Transportation

寝台特急列車の記録 鉄道博物館企画展「ブルートレイン夢の旅路へ」【動画ライター】

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1958年から東京〜博多を結んで運行を始めた、夜行特急「あさかぜ」。その車体の色から「ブルートレイン」と呼ばれるようになった国鉄の寝台特急列車は、全国へと運行網を広げ1960年代半ばに最盛期を迎える。夜を徹して走るがゆえの旅情、「走るホテル」と称された豪華なサービスなど、当時は一度は乗ってみたい列車と評されるほどの、一大ブームをわき起こした。

写真展の図録。表紙には「さくら」の勇姿が

「走るホテル」が高速化により衰退

ブルートレインの呼称の由来は、「あさかぜ」に投入された20系客車とされる。それまでは座席車や簡素な寝台を備えた車両が主流だったが、振動や騒音を抑える台車や冷暖房を導入するなど、居住性のよさが利用客に好評。主に東京・関西から九州や東北を結ぶ寝台特急列車に投入され、ブルートレインの運行網が広がっていった。

しかし1970年代に入ると、航空機の路線拡大や新幹線の延伸による高速輸送の普及により、ブルートレインの運行本数は次第に縮小。低料金の夜行高速バスが普及したことも影響し、利用者の減少に歯止めがかからなくなった。2009年には東京発のブルートレインが全廃となり、2015年には上野〜札幌を結び人気を博した「北斗星」も廃止され、ブルートレインの歴史に終止符が打たれることとなった。

図録より。富士山を背景にした「富士」と北海道を走る「北斗星」
図録より。「さくら」「富士」「あさかぜ」は東京〜九州を結んだ

躍動するブルートレインの姿が

そんな、今は失われたブルートレインの「夢の旅路」の記録をテーマとした企画展が、埼玉県大宮市の鉄道博物館で2023年9月25日まで開催されている。作品を提供した鉄道写真家の南正時氏は、蒸気機関車の時代から約半世紀に渡り、日本をはじめ海外の鉄道を撮り続けてきた、鉄道写真の第一人者だ。

企画展の会場は本館2階のスペシャルギャラリー
勁文社の鉄道大百科より「富士」同乗記がパネル展示

この企画展では氏が全国で撮影したブルートレインの、なつかしい姿が多数展示されている。東京から西鹿児島(現在の鹿児島中央)を結び、当時日本一の長距離列車だった「富士」。青函トンネルを抜け北海道を走った「北斗星」。花柄のヘッドマークが鮮やかだった長崎行きの「さくら」など、いずれも寝台特急列車の最盛期に活躍した名列車ばかりだ。

旅する人と鉄道員の姿も貴重な記録

さらに、同乗して撮影した乗客や乗務員の姿なども、当時の貴重な記録。二段式寝台ではしゃぐ子どもの姿、見送る者と見送られる者が向き合う別れのシーン、運転台で厳しい表情で定時運行に努める運転士に、寝台を組み立てに回る車掌の姿も。夜行列車の旅を彩った食堂車の風景も、今はすっかり見られなくなってしまった。

図録より。乗客の様子から夜行列車の旅の高揚感が伝わってくる
展示の一角には当時の個室寝台が復元されている

会期中は鉄道博物館に展示されている車両のいくつかに、特別のヘッドマークやバックサインが掲出される企画も。企画展の入館は無料で、鉄道博物館の入館料(前日までの前売料金一般1230円・小中学生510円。当日料金一般1330円・小中学生620円)で観覧が可能。数々の写真とともにかつて活躍した鉄道車両も眺め、今や体験できない文字通り「夢の旅路」へ浸ってみてはいかがだろう。

CREDIT
Videographer :カミムラカズマ
Support :のだ ゆうた
Support :モゲ

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