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日本でもいろいろなモビリティに乗りたい。乗れる可能性はあるのか、今の日本の問題点や海外の状況、今後の展開を、詳しい人に聞いてくる【連載】未来のモビリティ
今回のテーマは、空飛ぶクルマ。
bouncyでもよく紹介する未来の乗り物だが、紹介するのはCGなどのコンセプト映像が多い。
現実に乗れる可能性はあるのだろうか?開発は進んでいるのか?今回は、実際に空飛ぶ車を制作しているという、株式会社SkyDriveさんに話を聞いてきた。
まず、現実的な空飛ぶクルマとは?
SF映画やゲームに出てくる空飛ぶクルマだが、まずは日本で現実的に乗れる可能性があるのか考えてみる。
空飛ぶクルマの定義は、垂直離着陸・飛行・道路走行が可能な乗り物。
日本では、政府が2018年6月に閣議決定した「未来投資戦略 2018」で、「次世代モビリティ・システムの構築に向けた新たな取り組み」を掲げた。その中でモビリティ革命「MaaS(Mobility as a Service)」などと共に、世界に先駆けて空飛ぶクルマの実現を目指す方針を示している。
その後、2018年8月に経済産業省と国土交通省が「空の移動革命に向けた官民協議会」を共同で立ち上げた。さらに第3回会議において、技術開発やインフラ・制度整備に向けたロードマップの素案を作成。
要するに、空飛ぶクルマを新たな産業に育てようと、国が本腰を入れて動き出しているのだ。
空飛ぶクルマを取り巻く状況
日本の法律上は、空飛ぶクルマが航空法上の「航空機」にあたるのかが問題になる。
航空法の「航空機」とは、「人が乗って航空の用に供することができる」と定めており、「人が乗って」とは、国土交通省によると、「機体に人が座って、着陸装置を装備したもの」とされている。
つまり、人が座って乗ることができて着陸装置がある「空飛ぶクルマ」については、航空機として航空法の規制の対象になる可能性がある。また、無人運転のエアタクシーのようなものについて航空法では、国土交通省大臣の許可を得た場合飛行が認められている。
現在の考え方では、空飛ぶクルマは航空法の規制対象となる可能性が高く、自動車の車検のように、安全性や信頼性、耐久性などの証明が必要となる。
しかし、航空機やヘリコプターと同水準の規制がかけられると大きなハードルとなり、実用化に向けた研究開発は大きく後退しかねない。また、飛行機と異なりはるか上空を飛ぶわけではない。低空飛行が中心になることから民法の地上権の問題なども発生する可能性がある。
まずは海外の動向なども参考にしながら、用途や空域を制限することになりそうだ。いずれにしても、安全性を損なわずに実用化のハードルを下げる枠組みが必要になるだろう。
作っている人に聞いてみた
2020年8月25日、空想の世界だった未来の乗り物が、より現実に近づいた発表があった。
空飛ぶクルマを開発している株式会社SkyDriveが、公開有人飛行試験を成功させたのだ。
©SkyDrive/CARTIVATOR 2020
未来の乗り物がもうすぐ乗れるかもしれない。株式会社SkyDriveの代表取締役、福澤知浩さんに話を聞いてきた。
ーー空飛ぶクルマはもうできている?
福澤さん
「はい、試作機はもう毎日飛んでいます。
実際に一般の方に乗って事業としてスタートする機体は2023年に完成を目指して進めています。」
ーー開発はどのくらい進んでいる?
「主に開発には二段階あります。
一段階目は試作機などで実際に有人で人が乗って安定して飛べるといったもの。今はそこまで完成しています。
二段階目は一般の方に乗っていただけるというレベルで、それには今実際に飛行機として飛んでいるANAやJALのような安全性が必要です。
そのためには色んな環境で飛んでも問題がないとわかった上ではないと厳しいです。
それがこれからの段階となります。」
ーー免許は必要?
「パイロットとして乗る場合は免許が必要になります。
ただ基本的には自動運転がメインとなるため、万が一の時に少し操作する技能が必要になる程度です。
そのため、今のヘリコプターや飛行機に比べると操作が簡略化されますね。」
ーー一家に一台という時代もくる?
「そんな時代が到来するのは2030年くらいになると思います。
安全性を確かめて、法律の元に許可されて、一般の方に乗っていただくき、かつ一般の方々が安心して乗っていただく。
また、たくさん空飛ぶくるまを生産すると値段がどんどん下がっていく。
空飛ぶ車は最初に作る段階では三千万円から五千万円必要になっていきますが千台、一万台と生産されると価格が数百万円代まで下がっていきます。
そうなってきた時に、一家に一台かはわかりませんが手が届くようになりますし、買わなくてもスマホで予約するといつでも使えるようになります。」
ーー飛ぶ高さやスピードは?
「高さは約150m、スピードは時速約100kmを想定しています。
時速100kmと聞くと、車とほぼ変わらないと思うかもしれません。
ですが、実際に都内の街中で走るようなタクシーの平均速度は、信号などで止まっている時間が多いために時速約30kmです。
なおかつ、タクシーだとA点からB点に移動したい、となった時に建物があるために遠回りしないといけません。
それに対して、空飛ぶクルマは行きたい場所に直接向かうことができます。
道のりが短い上に止まらなくていいので、体感スピード時には3~4倍になると思います。
ーー法律を変えなきゃ飛ばせない?
「実は今の航空法でも空飛ぶくるまに関しては許認可を取れます。
だから、私たちは国会を通して法律を変える必要はありません。
ただ、航空法の下の方に審査要領というものがあり、どのようにして安全性を審査するかなどの考え方に関しては付け加えなきゃいけないことがあります。
例えばモーターの部分、電池の部分など、そういった部分の規則は定めないといけません。
ーーどんな未来が待っている?
「直近だとインターネットの普及によって情報の格差がなくなってきました。
昔は都会にいないと新しい情報にアクセスできなかったのが、今は地方や外国にいてもすぐにどんな情報にでもアクセスできる。
それと同じ話が空飛ぶ車にも起こると思っています。それはいわゆる、移動の格差です。
今までは都心部にいないと電車が通っていなかったり、色々な問題で移動しにくかった。ですが、空飛ぶクルマがあれば簡単に山の上に行けるし、離島にも簡単に行ける。
いわゆるインフラ、線路や道路が発達していなくても簡単に移動ができるようになります。そうするとこれまで都会にいないと受けられなかったサービスが、空飛ぶクルマによってできるようになる。
最終的なイメージは、2040年になるとスマホで空飛ぶクルマを呼び出すと外にビューンと到着して、そのままそれに飛び乗って飛んでいく。
そんな形で、呼び出すと行きたいところまで勝手に飛んで来てくれて飛んでいく。
そういったレベルまで普及するような世界を作っていきたいと考えています。
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空飛ぶクルマは、SF世界だけのものと思いきや、思ったより手が届くところまで来ているようだ。
20年前にはドラえもんの秘密道具レベルだった今のスマホのように、空飛ぶクルマも10年後、20年後には生活に溶け込んだものになるのかもしれない。