Culture

ボクシング5階級制覇の元チャンプが伝える「タダでは起きない精神」 たとえ不完全燃焼でも

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卒業シーズンとなる3月が終わろうとしている。掲げた目標を達成できた方は、晴れやかな気持ちで4月を迎えよう。他方、望んだ道をつかめず失意を抱えている方もいるだろう。そんな「不完全燃焼」組に対し、「転んでもタダでは起きない精神で頑張って」とエールを送るボクシング界のレジェンドがいる。日本人初の5階級制覇を達成した元プロの藤岡奈穂子さんだ。

土曜朝は代々木公園へ

「トゥルルルルル……トゥルルルルル……トゥルルルルル……」

毎週土曜日の午前6時50分、ベッド下に置いたiPhoneからアラーム音が響く。平日だと眠気に勝てずに二度寝するパターンもあるが、この朝は違う。跳び起きると素早く準備を進めながら、合間にゼリー飲料を口へ。慌ただしく家を出ると、徒歩と電車で渋谷区にある代々木公園に向かう。午前8時に始まる「タフササイズ」に参加するためだ。

タフササイズは、藤岡さんと元プロアスリート仲間が核となり、心身を鍛えるために行っているフィットネス活動。誰でも参加可能なことから、ご縁があった僕も2023年10月から加わっている。

ひとまずフィットネス活動と表現したが、実際には中学運動部のトレーニングに近い。ダッシュ、おんぶ、馬跳びなどのメニューを数人から十数人で実施する。手押し車は、30年前の高校ラグビー部以来にやった。午前9時半の終了時にはヘロヘロとなる。

翌日の筋肉痛もひどいが、朝の代々木公園はいるだけで気持ち良い。藤岡さんら集うメンバーの人柄の良さもあり、コツコツと通っている。

キレあるリングでの動き

1975年8月生まれの藤岡さんと僕は同級生。しかし、元チャンピオンと一般人では運動能力に格段の違いがある。

タフササイズは地面がぬかるんでいる時は、公園内にある階段でトレーニングする。先日、両足ジャンプで登る運動をした。皆の前でデモンストレーションをした藤岡さんは、楽々の2段抜かし。スムーズにピョンピョン上がっていったが、僕は1段抜かしが限界だった。他のちょっとした動きも実に軽やかで、いつも「さすが」と感じていた。

今回、ボクシングジムでの撮影を行い、さらに元チャンプであることを実感した。ボクシングの練習場面でよく目にする、小さいボールを連続で打つ「パンチングボール」。藤岡さんは「そんなに上手じゃない」と謙遜していたが、リズミカルに叩き続ける様は格好良かった。もちろん、リングでの動きも、まだまだ十分にキレがある。

遅咲きのボクサーとして

そんな藤岡さんだが、プロボクサーとしては遅咲きだ。実業団のソフトボール選手から、33歳の時に転身した。

ソフトボールとボクシングでは共通点はなさそうだが、鍛えてきた下半身の強さは生きたという。何より「挫折した時の悔しさを生かすことができた」とも、インタビューで語っている。

ソフトボールの実業団を残念な形で去っていたから、藤岡さんがそこで腐ってしまう可能性もゼロではなかったろう。インタビューで話した彼女の「転んでもタダでは起きない精神」がなければ、ボクシングでの日本人初の5階級制覇という偉業は生まれていない。

スポーツに限らず学業であれ仕事であれ、不完全燃焼の時こそ、自らの心の持ち方が問われる。目標が達成できなかったことを環境や他の人の責任にせず、自分の未熟さを素直に認め、どん底から奮起する。結局、次の舞台で成功を掴むためには、それしかない。

卒業 そして

僕は2024年3月末で、bouncy編集部を卒業する。会社の人事異動のためだが、まったく予期せぬタイミングだ。2020年夏から同編集部に所属し、3年半以上在籍できたのだから、短すぎるわけではない。会社員であるため仕方がないことだが、やや不完全燃焼だ。

企画、撮影、編集、執筆を自らが担うオリジナル動画をもっと世に出したかった。今回で36本目になるが、まだまだ取り上げたいネタはあった。

それでも次の職場へは、bouncy編集部で培ったものが生かせるはずとの思いで異動する。これこそ、レジェンド藤岡さんから学んだことだ。

タフササイズで心身を鍛えつつ、いつかまた、皆様に動画と記事を届けたい。

CREDIT
Videographer/Writer/SNS :高野 真吾
Photographer/Support :Toshiki Inagaki

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