ナツメグの効果と使い方!適正量や代わりになる調味料を解説
ナツメグといえば、ハンバーグのレシピによく登場するスパイス。
実は身近なもので代用可能なことや、大量摂取には危険があることをご存じですか?記事では、ナツメグの料理への使い方やレシピの他、毒性と適正量について詳しく解説しています。
目次
ナツメグの効果とは?
ナツメグ(英語名:nutmeg)は、世界四大スパイスのひとつで、木の種を乾燥させて作る香辛料です。
特にハンバーグなどのひき肉料理との相性が良く、主に臭み消しの効果があります。独特の甘い香りが特徴で、デザートの風味付けやスープ、ドリンクなど、使い道は多岐にわたります。
日本のスーパーなどで売られている市販品はパウダーの状態であることが多いですが、ナツメグホールという実のままのものをすりおろして使うこともできます。
世界中で様々な料理に使われているナツメグは、正しい使い方をすればいつものメニューをワンランクアップさせてくれる優秀な調味料になるのです。
ナツメグの色々な使い方
色々な料理に使えるナツメグですが、なかでも特に相性が良いおすすめの使い方をご紹介します。
ナツメグといえばハンバーグ!
ナツメグを使う料理といったら、まずハンバーグは欠かせません!タネにナツメグを加えることでひき肉の臭みを消して旨みを引き出す効果があります。加熱をすることでナツメグ自体の香りも緩和され、本格ハンバーグの味になるのです。
基本的にひき肉料理とは高相性なので、ハンバーグ以外にもコロッケやロールキャベツ、ミートローフ、キーマカレーなどに加えるのもおすすめ。肉料理にかけるグレイビーソースなどに使われることもあります。
乳製品との相性も◎!
意外と相性が良いのがナツメグと乳製品です。牛乳やバター、生クリームなど乳製品独特の臭みをやわらげ、まろやかにしてくれる効果があります。
クリームシチューやポタージュスープ、グラタンのベシャメルソースなどにナツメグを加えるだけでグッと本格的な味に仕上がるので、ぜひ試してみてください。
クッキーや焼き菓子のスパイスに!
ナツメグは、クッキーやケーキなどの焼き菓子にもよく使われます。スパイシーなイメージのナツメグですが、加熱すると独特の甘い芳香が際立ち香ばしい風味になります。
焼き菓子にナツメグを使う場合はお好みでシナモンやジンジャーも一緒に加えるのがおすすめ。なかにはナツメグを使ったジンジャーブレッドのレシピなどもあります。
甘いだけじゃない、ちょっと大人味のパンやお菓子を作りたいときには重宝することでしょう。
様々なスパイス・調味料を扱うマスコットのナツメグパウダー。キッチンに並べておきたくなるおしゃれな瓶入りです。
プロ向けスパイス・調味料を展開しているGABANのナツメグパウダー。100gの大容量なので、色々な料理に使いたい方にはぴったり。
ナツメグの食べ過ぎで死亡することがある?
ナツメグは便利なスパイスですが、実は毒性があります。大量摂取すると中毒症状を引き起こす恐れがあるので、くれぐれも適正量を守って使うようにしてください。
毒性と大量摂取で起こりうる症状
ナツメグの食べ過ぎによって起こる中毒症状は、非合法のドラッグを使用したときとよく似ているといわれます。
これらの症状は通常24時間以内に回復するといわれていますが、人によっては2~3日続くこともあるということ。
実際の事例では、過去に「ナツメグ2個で8歳の男の子が接種後24時間で死亡」した例があります。(※ナツメグ1つ約5g)
このように、幻覚作用や呼吸困難のみならず、摂取量が多すぎて死亡してしまった例もあるのです。
ちなみに、ナッツ類ではないのでナッツアレルギーの心配はありませんが、初めてナツメグを食べるという方はナツメグのアレルギーにも注意するようにしましょう。
ナツメグの味や香り、適正摂取量を実演解説!
大量摂取すると危険ですが、適正な摂取量を守っていればナツメグを食べること自体に問題はありません。
では、どのくらいの量ならば食べても良いのでしょう?
ここからは、ナツメグパウダーの味や香りの感想に加え、適正量・中毒量・致死量がどのくらいになるのか実際に測ってみたレポートをご紹介します。
今回使用したのは、S&B食品さんの「ナツメッグ」です。
少量ボトル&ワンコインで手に入れやすい、S&Bスマートスパイスシリーズのナツメグパウダーです。
ナツメグの香り・味
まずはナツメグの香りを嗅いでみました。
…なんともいえないエキゾチックな香りですね。シナモンやターメリックなどに似ているわけでもありません。甘い中にもほんの少しスパイシーさがある、独特の香りです。
よく、アジアン雑貨などが売っているお店に入ると甘いお香のような香りがすることがありますが、しいていえばあんな感じを想像していただければ良いかと思います。
ほんの少しだけ手に取ってそのまま舐めてみましたが、味は全く感じませんでした。
ちなみに、ナツメグパウダーの賞味期限は2022年の4月まで。購入は2020年の7月だったので意外と持つなという印象です。
ナツメグの適正摂取量の目安
ナツメグの標準的な使用量は、肉1kgに対して0.2g程度といわれます。
この記事の最後にもナツメグを使用したレシピをご紹介していますが、レシピの調査中に最もよく出てきた分量は「ナツメグ少々」というものでした。
「少々」とは、どの程度の分量のことをいうのか常々疑問だった方も多いのではないでしょうか?
親指、人差し指の2本の指でつまむ事を「少々」(小さじ1/16) と言います。親指、ひとさし指、中指の3本の指でつまむ事を「ひとつまみ」(小さじ1/8)と言います。
こちらのレシピサイトに書かれていた、少々とひとつまみの分量を実際に測ってみました。
「ナツメグ少々」の分量
親指と人差し指の2本でつまんだ「ナツメグ少々」
親指と人差し指の2本でつまんだ「ナツメグ少々」の量はこのぐらい。思ったよりも少ないなという印象でした。
測りでグラムを測ろうとしましたが、0.5g以下のため計測はできませんでした。
ちなみに、今回使用したようなボトル入りのナツメグパウダーの場合、このように一度器にあけないと指でつまむことができません。しかし今後ナツメグを使うたびにいちいち開けて測ってから戻すというのは面倒です。
そこで何振り程度なら同じくらいの分量になるかと思い試したところ、目測ですがおおよそ2振り程度で「少々」と同量になりました。
「ナツメグひとつまみ」の分量
続いて、親指と人差し指と中指の3本でつまんだ「ナツメグひとつまみ」の量を測ってみました。そんなに変わらないのでは?と思いきや、先ほどに比べると結構ドサッと掴むことができます。
測ってみると、ナツメグひとつまみはギリギリ0.5gと表示されました。
先ほどと同様に何振り程度だと同じ分量になるのかも測ってみます。0.5gを目指して振っていくと、16振りしてやっと0.5gに到達しました。
やはり「少々」と「ひとつまみ」では意外と分量に差があるようですね!
※分量は手の大きさやつまみ方によっても異なります。結果はあくまで参考程度にしていただくようお願いいたします。
ナツメグの中毒量と致死量の目安
通常は一度の料理で0.5gも使用しないことが判明したナツメグですが、どの程度の量を摂取すると中毒症状を引き起こすのでしょう?
公益財団法人「日本中毒情報センター」によると、ナツメグによって中毒症状が出る量は、・中毒量 :ナツメグ5g~15g(茶さじ9杯/日で中毒症状の報告あり)・最小致死量:ナツメグ2個
こちらに記載があるように、ナツメグの中毒症状が出るボーダーラインは5g以上といわれています。
ナツメグパウダー5gを、実際に測ってみるとこのぐらいです。「ひとつまみ」の約10倍ですね。この量のナツメグを食べてしまうと幻覚などを引き起こす恐れがあります。
最小致死量に関してはナツメグ(ホール)2個ということですが、1個あたり約5gなので10g以上が致死量と考えて良いでしょう。
ちなみに、今回使用したナツメグパウダーの場合は一瓶全て空けても9g(メーカー表記は8.3g)しかありません。
よっぽどのことがない限りナツメグ一瓶まるまるハンバーグに入れるなんてことは起こらないかと思いますが…
過去には日本でも、15g入りのナツメグを一瓶全てハヤシライスに入れて、鍋の半分程度おかわりをした結果救急車で運ばれたという例があります。ナツメグを料理に入れる際には、決して入れすぎないようにしてくださいね。
ナツメグの効能
ナツメグは料理のスパイスとして使われる以外にも、古くから漢方として使われてきた生薬の一種でもあります。
その効能は様々ですが、主に消化器系疾患の治療や鎮静効果があるとされ、インドでは整腸剤として効果を発揮していました。日本でも芳香性健胃薬(芳香で胃の機能を助ける生薬のこと)として古くから親しまれています。
また、近年ではナツメグの肝臓への効果も期待されています。中国の研究者の報告によると、マウスによる実験ではナツメグに含まれる成分が肝臓を損傷から保護する働きが認められたといいます。
ナツメグの毒性ばかりが取り上げられることがありますが、大量摂取すれば体に良くないというのは他の調味料にもいえること。摂取量を守れば、ナツメグは体に良い効果・効能を発揮してくれるスパイスだということもぜひ覚えておいてくださいね!
ナツメグは代用できる?
ナツメグは色々な料理に多用できるといっても、ハンバーグぐらいにしか使わない方にとってはわざわざ購入するのももったいないと思ってしまうかもしれません。
ナツメグ自体はほとんど味がしないので、臭み取りや風味付けの効果を果たしてくれるスパイスや調味料であれば代用も可能です。
ハンバーグに入れる代用品として使うのであれば、セージやローズマリーなどのハーブもおすすめ。ショウガやにんにくのすりおろしもナツメグの代用品としてよく名前が挙がりますが、風味の主張が強いので好みが分かれるかと思います。
液体でもよければ、料理酒やワインなどもナツメグの代わりに使えるでしょう。肉の臭みを消してコクを出してくれる効果があります。
オールスパイスは、シナモンとナツメグにクローブを混ぜたような香りが特徴的なスパイス。ナツメグと同じように肉料理の臭み消しに使えるほか、アップルパイの香味付けにもおすすめです。
こちらはオーガニックのセイロンシナモンパウダー。甘くて独特の芳香がするシナモンは、お菓子やパン作り、カプチーノやチャイなどのドリンク、煮込み料理など、色々なシーンで使いやすい人気のスパイスです。
ナツメグを使った絶品レシピ
最後に、ナツメグを使ったハンバーグ以外の絶品レシピをまとめました。ナツメグ好きの方も、ハンバーグ用に買ったはいいけど余って困っているという方も、ぜひ参考にしてみてくださいね。
① 失敗しない!トマト味のロールキャベツ
作り方
① キャベツの葉を熱湯で茹で、軸の固い部分はそぎ落とし細かく刻んでタネに加える
② 玉ねぎはみじん切りにし、少々のサラダ油で炒めて冷ましておく
③ ボウルにタネの材料と、①で刻んだキャベツの軸を入れてよく混ぜ合わせ、8等分の俵型に成形する
④ キャベツの葉の水気をよく拭いて広げ、茶こしなどで小麦粉を薄く振るいかける
⑤ ④にタネを乗せて巻き、巻き終わりを楊枝で止める
⑥ 鍋に巻き終わりを下にして並べ、ローリエ、固形スープ、水を加える
⑦ 落とし蓋をした上から鍋の蓋をして、煮立ってから中火で10分煮る
⑧ 合わせ調味料を加え、さらに煮立ってから12~15分煮る
⑨ バターを加えロールキャベツに楊枝を抜き、器に盛り付けてドライパセリを散らす
コトコトじっくり煮込むトマト味のロールキャベツレシピ。キャベツとお肉の甘みを感じられる優しい味わいです。合わせ調味料とタネの両方にナツメグが使われています。
② 簡単うまうま!キーマカレー
作り方
① 玉ねぎ、にんじんはみじん切りにし、フライパンで炒める
② ①に合いびき肉と★を加え炒める
③ ②に大豆水煮とトマト缶(汁ごと)を入れ、トマト缶の空き缶半分の量の水を入れて10分ほど煮込む
④ いったん火を止め、ルーを割入れて溶かす
⑤ 再び火をつけて少し煮込む
トマト缶とひき肉で作るキーマカレーのレシピ。炒めるときに加えたナツメグがひき肉の旨みを引き出してくれます。隠し味にウスターソースや赤ワインを入れても美味しいということ。
③ ごぼうと鶏肉のナツメッグ風味きんぴら
作り方
① ごぼうを切り、水に入れてアク抜きしておく
② フライパンにゴマ油をひき、鶏ひき肉を軽く炒めてからごぼうとナツメグを加え炒める
③ ②に砂糖、しょうゆで味付けしてよく混ぜる
珍しいナツメグ入りのきんぴらレシピ。ナツメグは最後ではなく必ず炒めるときに入れるのがポイントです。定番料理のきんぴらごぼうが一味違った美味しさに!
④ ほうれん草とベーコンのキッシュ
作り方
① オーブンを200℃で予熱しておく
② ベーコンは1cm角に、ほうれん草は4cmの長さに切り、玉ねぎは薄切りにする
③ フライパンに油を熱し、ベーコン、玉ねぎ、ほうれん草の順に加えて炒め、塩・こしょうで味を調えて冷ましておく
④ ボウルに★を混ぜ合わせ、冷めた③を入れさらに混ぜ合わせる
⑤ 耐熱容器(15cm×15cm)に④を入れ、200℃のオーブンで15分焼く
タルト生地なしで作れる、ナツメグ入り簡単キッシュのレシピ。お好みで具材を変えてアレンジするのも良いですね。
⑤ナツメグと紅茶のクッキー
作り方
① バターをボウルに入れクリーム状に練り、砂糖を数回に分けて加え混ぜる
② 卵を数回に分けて加えながら混ぜる
③ ふるった薄力粉を加え、切るように混ぜる
④ 半分に分け、それぞれ紅茶とナツメグを加え混ぜる
⑤ それぞれの記事をラップではさみ、めん棒で伸ばしてから冷蔵庫に10分入れて休ませる
⑥ 好きな型で抜き、170℃のオーブンで15分焼く
スパイスやハーブの専門店が紹介するナツメグのクッキー。ナツメグの甘い香りが食欲をそそる簡単おやつです。
⑥ 簡単!ナツメグのリッチな香りがするスパイスケーキ
作り方
① ドライいちじくとくるみは粗みじん切りにし、型にクッキングシートを敷いてオーブンは170℃に予熱しておく
② ボウルにAを入れ泡だて器でよく混ぜる
③ Bを加えさらによく混ぜ、粗みじんに切ったCを加え混ぜる
④ 型に流し入れ170℃のオーブンで約25分焼く
シナモン、ナツメグ、ショウガが入ったスパイシーなケーキのレシピ。甘さ控えめなので、甘めが好きな方は砂糖をプラスするか、ホイップクリームなどを添えていただきましょう。
⑦ ナツメッグチャイ
作り方
① ポットや小鍋に牛乳を温め、紅茶、砂糖、ナツメッグを加え、蓋をして3~4分蒸らす
② 茶こしで濾しながらカップに注ぐ
S&B食品が提案するナツメグを使ったチャイのレシピ。チャイといえばカルダモンやクローブなどのスパイスが定番ですが、ナツメグでも美味しく作ることができます。お好みでシナモンやショウガを足しても◎!
まとめ
ナツメグの料理への使い方や効果、毒性や中毒量などをまとめてご紹介しました。摂取量を誤ると恐ろしい危険がありますが、漢方にも使われるほど身体に良い効能ももたらしてくれるナツメグ。ぜひ、記事を参考に正しく使用して、いつもの料理をワンランクアップさせてみてくださいね。
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