〈プロ監修〉日本酒のアルコール度数とは?おすすめ15選も紹介
たくさんの銘柄があり、原料や精米歩合によって風味や口当たりが異なる日本酒。アルコール度数が高いイメージもありますが、実際はどのくらいのアルコール度数で、銘柄による違いはあるのでしょうか。
この記事では、若松屋酒店(東京・板橋)の三代目で、唎酒師、日本酒ライターとしても活躍する小林健太さんに監修していただき、日本酒のアルコール度数について解説し、度数に応じたおすすめ銘柄も紹介します。
目次
日本酒のアルコール度数とは
日本酒の中でも、酒税法に定められた定義を満たすものは「清酒」と呼ばれています。清酒の定義をまとめると以下の内容です。
・米、米こうじ、水及び清酒かすその他政令で定める物品(醸造アルコールなど、ただし米の重さの50%を超えないもの)が原料
・発酵させて濾したもの
・アルコール分が22度未満のもの
このように、日本酒の中でも清酒はアルコール度数が22度未満と酒税法で定められています。その中でも15度前後のものが多く流通していますが、清酒には分類されない、アルコール度数が高い日本酒や濾していない日本酒も存在します。
小林さんの解説
日本酒は世界でも類を見ない、アルコール度数の高い醸造酒です。その理由は日本酒を造る、並行複発酵という伝統的な酒造方法にあります。アルコール発酵は、酵母が糖分をアルコールと炭酸ガスに変換して行われます。この時、糖分が高くても低くても、20度程の高いアルコール度数までは発酵が進みません。日本酒はお米のデンプンから糖分を造る「糖化」と「アルコール発酵」を同時に並行して行う複雑な造りをするため、糖分が高すぎず低すぎず、高いアルコール度数まで発酵をすすめることができます。高いアルコール度数は、複雑な日本酒醸造の技術の成果とも呼べるかもしれません。
清酒に分類されない日本酒
日本酒の中には、アルコール度数がかなり高いものもあります。例えば、玉川酒造(新潟・魚沼)の「越後武士 さむらい」は、なんと46度。一般的に流通している15度前後の日本酒の約3倍、ウォッカやウイスキーと同等のアルコール度数です。酒税法ではリキュールに分類されますが、造り方は日本酒と同じです。
また、「どぶろく」も日本酒と同じく米・米麹・水を原料に造られますが、もろみを発酵させたあとに「濾す」工程がないため、こちらも清酒ではなく「その他の醸造酒」に分類されます。どぶろくのアルコール度数は14〜17度で、一般的な清酒やワインと同じくらいの度数です。
ちなみに日本酒以外のお酒のアルコール度数は、ビールが5%前後、シャンパンやスパークリングワインが11%前後、醸造酒ではワインが15%前後。蒸留酒では焼酎が20〜25%前後、ウィスキー・ウォッカ・テキーラは40%前後です。
低アルコールの日本酒も人気
たくさんの銘柄がある日本酒ですが、最近ではさらにバリエーション豊かに種類が増え、低アルコールのものや、シャンパンのように発泡しているものなど、さまざまな日本酒を楽しむことができます。
お酒が弱い人にとって、アルコール度数15度前後の一般的な日本酒は強く感じることも。5~12%の低アルコールの日本酒なら、飲みやすいうえに日本酒の風味をしっかり味わえます。
小林さんのおすすめポイント
従来の低アルコール日本酒は、通常の日本酒を水で割ったような「薄い日本酒」「物足りない日本酒」という印象のものが多くありました。ただ最近では「日本酒を飲んだことが無い人にも、気軽に日本酒を楽しんで欲しい」という想いから、様々な低アルコール日本酒が増えてきました。アルコール度数10度前後の原酒、微発砲の低アルコール日本酒など、度数が低くても物足りなさを感じない、魅力的な日本酒が増えてきています。
監修者 小林健太さんが選ぶ、おすすめの日本酒5選
ここからは小林さんおすすめの日本酒を特徴やアルコール度数とともに紹介します(この章の日本酒は2021年9月に選定いただきました)。
小林さんのおすすめポイント
鳥取県 千代むすび酒造が造る、微発砲のスパークリング日本酒「しゅわっと空(そら)」は、濃い旨みのお酒が多いこの蔵ではめずしく、軽快で爽やかな旨さを楽しめる1本です。アルコール度数は12度とやや軽めながら、心地良い甘味と酸味に軽快な旨み、そしてそれらを包み込む泡のバランスが良く、もの足りなさを感じさせない味わいです。暑い日など、冷蔵庫から出して気軽にお楽しみいただけます。
小林さんのおすすめポイント
真澄を造る宮坂醸造の新定番「こだわりの真澄」シリーズの低アルコール日本酒「白妙 SHIRO」。アルコール度数12度の軽やかな味わいが特徴です。軽く冷やして綺麗なお米の味わいをすっきりと楽しめます。
小林さんのおすすめポイント
1988年に発売された、低アルコール日本酒のルーツとも言える「ひめぜん」。飲み口は柔らかく、梅酒のような甘酸っぱさと、日本酒の爽やかな旨みをミックスしたような、クセになる味わいです。アルコール度数は8度。柔らかい飲み口で、日本酒ビギナーにも飲みやすい日本酒です。
小林さんのおすすめポイント
圧倒的な超濃醇旨口の純米酒。蔵元が1人でお米(雄町米)を育て1人で仕込みを行うため、毎年少ししか造れない、とても希少なお酒です。アルコール度数20度の飲みごたえのある味わいで、力のある伸びやかな余韻まで、濃い旨さを楽しめます。
小林さんのおすすめポイント
酒名は蔵の裏の「蛇逃(じゃんげ)の滝」から命名。アルコール度数が20度と高く、味わいのボリューム感と、それにも負けない超辛口の旨みを楽しめる1本です。度数が高いのですが、後キレが良くスイスイと飲み進められてしまうため、飲み過ぎにはご注意ください。
【編集部PICK UP】日本酒、人気メーカーの売れ筋商品
Moovoo編集部
数ある日本酒の中でもECサイトなどで売れ行き好調な、人気メーカーの商品を紹介します。ぜひ参考にしてください。
- 鶴見酒造
-
神鶴 千 純米吟醸
- 税込み2,640円(楽天市場)
-
国外でも評価された日本酒
-
お米本来の旨味と上品な香りが楽しめる純米吟醸酒です。2つの酵母を使い、バランスの良い風味に仕上げています。酒造に適したお米である五百万石を100%使用しています。
飲食業界のプロフェッショナル達が審査を行う、フランスのKuraMaster2020年度純米酒部門でプラチナ賞に輝きました。
- 酔鯨酒造
-
SUIGEI 特別純米酒
- 税込み1,240円(楽天市場l)
-
すっきりした風味で食中酒におすすめ
-
くじらが描かれたラベルが目を引きます。55%まで国産米を磨き、キレの良い後味に。ふくらみのある旨みと独特な酸味が感じられる1本です。
5~15℃に冷やして飲むと、すっきりした味わいが際立ちます。香りは控えめなので、食事と一緒に日本酒を楽しみたい方にぴったりです。
- Amazonで見る(1800ml、2本)
- 楽天市場で見る
-
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こちらの記事でおすすめの獺祭を紹介しています。参考にしてみてください。
外観 |
商品名 |
特長 |
容量 |
アルコール度数 |
精米歩合 |
味わい |
原料米 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
鶴見酒造 神鶴 千 純米吟醸 |
国外でも評価された日本酒 |
720ml |
16度 |
60% |
すっきりとした飲み口 |
五百万石 |
|
山梨銘醸 七賢 純米 風凛美山 |
フルーティーな香りの辛口 |
1,800ml |
15度 |
70% |
爽やかでやや辛口 |
ひとごごち、あさひの夢 |
|
酔鯨酒造 SUIGEI 特別純米酒 |
すっきりした風味で食中酒におすすめ |
720ml |
15度 |
55% |
酸味とキレがあり香り控えめ |
酒造用一般米(国産) |
|
八海醸造 純米大吟醸 八海山 |
幅広い温度で楽しめる |
720ml |
15.5度 |
45% |
スッキリとした辛口 |
山田錦、美山錦、五百万石など |
|
ほまれ酒造 会津誉 純米大吟醸 極 |
買いやすい価格と高級感のある味を両立 |
720ml |
16度 |
50% |
気品ある香りとキレのよい味 |
五百万石、酒造用白米 |
|
旭酒造 獺祭 純米大吟醸45 |
品質にこだわり抜いた丁寧な酒造り |
1,800ml |
16度 |
45% |
フルーティーな中辛口 |
山田錦 |
|
朝日酒造 朝日山 純米吟醸 |
バランスの良い新潟清酒産地呼称認定酒 |
720ml |
15度 |
55% |
爽やかなうまみと華やかな香り |
新潟県産米 |
|
吉乃川 厳選辛口 |
すっきりした風味の定番酒 |
1,800ml |
15度 |
65% |
すっきりとした辛口 |
新潟県産米 |
|
朝日酒造 純米大吟醸 久保田 萬寿 |
おもてなしにぴったりの日本酒 |
720ml |
15度 |
50%(五百万石)、33%(新潟県産米) |
深い味で華やかな香り |
五百万石、新潟県産米 |
|
白瀧酒造 上善如水 純米大吟醸 |
キレイな青いボトルが目印 |
720ml |
15度以上16度未満 |
45% |
上品で華やかな中口 |
米(国産) |
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日本酒をアルコール度数から選ぶのもおすすめ
日本酒のアルコール度数と人気のおすすめ商品を紹介しました。
アルコール度数が高いイメージもある日本酒ですが、種類によってはアルコール度数が低く飲みやすいものもあるのが魅力です。お好みの日本酒をぜひ試してみてくださいね。
小林さんのおすすめポイント
度数が高い原酒タイプは、アルコールのボリューム感と一緒に刺激に由来する辛さや熱さを感じます。反対に低アルコールタイプは、やわらかく軽やかな印象と共に、そのお酒の持つ甘味や酸味といった個性を感じやすくなります。濃い日本酒が好きな方はアルコール度数が高い日本酒、日本酒に詳しくない方はまずは度数の低い日本酒といったように、アルコール度数をお酒選びの目安にしてみるのもおすすめです。
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