〈プロ解説〉安い電子ピアノ、おすすめ15選 選び方や初心者向け商品も紹介
時間帯や場所を気にせず、好きなときに演奏を楽しめる電子ピアノ。据え置き型や卓上型といった形状の違いだけでなく、スピーカー・鍵盤などの機能面も製品ごとに異なります。
100万円近い価格で販売されているものもあり、予算があればより機能的な製品を選べるものの、コストを抑えつつ満足できる製品を選びたい方は多いことでしょう。
そこで今回は、ピアニスト兼ライターの門岡明弥さんに、安い電子ピアノの選び方やおすすめ商品を解説していただきました。ぜひ参考にしてください。
目次
まずは、門岡明弥さんおすすめ電子ピアノ5選
おすすめポイント
シンセサイザーやキーボードなど数多くの電子楽器を製造・販売している、KORG(コルグ)の電子ピアノです。操作パネルは必要最小限のシンプル設計。ヘッドホン端子が2つあり、連弾や子どもとの練習にも便利です。鍵盤カバー、一体型スタンドが標準装備の据え置き型で、3本ペダル・ユニットが搭載されている点もポイント。ポップスはもちろん、本格的なクラシックの演奏でも、細やかな表現ができます。アコースティックピアノ特有の、低音部では重く、高音部では軽くなるタッチが再現されていて、「とにかく価格を抑えてピアノを始めたい!」という初心者の方にもおすすめです。
▼「KORG LP-180」を紹介する公式動画がこちら
おすすめポイント
YAMAHAの卓上型電子ピアノです。スピーカーは2基ですが、高音域用のツイーターを改良した2WAYスピーカーが搭載されているため、アコースティックピアノと似たような音の聞こえ方を体感できます。ポップスやジャズ、ラテンなど、ジャンルにあったリズムを20種類収録。ピアノを演奏するだけで、そのコード(和音)にあったベース音が鳴る機能もあります。ピアノ練習に飽きたら、ひとりでセッション気分を味わうことができるため、飽き性の方にもおすすめです。
おすすめポイント
CASIO Priviaシリーズの中でも、コンパクトさと機能性を両立した製品。ハンマーの自重によるアクション機構が搭載されているにもかかわらず、奥行きは23.2cmと世界最小サイズ(ハンマーアクション付き88鍵盤・スピーカー内蔵デジタルピアノの奥行サイズにおいて※2021年7月、CASIO調べ)です。指を離す際の鍵盤の動きをもとに、消音するタイミングをデジタル制御する「キーオフレスポンス」機能のおかげで、鍵盤が戻りきらなくても次の音を鳴らせる点もポイント。樹脂鍵盤ですが、グランドピアノに近い連打性が再現されています。
▼「Privia PX-S1100の楽しみ方」を紹介する公式動画がこちら
おすすめポイント
低価格帯ではありませんが、価格と機能のバランスがとれたPriviaのフラッグシップモデルを紹介します。天板に音の通り道となるスリットを設けて、本体内からの反射音が効率よく抜ける音響構造を実現。さらに、弦の共鳴音を追求し、グランドピアノのような響きを再現しています。スピーカーは4基搭載し、楽器全体が響く感覚を掴みやすいのも魅力です。機能面が充実しつつも奥行きは30cm未満とコンパクトなため、省スペースで設置することができます。
▼「 Privia PX-870の特長」を紹介する公式動画がこちら
- KAWAI
-
電子ピアノ CA49
- 税込み182,600円(Yahoo!)
-
白鍵・黒鍵ともに木製、繊細なタッチ
おすすめポイント
樹脂製鍵盤の機種と比べると高額にはなりますが、コストを抑えつつ木製鍵盤の電子ピアノが欲しい方におすすめです。KAWAIのCAシリーズは木製鍵盤を搭載し、グランドピアノの弾き心地を再現しています。CAシリーズの中でも「CA49」は最もリーズナブルなスタンダードモデルです。鍵盤だけでなく、音色やスピーカー配置にも工夫が施されています。専用BOX付き中低音スピーカー・高音専用スピーカーが左右それぞれに配置されていて、音の聞こえ方がグランドピアノに近い点も特徴的です。
電子ピアノとピアノは「発音方法」に違い
電子ピアノとは、アコースティックピアノ(グランドピアノ・アップライトピアノ)に代わる電子鍵盤楽器のことを指します。
アコースティックピアノとの主な違いは、発音方法です。アコースティックピアノは鍵盤を押すことでハンマーが動き、中に張ってある弦を叩きます。
ハンマーに叩かれた弦の振動が音となって響き、楽器全体が複雑に共鳴することでピアノ特有の音が鳴る仕組みです。
グランドピアノ、アップライトピアノのイメージ(Photo by iStock)
一方、電子ピアノは、鍵盤を押したらその情報をセンサーが感知し、スピーカーから発音する仕組みとなっています。
昨今の電子ピアノは、アコースティックピアノの音色・打鍵感・構造が、高いクオリティで再現されている機種も多く、導入費用を抑えて、ピアノの練習に励むことができます。
電子ピアノの「寿命」は10〜15年
Photo by iStock
アコースティックピアノは、年に1〜2回の調律や、定期的な整備を行うことで半永久的に使用できます。
電子ピアノは、部品劣化などにより10〜15年程度で寿命を迎えます。ただ、定期的な調律・整備がほとんど必要なく(一部の機種を除く)、アコースティックピアノと比べてランニングコストがかからない点が魅力です。
電子ピアノのメリット・デメリット
ポイント解説
自分の趣味のためや、練習する目的で、ピアノ購入を検討中の方も多いでしょう。さまざまな種類がある中で、電子ピアノを選ぶメリット・デメリットについて解説します。
メリット|置く場所を選ばず、ヘッドホンが使える
Photo by iStock
電子ピアノはアコースティックピアノよりも軽量・コンパクトで、置く場所を選びません。ヘッドホンにも対応しているため、周囲への音に配慮しながら演奏できます。
また、音色の変更・レッスン機能・アプリとの連動といった、電子ピアノならではの機能を使えるので、アイデア次第でさまざまな活用法を見出だせる点も魅力です。
デメリット|本物のピアノと同じ感覚は得にくい
Photo by iStock
いくら高性能な機種であっても、アコースティックピアノとは決定的に構造が異なります。電子ピアノは、ハンマーで弦を叩き、その振動が楽器全体に響き渡るわけではないので、繊細なニュアンスや響きを表現することは難しいです。
加えて、打鍵時に鍵盤が戻ってくるスピードも、アコースティックピアノ(特にグランドピアノ)と比べて遅いため、高い技術を要する曲を演奏する場合は不便に感じてしまうこともあります。
キーボードとは鍵盤数や構造に違い
電子ピアノよりも安く手に入る楽器として、キーボードがあります。電子鍵盤楽器である点は同じですが、主に鍵盤数や構造が異なります。電子ピアノの鍵盤数はアコースティックピアノと同じ88鍵であるのに対し、キーボードは32〜61鍵と少なめです。
キーボードのイメージ(Photo by iStock)
また、電子ピアノの鍵盤には適度な重さがあり、打鍵時に確かな手応えや反発を感じられますが、キーボードは鍵盤が軽いため、本格的なピアノ練習には向いていません。
選び方① 本格的な練習には据え置き型、持ち運びたいなら卓上型
ポイント解説
電子ピアノの形状には、主に据え置き型、卓上型の2種類があり、価格帯や特徴が異なります。ピアノとしての表現力を追求したいのか、できるだけ安く手に入れたいのか、事前に重視するポイントを決めておくといいでしょう。
Photo by Amazon
据え置き型は、鍵盤・脚・ペダルが一体となっていて安定感があります。機種によっては、スピーカーが多数搭載されていて、アコースティックピアノに近い音の響きを得られる、インテリア性が高く部屋になじみやすい、といったメリットも。
持ち運びが困難ですが、本格的なピアノ練習に向いているのは「据え置き型」だと言えます。
卓上型は鍵盤本体が独立していて、スタンドは別売りとなっています。メリットはラクに持ち運びできる点です。ケースに入れて自宅以外の場所にも持ち出せるほか、部屋が狭く感じるときは一時的に収納しておけます。
Photo by Amazon
スタンドを別途用意する必要がある点や、搭載されるスピーカーの数やサイズに物理的な制約がある点はデメリットですが、頻繁に移動や片付けをする場合は「卓上型」を選ぶといいでしょう。
ちなみに折りたたみ型の電子ピアノもありますが、キーボードのように鍵盤が軽く、簡易的な作りのためピアノ練習には向いていません。
選び方② スピーカー数は4基以上、大きな音を出すならW数もチェック
Photo by iStock
アコースティックピアノと違い、電子ピアノはスピーカーから音が出ます。そのため、スピーカーの質や数も大切なポイントです。
電子ピアノのスピーカー数は2基がスタンダードで、高価なモデルほど4基、6基と多くなります。スピーカー数が増えることで立体的かつ繊細な響きを得られるため、できれば4基以上搭載しているものを選びたいところ。
さらに、大きな音を出して練習したい場合には、出力W数がより大きい機種を選ぶと、余裕を持って大きな音が出せます。家で大きな音を出せるシーンはそこまで多くないかもしれませんが、スピーカー数が同じ機種で迷ったらW数もチェックしてみてください。
ポイント解説
基本的にヘッドホンをつけて練習する方は、スピーカー数が少ない電子ピアノを選んでも問題はなく、そのぶん高性能なヘッドホンを購入することもひとつの手だと言えます。
選び方③ 樹脂製の鍵盤は比較的安価
Photo by iStock
鍵盤の材質は、大きく樹脂製と木製の2種類に分けられます。樹脂製鍵盤は、比較的安価な電子ピアノに搭載され、軽めのタッチである点が特徴です。
木製鍵盤はほどよい重さのあるタッチで、連打性にも優れているため、よりアコースティックピアノに近い弾き心地を再現できます。しかし、木製鍵盤を搭載した電子ピアノは、安くても15〜20万円ほど。樹脂製鍵盤と比べて非常に高価です。
一度買えば長く使用するものなので、本格的なピアノ上達を目指して練習するなら、最初から木製鍵盤の電子ピアノを買ったほうがいいと思いますが、「まずは手軽に楽しめる電子ピアノが欲しい」という方には樹脂製鍵盤の機種でも十分です。
ポイント解説
高価な電子ピアノの中には、木材と樹脂を組み合わせた「ハイブリッド鍵盤」を搭載した機種もあります。本格的なタッチを実現しつつも、耐久性を備えた作りが特長です。
選び方④ 象牙や黒檀調、鍵盤の加工にも注目
鍵盤表面には、象牙調仕上げ・黒檀調仕上げと呼ばれる加工が施されている場合があります。
昔のピアノの鍵盤の表面には、白鍵に象牙、黒鍵に黒檀が使用されていました。しかし現在は、象牙が使用できず、黒檀も非常に高価な材質のため、それらに近い手触りの象牙調仕上げ・黒檀調仕上げと呼ばれる加工が施されるようになったのです。
表面に適度なざらつきが生まれ、ほどよく汗を吸収してくれるので、演奏中に手汗をかいても安心。機能性・価格帯が似通ったモデルで迷った場合は、象牙調仕上げ・黒檀調仕上げが施された電子ピアノを選ぶのがおすすめです。
選び方⑤ Bluetooth対応なら音楽鑑賞やアプリの活用も
Photo by iStock
スマートフォンと電子ピアノをBluetooth接続することで、電子ピアノに搭載されているスピーカーで音楽鑑賞を楽しめる機種もあります。ピアノを弾かない時間も電子ピアノが有効活用できるため、「毎日は練習しない」という方はもちろん、ピアノを弾かない家族と暮らしている方にとってもありがたい機能と言えるでしょう。
練習時にも、Bluetooth機能は活躍します。対応しているアプリは機種によって異なりますが、Rolandのピアノ練習アプリ「Piano Every Day」を始め、Bluetooth接続対応の練習用アプリを利用できます。演奏を録音する機能やレッスンコースの搭載といった、練習に役立つ機能が満載です。
<編集部PICK UP>安い電子ピアノ、人気メーカーの売れ筋商品
Moovoo編集部
数ある電子ピアノの中でもECサイトなどで売れ行き好調な、人気メーカーの製品を紹介します。
- YAMAHA
-
ARIUS YDP-165R
- 税込み103,240円(楽天市場)
-
自然なタッチ感を実現
-
ヤマハ最高峰のコンサートグランドピアノ「CFX」をサンプリングしたモデル。低音部が重く、高音部が軽くなるといった音域によるタッチ感の違いを再現した「グレードハンマー3(GH3)鍵盤」を搭載しています。
低音域から高音域まで、色彩豊かな音色を響かせることができます。
楽器の背面には、音の通り道となる「トーンエスケープメント」を採用。メーカーによると、スピーカーから出る音をボディ内部にこもらせず、グランドピアノのような自然な音の響きを実現しているとのこと。
- 河合楽器
-
CN201A
- 税込み126,500円(楽天市場)
-
より良質な音を響かせる再生システムを搭載
-
音の響きまで考慮した高性能なスピーカーと、ノイズや歪みの少ない再生を可能にした再生システムを搭載。音源に忠実な音質を実現しています。
Bluetooth Audio 機能を搭載しており、スマートフォンやタブレットにダウンロードした音楽を電子ピアノのスピーカーで再生することが可能です。
ペダルの位置をアコースティックピアノと同じになるように設計されており、演奏会や発表会でアコースティックピアノを弾くときに違和感なく演奏できるのもポイントです。
外観 |
商品名 |
特長 |
サイズ |
重量 |
スピーカー |
鍵盤 |
---|---|---|---|---|---|---|
【筆者おすすめ】 KORG 電子ピアノ LP180 |
クラシックピアノ演奏の練習にぴったり |
幅136.5×奥行27.4×高さ78.1cm(スタンド、突起物含む) |
23.3kg(スタンド含む、ペダル・ユニット含まず) |
16×8cm(楕円形)×2 |
88鍵(A0〜C8)、ナチュラル・ウェイテッド・ハンマー・アクション鍵盤 |
|
【筆者おすすめ】 YAMAHA 電子ピアノ P-125 |
よりピアノらしい音場感を味わえる |
幅132.6×奥行29.5×高さ16.6cm |
11.8kg |
12cm×2+4cm×2 |
88鍵、グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤/黒鍵マット仕上げ |
|
【筆者おすすめ】 CASIO Privia PX-S1100 |
スリムなボディと洗練されたデザイン |
幅132.2×奥行23.2×高さ10.2cm |
11.2kg(本体のみ、電池含まず) |
16×8cm(楕円形)×2 |
88鍵、スマートスケーリングハンマーアクション鍵盤(表面仕上げ/白鍵:象牙調、黒鍵:黒檀調) |
|
【筆者おすすめ】 CASIO Privia PX-870 |
グランドピアノの響きを追求した音源 |
幅139.3×奥行29.9×高さ80.1cm(譜面立て、転倒防止金具等は含まず) |
34.3kg |
12cm×2+4cm×2(2WAY4スピーカー) |
88鍵、3センサースケーリングハンマーアクション鍵盤II(表面仕上げ/白鍵:象牙調、黒鍵:黒檀調) |
|
【筆者おすすめ】 KAWAI 電子ピアノ CA49 |
白鍵・黒鍵ともに木製、繊細なタッチ |
幅147×奥行71.5×高さ54.5cm |
80kg |
5cm×2(ツイーター)、13cm×2(ウーファー) |
88鍵、シーソー式木製鍵盤 |
|
YAMAHA ARIUS YDP-165R |
自然なタッチ感を実現 |
幅1,357×奥行422×高さ849mm |
42kg |
12cm×2 |
88鍵、グレードハンマー3(GH3)鍵盤、象牙調・黒檀調仕上げ |
|
YAMAHA P-125a |
コンパクトながらも本格的 |
幅1,326×奥行295×高さ166mm |
11.8kg |
12cm×2、4cm×2 |
88鍵、グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤、黒鍵マット仕上げ |
|
YAMAHA YDP-S35 |
スリム&フラットなデザイン |
幅1,353×奥行296×高さ792mm |
37kg |
12cm×2 |
88鍵、グレードハンマースタンダード(GHS)鍵盤、黒鍵マット仕上げ |
|
CASIO Privia PX-770 |
繊細さも力強さも演奏者の感性のままに表現 |
幅1,391×奥行299×高さ798mm |
31.5kg |
12cm×2 |
88鍵盤、3センサースケーリングハンマーアクション鍵盤Ⅱ |
|
CASIO CDP-S110 |
奥行き232mmのスリムボディ |
幅1,322×奥行232×高さ99mm |
10.5kg(本体のみ電池含まず) |
12cm×6cm(楕円形)×2 |
88鍵、スケーリングハンマーアクション鍵盤Ⅱ |
|
CASIO PX-S3100 |
自動伴奏などの多彩な機能で演奏をアシスト |
幅1,322×奥行232×高さ102mm |
11.4kg(本体のみ、電池含まず) |
16cm×8cm(楕円形)×2 |
88鍵、スマートスケーリングハンマーアクション鍵盤 |
|
KAWAI ES120 Filo |
グランドピアノの弾き心地を再現 |
幅130.5×奥行28×高さ15cm |
12.5kg |
12cm×2(フルレンジスピーカー) |
88鍵、レスポンシブ・ハンマー・アクション・スタンダード |
|
河合楽器 CN201A |
より良質な音を響かせる再生システムを搭載 |
幅136×奥行40.5×高さ86cm |
43kg |
12cm×2 |
レスポンシブ・ハンマー・アクションⅢ(RH Ⅲ)鍵盤 |
|
ローランド FP-10 |
多彩な機能で初心者から上級者までおすすめ |
幅1,284×奥行258×高さ140mm |
12.6kg |
12cm×2 |
88鍵、PHA-4スタンダード鍵盤、エスケープメント付き、象牙調 |
|
コルグ B2 |
多彩なピアノ音源を備えたモデル |
幅1,312×奥行336×高さ117mm |
11.4kg |
2 |
88鍵(A0 ~ C8)、NH鍵盤 |
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