Culture

「着物男子喫茶」から読み解く着物熱の広がりとは 震災・五輪を経て新たな潮流も

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着物が来ている。じわじわ、ひたひたと。僕の中で気になりだして、はや4年。仲間が欲しいと願っていたら、「着物男子喫茶キザエモン」と出会った。そして取材を通し、僕の着物への関心の背景心理と胎動している着物ムーブメントを知った。

きっかけは樹木希林さんの展示会

2020年1月、そごう横浜で開かれた「樹木希林 遊びをせんとや生まれけむ展」を見に行った。

2018年に亡くなった名優の生涯を、写真や残した言葉などで振り返る内容だった。樹木さんといえば、着物姿を思い浮かべる方もいるだろう。彼女が愛用した着物を展示するコーナーもあった。どれも素敵だった。身に着けるモノは個性を反映するが、樹木さんらしさを感じた。

男女の差こそあれ、男性用の着物の世界も魅力的なのではないだろうか。そうした関心が湧いてきた。僕自身は洋服には関心が高くなく、無難な選択ばかりで、ちょっと寂しくもあった。

男性着物の扉を覗いてみよう。コロナ下の3年超、ネットと書籍で情報収集した。そうした中で、男着物専門店「上野藤木屋」を運営する藤木屋と創業者の藤木屋幹助さんにたどり着いた。

大手アパレルメーカー出身

藤木屋のサイトを見ると、藤木屋さんは大手アパレルメーカーの出身。既存の着物の販売方法に違和感を持ち、男の着物を販売する店舗を持とうとしたという。

僕がリアルで知る人たちの中には、着物男子はいなかった。また一見さんで、老舗や百貨店の売り場に赴く勇気はなかった。その点、藤木屋さんは百貨店で紳士スーツを売っていたというから、素人には敷居が低い。

気になりつつも訪問できずにいると、藤木屋さんは2023年4月に「着物男子喫茶キザエモン」を始めた。

男着物専門店を営む店がプロデュースする着物男子喫茶には、何か哲学があるに違いない。

2024年3月上旬、ロケハンにいくと藤木屋さんは、男着物やキザエモンに関する熱い思いを語った。そして同3月中旬、正式に取材・撮影に向かった。

広がる着物カルチャー

インタビューで、藤木屋さんは「着物熱がどんどん高まっていくのではないか」と話している。東日本大震災からの回復や東京五輪による海外目線への意識が「原点回帰」を生じさせ、着物へと帰結していく底流があるとした。

この分析を、僕はかなりしっくりと迎えた。確かに震災がもたらす喪失を埋めるには、根が張っているものに寄り添いたくなる。また、外国人に向けて日本のファッションを紹介するとき、着物は間違いなく大きな柱となる。僕の場合は、樹木さんが着火剤になったが、こうした潜在意識もあったに違いない。

また、藤木屋さんが教えてくれた、様々なカルチャーと着物を組み合わせるムーブメントも興味深い。その一つが、蒸気機関(スチーム)などが極度に発達した空想世界を描くスチームパンクと着物を組み合わせる「和装スチームパンク」。また、人ならざる者=人外(じんがい)のキャラクターと着物を組み合わせる動きもあるという。

好みや個性が尊重される令和に、着物はますます注目されるだろう。「着物男子喫茶キザエモン」は、その一角を担う拠点となるし、藤木屋さんも発信力を増しそうだ。

僕も近々、そうした仲間の輪に加えて頂くべく、着物男子デビューをしたい。

CREDIT
Planner/Interviewer/Writer :高野 真吾
Videographer/photographer/SNS :稲垣 年紀

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