日本酒のランクはどこで見る? 純米・吟醸の違いと美味しい酒の見分け方
美味しい日本酒を選ぶとしたら、日本酒としてのランクが気になるところ。かつては国が定めた「等級」がありましたが、今はその制度は廃止され、日本酒選びの基準は大きく変わっています。
贈り物としても喜ばれる日本酒は、ランクを基準に選んでみるのもひとつの手です。
そこでこの記事では、日本酒の「ランク」とも言える特定名称の基礎知識と、それぞれの味わいの違い、日本酒の選び方を紹介します。贈り物にもおすすめな日本酒も登場するので、ぜひ参考にしてください。
目次
▲日本酒好きになって15年、好きが高じて全国の酒蔵訪問旅行を趣味にしているフリーライター。美味しい、珍しい日本酒の紹介・楽しい飲み方を提案していければと思います。
日本酒のランクはどこで見る?
日本酒のランク付けに関する、これまでの経緯を紹介します。
かつての「等級制度」は廃止、現在の日本酒の格付けとは?
かつて日本酒には、国税庁が定めた「特級」「一級」「二級」といった等級が付けられていました。これは酒税の税率を定めるために導入された制度でした。
等級は、お酒の専門家集団によって作られた酒類審議会が日本酒の官能審査官能審査で決められていました。。判定基準は味や香り、アルコール度数などを総合的に評価した際の品質などによっていたといわれています。
しかし、日本酒の製造技術や多様性が進むにつれて、酒の品質を正確に評価しきれないという課題が現れるようになります。こうして1992年で等級によるランク付けは廃止されました。
ちなみに以降日本酒の酒税は、等級に関わらず一律化されています。
現在は蔵元独自の目安「特撰、上撰、佳撰」で判別
実際に等級制度が廃止されたといっても、そんなこともないのが現状となっています。そこで今度は国ではなく、各メーカーや蔵元が独自に定めた「特撰」「上撰」「佳撰」といったランクが登場しました。
かつての等級制度に準じて、蔵元が自社製品の品質や価格帯の目安として用いているケースがほとんどです。 ただし、これらの表示はあくまで蔵元独自の基準であり、統一されたものではありません。
現在の日本酒選びにおいては、特撰や上撰といった選び方よりも、特定名称での選び方がひとつの目安になります。
日本酒の味の違いはどこで見る?
では実際に日本酒の味の違いについて、何か指標になるものがあるのでしょうか?ここからは日本酒を選ぶ際の基準について見ていきましょう。
特定名称による違い
上記でも軽く触れましたが、現在日本酒を選ぶ際に一番の基準にされているのがこの「特定名称」です。
純米酒や吟醸酒、大吟醸など日本酒のラベルに必ず書かれている名称です。これはそれぞれの日本酒がどんな作り方をされたのか、またお米がどの程度磨かれているのか?といった情報を端的に知ることができるものです。
もちろんすべて同じ味、というわけではありませんが、特定名称ごとに味わいの傾向も出てきます。すっきりした味わいがよければ吟醸酒、お米のうまみや甘味が好きなら純米酒など、自身の好みの傾向にあわせることができます。
火入れの有無・古酒など
一般的な日本酒ばかりではなく、昨今では生酒や古酒、無濾過のお酒などさまざまな種類があります。
これら特定名称以外の日本酒の種類でも、好みの日本酒を選ぶ際の指標になるでしょう。ごく簡単に人気の種類の傾向について紹介しているので、選ぶ際の参考にしてみてください。
「吟醸」の意味を深く知ってみる
一番簡単に選ぶ方法は特定名称を参考にすることだと言いましたが、では名称の中にある「吟醸」とはどういった意味なのか少し詳しく見ていきましょう。
吟醸造りによってつくられたお酒
吟醸酒や大吟醸酒のように「吟醸」とついているお酒。純米酒は「お米でできているお酒なのかな…?」と何となく漢字から推測できますが、吟醸の意味は、2つのポイントを覚えてしまえば簡単に理解できます。
1つ目の意味は、日本酒の作り方の一つである「吟醸造り」を指しています。吟醸造りとはしっかりと磨いたお米を、10度前後の低温でじっくりと発酵熟成させていくお酒の作り方。
低温で醸すことでお酒の香りがもろみの中に凝縮でき、繊細な工程を経てちょうどよいうま味や色つやを持つ日本酒が出来上がるのです。このもろみの中に閉じ込められることによってできるのが「吟醸香」と呼ばれる日本酒特有の香りです。
2つ目のポイントは、「醸造アルコール」を添加しているか否かの違い。日本酒にはざっくり分けた際に2つの種類があり、お米と水、米麹だけを用いた「純米酒」とお米と水、米麹のほかに醸造アルコールを添加した「吟醸酒」に分かれます。
よく誤解している方がいますが、別途アルコールを添加するといっても水増しをしているわけではありません。蔵ごとに用いるアルコールは違いますし、門外不出となっているアルコールもあるのだとか。
純米酒よりもキリッとした辛みを楽しめるので、熱燗よりも冷酒に適したお酒だといえるでしょう。
大吟醸・純米吟醸との違いはどこにある?
では吟醸酒と大吟醸の違い。純米吟醸とはどんな日本酒になるのか。ここからはほかの種類に関しても一気に見るために、吟醸酒も含めて表で見ていきましょう。
| 特定名称 | 原材料 | 精米歩合 |
|---|---|---|
| 純米酒 | 米・水・米麹 | 精米歩合の規定なし |
| 純米吟醸酒 | 米・水・米麹 | 60%以下 |
| 純米大吟醸酒 | 米・水・米麹 | 50%以下 |
| 特別純米酒 | 米・水・米麹 | 70%以下 |
| 吟醸酒 | 米・水・米麹・醸造アルコール | 60%以下 |
| 大吟醸酒 | 米・水・米麹・醸造アルコール | 50%以下 |
| 本醸造酒 | 米・水・米麹・醸造アルコール | 60%以下又は特別な製造方法 |
| 特別本醸造酒 | 米・水・米麹・醸造アルコール | 60%以下又は特別な製造方法 |
この表からわかるように、特定名称酒は「原材料(醸造アルコールの有無)」と「精米歩合」で細かく分類されています。大吟醸酒は精米歩合が50%以下(お米を半分以上削ること)という条件があります。お米をしっかりと磨くことで、雑味が少なくクリアで華やかな香りの日本酒ができる傾向にあります。
また、「純米」とつくものは醸造アルコールを使わずに米・米麹・水のみでつくられたお酒、「吟醸」とつくものは「吟醸造り」という低温でじっくりと発酵させる製法で造られたお酒を指します。 純米吟醸酒は、原材料が米・米麹・水のみで、「吟醸造り」で作られた日本酒のことを指します。少し複雑に感じるかもしれませんが、特定名称だけでも味わいの傾向がつかめるので、ぜひ覚えてみてくださいね。
精米歩合の違いについて知りたい方は、以下の記事もご参考ください。
<編集部PICK UP>日本酒8選
Moovoo編集部
数ある日本酒の中でもECサイトなどで人気の商品を紹介します。
純米酒らしくお米の味わいをそのまま感じられるような、美味しい日本酒。香り自体は控えめなので、純米酒が苦手な方でも飲みやすいのではないでしょうか。単体で飲む際のおつまみは濃い味付けのものがよく合いますよ。
純米吟醸はお米のうまみと吟醸造りのまろやかさ、そして香りの華やかさを楽しめるもの。冷酒はもちろん、日本酒の香りが好きな方ならぬる燗でいただいて見てほしい1本ですよ。
言わずと知れた獺祭。現在では美味しい日本酒の代名詞にもなっていますね。日本酒に使われているお米は磨けば磨くほど、雑味のないすっきりとした味わいを実現します。華やかな香りも相まって、食中酒としてよりは単体で飲む方がおすすめです。
知名度こそそこまで高くありませんが、海外の日本酒好きな人からも絶賛されている日本酒の一つ。バランスのよいキレと辛みがあるので、初めて日本酒を飲んだ、なんて方からも美味しいという言葉を聞くことができますよ。
きつすぎない辛みやキレが特徴的。喉の奥にガツンと来るようなインパクトはありませんが、ついついいつもこの1本を選んでしまうなんて方も多いはず。安心して飲めるバランスの良さを持った日本酒ですよ。
大吟醸といえば高いお酒、なんてイメージもありますが、こちらは非常にコスパがいい点もおすすめの理由。比較的安価な価格で大吟醸特有の旨みを堪能することができますよ。
醸造アルコール自体もお米から作られている珍しい醸造酒。酸味や辛み、甘みや苦みまでしっかりと調和している非常にバランスがよい日本酒だといえるでしょう。精米歩合が少し高めなので、優しいお米の香りも楽しめますよ。
端麗な味わいでありながら、非常に柔らかな印象を持たせる日本酒だといえるでしょう。後味に感じるわずかな苦みや酸味が、米の持つ甘みを引き締めてくれるので飲みやすさがアップするのでしょうか?冷酒でも美味しいですが、熱燗のおいしさを堪能してほしい1本です。
【まとめ】日本酒選びは「特定名称」を知ることから
この記事では、かつての日本酒のランク(等級制度)の廃止から、現在の「特定名称」による日本酒の選び方、そしてそれぞれの種類が持つ味わいの傾向について詳しく解説しました。 「純米」「吟醸」「大吟醸」といった言葉が、単なる「ランク」ではなく、日本酒の造り方や米の磨き具合、そして味わいの個性を表す情報であることがお分かりいただけたのではないでしょうか?
ひと言で日本酒といっても、銘柄はもちろん味わいも非常に多岐にわたります。だからこそ新しい出会いを楽しめるお酒だともいえるでしょう。お気に入りの日本酒を楽しむこともよいですが、これを機会にまだ飲んだことのない新しい味わいにチャレンジしてみてくださいね!
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