ハイセンスの4Kテレビ、高コスパのワケは?「中の人」が語る

信原 一貴
公開: 2019-11-22

※記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がMoovooに還元されることがあります。

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 たとえば4Kチューナー内蔵の50インチテレビが7万円台、そんなコスパの良さで名をはせる家電ブランドがあります。中国メーカーのハイセンス(Hisense)です。

 ただ激安テレビには中韓メーカーのほか、アイリスオーヤマやドン・キホーテも続々参入し、群雄割拠の状態。その中でハイセンスは昨年傘下に収めた東芝映像ソリューションの技術を生かし「激安メーカー」からの脱却を進めています。

 今回はハイセンスジャパンのマーケティング責任者に日本市場での戦略や、4Kチューナー内蔵テレビの選び方について取材しました。


本社ショールームに行ってみた

 神奈川県川崎市の高層ビルに、ハイセンスジャパンの本社はあります。

 指定された16階でエレベーターを降りると…一見普通のオフィスフロアですが、扉を開けると広々としたショールームが現れました。

 主力の大型テレビや、世界各国で売られている冷蔵庫や洗濯機が並んでいます。
 中には「は~、こんなのあるんだ」と思わされる日本未発売モデルも。


 たとえば下の写真は、4K映像を投影できる「レーザーテレビ」。
 え?これ、どうなってるの?
 どこから投影されているのか探すと、まさかの画面直下の本体からでした(写真右)。

 画質は4Kなのに、一般的なプロジェクターのように大画面化が可能とのこと。住宅が広い米国や中国では、100インチ超のモデルが売られているそう。世界は広い。

なぜ安い?二つの理由

 今回はマーケティンググループの菊島隆夫部長と、開発センターの西野類プロダクトマネージャーに話をうかがいました(下写真は西野さん)。

ーーまず消費者が気になる、安さの理由をうかがわせてください。

西野さん:ハイセンスにとっての適正価格が、日本市場で競争力を持つ理由は大きく二つあります。

 ひとつが世界生産の規模が大きいことです。ハイセンスのテレビ生産数は年間1,800万台にのぼり、これはサムスン、LGエレクトロニクスなどに次いで世界4位の規模。巨大市場の中国ではシェア1位です。日本メーカーと比べて、大量生産によってコストが抑えられます。

 もう一つが「需要の高い機能」への絞り込みです。ハイセンスの商品開発拠点は中国にありますが、日本でニーズ調査をして日本仕様の商品を投入しています。調査で分かるのは「シンプルな操作で、良い画質や音質を得たい」というニーズの強さです。

菊島さん:その点では、昨年からグループに加わった東芝映像ソリューションの技術が大きく寄与しています。チップ一つに何十年という蓄積された技術が詰まってるわけですから。共同開発した高性能映像エンジンが4K放送のノイズやちらつきを抑えたり、地デジの高画質処理の精度を高めています。

 そのほかにも画面の輝度を高める「バックライトブーストフィルム」など、映像をきれいに見やすくする技術を積極的に搭載しています。

故障対応は大丈夫?

ーーもう一点、海外メーカーということで、故障対応などのアフターフォロー体制はいかがでしょうか。

菊島さん:日本で事業を始めて9年たちまして、その間アフターフォロー体制を拡大してきました。

 故障に無償対応する保証期間は、1年間のメーカーが多いですが、ハイセンスはテレビに関しては3年間保証を実施しています。また、いま全社的に目指しているのが「不良品ゼロ」。不良品が見つかった場合は中国の本社工場に送り、原因を必ず解析するようにしています。

 コールセンターも日本国内で拡充しています。一般的に企業のコールセンターはつながりにくいイメージがあるかと思いますが、ハイセンスでは現在、受電率(電話に応答できた率)を95%にまで高められています。

主力3機種のおすすめ選び方①~E6800シリーズ~

 ここからは主力商品である4Kチューナー内蔵テレビについて、おすすめの選び方を聞いていきます。まずは主力3機種のスペック比較です。詳しい解説は商品ごとに聞いていきますので、ぜひご覧ください。

各モデルの比較
E8000 U7E E6800
画面サイズ 55V型 65V型、55V型 50V型、43V型
消費電力 320W 65V型=200W
55V型=160W
50V型=130W
43V型=120W
映像処理エンジン レグザエンジンNEO plus レグザエンジンNEO plus NEOエンジン
倍速対応 2倍速 2倍速 なし
パネル方式 有機EL VA方式 VA方式
本体寸法(cm) 122.6×75.4×27.2 65V型
145.0×92.4×35.4
55V型
123.0×78.6×26.2
50V型
111.2×69.3×23.5
43V型
95.9×60.1×18.6
本体重量(スタンド含む kg) 22.7 65V型=30.0
55V型=20.6
50V型=11.7
43V型=9.1
おすすめの使い方 映画好きの人、地デジをよく見る人 大画面を求める人、地デジをよく見る人 ネット動画をよく見る人、ゲーム好きな人
メーカーに聞く①
  • Hisense
  • 50E6800

  • 税込み77,090円
  • 50インチで7万円台 東芝の技術も詰まった高画質

  • 東芝の技術も活用した高画質で人気を博したA6800の後継機。省エネ性能を高め、HDMIの入力端子も一つ増えて4個に。

ーーまずは今年5月発売のE6800シリーズです。4Kチューナー内蔵で43V型と50V型が用意されています。東芝の技術を初搭載して話題を呼んだA6800シリーズからどう変わったのでしょうか。

西野さん:A6800は市場に残る在庫のみでして、E6800が後継モデルです。一番大きなのはバックライトと液晶の間に特殊フィルムを挟んで輝度を改善し、明るい画質にした点です。また、HDMIの入力が3つから4つに増えています。

 NetflixやYouTubeなどをよく見る方に特におすすめです。地デジをよく見る方は後述のE8000やU7Eを選ぶと、さらに美しく視聴できます。

 またE6800はゲーム好きの方にも適した機種だと思います。各機種でゲームモードを搭載しているのですが、特にE6800は映像処理による信号遅延を約0.83msに抑えています(msは1000分の1秒)。後述のE8000、U7Eは約9.2msで、これでも十分滑らかなのですが、E6800の速さが目立ちます。ゲームの操作性を突き詰めたい方は、この点にも注目してみてください。

参考になる動画

私たちMoovooではYouTubeチャンネルでもハイセンスを特集。開始7分ごろからE6800が登場します!

 同型機を購入した、でびくまのハルカさんのレビュー。初期設定のセットアップ方法や、画面のベゼルの細さ、リモコンのつくりなどを丁寧に解説。高原の空撮映像を大画面に映して「生で見た現実世界が映し出されているみたい」と評価しています。

主力3機種のおすすめ選び方②~U7Eシリーズ~

メーカーに聞く②
  • Hisense
  • 55U7E

  • 税込み97,500円
  • レグザエンジンNEO plus搭載 さらに見やすく美しく

  • 進化したレグザエンジンNEO plusを搭載。バックライトのエリア別制御などの機能も充実し、さらに見やすく。

ーー次にうかがいたいのが今年3月発売のU7Eシリーズです。55V型と65V型が用意され、E6800よりも大画面のラインナップです。ULEDTVと銘打っていますが、このULEDというのは?

西野さん:「ウルトラLED液晶」の略で、より映像美を追求した機能を盛り込みました。たとえば映像の暗い部分は、さらにバックライトの光量を落としてコントラストを際立たせる「ローカルディミング」技術などを採用しています。

ーー映像処理エンジンも「レグザエンジンNEO plus」となっています。E6800は「NEOエンジン」でしたが、どのように違うのですか。

西野さん:一番大きいのが「倍速対応」ですね。地デジの映像は毎秒60コマの情報が送られてきますが、これを内部処理して毎秒120コマで駆動させています。アニメや映画などの動きの速いシーンでも残像感がなくなり、表示がクリアになります。

 もう一つが、地デジを4K相当の画質に向上させる超解像機能です。前述のE6800も4K相当の画質に向上させますが、「レグザエンジンNEO plus」を搭載したU7EやE8000の方がより精度が高く、映像の精細感がさらに増しています。

 U7Eは大画面を求める人、地デジを一層美しく見たい人に特におすすめです。

参考になる動画

 65インチのU7Eを購入した、かじまっくチャンネルさんのレビュー。厚さ8.5ミリの部分もある本体の薄さのほか、録画機能についても解説しています。地デジとBS・110度CSはそれぞれ3チューナー内蔵されていて、裏番組を2番組同時録画できます。

 買って良かった点、残念だったポイントも率直に紹介。総合的には「買って良かった」と語られています。

主力3機種のおすすめ選び方③~E8000~

メーカーに聞く③
  • Hisense
  • 55E8000

  • 税込み169,697円
  • 有機EL搭載のハイエンドモデル 「漆黒」の高い再現力

  • ハイセンスが日本で発売した有機EL搭載の55インチモデル。深い黒の表現力を備え、映画鑑賞などに最適。

ーー最後に今年4月に発売された、有機EL搭載モデルE8000についてうかがわせてください。

西野さん:特徴は何といっても、有機ELの「漆黒の再現力」です。

 LED液晶が反射光を使って表示するのに対して、有機ELは一画素単位で自発光するので、高精細でコントラスト豊かな表現が可能になります。

ーー有機ELモデル発売は、ハイセンスにとってどのような狙いがあるのでしょうか。

菊島さん:最近のハイセンス製品の購入層は、価格を重視する若い層だけでなく、40~50代に広がってきています。以前はリビングのテレビは「国産メーカーじゃないと」という意識があったと思いますが、海外メーカーが日本市場で力をつけてきたことで変わってきています。

 そうした中、トップエンド商品まで充実させることで、幅広いお客様のニーズに答えたいと考えています。E8000は明暗豊かな映像表現が得意ですので、映画好きの人に特におすすめです。もちろんPlusエンジン搭載ですので、地デジも美しく見ることができます。

画面サイズの選び方は?

ーー続いて、画面サイズはどのように選べばいいのでしょうか。

菊島さん:一般的なリビングルームであれば50V型以上がおすすめです。

 テレビの薄型化が進んで部屋に置いたときの圧迫感が減りましたし、小さいサイズだと精細な4K映像を十分に楽しめません。東京五輪などで今後4K映像を楽しむ機会は増えると思いますので、入門的に買われる方でも50V型以上をおすすめしたいですね。

ーー部屋の広さによっても変わってきますか。

菊島さん:そうですね。フルハイビジョンなどの2Kテレビを視聴する場合、画面の縦の長さの3倍が「最適視聴距離」とされてきました。

 それが4Kテレビでは近づいても粗さが目立たないため、画面の縦の長さの1.5倍が最適といわれています。その距離をご自身の部屋で確保できるかを、一つの目安にしてください。

 3機種の画面サイズと適正視聴距離はこちら。商品選びの参考にしてください。
各モデルの画面サイズ
E8000 U7E E6800 最適視聴距離
43インチ     80.28cm
50インチ     93.34cm
55インチ   102.67cm
65インチ     121.35cm

旧型機ユーザーですが…筆者からアドバイス

 いかがでしたでしょうか。
 かくいう私は自宅でハイセンス製の43V型テレビ「43A6800」を使っています。今回紹介した43E6800の旧型機です。

 今年2月に約6万円でAmazonで購入。前に使っていたのは2013年パナソニック製の32V型テレビ「TH-L32X6」でした。
 
 32V型から43V型へのサイズアップなので、買う前に心配したのが「部屋に圧迫感が出ないか」、リビングが「テレビの部屋」になってしまわないかという点でした。

 しかし、実際に置いてみると薄型化の効果は絶大。壁際に配置したところ、圧迫感はまるでありませんでした。妻が「あれ?これテレビ大きくなったの?」と言うほどで、心配は杞憂に終わりました。

 画質は十分に美しく鮮やかで、テレビ本体からの音声も良好。映画の重低音などはさすがに外付けのサウンドバーと差が出ますが、地デジの番組を見る普段使いなら、本体からの音声で十分に感じます。

 ただ一点、私の使い方で気になったのは「視野角」でした。
 A6800、E6800、U7Eは「VA方式」の液晶パネルを採用していて、いずれもカタログによると視野角が178度。VA方式はコントラストが豊かな反面、一般的に視野角が狭いとされています。

 私の家では、食卓の座る位置によっては真横近くからテレビを眺めます。

 前に使っていた「TH-L32X6」は視野角が広いIPS方式の液晶で映像がはっきり見えたのですが、A6800だとやや白みがかって見えます。この点は液晶の特性なので、部屋のレイアウトを考える必要がありそうです。

 また混同がないよう明記しておきますと、有機ELを搭載しているE8000は視野角が広くなっています。

番外編
  • Hisense
  • 50A6800

  • 税込み64,800円
  • 在庫限りですが…旧型機も人気は健在

  • レグザエンジンNEOを初めて搭載した、ハイセンスの評判を高めた一台。旧型機で在庫を残すのみだが、50型でも6万円台。人気は健在だ。

 費用や手間から二の足を踏んでいた4Kテレビ導入ですが、A6800だけで美しい視聴環境が整いました。個人的には「大満足」な買い物です。

参考になる動画

 Kazuto Takanoさんがレビュー。外付けハードディスクへの番組録画や、動画配信サービスのアプリ起動など多彩な機能を操作。「これだけ映れば文句なし」「画面が4Kなので番組表もめちゃくちゃ見やすい」と評価しています。


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