eスポーツがオリンピック種目になる? ゲームタイトルは? 初となるIOC公式大会も
目次
オリンピックに採用される可能性は
eスポーツの競技人口は現在数億人ともいわれます。世界中で拡大の一途をたどっており、日本での認知度も確実に上がっています。
すでにアジア競技大会では、2018年にeスポーツが公開競技として実施されました。2022年の中国・杭州大会からメダル種目として正式認定されています。オリンピックの正式種目となることを求める機運は、今後高まってくると思われます。国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長が、「将来的に五輪競技として検討する可能性はイエスだ。だが、時期による」と発言してもいます。
IOC初のeスポーツ公式大会を開催
実際、将来的な五輪採用を視野に入れたかのような動きも浮上しています。
IOC初のeスポーツ大会「オリンピック・バーチャル・シリーズ(OVS)」が2021年5月13日に開幕。7月に開幕予定の東京五輪に先立つイベントで、野球、自転車、ボート、セーリング、モータースポーツの5競技を6月下旬まで実施します。トーマス・バッハ会長は「新しいユニークなデジタルオリンピック体験」と位置づけ、若者に五輪の価値観を広めたい考えを示しています。
どんなゲームタイトルが候補?
実際にeスポーツがオリンピックの正式種目になるとすれば、どんなゲームタイトルが行われるのでしょうか。
公開競技として行われた2018年アジア競技会では、「Arena of Valor」「クラッシュ・ロワイヤル」「リーグ・オブ・レジェンド」「StarCraft Ⅱ: Legacy of the Void」「ハースストーン」「ウイニングイレブン 2018」がタイトルとして採用されました。
IOC初のeスポーツ大会「オリンピック・バーチャル・シリーズ」では、日本発のeスポーツタイトルから「eBASEBALLパワフルプロ野球2020」と「グランツーリスモ(GT)」が採用されました。
「Dota 2」「Counter-Strike: Global Offensive(CS:GO)」「Overwatch」などのほか、日本を代表する格闘ゲームである「ストリートファイター」なども候補に挙がるのではないでしょうか。
どんなタイトルが選ばれるのか、全くの未知数ですが、想像を巡らせてみるのも楽しいかもしれません。
代表選手はどのように選ぶのか
オリンピックの正式種目になった場合、日本の代表選手を選ぶ必要が出てきます。その選出方法は現時点では全く分かりません。
例えば、日本eスポーツ連合(JeSU)が昨年9月に開催した「JAPAN eSPORTS GRAND PRIX」が活用されるかもしれません。世界で活躍できる選手の創出を目的としたこの大会は、賞金に加えて、国際大会への出場権が与えられるため、代表選考会の意味合いと相性が良いと思われます。
JeSUは2018年から国内のeスポーツ団体を統括しており、日本オリンピック委員会(JOC)への加盟を目指しています。加盟できれば、JOC経由でオリンピックに派遣されることが可能となります。徐々にオリンピックに向けた日本の態勢は整いつつあると言えます。
日本では国体で「ぷよぷよ」など採用
2019年茨城国体では文化プログラムの一環としてeスポーツが実施されました。各都道府県予選を勝ち抜いた下は8歳の小学生から上は40代の社会人まで約600人が参加し、「eFootball ウイニングイレブン2020」「グランツーリスモSPORT」「ぷよぷよeスポーツ」の全3タイトルで競いました。
昨年はコロナ禍で国体での開催は出来ませんでしたが、12月に「全国都道府県対抗eスポーツ選手権 2020 KAGOSHIMA」として開催されました。新たに「パズドラ」「eBASEBALLパワフルプロ野球」の2タイトルも加わります。オリンピックに先んじて、eスポーツの大きな大会は日本でも根付きつつあります。
FPSなど暴力的な表現のゲームはNGか
一方で、オリンピックの正式種目になるのは難しいという意見もあります。それにはいくつか理由があります。
まず、人気の高いFPSなどのゲームは銃を使った暴力的な表現があるため、平和の祭典であるオリンピックにそぐわないという点です。IOCのバッハ会長もかつて「暴力や差別を助長する可能性のあるゲームは開催できない」と話していました。
著作権の問題もあります。柔道やサッカーなどの一般的なスポーツは版権があるわけではないので、許諾が必要ありません。しかし、ゲームはゲーム会社に著作権があり、eスポーツの大会などを開く際には、ゲーム会社の使用許諾が必要です。
また、eスポーツの対象となるゲームタイトルが変わりやすいという点も挙げられます。現在、定番になっているものが今後も継続していくとは限りません。4年サイクルのオリンピックでは、固定することが難しいと考えられます。
コロナ禍を逆に追い風に
2020年はコロナ禍でリアルなスポーツは大会が中止や延期、無観客試合となるなど多大な影響を受けました。そんな時期だったからこそeスポーツが注目されました。
特に現実のスポーツをモチーフとしたタイトルで、大会の代わりにゲームを使用したオンライン対戦が行われる動きがありました。日本人テニスプレイヤーである錦織圭選手や大坂なおみ選手らは、「マリオテニスエース」を使用したチャリティー大会に出場しました。バスケットボールのNBAで現役選手がゲームイベントに参加したり、F1レーサーが公認ソフトの大会に参加したりもしました。
新型コロナウイルスの感染拡大は世界的な問題ですが、結果として改めてeスポーツに光を当てることになりました。eスポーツがオリンピックの正式種目となるには、クリアすべき点がまだまだありそうですが、可能性は確実に高まっていると言えそうです。
【この記事を書いた人】
GAMEクロス編集部
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