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おさんぽ案内人が行く松江・島根散歩 ドラマ「VIVANT」ゆかりの地をめぐる【動画ライター】


2023年夏にTBSの日曜劇場で放送され、人気を博したドラマ「VIVANT」。国際テロ組織「テント」を追う諜報機関「別班」の乃木憂助(堺雅人)と、「テント」の首謀者で憂助の生き別れの父・卓(役所広司)をめぐる、家族愛をテーマとした物語である。

長期に渡ってモンゴルで撮影が行われたほか、国内では首都圏をはじめ静岡県、島根県が舞台となり、中でも島根では県をあげてロケ地めぐりに力を入れている。

島根県ではロケ地を紹介した公式サイトを設置

県庁から始まった島根編

島根編は松江市をはじめ出雲市、奥出雲町でロケが行われ、作品の核心に迫る場面が多い。松江市街のロケ地は、JR松江駅が起点。隣の駅は偶然にも、主人公の乃木憂助の名字と同じ駅名で、さっそくドラマの世界へ導かれるようだ。

駅前からバスで所要20分ほどの、国宝松江城県庁前バス停が、市街の主なロケ地の最寄りだ。バス停のそばにはドラマを放送した地方局の、山陰放送松江支社が。玄関に掲げられた、ドラマのロゴ入りのポスターが目をひく。

山陰放送入口のポスター。ガラスにはロケ地の県庁が映る

乃木の普段の仮の姿は、丸菱商事のダメ社員。その素性に疑念を持った公安の野崎刑事(阿部寛)が、乃木の生い立ちを調べにまず立ち寄ったのが島根県庁である。ここで建物の全景と、野崎が入っていくシーンが撮影された。

本庁舎の受付前のパネルでは、県内のロケ地をPR。県民室ではロケ地マップも配布しているなど、ロケ地めぐりの拠点にもなっている。

島根県庁。館内には島根県観光連盟もある
入口のパネル。ロケ地マップは左側の県民室で配布

「排除」した同期と話した堀端

島根県庁に隣接する松江城内堀では、乃木と丸菱商事で同期の山本(迫田孝也)が堀端の柵に座り、相談する場面が撮影された。物語の冒頭で乃木が、取引先へ140億円もの誤送金をした嫌疑がかけられ、真犯人を突き止めるため山本に力を貸してもらうシーンだ。

山本は乃木が唯一、信頼できる同期だったが、裏の姿は「テント」のモニター(工作員)で、誤送金を仕組んだ張本人。後に別班として現れた乃木に正体がばれて排除(抹殺)されるなど、物語の前半の鍵を握った人物である。

二人のように堀端の柵に座って、対峙して写真を撮るファンも見かけるなど、市街のロケ地では人気が高いスポットだ。

乃木と山本が座った堀端の柵。撮影の際は転落に注意を
オフィス街のシーンのため県庁の建物はCGでビル群に

また松江城の天守は、島根編の冒頭で流れたような、市街を見渡せる眺望が自慢。眼下には城下と宍道湖を俯瞰でき、湖越しには乃木や父・卓の出自に関わるロケが行われた、出雲市や奥出雲町方面も遠望できる。

国宝に指定されている松江城。最上層は別名「天狗の間」
ドラマの冒頭の俯瞰は空撮のため松江城も映っている

舞鶴での乃木の幼少期がここで

市街のほか、松江を起点にして訪ねられるロケ地にも足をのばしてみよう。松江駅前から美保関行きバスで30分ほど、中海に面して建つ本庄小学校は、乃木が通った小学校として登場する。

父と別れた後、過酷な幼少期を過ごした乃木は記憶障害となり、京都・舞鶴の施設で暮らすことに。ここは作中では舞鶴の小学校だが、校長室の窓越しに広がる中海の眺望は、舞鶴湾沿いに感じられる穏やかな佇まいである。

校門のそばにバス停があり車窓から校舎を一望

玉造温泉の最寄りの玉湯町では、乃木が入所していた舞鶴の児童養護施設のシーンを、旧大谷小学校の校舎内で撮影。その際に地元の人たちからロケ隊に振る舞われた、しじみ汁やしじみ飯など郷土の味覚が、大好評だったエピソードがある。

特に人気だったのが、しまね和牛入りのビーフコロッケ。島根県庁そばの精肉店「ミートショップきたがき」が製造元で、店頭にはその旨をPRしたポスターが貼られるなど、ドラマゆかりの味覚にもなっている。

ロケ地MAPより。旧大谷小学校の趣ある木造校舎
きたがきは地元客の行列も絶えない人気店

エキストラの職場もゆかりの地?

出雲市のロケ地へは、松江しんじ湖温泉駅から一畑電車を利用。出雲大社では回想シーンで出てきた、乃木の父・卓と母の明美の挙式が撮影された。

エキストラとして、山陰合同銀行の山崎頭取が卓の父役で列席して話題に。ちなみに山陰合同銀行の本店は松江市街にあり、展望フロアから宍道湖を見下ろす眺望もすばらしい。

挙式の場面では新郎新婦を見守る頭取の姿も

奥出雲の風土にドラマの原点が

「VIVANT」の福澤監督は、過去に手がけたドラマ作品の影響で奥出雲との縁と思い入れが強く、島根編の中でも特に重要な場面が、ここで撮影された。松江市街からやや離れた山間部のため、車でのアクセスが便利だ。

作中には当地の歴史や文化や産業が取り込まれており、乃木本家は古式たたら製鉄の名家御三家の一つという設定。撮影が行われた櫻井家住宅も、松江藩の鉄師頭取役を務めた旧家だ。

ここは幼少期の記憶を失っていた乃木が自身の出自を知り、父・卓の生い立ちが当主から語られた、物語の原点に迫る場面の舞台となった。それが卓はテントの首謀者、乃木はその息子、との野崎刑事の確証に繋がっていく。

ロケ地MAPより。櫻井家へは松江市街から車で1時間ほど

テロ組織でありながら、報酬を孤児救済に充てる義賊だったテント。その首謀者となった卓と、追う立場である別班の憂助。両者の使命感と親子関係の変化とともに、物語は佳境へと入っていく。二人の出自が明らかになる島根は、その原点といえるだろう。

今回の松江・島根編、フル動画はこちらから視聴できます。

島根県ロケ地MAP 特設サイト

島根県ロケ地MAP 特設サイト

CREDIT
Videographer :カミムラカズマ
Support :のだ ゆうた
Support :モゲ

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