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思わぬ形で急速に進んだリモートワーク。bouncyではさまざまな会社に「今」をインタビュー、リモートワークの未来を、視点から全4回に渡って考えていく。
最後のテーマは「リモートワークで注目されたもの」
取材したのは、爆発的に知名度をあげたWeb会議ツールのZoom。会議の使用だけでなく、外出自粛の影響で「Zoom飲み」が話題になるほど知名度をあげ、一気に身近な存在になった人も多いのではないだろうか。
ZVC Japan株式会社(Zoom)カントリーゼネラルマネージャー 、佐賀文宣さんにZoomの需要増加の状況や、正しい付き合い方を聞いてみた。
ー緊急事態宣言前後の変化は?
グローバルな数字だけなのですが、去年の12月、1日のミーティング者数が1000万人の参加者だったのが、一月に1100万、と一月に100万人増えていくペースでした。
ですが二月になると一気に1700万人になり、三月に2億人の参加に、4月に4億人の規模になっており、アクセス参加者数的にはグローバルで20倍くらいになっています。
日本も同じくらいな感じです。オリンピックが来る前に導入を検討していたり、働き方改革の流れで導入するようにしていたのですが、それが半年ほどボンと早まった感じです。
それ以上に増えたのは教育関係です。
経産省に「学びを止めない」というタスクチームがあり、そこの要請で教育機関に無料でライセンスを払い出したのでそこで爆発的に増えました。
ー日本市場の位置付けは?
もともと数年前からですけど日本は密かにアプリケーションのダウンロード数はアメリカに続いて2番目でした。
ただ、アメリカとだいぶ市場が違っていて、アメリカでは電話会議はもともと普及していました。テレカンとかテレコン、それが便利になって顔も見れますという売りで、どんどんWeb会議の市場は伸びていて毎年二桁成長していました。
そのなかでもZoomはパフォーマンスがいいということでシェアを伸ばしていました。ですが日本にそういった文化はあまりなく、ここ数年間市場も一桁成長。そのため市場を作っていくということも含めてやらないといけないなあと考えていました。
日本はアメリカと違って、リモート関係なく会議が中心にビジネスが進んでいきます。自分はどちらかというと、重要なコミュニケーションは会議だけではないと考えており、ちょっとした話し合いや違うフロアのできる人に力を貸してもらうといったことも含めてコミュニケーションじゃないですか。
そういった会社の中でおこりうることをリモートでも顔を見てできるという生産的なツールとして紹介しています。今までの暗い会議で、最初しか顔見ないであとはパワーポイントを見るようなものではなく、違う世界観で前向きにコミュニケーションがとれる、そういったツールは今までパフォーマンスの問題などで今までなっかたんですよ。
ーここ数ヶ月のサーバーの劇的増加、奮闘はあった?
技術的なことでいうと、アメリカにエンジニアがいるためエンジニアの方々がかなり苦労しながらダウンさせないようにやってました。
Zoomは世界17箇所のデータセンターが連携し合っています。例えば日本のデータセンターがいっぱいになったら回線の不具合はアメリカに行って、それでもあんまりレスポンスは変わんないです。さらにアメリカもいっぱいになったら近隣の国の中国を覗く他の国のデータセンターを使う、というように連携し合ってサービスを止めないようにしています。
普通は近くにデータセンターがあっても、そこはただホップしているだけで、結局アメリカで処理をするので遅延が起きてどんどん遅くなっちゃいます。Zoomの場合は連携し合ってパフォーマンスを落とさないというユニークなデザインになっています。そうするとこっちが昼の時は裏側は夜だから負荷も少なくて済むというメリットがありました。いろんなサービスがパンクして止まる中、弊社は大きな障害もなくサービスを続けられました。
ー日本での苦労は?
やはり学校向けに出したフリーのライセンスが全部で3700リクエストがあって、それ全部を10数人の営業が捌いたんですけど、お客様は慣れていないので質問も多く、そういった支援も含めてみんな普段の何倍も働きましたね。
逆に在宅だったので通勤時間も全部仕事にあてて、ほんとにみんな働いたと思いますね。そういった意味で有料のお客様が増える中、無料のライセンスを届けることにみんな社員が頑張ってくれたという感じです。
例えば学校にそういったライセンスを提供するときに『卒業式ができない』というものがありました。生徒がかわいそうな目にあうのだと。それから、親御さんが卒業式にこれない。それをZoomを使ってできないか、と。それを「なんとかしましょう!」と言って、みんなお役に立ててるという喜びでやっているところがあってモチベーションは高かった。本当にみんな頑張ってくれましたね。
ー今をどう乗り越えて行こうと考えてる?
まずリモートワークというのがパフォーマンスが上がるので何ヶ月でもできる、というのを自分たちが見せる必要があると思っています。いま決めてるのは、8月いっぱいまではリモートにしよう、と。そういう働き方に調整しようとしています。
また、市場のことを考えるとやはりそうは言っても今が「異常」です。こう言った風に一日中会議もZoom、帰省も飲み会もZoomなので、Zoom疲れというものが起きているんですけども、明らかにバランスがおかしいじゃないですか。
一方で、リモートで働くことでパフォーマンスが逆に上がることもあります。だから、もっとバランスよく普段使いしていくことをご提案していくのが大事かなと思っています。一週間あったら、2、3日は生産性がいいのでリモートで働きます。残りの半分はオフィスに行って人とも顔を合わせて働きます、と行った風にこれが自然に普段使いで、バランスよくできれば、災害がきても大丈夫。
これがリモートワークの正しい導入の仕方だと思うので、今みたいな災害対策のリモートワークは次災害がきたとき絶対2、3日働き方を忘れて動きません。そうではなく、普段使いができるようなご提案をしていきたいと思っています。
ー未来の働き方やコミュニケーションはどうなる?
弊社の創業者、エリック・ユアンは本当に夢のある人間で2035年にはコーヒーの香りが伝わってハグができるようなソリューションにしたいと言っており、そういった夢を持ちながらしています。私は一日中Zoomで子供も授業はZoomで受けるというのはやりすぎだと思っており、バランスよくリモートのツールを使ってくれるのがいいと思います。
私は今、接待までリモートで夜飲みながら商談しましょうというのがあるのですがそんな接待やりたくないんですよ。やはりバランスが必要だと思うので将来的にもFace to faceが必要な、こういったコミュニケーションをしているからこそ会いたくなるような、そう言ったバランスが理想だと思っています。
一つ気づいたのは、日本にはいろんな縦割りがあって、例えば一つの企業にいると同じフロアの人とは話すけど違うフロアの人とは全くコミュニケーションがありません、とか。部署が違うから上を通して言ってくださいとか。私も以前違う会社にいたとき北海道に赴任していたことがあって、北海道で働いて全社会議で東京に行ったりすると、東京にいる人の方が偉く、北海道の私は発言しづらい空気がありました。
そういった組織のサイロや地域の壁が、Zoomを使うことでみんな平等になります。そういったサイロを壊す爆発的なソリューションになれるのではないかということに、一日中Zoomを使うことで実感しました。
ーbouncy読者の方にメッセージ
表面的にはつながりやすくて切れないという性能が打点がZoomにはあって、それを元にこういった明るい世界観を作れています。技術的な背景をいうと、今までWeb会議とテレビ会議は全く違った業界でした。Web会議というとスマホやパソコンを用いてバラバラに会議し、テレビ会議は会議室と会議室をつなぐものでした。
いつのまにかZoomは一つのサーバーで両方のサービスを使えるプラットフォームを作ってしまったんですよね。でもまだ社内交換機、社内で内線かけるときってべつじゃないですか。まだこれプラットフォームが十分ではないので、Zoomは社内の交換機まで同じサーバーでして、コミュニケーションを全部一つのプラットフォームでご提供すると。アメリカではもう導入されていて、日本にも入ってきます。
電話もパソコンもテレビも全部Zoomを使うことでシンプルな基盤ができると、在宅勤務でも電話にでると会社の電話に出れるようになるし、お客様から見てすごくわかりやすいと思います。