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8月に入って夏真っ盛りな毎日が続いていますが、コクヨのユニークな学童保育の取り組みを紹介します。コクヨの大阪本社と東京品川オフィスでは、長期休みの間、社内で学童保育のトライアルを実施しています。夏休みに居場所がなくなることの多い子供たちに、新たな選択肢が増えることになるのかも?
オフィス内学童保育トライアル
コクヨは4月、育児や介護とキャリアの両立を支援する制度改正を発表しました。要するに「働きやすいコクヨ」を志向し、将来のリーダー候補の採用強化、リーダー育成に繋げるということのようです。
今回取材したオフィス内学童保育のトライアルも、そうした取り組みの1つ。育児世代の社員を対象に、社内フリースペースの一画を学童保育所として提供。保育士が常駐しており、安心してパパやママが働ける環境を模索します。
学童に行けない子供たち
こうした取り組みを実施する背景には、子供達の居場所が限られるという現実があるためです。
学童保育施設は昔からあるものの、厚生労働省がガイドラインを示したのが2007年。さらに、児童福祉法が改正され設備や運営の質的基準が明確になったのが2014年と、そう古い話ではないのです。現時点で、財源確保と施設拡充が十分とは言いきれない状況にあるようです。
しかも、公設の学童保育施設は10歳(小学校3年生まで)までと年齢制限を設けているところが多いと言われています。これは施設を利用できない待機児童がいるための措置のようです。
こども家庭庁の2023年度調査によれば、学童保育の登録児童数は約145.7万人で、前年度から約6.5万人増えています。登録数は、調査データのある2001年からずっと右肩上がりで増加しており、増加につれて支援数も増えています。
一方、学童を受けられなかった待機児童数は、2019年の約1.8万人をピークに減少したものの、2021年に底を打つと再び増加に転じています。2023年には国内に約1.6万人の学童を受けられない待機児童がいるとしています。
こうした状況から、教育系の事業を展開する企業では「9歳の壁」「10歳の壁」「小4の壁」などといった言葉で、学童を受けられなくなる子供たちを取り上げています。学研のWebサイトでは、放課後などに学童保育のサポートを受けられなくなることで、子供やその親にストレスがかかるといった記事もありました。
地続きの「働く」と「育てる」
コクヨのオフィス内学童保育では、コクヨの文房具やお絵かきツールだけでなく、IoTで子供を見守るコミュニケーションツール「Hello! Family.」なども置かれていました。IoTのセンサーデバイスを活用して、子供を見守りながら家族コミュニケーションにつなげるというものです。
学童保育スペースとなったフリースペースは、ランチをしている社員もおり、すぐ近くにはミーティングを行う人たちの姿もありました。学童保育の場所が隔離されていないので、働く場所と子育ての場所が地続きになっています。
なお、取材に訪れたタイミングでは、コクヨ社内からの希望者の子供達が集まっていました。同社の品川オフィス「THE CAMPUS」は、街に開かれたオフィスをコンセプトにしています。トライアルでは、近隣企業で働く社員の子供も参加できるよう検討しているそうです。
学童保育で環境学習
このほか、コクヨの環境学習プログラム「つなげるーぱ!」の授業の様子も取材できました。このプロジェクトは、使い終えたノートを子供たちから回収し、新たなノートの一部として再生させるというもの。コクヨでは、学校などの教育機関で体験型の環境授業を実施しているそうです。
キャリア形成と子育て、その一方が一方の足かせになるような環境を誰も望んではいないはずです。しかし、私たちの心のどこかに、いずれかを犠牲にしなければならないという気持ちがあるのではないでしょうか。
コクヨのオフィス内学童保育はまだトライアルの段階です。しかし、もしかすると未来の当たり前につながる、新しい働き方のヒントがあるのかもしれません。未来の働き方はどうなっていくのか、想像してみるきっかけにしてみては?