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量子コンピュータとは?仕組みや活用事例を初心者にもわかりやすく解説

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最新テクノロジーのひとつとして注目を集めている量子コンピュータ。条件によっては、従来のコンピュータの1億倍の計算速度を誇るという。果たして、その夢のスーパーマシンはどのような仕組みになっているか。初心者向けにわかりやすく解説しよう。

量子コンピュータとは

量子コンピュータは、従来のフォン・ノイマン型のコンピュータとは大きく異なる構造を持つ、新たな計算機として大きな注目を集めている。ここ数年、IT分野で頻繁に聞くようになったが、量子コンピュータの構想自体は1980年代からあり、決して新しいものではない。

それが数年前からにわかに注目され始めたのは、カナダのD-Wave Systemsが量子コンピュータを実装したことがきっかけ。その後、IBMやGoogleなどITのガリバー企業が開発や利用に乗り出すことになる。

量子コンピュータの仕組み

量子コンピュータの特徴は大きく分けて2つある。まずは、その2つについて見ていこう。

まず、コンピュータが持つ文字や数値などの情報はビットというもので表現されるが、量子コンピュータの場合「量子ビット」というものを用いることになるという点だ。量子ビットは「重ね合わせ」など、これまでのコンピュータにない方法で多くの情報を持たせることが可能だ。

もう1つは、計算のアルゴリズムだ。現在、量子コンピュータで実装されているアルゴリズムは「量子アニーリング法」と呼ばれる手法で、いわゆる「巡回セールスマン問題などの最適化問題を解くのに適している。

事例は後述するが、世の中には数多くの最適化問題がある。典型的な例として挙げられるのが「巡回セールスマン問題」だ。巡回セールスマン問題とは、あるセールスマンが複数の企業を回るのにもっとも効率的な順路は何かという問題だ。数が少なければ単純な問題だが、数が増えるにつれ、その難易度は指数関数的に上昇する。

量子コンピュータは、この巡回セールスマン問題を効率的に解くことができるかもしれないと言われており、大きな注目を集めている。もし、これが実現すれば、巡回セールスマン問題だけでなく、さまざまな社会問題にも応用できると期待されているのだ。

一般的なコンピュータと何が違う?

量子コンピュータの仕組みを理解できたところで、実際何がすごいのかわかりづらいと思う。そこで、私たちが普段使用しているパソコンやスマートフォンとの最大の違いについて考えてみたい。

最も大きな違いは、表現できる情報量の多さだ。一般的なコンピュータであれば、基本的には「0」か「1」の羅列で情報を表現することになる。現在のパソコンでは64bit が一般的だが、これは0と1を64桁並べてあるデータを表現することになる。

しかし、量子コンピュータは「0と1の中間」のような表現も可能だ。これにより、保持できる情報量が爆発的に増加することが挙げられる。そのため、量子コンピュータでは「量子ビット」という単位で情報量が表現できるのだ。

量子コンピュータの活用事例

量子コンピュータは、今後どのような分野で活用される可能性が高いか見ていこう。

まず、巡回セールスマン問題と関連する最適化問題としては、工場内の移動効率化も挙げられる。複数のラインが走っている工場では、部品や棚のレイアウトを最適化することで、移動の手間を削減して従業員の作業を効率化することができる。

また、インターネットでよく出てくる広告も量子コンピュータによって最適化されるのではないかと期待されている。インターネットを閲覧する人は様々な属性の人がいる。性別、年齢、職業など挙げていくとこれも膨大な条件がある。これらの条件に最適化させるには、量子コンピュータを用いて解いていく必要があるのではないかと言われている。将来、広告は私たちのニーズとほぼ完璧にマッチするようになるといってもいいかもしれない。

金融や創薬の世界でも最適化問題が存在する。金融であれば、投資ポートフォリオの最適化として、数百種類の銘柄を取り扱うことになる。この数は、すでに人間では対応できないくらいの量だ。また、創薬の世界では、「分子類似性検索」という手法を高速化できると言われており、これにより画期的な新薬が短期間でできるのではないかと期待されている。

今後、量子コンピュータはどこまで進化する?

量子コンピュータは、今後私たちの社会に大きな影響を与える存在になるかもしれない。今後、量子コンピュータが普及するには、アプリケーションを開発するための環境構築がカギだ。従来のコンピュータであれば、SDKと呼ばれるプログラミング環境があるが、量子コンピュータにはまだない。これが用意されると、量子コンピュータの利用がさらに促進されるだろう。

そうなると、AIなど膨大な計算が必要となる技術をより広範囲で活用することができるはずだ。まだまだ課題はあるものの、量子コンピュータは確実に私たちに影響を与え始めている。


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