〈プロに聞く〉プロテインの飲み方とおすすめ商品をライザップトレーナーが紹介
ダイエットやジム通いを始めると頭をよぎる「プロテイン」。専門店や通販サイトをのぞいても、ブランドや種類がたくさんあって何をどう選べば良いのか迷ってしまいます。そもそもプロテインってどんな効果があるのでしょうか。「結果にコミットする」のキャッチコピーで有名な「ライザップ」(RIZAP)の専門家に選び方やいつ飲むのがふさわしいかについて教えてもらいました。
RIZAPトレーナーの「先生」
ライザップの管理栄養士、柳井美穂さんに話を聞きました。ライザップがパーソナルトレーニングジムに参入したのは2012年。全国で約130のジムを運営し、約1千人のトレーナーがいます。全国のトレーナーに栄養学の基本や食事の注意点を教えるのが柳井さんの役割です。いわばライザップのトレーナーの先生です。
「特効薬」ではない
プロテインの商品説明や広告には「減量(ダイエット)」「理想の筋肉」など目を引く言葉が盛りだくさん。柳井さんはまず、「プロテインは万能薬や特効薬ではありません」と注意してくれました。プロテインを飲むだけでダイエットができたりモリモリの筋肉がついたりする期待をもつのは間違いだと、しっかり認識する必要がありそうです。
プロテインは「たんぱく質」
そもそもプロテイン(Protein)は「たんぱく質」の英訳です。たんぱく質は筋肉を構成する主要成分。髪や肌、内臓にとっても大切で、たんぱく質は見た目や美容、健康のカギを握る大切な栄養素です。
魚や豆腐、納豆にも多くのたんぱく質が含まれ、日ごろの食事だけで十分に摂取できれば理想的ですが、現実にはなかなか大変です。「ダイエットをしたい」「筋肉量を増やしたい」「メリハリあるボディーにしたい」など目指す体形がある人なら、たんぱく質をどう体に摂取していくかに敏感にならないといけません。ダイエットやメリハリのきいたボディーづくりといった目標を達成するために、食事だけでは十分とは言えないたんぱく質を補う「補助食品」としてプロテインを活用するといいでしょう。
ダイエットを目指すなら、筋肉を増やして基礎代謝を高め、やせやすい体づくりを目指さないといけません。エネルギーが燃えやすい体づくりのためもプロテインが有効だと言われています。
また、たんぱく質は消化して栄養を体に取り込み、一部を熱に変える食事誘発性熱産生(DIT)が炭水化物(糖質)と比べても高く、同じ分量でも消化の際の体の消費熱量(カロリー)が大きいという特徴もあります。カロリーが低くてたんぱく質が多く含まれる食材がダイエットには良いと言われるのもこのためです。
市場調査会社の富士経済グループが2018年に発表した調査によると、ダイエットブームや健康志向の高まりで日本のプロテイン市場は2013年から17年までの5年間で約6割拡大し、その後も右肩上がりが続いています。東京五輪・パラリンピックもいよいよ近づき、ジョギングやサイクリングなど人気のあるスポーツを楽しむ人が増えてきたことで、プロテインはぐんと身近になってきました。
食事が「8割」
「ライザップ」は週に2回ジムに通い、それぞれ50分のトレーニングを受けるのが標準的なコースです。パーソナルトレーナーのサポートを受けながら効果的なトレーニングを学ぶイメージが強いですが、週2回の運動や筋トレだけで理想がかなうわけではなく、「食事も非常に重要です」と柳井さんは訴えます。ライザップでは「目標をかなえる決め手の8割は食事だ」と説明しているそうです。
このため、トレーニングの効果を最大限引き出すためにジムの直後にはプロテインを飲むよう促しています。さらに、トレーナーには専用アプリやメールも駆使して顧客の食事内容を毎食チェックするよう指示しています。たんぱく質など必要な栄養素が不足していたり、逆に糖質や脂質、カロリーを過剰に摂取したりしていたら指摘し、改善を指示します。目指す体形は人それぞれですし、ライフスタイルや食事のタイミングも顧客ごとにさまざま。「結果にコミットする」ために、食事やプロテインの摂取方法も個別に指導していくことがトレーナーには求められています。
ダイエットなら「低糖質」
ダイエットを目指す人なら、「プロテインは糖質量が少ないものを選んでください」というのが柳井さんの助言です。
低糖質かどうかの見極めについて、目安にする数字が「10グラム」だとも教えてくれました。
プロテインのパッケージの裏側には「栄養成分表示」の表記があり、成分が書かれているはずです。1回あたりの摂取量が20グラム前後というプロテインが多いですが、この中でたんぱく質が10グラム以上、炭水化物や脂質などの糖質が5グラム程度のプロテインなら「低糖質」と判断していいそうです。
たんぱく質量が10グラム未満だったり、逆に糖質の割合が高かったりするプロテインはダイエットを目指す人向けにはおすすめしません。
その他の成分にも注目
ダイエットを目指す人向けのプロテインなら、L-カルニチンなど、その他の成分にも注目してみてください。L-カルニチンは体内で脂肪が効率よく燃焼することをサポートしてくれます。プロテインによっては、α(アルファ)リポ酸やガルシニアという成分を含むものもあります。いずれも脂肪燃焼のサポートが期待できます。カルシウムや鉄、マグネシウムも量は少ないですがボディーメイクに大切な役割がある栄養素。高い運動能力を発揮するには骨も強くなければいけませんし、鉄は赤血球を効率よく増やす効能があり、全身に酸素を運んで運動のパフォーマンスを高めてくれます。マグネシウムは神経系の伝達機能を高める役割があり、特に瞬発力が求められるスポーツやベンチプレスなどのトレーニングを効率よくおこなうのに役立ちます。
たんぱく質の「質」にも注意
「たんぱく質」にも、複数の種類があります。体に吸収するスピードや体への影響などが原材料によって異なります。自分の目的に合わせたプロテインを選ぶ必要があります。
大豆由来の「ソイプロテイン」はゆっくり消化されるのが特徴。腹持ちも良いので食事の置きかえやダイエット中の人にはぴったり。一方、「ホエイプロテイン」は乳由来のプロテインです。すばやく吸収され、激しい運動でダメージを受けた筋肉を修復したり増強したりする効果が期待でき、アスリートやジムでのトレーニング直後に飲むプロテインとして最適です。ただ、吸収されない分は体脂肪に変わりやすい特徴もあるため、寝る前に飲むのは禁物。夜食の置きかえならソイプロテインの方がおすすめです。
「カゼインプロテイン」も乳由来ですが、ホエイプロテインより溶けづらく、吸収がゆっくりなのが特徴。就寝前でもすぐに体脂肪にかわることなく筋肉づくりにアプローチしてくれるので、間食がわりに飲むにはふさわしいプロテインです。
「ただ飲めば」ではなく
最近のプロテインはココアやイチゴ、バナナなどいろんな味付けがされ、とてもおいしく飲むことができます。ただ、プロテインのカロリーは決して低くないので、過剰摂取には注意しないといけません。飲めばやせる特効薬ではないことを思い出してください。おいしいからと言ってつい飲み過ぎると、カロリーオーバーでかえって太る原因になって逆効果。飲む量には気をつけましょう。
「牛乳で飲む」も要注意
プロテインは水に溶かしても十分おいしいのですが、牛乳や豆乳に混ぜるとよりおいしく飲めます。ただし、やはり飲み過ぎには注意すべきです。カロリーだけでなく、たんぱく質の過剰摂取にもなりかねません。もし牛乳200グラムにプロテインを溶かすなら牛乳にも6.6グラムのたんぱく質(日本食品標準成分表2015年版〈七訂〉)が含まれており、牛乳のたんぱく質量も計算に入れた上で摂取するようにしましょう。
一般的に、男性ならプロテイン1食分で30グラム、女性なら25グラムまでを目安に考え、これを上回ると過剰摂取で腎臓に負担をかける危険があると言われています。女性の場合、牛乳に混ぜてプロテインを飲むのはたんぱく質の摂取量のボーダーラインである意識を持ったほうが良いでしょう。
「3食同じ量」めざそう
柳井さんによると、毎食ごとに同じ量のたんぱく質を摂取することが筋肉づくりには効果的だそうです。朝昼晩と1日3回食事をするなら、毎食ごとのたんぱく質の摂取量を均一に保つことが理想です。朝食で食パン1枚(たんぱく質5.6グラム)とゆで卵(同6.5グラム)、牛乳200グラム(同6.6グラム)で計18.7グラムのたんぱく質を摂取した人が、昼食は焼きおにぎり一つ(同3.1グラム)だけで済ませ、夜にカツ丼(同36.8グラム)を食べたとしたらアンバランスです。目の前の食事がどのくらいのたんぱく質を含んでいるのか、ざっくりでも計算することを習慣づけるよう柳井さんからアドバイスを受けました。(注:成分データは「日本食品標準成分表2015年版〈七訂〉」から)
ライザップ流の参考書
とはいえ、自分の食事にたんぱく質がどのくらい含まれているかなんて素人では見極めがつきません。実はライザップには「ライザップ流」の参考書があるそうです。「ライザップ 糖質量ハンドブック」という手帳サイズの冊子で、ライザップのトレーナーも活用しています。グループ会社の日本文芸社という出版社から出版されており、書店や通販で入手できます。
主要な食材や料理ごとにたんぱく質だけでなく糖質や総カロリー量なども記載されています。例えばハヤシライスなら、総カロリーは764キロカロリー、糖質は108.4グラム、たんぱく質は18.1グラム。クロワッサンなら、総カロリーは202キロカロリー、糖質は18.9グラム、たんぱく質は3.6グラム。ダイエットを考えている人なら、摂取カロリーの目標を決めて日々の食事を選ぶ参考にできそうです。
編集部調査 おすすめプロテインは?
柳井さんに教えてもらったことを踏まえ、編集部でプロテインを選んでみました。①糖質量②「ソイ」か「ホエイ」か③たんぱく質の量、の3つの視点を大切に、ダイエットを目指す人向け、筋肉をつけたい人向けの二つのパターンで考えてみました(注:商品選びにはライザップは関わっていません)。ライザップも独自のプロテインを販売しており、ほかに明治の「SAVAS(ザバス)」、森永製菓の「ウイダー」、DNSが大手です。大手スポーツジム「ゴールドジム」も独自商品を出しています。
ダイエットしたい人向け
たんぱく質は「ソイ」、糖質が低めであることを重視しました。
単にやせるためではなく、理想的なカラダづくりを目指す人向けにつくられたプロテイン。メーカーによると、吸収速度が異なる4種のプロテインや、BCAA、9種の栄養素が摂取できます。健康を維持したい人にもオススメです。
タンパク質含有量が78%もあるのに、1回あたりのカロリーは低め。糖質量を極力抑えてあり、カロリーが気になる方にもおすすめです。
- 森永製菓
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ウイダー ウエイトダウンプロテイン フルーツミックス味 900グラム (60食分)
- 税込み4,828円
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プロテインの味が苦手な初心者に最適。美味しさで継続力アップ!
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1回(15グラム)あたり
エネルギー:52キロカロリー
たんぱく質:7.5グラム
脂質:0.5~1.0グラム
炭水化物:3.9グラム
大手食品会社のブランドが、さまざまな研究データをもとに生産した商品です。プロテインが苦手な方や初心者でも美味しく飲めるフルーツミックス味。1回当たりの分量(15グラム、スプーン2杯)が少なめの設定なので、飲み過ぎには注意してください。
まずはお試し感覚でプロテインを飲みたい人にオススメ。360グラムの少量パック。ダイエットを考える人にも食事の置きかえで飲みたい人にもぴったり。
筋力アップを目指す人向け
たんぱく質は「ホエイ」。糖質が高いか低いかより、たんぱく質の含有量を重視して選びました。
吸収の良いホエイプロテインを100%使用。おいしさにもこだわり、3種の炭やクレアチン、アルギニン、亜鉛などの成分を配合したことも個性的。ライザップのノウハウを凝縮
世界中に店舗網をもつ大手フィットネスクラブ「ゴールドジム」のブランド。高たんぱくと低脂肪を追求し、筋肉づくりにとことんこだわったプロテイン
- DNS
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DNS プロテインホエイ100 チョコレート風味 350グラム(約10食分)
- 税込み3,180円
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トップアスリートにも人気
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1回(35グラム)あたり
エネルギー:142キロカロリー
たんぱく質:24.2グラム
脂質:2.9グラム
炭水化物:4.7グラム
「水でもおいしい」を追求。運動直後(30分以内)の「ゴールデンタイム」、食事と食事の間の間食がわりに飲むのがオススメ
吸収が早いホエイと、ゆっくり持続的に吸収される「カゼイン」が時間差で効果を発揮。筋力アップと栄養補給の両方がかなうプロテイン。実は筆者もずっと愛飲しています。
まとめ
いかがでしたか。プロテインへの理解を深めていただけたらうれしいです。店頭や通販サイトには紹介した以外にもたくさんの商品が並んでいます。「ライザップ流」の目利き術を参考に、自分に合ったプロテインを探してみてください。試しに買ってみたけれど「合わなかったな」というのもアリだと思います。なぜ合わなかったのかを考えて別の商品を検討しているうちに、ひょっとしたら飲み方や生活習慣に問題があるのかも、なんて「気づき」が得られるかもしれません。
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