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お寺のフェスを3D化? バーチャル世界で楽しめるMUSO Culture Festivalがかなり新感覚【動画コラム】

どうも、SAKIKO OSAWAです。
みなさまいかがお過ごしでしょうか?

まだまだ様々な場所に訪れることができない日々が続いてますね。
出かけられないからオンラインのコンサートやライブ配信をよく目にするようになり、
オンラインだからこそ、様々な場所で開催されているものをお家から見れる、というのがならではの楽しみ方になりつつありましたが、
映像でライブを見るというのも見慣れてしまい、やっぱり現地にいきたい!もっと体感したい!みたいな気持ちになっちゃうのが本音ではあります。

そんな中、わたしのオンラインイベントのマンネリ化から新しい気づきを与えてくれた、新感覚で楽しめるフェスティバルが2月末に開催されました。

MUSO Culture Festivalという静岡県沼津市にある禅宗寺・大中寺で行われたフェスティバルです。

本来は誘客を目的としたイベントの予定だったのが、緊急事態宣言をうけて無観客、オンラインイベントに変更されていました。(一部インスタレーションなどは現地で期間中に体験可能だったようです。)

まずお寺で開催されるフェスティバルというだけで、どんな感じなんだろう?という興味が湧いてきますが、
なんとMUSO Culture Festivalではお寺を3Dスキャンして作り上げた仮想空間内に、
実際に実施予定だったコンテンツが落とし込まれているんです。

MUSO Culture Festivalを作り上げたプロデューサーのみなさんと一緒にバーチャル大中寺「夢中空間」に入って、このフェスの面白いポイントを教えてもらいました。

700年の歴史ある大中寺

まずは大中寺副住職の下山光順さんにお寺ことを教えてもらいました。

大中寺は臨済宗妙心寺派のお寺でいわゆる禅宗のお寺。坐禅を通しての修行が中心となっています。御本尊として不動明王がお祀りされています。夢窓国師が約700年前に以前よりこの地にあった寺院を臨済宗と改めたところから、大中寺としての歴史が始まっています。

書院の奥に明治時代の木造建築である恩香殿とそこにかかる通玄橋があり、登録有形文化財になっています。

バーチャル大中寺の中に2ヶ所緑色のポイントがあるのですが、そこをクリックするとSaki Soudaさん、Natsumi Satoさんがそれぞれ窓に絵を描いている様子をタイムラプス動画で見ることができます。
お二人とも何日間もかけて、毎日朝から晩まで絵を描かれていたとのこと。キャンバスがガラス窓なのでバーチャル大中寺でも内側からも外側からもお寺の景色と共に見ることができます。

バーチャル空間に落とし込まれた体験

サウンドインスタレーションとMatterportを使用した3D空間の企画を担当されたepigram inc.の玉井裕規さんからはバーチャル大中寺「夢中空間」の見所を教えてもらいました。
裏庭に入ると夜の大中寺になるんです。

先ほどの窓に描かれた絵も夜のお庭から見るとまた違った趣があります。
お庭には素敵なライティングがほどこされており、夜の竹林や梅園に入っていくことができます。

このお庭には、スピーカーを16台使用したYosi Horikawaさんによるサウンドインスタレーションをイベントのために設置しました。各スピーカーからは全て異なる音が流れているので、その場を訪れたタイミングによって、流れる音のアンサンブルは変わってきます。
更にお庭では葉がゆれる音や流れる川の音、鳥の鳴き声、遠くから聞こえる新幹線の音などの環境音も聴こえてくるので、それらの組み合わせは二度と同じになることはなく、たまたま聴けた音、その時一回性の体験を楽しむインスタレーションになっていたとのこと。
現在もウェブサイトでは、バーチャル大中寺のBGMとしてこのサウンドインスタレーションの音を聞くことができるのですが、音を制作したYosiさんが実際にこのお庭を歩いて、バイノーラルマイクを使用して収録された音を聴くことができます。
Yosiさんの足音なども含まれていて、ご本人が体験したお庭のインスタレーションを、イヤホンで聴くと立体的に感じることができます。

こういったインスタレーションの体験ををアーカイブすることは通常不可能だと思われている中、このような形で再現することに挑戦できたことで、オンライン上での作品アーカイブという新しい方法を発見できたとのこと。

お寺の1日の流れに寄り添ったライブ

MUSIC LIVEを企画したclubberiaの高田恭男さんにライブについてを教えてもらいました。

メインのステージとして本堂をつかってMUSIC LIVEを行いました。収録したライブの映像自体は2/20にライブ配信をしました。アーカイブのライブ映像を現在公開しています。DJ KRUSHさん、ermhoiさんは本堂で、Yosi Horikawaさんにはサウンドインスタレーションを設置した場所にある恩香殿でライブをしていただきました。

お昼のタイミングにermhoiさんのライブを行いました。

本堂に光が入ってくるタイミングなど緻密に演出チームと考えて、この場所ならではの効果を取り入れることができました。ライブしている背景には、窓に描かれた絵もみることができます。プロの映像集団があつまったので、ライブの映像からは見れないですが、すごい量のカメラやレールが本堂には設置されていたとのこと。

夕陽が落ちてゆくタイミングに合わせて行われたYosi Horikawaさんのライブ。

恩香殿で、サウンドインスタレーションのための音楽を作曲したお庭に向かって、座ってライブをしてもらいました。坐禅をしているかのような雰囲気も感じられます。
MUSIC LIVEの最後に、夜の本堂でDJ KRUSHさんのDJ。

本来集客を想定していたときは御本尊をバックにプレイする予定だったのが無観客になり、正面から対峙してプレイをしてもらうことにしました。無観客になったからこそのアイデアだったとのこと。そして御本尊と対峙してプレイしているDJ KRUSHさんの姿から、音楽を奉納されているかのような雰囲気も感じられました。

当初はアフターパーティーをお寺の近隣の施設で開催する予定でしたが、できなくなってしまったので、参加予定だったDJによる”For Meditation”というテーマのDJMIXを作ってもらいました。soundcloudで聴くことができます。

参加アーティスト全員にそれぞれの解釈でも”禅”というイメージがちゃんとあったので、全てがまとまっていったという奇跡を感じたとのこと。
ライブとDJMIX合わせたら10時間以上もあり、すごいボリューム感です。

座禅×音楽の新しい試み

イベント期間にオンライン坐禅を行った様子がMUSO Culture FestivalのInstagramでみることができます。

窓を開き、お庭のインスタレーションの音を聞きながら坐禅をするという、新しい試みだったとのこと。
坐禅は”座っている”ということに集中する、という意図があるらしいですが、音を聞きながら坐禅をすると、音を聴いている自分に集中ができ、いい効果が得られたようです。これはいつかぜひやってみたい!
こちらのオンライン坐禅は大中寺の副住職も参加している、Flying Monkのキュレーションで行われました。
https://flyingmonk.jp

最後にMUSO Culture Festivalからみなさんが感じたことをお伺いしてみました。

下山光順 (大中寺・副住職)
高校から大学までイギリスで留学生活を送った後に帰国。
臨済宗の専門道場にて修行し、大中寺の副住職となり現在に至る。
タイのバンコクの寺院にて、上座部仏教の禅僧として出家得度も経験している。


「写真ではお寺の全体を伝えることはできないですが、3Dではみていただくことができます。お寺の中もお庭も、昼と夜も、いろんな視点で楽しんでいただけるものができました。本堂も本当に綺麗に撮影してもらえたので、細部までみて楽しんでもらいたいです。
普段は大中寺で生活しているので、バーチャル大中寺に入ると2月の景色のまま時が止まっていて、現在の大中寺とは違う景色で、ちょっと不思議な感覚になりますね。それだけ3D空間がリアルに再現されているということだと思います。
映像で撮ったとしても、写真で撮ったとしても、実際に体験できるものとの違いはあるので現実世界の大切さみたいなところに改めて気づけた部分もあります。
アーティストがお寺によせて、お寺がアーティストによせて、一つの作品として出来上がったと感じでいます。単純に珍しい場所で行ったイベント、というものではなく、音楽と空間が調和するとここまで昇華されるのかと、自分でも驚いています。」

玉井裕規 ( MusoCultureFestival プロデューサー / epigram inc.)
音楽やアートを軸とした文化事業やコミュニケーションのプロデュースを行うepigram inc. の代表。近年は地方の文化資源を活用した事業を多数手掛けている。


「このイベントは観光庁の新しい観光コンテンツ開発事業として始まりました。
観光寺ではない大中寺に一定期間人がきて楽しめるコンテンツを落とし込む予定でしたが、それができない状況になってしまい、イベントの一回性みたいなところから、何度でも体験できるものに切り替えたことで、本来限られた人しか体験できなかったものが、アクセスできる人数を増やすことができました。日本だけではなく海外からもみていただけるものになりました。
イベントの企画からはじまりましたが、イベントというだけのものではなくなっていましたね。オンラインコンテンツを作ることとしても、観光の価値としても、全然違うものが提示できました。そういったトライアルとして面白い挑戦だったので、関わったメンバーには今後に繋がる良い経験値として残っているんじゃないかなと思います。」

高田恭男 ( MusoCultureFestival プロデューサー / clubberia)
2000年にスタートした、ダンス・エレクトロニックミュージックのフェスやイベント、音楽を紹介する老舗WEBポータルサイト「clubberia」を運営する株式会社クラベリアの代表。そのほかに、WEBメディアのプロデュースや様々なイベントやフェスティバルなどの制作やPRを手掛けている。


「参加したチームみんなでやりたいことをアイデアを出して作り上げることができました。
今回お寺で開催するということもあり、海外の方には特にみていただきたかったので、お寺ならではのコンセプトでライブ映像も作りました。
フェスが終わったから終わりではなく、いろんな人にいろんな時間、いろんな角度からアプローチしてもらえるものになったと思います。
イベントが作品にもなっているし、ガイドマップにもなっているし、1つのパッケージとして作ることができました。
日本各地で他の場所でもこのような形で表現できるんじゃないかと、方法をみつけた気がします。」

みなさんのお話を聞いて、更に深くMUSO Culture Festivalを楽しんだ感じがしました。本当にフェスの域を超えたものだな、と。
リアルイベントで観客としてみていると、見れるもの、体験できる時間は限られてしまうので(そういったところがリアルイベントの醍醐味ではありますが)、
その時を切り取ってアーカイブされたフェスを、1回で終わりじゃなく何度も遊びに行けるものとして、新しい感覚で楽しむことができました。
そしてリアル大中寺に行きたくなっちゃいましたね。
3D空間には2月の大中寺が残っていますが、今はどんな景色なのかな?とか考えちゃいます。遊びに行けるような時がきたら、またサウンドインスタレーションをやってもらいたいですね!その時に聴こえる音はどんな感じなんだろう。

MUSO Culture Festivalの各コンテンツは下記からご覧いただけます。
是非みなさんもこちらの記事を読みながらバーチャル大中寺「夢中空間」やMUSIC LIVE、DJMIXなど、
何度でも2021年2月のMUSO Culture Festivalを楽しんでいただきたいです!
https://muso-festival.com/

動画ライター : SAKIKO OSAWA


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