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私たちが生活している地球は“水の惑星”と呼ばれ、一見、水が豊富なようにも思える。しかし、そのほとんどは海水で、飲み水として利用できる淡水は、水全体のたった0.01パーセントにも満たないと言われている。
現在、世界では多くの人々が水不足問題に直面している。環境問題でも大きなウェイトを占めている世界の水不足を解決しようと、1人のイタリアの建築家が立ち上がった。
彼は自然界からヒントを得て、重力、凝縮、蒸発などの自然現象のみを利用し、電力を必要としない竹製の「給水塔」を考案したのだ。
それがエチオピアに生息する巨大な野生のイチジクの木である、ワルカの木から名付けられた「Warka Water」である。
「Warka Water」チーム直面した現実
考案者でもあるイタリアの建築家Arturo Vittori氏を中心とした「Warka Water」チームは、イタリア、インド、レバノン、米国、英国、エチオピア、ナイジェリア、韓国、ハイチを拠点としている。
エチオピアの北東部の高原にある小さな孤立したコミュニティを訪れた際、彼らが目撃したのは飲料水不足の現実であった。村人たちは美しい自然環境に囲まれて生活しているが、しばし水や電気、トイレ、シャワーを使わずに不便な暮らしをしているという。
この状況を改善するために、チームメンバーは「Warka Water」を開発することとなった。
水が溜まる仕組み
「Warka Water」は、大気から飲料水を収穫するように設計された構造である。雨水を集め、給水塔を覆っているメッシュ素材の布が霧と露を集めるのだ。水滴が繊維を伝い、土台部分にある容器に水が溜まっていく仕組みである。
まだこのプロジェクトは完成していなものの、1日平均50〜100リットルの飲料水を収集することを目標としている。
自然と融合するデザイン
「Warka Water」の外殻デザインの形状は、シロアリの巣箱を参考にしている。また、地元の文化や伝統的な建築に触れ、伝統的なエチオピアの職人技とバスケット織り技術も取り入れている。その結果、彼らが目指した自然環境を融合するデザインが誕生したのである。
飲料水としての安全性
集められた水は飲料水として利用できるとのことだが、その安全性はいかなるものだろうか。
雨や霧、露から収集した水は、WHO(世界保健機構)の飲料水ガイドラインに準拠している。しかし、少量の虫、または植物性細菌が存在する可能性があり、沸騰または精密濾過のような軽い抗菌処理が必要であると考えられる。そこで彼らは現在、「Warka Water」に埋め込むためのろ過ソリューションを開発しているという。
こだわりの素材
「Warka Water」は、竹や麻、バイオプラスチックなどの地元の生分解性の材料で構成されている。中でも竹は、フレーム構造に使用されている主な素材であり、エチオピアを始め、世界の多くの地域で見ることができるものである。
彼らの素材へのこだわりの理由は、「Warka Water」撤去後、環境に爪痕を残さないようにするためである。さらに設置するに際しても、掘削などの工事を必要としないため、環境を破壊せず行うことができる。
また「Warka Water」を現地で製造し、原材料を調達することにより雇用を創出し、地域経済を押し上げることができるのではないかと考えている。
彼らが「Warka Water」を通じてエチオピアの人々に伝えたいこと。それは水の大切さだけではない。村人たちに、自分たちと環境との関係性を理解し、森林減少の原因となっている焼畑農業から離れるキッカケになってほしいと願っているのだ。
人々に安全な飲料水を届けるため、現在も開発が進められている「Warka Water」。「Warka Water」完成に向け、私たちは一体なにができるだろうか。彼らにHPを通じて直接寄付することもできるが、SNSなどで「Warka Water」についてシェアし、世間の関心を高めることも、また一つの貢献の仕方なのかもしれない。
Courtesy of Warka Water