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こんにちは、動画ライターのフィリピン下鳥です。
フィリピンに拠点を置く日本企業インスタリム株式会社が開発したこちらの義足、実は3Dプリンターで製造された義足なんです。
高品質な義足がなかなか行き渡らないフィリピンにおいて、すでに数百人のユーザーに愛用されているといいます。一体どのような義足なのでしょうか。
フィリピンで深刻な糖尿病。そして義足が普及しない現状
米中心の食文化を持つフィリピンで、最も深刻な病気の1つが糖尿病です。糖尿病によって神経障害や血管障害が進行すると、足の潰瘍や壊疽が起こります。貧困層は治療費がないため重症化しやすく、壊疽した足を切断せざるをえなくなる人が少なくありません。
私もフィリピンで暮らす中で、壊死した足を切断した人や、そもそも病気になっても治療費がなく病院にかかれないという人に、少なからず出会ってきました。
フィリピン大学・フィリピン総合病院のJosephine Bundock博士は、このように語ります。
義足が必要な障害者のうち、5〜15%しか義足を入手できません。義足の寄付も受けられますが、それらの多くは患者の足を採寸して作られてはいないので、あまりフィットせず、患者は結局使わなくなってしまいます
一方で、しっかりフィットする高品質の義足はとても高価なため、ほとんどの人は入手できないといいます。実際、フィリピンの街や村では、足を切断したまま義足をつけていない人をよく見かけます。
AIとCADの活用で期間・コストを10分の1に
そんな現状を変えるべく誕生したのが、3Dプリント義足「インスタリム」です。
AIが義肢装具士の手技を学習し、独自開発のCADで設計、そして専用の3Dプリンターで製造することによって、制作時間を従来の10分の1に短縮。さらにコストも10分の1まで抑えることに成功しました。
最も手頃な下腿義足は、本体の提供価格が19,999ペソ(約5万円)。この価格なら、フィリピンでも入手できる人がぐっと増えるのは納得です。
カスタム量産体制が構築された3Dプリンター・CAD義足事業としては、世界初の実現だそうです(インスタリム株式会社調べ)。
この技術によって、フィリピンはもちろん、開発途上国を含めた世界各地に、高品質な義足が行き渡る可能性が高まります。
品質も見た目もよく問い合わせも簡単
義足は「下腿義足(骨格構造)」、「下腿義足(殻構造)」、「大腿義足(骨格構造)」の3種類。個人的に、見た目もしっかり本格的な義足でとても安価な製品には見えず、ユーザーが使う時の見栄えもしっかり考慮されていると感じました。
ユーザーのJane Caroc Baltazar氏も、このように語っています。
足にすごくフィットするし、とても軽いです。いろいろなことが楽にできるようになりました
ウェブサイトのフォームから簡単に問い合わせができるのも便利です。また、地域によってはホームスキャンニングサービスも行われています。
必要な人すべてに義足が届く世界を目指して
インスタリム株式会社は、最終的にはプロの義肢装具士がいないような僻地を含む、世界のあらゆる場所に高品質な義足を届けることを目指しています。
2021年には経済産業省が推進する「J-Startup」認定企業に選出。政府の支援を受けて海外事業をさらに加速していく見通しとのことです。
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フィリピンから生まれた世界初の3Dプリント義足が、世界中の義足を必要とする人々に行き渡る日が来るかもしれません。
インスタリム株式会社