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入学、入社など新生活が始まる4月。世の中のフレッシュな空気に乗って、語学や資格の勉強などを始めたい方も多いだろう。しかし、何かに挑戦しようとする時、私たちの足を引っ張るものがある。「失敗したくない」などの「おそれ」の気持ちだ。
しかし、踏み出さない限り変化はない。かく言う筆者(45歳)も、年のせいか昔ほどガツガツできない。「中年停滞」を打ち破るべく、1冊の本を手にしてみた。
それが「新しい世界へ」(光文社)だ。
著者は元祖ノマドワーカー
著者は作家、コメンテーターの安藤美冬(愛称・ミッフィー)さん。場所や時間にとらわれずに働く「ノマドワーカー」の「元祖」と称されている。
安藤さんは慶大卒業後、出版大手・集英社に入社。7年働いた後の2011年、30歳で独立した。そして本やコラムの執筆、ネットでの情報発信などを続けてきた。
2012年4月には、TBS系列「情熱大陸」に出演したこともある。筆者もこの番組を視聴した。「新しいフリーランスの働き方だな」との印象を抱いたことを覚えている。
書籍「新しい世界へ」の担当編集者とのご縁もあり、今回、動画インタビューを実施した。
インフルエンサーになるも「孤独な感覚」
安藤さんの情報発信で大きな武器となっていたのが、SNSだった。
Twitterだけでもフォロワーが5万人を超えていた。いわゆるインフルエンサーとなり、文化人などとの交流範囲を広げる日々を送った。
こうした刺激的な生活は楽しかった一方で、心身に負担がかかる面もあったようだ。書籍中では、次のように表現している。
「常に『競争心』と『不安」でいっぱい」
「一番身近な存在のはずのアシスタントすら信頼できず、まるで戦場でひとり戦っているような、孤独な感覚がずっとありました」
それでも「挑戦」続ける生き方
ついに2017年秋、有力な武器にしていたSNSを手放す決断をする。
そこに至るには、三つの理由があったとインタビューでは語っている。
もちろん、安藤さんにしても、この決断は「こわいこと」だった。
しかし、彼女は過去、チャレンジを続けて、人生のステージを一歩ずつ高めてきていた。
30歳での独立はもとより、21歳ではオランダ・アムステルダム大学への交換留学に単身で向かった。抑うつ状態で休職していた職場に復帰した27歳の時にも、勇気を振り絞った。
「挑戦」と「現状維持」の二つのカードが目の前に置かれているとする。その時に「挑戦」カードを必ず手にするのが、安藤さんの生き方だ。
「ひとり合宿のすすめ」とは
「プロローグ」から始まる書籍の目次は、以下となる。
1「おそれの正体」
2「おそれを活用する」
3「本当に望んでいることを知ろう」
4「おそれを手放すための具体的な方法」
5「新しい世界へ」
そして「エピローグ」で終わりとなる。
3では、「ひとり合宿のすすめ」が出てくる。金曜夜の仕事終わりから、月曜朝の出社まで3泊4日でホテルに泊まる1人ツアーを指す。自分を見つめなおす、自分時間を確保するために行う。
確かに毎日、誰かとつるんでいると、周囲からの影響が強すぎて自分を失いがちになる。生活場所を変えて静かな環境を作ってから、自分と向き合うやり方は合点がいく。
「8つの方法」具体例も
また、4では「おそれを手放す8つの方法」が列挙されている。「『こわいことリスト』をつくって、観念と思い込みを特定する」から始まっている。
8つを順番に実践していけば、確かに「おそれ」から自由になれそうだ。
いずれにしても、自分に正直にならないと意味がない。そうした気持ちになるには、時間に余裕が欲しい。慌ただしい日常の中では難しい。何ならスマートフォンの電源も切ってしまいたい。
「ひとり合宿」の機会に「こわいことリスト」作りができれば、ベストなのだろう。
「自分の幸せと向き合う機会に」
「新しい世界へ」は安藤さんにとって、3年半ぶりの新刊となる。インタビューでは、読者へのメッセージを語ってもらった。
「私自身、SNSから離れていた時間は、すごく幸せな時間だったのですね。色々なノイズや世間から離れて、初めて自分の幸せと向き合えた豊かな時間を過ごせました」
「コロナ禍で、自分の幸せや生きがいに向き合わざるを得ない人が増えていると思うのです。そんな今だからこそ、本という媒体を手にして、静かで穏やかな時間を持ってもらえたら嬉しいです」
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いまや「人生100年時代」と言われる。筆者は中年ではあるが、長い目で見ると、いまだ折り返し地点にも来ていないのかもしれない。
「おそれ」を手放し、「新しい世界へ」旅立つ。それには年齢は関係ない。「こんな一歩を踏み出したよ」と、皆さんと報告し合いたい。