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常識破りな真珠のジュエリーが打ち砕いた壁とは?

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常識や固定観念といった壁を打ち破るプロジェクトや試みにフォーカスする「CROSS THE BORDER」。第2回はミラーボールのように燦然と輝くジュエリー「華真珠」。

その名通り真珠を加工して作り出されたもので、山梨県甲府市にあるジュエリーメーカー「小松ダイヤモンド工業所」が開発したもの。丸いつるっとした球体と柔らかな光沢が特徴の真珠に、新たな光を宿した逸品だ。

日本で採れる唯一の宝石

開発のきっかけは、「小松ダイヤモンド工業所」の先代、小松一男氏。ダイヤモンドのカットを中心に宝飾研磨を請け負っていた同氏は「現在日本で採れる唯一の宝石である真珠(貝の体内で生成される「バイオミネラル」)に付加価値をつけ、新たなジュエリーの分野を開拓できないか? 」と華真珠を考案。「どこまで美しくなるかは未知数だったのではないか」と語る後継者である現取締役・小松一仁氏に話を聞いた。

1992年に世界で初めて誕生し、「華真珠」と名付けられたこの真珠は、ダイヤモンドのカット技術を真珠に応用したもので、直径約1センチの真珠に大小200近いカット面が施され、真珠の常識をくつがえす絢爛豪華な輝きをまとう。

高い技術が要求される職人技の結晶

華真珠には、現代のテクノロジーでは到達できない職人技と経験が要求されると小松氏は語る。

小松:ダイヤモンドをはじめとする他の宝石は、中まで同じ石でできているので、失敗したとしても小さいサイズで製品化することができるが、真珠は削りすぎると「核」と呼ばれる輝かない部分が露出してしまう。

そのため表面のわずか1ミリしかない真珠層だけでカット面を作らなくてはならない。真珠は宝石のなかでもかなり削れやすい部類に入る。そのため、華真珠のカットパターンを正確に仕上げるには、熟練の職人技を要する。

職人技の粋を尽くした逸品で、小さな工場が世界への進出を試みた。

華真珠を待ち受けた壁

華真珠の美しさは、海外のジュエリーブランドにも取り入れられ、好評を博す一方、市場では「もともと美しい真珠をなぜ削るのか?」「真珠の魅力を損なう」と否定的な声が後を立たなかったのだ。

そして、もう一つの大きな問題がコピー品。香港を始め世界各国で、華真珠のコピー品が「カットパール」「フラワーパール」などと名前を変えて量産された。見よう見まねのコピー品はカットや研磨の精度が低く、次第に「真珠」を「カット」した製品は評価を落としていった。

「小松ダイヤモンド工業所」が同時期に開発した「コンケーブカット」も同じ問題を抱えていた。通常の角を複数作って象るカットパターンとは異なり、くぼみ(コンケーブ)をつける、高度なカット技術をもって初めて輝くことがこのカットパターンの特徴だ。

小松氏が発表してから数年経った2000年。あるブラジル人が「ミレニアムカット」とあたかも自分たちが考案した記念碑的なカットパターンとして世界に打ち出した。

小松氏が考案した「コンケーブカット」ではなく「ミレニアムカット」の名で一世を風靡し、そしていつしか忘れ去られてしまった。

常に新製品はいつかのために

この壁を打ち破ったのは、2009年。小松氏は自社の製品価値を信じ、「華真珠」と「コンケーブカット」をアレンジし、世界的なジュエリーコンテスト「Gemmys 2009」に出品。それぞれカット部門第1位、アーティスト新人部門第2位のダブル受賞を果たした。これは日本人初の快挙だった。

同年、「華真珠」は経産省が主催する国内のものづくりのコンテスト「ものづくり日本大賞」でも内閣総理大臣賞を受賞し、国内外で高い評価を得た。職人技の結晶である華真珠の誕生から17年経ってようやくその価値は不動のものとした。

ーー華真珠が国際的な評価を得るまで17年経ったが、その思いは?


小松:うちの会社の製品は売れるのは、10年経って、世の中に合わせてアレンジするというのがある。華真珠はその最たるもの。今も新しいものを、その「いつか」のために作っています。

ーー次はどんなものを?


小松:ダイヤモンドの新しいカットを考案しています。ダイヤモンドの代表的なカット「ブリリアントカット」は、2019年に考案されてから100年目を迎えます。その節目に、新たなカットを提案し、次の100年のスタンダードにしたいと思っています。


誰もまだ見ぬ斬新な製品は、時として早すぎるがゆえに認められないこともある。しかし、本当に価値のあるモノは時間はかかれど必ず認められる。小松氏は「華真珠」を通してものづくりの明るい未来を切り開いていた。

次回作のダイヤモンドはどんな輝きを見せてくれるのだろうか?

住所: 山梨県 甲府市 宝 1-11-20
TEL 055-224-2518

問い合わせ:info@hanashinju.tokyo

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