土鍋ご飯を美味しく炊く方法【失敗しない実践レビューつき】おすすめ土鍋も!
電気炊飯器ではなく土鍋でご飯を炊いてみたい。そう思ったことはありませんか? 同じお米でも炊飯器で炊いたご飯と土鍋ご飯では味が全く違います。
本稿では、美味しい土鍋ご飯の炊き方と失敗しないコツ、そしておすすめの土鍋を紹介します。
土鍋ご飯が美味しい理由
炊飯器を使うよりも土鍋でご飯を炊いたほうが美味しい。これは個人の感想にとどまらず、多くの人が同意してくれるかと思います。少なくとも筆者が使っている安い炊飯器と比べれば、土鍋ご飯の方が明らかに米にツヤがあってモチモチしていますし、甘く感じます。
その秘密は、米に含まれるデンプンと、その分解酵素であるαアミラーゼにあります。αアミラーゼは、デンプンを加水分解してオリゴ糖やデキストリンを作ります。これによって米の甘さが生じるのです。
そして、αアミラーゼは温度帯によって発揮される能力に違いが生じます。最も活発に働くのは65℃~75℃ですが、急激に加熱されると適正温度を通り越してしまうので能力を失います。
以上のメカニズムを押さえておくと、土鍋ご飯が美味しい理由もわかります。
炊飯器と土鍋は、加熱特性に違いがあります。
炊飯器は薄い金属の釜を電気で加熱するので、熱の反応が良く、急激に釜の温度が上昇します。一方、分厚い土鍋はガスや焚火で熱すると、少しずつ温度が上昇します。これにより、αアミラーゼの活動に違いが生じ、米の味に反映されるのです。
実際、高級炊飯器は内釜に炭(カーボン)を使ったり、分厚くしたり、あえて加熱ムラを作って釜の中で熱を対流をさせたりと、加熱効率を悪くして直火炊きを再現する方向に向かっています。
炊飯器は、電気という縛りがあるのでハイテクでローテクを再現しているのです。
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しかし、そのような手間をかけなくても、土鍋を使えば簡単に美味しいご飯が炊けます。熱反応や蓄熱性の計算をする必要もありません。さすがにスイッチを入れるだけというわけにはいきませんが、決して難しいことではないのです。
下記の手順に従って挑戦してみてください。
土鍋ご飯の美味しい炊き方【実践レビュー】
まずは米を研ぎましょう。直接土鍋を使うと重くて取り回しが悪く、水切りしずらいのでボールが便利です。また、栄養補助と食感向上にもち麦を混ぜると、旅館のようなもちもちとしたご飯になります。
米を研いだら、30分から1時間ほど水に浸してください。米に水がしみわたることで、αアミラーゼの働きが良くなります。なお玄米を炊く場合は、5時間ほど浸水時間を確保してください。玄米を浸水なしで炊くと、硬いパサパサご飯になってしまいます。
なお土鍋ご飯の水加減は、下記の通りです。お菓子作りと違って分量に「幅」があるので、必要以上に神経質にならなくても大丈夫です。
- 米1合 200~250cc
- 米2合 450~500cc
- 米3合 650~700cc
- 米4号 850~900cc
- 米5号 1,000cc~1050cc
十分に水に浸したら、土鍋の蓋を閉じて中火で沸騰させます。沸騰し始めると、蓋の穴から蒸気が立ち上がるのですぐにわかるでしょう。土鍋が小さいと吹きこぼれるので、火が消えないよう気を付けてください。沸騰し始めたら弱火に落として、15分程度加熱してください。
時々蓋を開けてみて、水がなくなったら土鍋ご飯の出来上がりです。あとは蓋を閉じて10分程度蒸らし時間をおいてから食べましょう。
この手順を守れば、まず失敗することはありません。特に火力の調整が出来るガスコンロがあれば、誰でも簡単に炊飯可能です。
キャンプ場など屋外だと薪や炭の配置で火を調整するのが少し面倒ですが、それでもご飯が炊けなかった、というケースはまずないかと思います。
土鍋や飯盒だけでなく、蓋さえあれば片手鍋でもご飯は炊けるものです。
よくある失敗と対処方法
土鍋ご飯の失敗は下記のとおりです。原因と対処法をご覧ください。
芯が残ってしまった
原因は、加熱不足にあります。頻繁に蓋を開けて確認しすぎたとか、火力が弱すぎたせいです。芯が残るご飯をリカバリーするにはいくつか方法があります。
電子レンジで温め直すか、炊飯器で保温しつづければやがて中まで加熱されます。土鍋にいれたまま温め直してもいいですが、焦がさないよう火加減に注意してください。
またいっそのこと別の料理に生まれ変わらせるという選択肢もあります。炒めてチャーハンやピラフにしたり、加水しておかゆや雑炊にするのもおすすめです。
水っぽくなってしまった
水の量が多すぎると、おかゆになってしまいます。芯があるご飯のケースと違って、おかゆをご飯に戻すことはできません。広い皿に移してラップをかけずにレンジで加熱すれば多少は水分を飛ばせますが、あくまでも程度問題です。どろどろにとろけたおかゆはリカバリーできないのです。
水っぽいご飯はいっそ更に水と具材を足して、雑炊にしてしまいましょう。
焦げてしまった
これも程度問題です。土鍋ご飯は、多かれ少なかれ底面が焦げるものです。多少の焦げであれば香ばしい「おこげ」として美味しく食べられますが、完全に火を止め忘れてしまったケースでは、ご飯全体がカチカチに焦げ付いてしまいます。
こうなってしまったらもう食べられません。水を入れてもリカバリー不能です。固まったご飯を削ぎ落してからお湯を入れて沸騰させましょう。土鍋にこびりついた焦げをとって作り直すしかありません。
土鍋の選び方
土鍋選びで最も重要なのはサイズです。一人暮らしだからと「ひとり用」「6号」と記載してある土鍋を買うと、まず間違いなく後悔します。
これは筆者の実体験からですが、ひとり用の鍋では満足に料理できないのです。具材はそれなりに入りますが、すぐに吹きこぼれてしまうので実用性に欠けると言わざるを得ません。
6号の鍋では、1合炊くのが精一杯です。
一人でも8号以上がおすすめ
例えひとり用の料理をするにしても、3~4人用の土鍋を選んでください。サイズ表記だと8号以上がおすすめです。このサイズなら、ご飯を炊くだけでなく鍋パーティも出来ます。
土鍋に関しては大は小を兼ねるという文言がぴったりあてはまります。多少場所を取りますが、大きめのサイズを購入しましょう。
ちなみに鍋のサイズを表す号数は一寸をもとにしているので、直径は「号数×約3cm」で計算できます。つまり8号なら直径約24cmということです。
底の深さも確認を
ただし底の深さには規定がないので、メーカーによって鍋の容量が異なります。大きくても浅い鍋だと吹きこぼれやすくなるので注意しましょう。
ガス火用かIH対応か
またガス火用の土鍋は、IHで使えません。鍋が金属ではないのでIHクッキングヒーターが反応しないのです。オール電化キッチンの方は、カセットコンロを使うかIH対応の土鍋を使ってください。
おすすめの土鍋10選
炊飯に向いた土鍋は下記のとおりです。安心素材で吹きこぼれせず、長く使える製品を選びました。
また、土鍋の一種としてごはん鍋もおすすめです。これは底が深いのでみんなで鍋をつつくのには向きませんが、吹きこぼれしずらいので土鍋炊飯に特化しています。
1つ目は、信楽焼の土鍋です。信楽焼というと狸の置物のイメージが強いですが、日本六古窯の一つに数えられており、昔から愛されてきました。直径29cmで蓋ががっしりしているので吹きこぼれづらいです。オーソドックな安心して長く使える土鍋です。
2つ目は、三重県名産の萬古焼の土鍋です。萬古焼は葉長石(ペタライト)を使っているため、蓄熱性が高いという特徴があります。鍋料理をするのにも、ご飯を炊くのにも適した性質だと言えます。
釉薬に鉛やカドミウムといった体に害のある原料を使っていないので安心です。
3つ目は、趣向を変えてHARIO(ハリオ)の土鍋です。HARIOというとコーヒー関連の器具で有名ですが、土鍋をはじめとして様々な調理器具も作っています。
本製品は正式名称がそのまま「フタがガラスの土鍋」なのでスペックについては一切説明不要だといえるでしょう。料理の出来具合が気になる人におすすめです。
4つ目は、キッチン用品で有名なパール金属の土鍋です。有名ブランドにもかかわらず、8号で2,000円を切るという超ロープライスなので求めやすいです。
ただし本稿作成時の公式サイトからは姿を消しているので、市場にあるだけだと思われます。名前の通り吹きこぼれないよう高さがあるつくりになっています。
5つ目は、丸利玉樹利喜蔵商店のブランド、TAMAKIからコーナーという土鍋です。号数ではなくLサイズと記載されていますが、直径27cmでやや浅めのつくりなので吹きこぼれに注意してください。
同社は複数のブランドを持ち、様々な顧客に向けた商品づくりをしています。コーナーは洋風料理に合う土鍋というコンセプトです。自宅が洋風のキッチンなので土鍋が似合わない、という人におすすめです。
マットなシルエットからは想像しずらいですが、こちらは萬古焼の土鍋です。セラミックコーティングされているので、直火とIHの両方で使えるので便利です。
土鍋をIHで使うには金属版を底に敷く方法がありますが、こちらは内蔵しているのでオプションを使う必要はありません。IH対応キッチンでも安心して使えます。
引き続き、直火・IH両対応の土鍋を紹介します。キントーのKAKOMI(カコミ)シリーズはIH用の発熱体を多重構造にしており、熱のムラが出ないようにしています。また吸水率が低く、匂い移りしづらい仕様になっています。
デザイン性と機能性に優れているので利用シーンを選びません。どこでも安心して使えるでしょう。
こちらは、ご飯を炊くのに特化した土鍋です。分厚いので蓄熱性が高く、底が深いので吹きこぼれしずらく、蓋が高いので蒸らすのに向いています。直火専用なのでIHは使えませんが、公式ページではかまどさん専用の分量レシピが掲載されています。
メーカーが推奨する最高のコンディションで土鍋ご飯を作りたい人にはおすすめです。
引き続き、炊飯に特化した土鍋です。こちらは銀峯陶器の製品で内部に目盛りがついているので、簡単に水加減ができます。
またシンプルなデザインなため、チキンのトマト煮込みなど洋風料理にもマッチします。直径サイズが小さめで、底が深いのでみんなで鍋をつつくのには向いていませんが、調理器具としては活用しがいがある一品です。
直火・オーブン・電子レンジ使用可能。料理の加熱などに電子レンジを使用できますが、電子レンジでの炊飯はできません。
最後に紹介するのが、万古焼の炊飯土鍋です。形状的にも鍋料理ではなく炊飯に特化しており、中蓋つきで4合まで炊くことができます。写真では大きく見えますが、直径は19.8cmしかなく、非常にコンパクト。容量を深さでカバーしているため、吹きこぼれしない形状になっています。
家族で土鍋ご飯を楽しみたい方におすすめの一品です。
まとめ
以上、土鍋ご飯を美味しく炊く方法について紹介しました。手順を分解しているので一見すると面倒に思えますが、一度やればすぐにマスターできます。
実のところ、火加減や炊飯時間を厳密に測定せずに雑に料理してもOKなのです。沸騰したら弱火にして水がなくなるまで加熱する、極端に説明を省くとこれだけです。
また、土鍋は活用範囲が広い調理器具です。各種鍋料理にも使えるので一人暮らしでも一家に1つは持っておくと便利です。
まずは1つ手に入れて試してみてはいかがでしょうか?ご飯の美味しさに驚くでしょう。
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