※bouncyではアフィリエイト広告を利用しています。記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がbouncyに還元されることがあります。
バーチャルの世界をまるで現実のように感じさせるVR(仮想現実)。高い没入感が魅力の一つだが、ゲーム内の物体の硬さ、質感、温度といった"触覚"まで再現するグローブ型コントローラー「HaptX Gloves」が登場した。
VRで触覚を再現するメカニズム
目の前を通り過ぎる動物や、飛び交う宇宙船。VRゲームをプレイしたことがある人なら、まるで別世界に迷い込んだような感覚を得られたのはでないだろうか。
一方で、目の前に現れた動物に手を伸ばしても、従来のコントローラーではその質感や重量感を感じることはできない。ところが「HaptX Gloves」を装着すれば、ゲーム内のキャラクターや物体に反応して、触覚フィードバックまで伝わるようになるという。
「HaptX Gloves」には、100個以上のシリコンをもとに作られた流体のスマートタイルが張り巡らされている。スマートタイルは高度な空気圧アクチュエーター(駆動装置)と、マイクロスケールの空気溝により、微細にその形状や硬度を変化させる。
さらにスマートタイルは、フィードバックに応じて温度も変化させる。動物に触れれば温かみを感じ、雨に打たれれば冷たくなるという。
グローブに触れた物体に応じて無数のスマートタイルの形状と温度が変化し、ユーザーの皮膚を圧迫する。その結果、「手のひらに雨粒が落ちる感触」「動物に触れた感触」などを再現してくれるのだ。
現実でボールやハンドルをつかむと、指には力が入るはずだ。「HaptX Gloves」は5本の指に駆動装置を搭載しており、約2kgまでの抵抗力を生み出すという。モノをつかんだ時のサイズ感や重量感も得られるだろう。
触覚をフィードバックする仕組みがあっても、ゲーム内の動きと正確に連動していなけば意味をなさないだろう。「HaptX Gloves」には、ユーザーの手の動きをmm未満という高精度で認識するモーショントラッキングシステムを搭載している。
「HaptX Gloves」はこのように、複数のテクノロジーを組み合わせることで、ゲーム内の触覚をリアルに生み出すという。現状はまだプロトタイプの段階であり、市販化はされていないが、実現すれば仮想現実と本当の現実の境目は、さらに狭まることになるはずだ。
また、「HaptX Gloves」のテクノロジーは娯楽用だけでなく、企業向けのトレーニングツールや、デザイナーの制作ツールなどにも活用できるという。医師がリアルな手術のトレーニングに使うといった使用用途も考えられ、その潜在性は計り知れない。
ウェアラブルデバイスから衣類まで
「HaptX Gloves」に使われている流体スマートタイルは、高性能ながら布のように極薄だ。衣類やウェアラブルデバイスにも搭載できるため、全身で触覚を感じられるデバイスも開発できる見込みだ。
・ ・ ・
ゲームの没入感を高めるだけでなく、様々な業界でも応用できる可能性を持ち、果てはグローブだけでなく大型化も可能な「HaptX Gloves」。ゲームや映画で、人間の五感を余すことなく体験できる日が近づいているのかもしれない。
HaptX