慣れてくると仕上げ砥石でもっときれいにしたくなるものです。両面使えるため、種類の違う砥石を用意する必要がありません。
セラミック包丁は硬いのでダイヤモンド砥石でなければ研ぐことができません。ダイヤモンド砥石の中でもコスパに優れた、荒砥石と中砥石の両面タイプです。台はありませんが、滑り止めの下敷きが付属します。
#400で刃こぼれなどを修正し、#1000で仕上げます。ほかの砥石の平面出し用にも使える優れものです。

渡辺さんのおすすめポイント
ダイヤモンド砥石は非常に硬い砥石なので、初心者には扱いにくいかもしれませんが、それを補うだけのメリットが多い砥石でもあります。まずは一般的な砥石とは違い、減ることがなく常に平面の状態なので面倒な面直しをする必要がありません。またこの電着タイプの砥石はとても研磨力が高いのでハイス鋼やセラミックの包丁など普通の砥石ではなかなか研ぐことができない包丁でも研ぐことができます。ダイヤモンド砥石は高価なものが多い中でも「SK11両面ダイヤモンド砥石」はコスパが高いうえ、荒砥石と中砥石の両面タイプなので用途に応じで使い分けができます。ダイヤモンド砥石は研ぐだけではなく、その硬さを利用して面直しにも使用できるのもメリットの一つです。
#3000相当の仕上げ砥石で、超微粒子のダイヤモンドを使っています。砥石をホルダーにセットしたまま水切りができて便利です。受け皿の裏面に合成ゴムのリブがついているため、滑らず安定して作業できます。
一定の角度を保って動かすだけで、包丁の切れ味が元に戻る#1000の中砥石です。片手ですぐに使えるのでちょっと切れなくなったときの包丁研ぎにおすすめします。
見た目は普通の砥石ですが、ダイヤモンド粒子がついているのでサクッと研げます。コンパクトサイズなのも大きなポイント。焼結タイプのダイヤモンド砥石はとても高額なことが多いので、リーズナブルに購入できるのは魅力的です。
リーズナブルな価格で購入できるので、初めて使う人にもおすすめです。使用前に3分ほど水に浸し、砥石に水を含ませておきましょう。

渡辺さんのおすすめポイント
昔から愛用している人が多い、キング砥石のホームトイシシリーズです。大きな特徴はないですが、研ぎやすく安定して使用できるのでどんな人でも使いやすい万能の中砥石です。価格も安く、包丁を初めて研ぐ初心者用の入門砥石ならこちらがおすすめです。この価格で砥石台とセットになっているのもうれしいところです。
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研ぎたい包丁や望む仕上げによって選ぼう

どんな砥石を選ぶかは、包丁の種類で大体決まります。番手の違いで研ぎ方の出来栄えも決まるので、自分が納得する仕上がりになる砥石を選びましょう。
簡易砥石でしか研いだことがない人は、一度砥石で研いでみてはいかがでしょうか。砥石で切れ味が戻ると包丁が長持ちしますし、愛着もわきますよ。

渡辺さんのアドバイス
刃を薄く鋭く研ぎたいときは荒砥石を、さらに細かくピカピカに研ぎたいときは番手の大きな仕上げ砥石を、切れ味が戻ればいい人は中砥石だけでも十分です。