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誰にも看取られずに自宅で亡くなり、発見までに数日かかってしまう孤独死。
日本の孤独死は年間3万人と言われ、社会問題になっている。多くは日本ならではの家庭環境に問題があるようだ。
小島美羽さんの職業は遺品整理人。彼女は、孤独死が起こった現場をリアルなミニチュアにして、孤独死の現実を知ってもらおうと活動している。
彼女の想い
遺品整理人とは、孤独死で亡くなってしまった部屋を清掃したり、遺品を仕分けたりする清掃業者だ。小島さんは、遺品整理クリーンサービスという会社に勤めている。
孤独死の場合、遺体は死後数日経っていることが多く、多くの遺体は腐敗が進み、体液が流れだし強烈な異臭がする。
過酷な現場で働いてる小島さんは、なぜ働きながらこのようなミニチュアを作り始めたのだろうか。
もともと、自分たちの仕事を写真で紹介していたんです。写真と口頭でこういう事をしている仕事ですって説明してまわっていました。でも、結局みなさん想像できないんです。
写真では実際の現場を紹介しません。本当に凄惨な状況を見たい人はいないだろうし、遺族の人も見世物になるのを嫌がるじゃないですか。だからどうしてもイメージのような写真になってしまうんです。
もっとこの現実を伝えたいと思った時に、現場を再現できるミニチュアを作り始めました。
ペットがいるやつですかね。
ペットを飼う気持ちは分かるんです。
でも、そのペットを飼っていた人が孤独死をして、異臭でめちゃくちゃの部屋の中で生き延びたペットを目の当たりにした時、遺族の人たちはみんな「殺処分してくれ」って言うんです。
もっと命の重さを考えて欲しい。どうにかできないか、少し考えて、どうしてもどうしてもで出した結論じゃなく、簡単に言うんです。命ってそんな軽いものじゃない。
そして、飼う人はもし自分が倒れたら、ペットがどうなるのか、飼ってくれる人はいるのか、責任を持って考えて飼ってほしい。
孤独死って、ちょっと他人事だったり、自分は関係ないって思っている人がたくさんいるんです。でも、本当は孤独死ってすぐ近くにある。まずはそれを考えて欲しいです。もしいま倒れたら、助けが呼べなかったら、孤独死になってしまうのではないか、そしてその可能性がある知り合いがいないか、今一度考えてもらいたいです。
そして、大事な人がいる方。家族彼氏彼女友人だれでもいいんですが、大切な人のいる方。
大切な人が生きてるって当たり前じゃない。誰でも急に死を迎えることがあるって、知って欲しいです。
大切な人を、ちゃんと大切にして欲しいです。
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小島さんは27歳。おそらく、日本で普通に暮らす同じ世代よりもさまざまな経験をしている。彼女は訴えたいことが明確で、その言葉は重く響く。
小島さんは「時が止まった部屋」という書籍の中で、孤独死の現場、そして作ったミニチュアをこと細かく解説している。
1ページ目から始まる孤独死の世界。想像を絶する現場、目を背けたくなる状況。彼女の筆が緊張感を伝える。1ページ1ページに込められた想いを、こちらも覚悟を持って読み進めないと、圧倒されてしまいそうなほどの凄みがある。
小島さんは言う。孤独死は決して人ごとではないと。
あなたの家族、友人、職場。いま一度周りを見渡してみると、孤独死を防げる行動が自分の身近にもあるのかもしれない。
明るい未来を築く。そのためには時折、現実を見直すことも大事なのかもしれない。
原書房