ビールの種類とは? 世界のビール12種を早見表で紹介、人気商品もチェック
世界中で愛されているビール。コンビニやスーパーなどで見かける商品以外にも、製造方法や種類の異なるビールが世界にはさまざまあります。
そこでこの記事では、奥深いビールの魅力について知るために、ビールの種類について詳しく解説します。この機会に、新たなお気に入りを見つけてみてください。
ビールとは? 発泡酒や第3のビールとの違い
酒税法によると、ビールを以下のように定義しています。
酒税法 第3条第12号によるとビール 次に掲げる酒類でアルコール分が二十度未満のものをいう。イ 麦芽、ホップ及び水を原料として発酵させたものロ 麦芽、ホップ、水及び麦その他の政令で定める物品を原料として発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の百分の五十以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五を超えないものに限る。)ハ イ又はロに掲げる酒類にホップ又は政令で定める物品を加えて発酵させたもの(その原料中麦芽の重量がホップ及び水以外の原料の重量の合計の百分の五十以上のものであり、かつ、その原料中政令で定める物品の重量の合計が麦芽の重量の百分の五を超えないものに限る。)
内容を一部抜粋すると、ビールと呼ばれるためには、以下の条件を満たす必要があることがわかります。
なお、ビールは、使用できる副原料が定められています。具体的には麦、米、とうもろこし、コーリャン、馬鈴薯など。平成29年度の税制改正(国税庁資料)では、果物やコリアンダーなども追加されました。
発泡酒や第3のビールとの違い
「発泡酒」や「第3のビール」と呼べる条件は以下の通りです。
酒税法では麦芽比率で税率が変わるものの、ビールより税率が低いため低価格で販売可能です。また、クラフトビールも「50%以上の麦芽比率で、ビールでは使用できない副原料を含む」ため、定義上は発泡酒となります。
そして第三のビールは、以下の条件を満たすものです。
ビールの主な種類、エールとラガー
ビールは発酵方法に応じて、主に「エール」と「ラガー」の2種類に分けられます。
エールとは
エールは古くから用いられている発酵方法で造られるビールのこと。発酵が進むにつれて、酵母がタンクの上面に浮いてくる「上面発酵」を用います。
常温〜やや高温(20度前後)で3〜5日間発酵させ、その後2週間ほど熟成させます。
ラガーとは
エールには「温度が低すぎると発酵が進まない」という欠点がありました。そこで中世以降に誕生したのがラガーです。
ラガーは発酵が進むにつれて、酵母がタンクの底に沈んでいく「下面発酵」を用い、低温(10度前後)で1週間〜10日間発酵させます。
世界の人気ビール12選
ビールを細かく分類すると、世界で100種類以上もあると言われています。ここでは世界のビールをピックアップし、味や香りといった特徴を紹介します。
名称 |
種類 |
発祥国 |
特徴 |
---|---|---|---|
① アメリカンラガー |
ラガー |
アメリカ |
炭酸が強く、苦みが弱い爽やかな味わい |
② ウィンナーラガー |
ラガー |
オーストリア |
トーストのような香りと甘み |
③ アビイ(修道院)ビール |
エール |
ベルギー |
アルコール度数が高く、濃厚な味わい |
④ シュバルツ |
ラガー |
ドイツ |
苦みは控えめ、クリアな味わい |
⑤ ペールエール |
エール |
イギリス |
フルーティながらも苦みがある |
⑥ IPA |
エール |
イギリス |
香りと苦みが強く、アルコール度数が高い |
⑦ ホワイトエール |
エール |
ベルギー |
なめらかで豊かな風味、さっぱりとした酸味 |
⑧ スタウト |
エール |
アイルランド |
濃厚な苦みや香りがある |
⑨ フルーツビール |
その他 |
不明 |
甘い香り・味で、ホップが苦手でも楽しめる |
⑩ ランビック |
その他 |
ベルギー |
酸味が強くワイルドな香り |
⑪ グーズ |
その他 |
ベルギー |
麦で造ったシャンパンのような味わい |
⑫ チョコレートビール |
その他 |
不明 |
ビターチョコレートのような苦みや甘み |
① アメリカンラガー|口当たりは軽い
その名の通り、米国で誕生した「アメリカンラガー」は、麦芽の他に米やとうもろこしなどの副原料を使用。そのためホップの苦みは弱く、口当たりは軽くなっています。
金色のような色合いで、炭酸も強いアメリカンラガーは、5〜7℃に冷やして飲むことがおすすめです。
② ウィンナーラガー|赤銅色のラガービール
「ウィンナーラガー」はオーストリアの首都ウィーンで生まれた、珍しい赤銅色のラガービール。「ウィンナー・モルト」という麦芽を低温で「焙燥(ばいそう)」させると、薄い焦げ色が付きます。トーストのような香りと甘みを楽しめる点が特徴です。
ウィンナーラガーの歴史を辿ると、オーストリア・ハンガリー帝国が崩壊した際に一時は衰退しています。しかし19世紀にオーストリア人がメキシコにウィンナーラガーを持ち込み、現代でもそれをベースにしたビールが造られ、人気を博しています。
③ アビイ(修道院)ビール|アルコール度数が高く、味わいが濃厚
「アビイ」とは「修道院」を意味します。ヨーロッパの修道院では、キリスト教の修道僧たちが「神に祈りを捧げ、自給自足で生活すること」を理想とし、その中で伝染病を防ぐ命の水としてビールが造られていました。
修道院のビールの造り方は、樽ではなく瓶内で発酵させる点が特徴的です。そのため発酵させた日数が異なると、同じ銘柄でも瓶によって味が変化します。また、アルコール度数が高く、味わいが濃厚なのもポイントです。
④ シュバルツ(シュヴァルツビア)|苦みは控えめ、クリアな味わい
ビール大国ドイツで生まれた「シュバルツ」。シュバルツはドイツ語で「黒」を意味し、黒ビールとして有名です。麦芽の焙煎度が低いと黄金色のビールになり、高いと黒くなります。
色合いに反して苦みは控えめで、クリアな味わいが特徴です。
ちなみに、黒ビールのようなラガービールに適したグラスは「ラガーグラス」と呼ばれるもの。グラス底の少し上がくびれていて、飲み口に向かって広がる形状となっているため、香りや喉ごしを楽しめます。
⑤ ペールエール|フルーティながら、苦みもある
イギリスのバートン・アポン・トレントという地で18世紀に誕生した「ペールエール」は、原料に酵母由来のりんご・はちみつ・洋梨などが使われ、フルーティながらも苦みがあるビールです。
当時は、濃い色のビールが主流で色の淡いビールが珍しかったことから「ペール(色が淡い)エール」と呼ばれています。
かつて、人気になったペールエールをバートン以外の地域でも造ろうとしましたが失敗。その原因は、バートンの硬水ではなく、軟水を使用したためと考えられます。
そこで軟水を硬水化して醸造する「バートン化技法」が開発され、さまざまな地域でペールエールが製造されるようになりました。
⑥ IPA(インディア・ペールエール)|香りや苦み、アルコール感が強い
「IPA(インディア・ペルエール)」という名称ながら、発祥の地はイギリスです。
ペールエールを遠方に運ぼうとしても、船内の高温多湿かつ振動をともなう環境に耐えられませんでした。そこで、18世紀末にインドで生活するイギリス人のため、海路で運べるように造られたのがIPAです。
航海中に菌が増殖し品質劣化するのを防ぐため、IPAは高いアルコール度数と、多量のホップで造られました。そのため、香りや苦み、アルコール感どれも強くなっています。
⑦ ホワイトエール|豊かな風味、さっぱりとした酸味
「ホワイトエール」は、なめらかで豊かな風味、さっぱりとした酸味を楽しめるエールビール。
ベルギーのヒューガルデン村で14世紀に誕生し、一度は製造されなくなりましたが、20世紀になってから同村の牛乳屋さんによって再び製造されるようになりました。
伝統的なホワイトエールには、コリアンダーやオレンジピールを使用。ホワイトエールの味わいや香りは、これらの原材料を使用しているためなのです。
⑧ スタウト|濃厚な苦みと香りのあるエールビール
「スタウト」の名称はもともと「スタウト・ポーター」です。18世紀当時、イギリスで人気だった黒ビールの「ポーター」から進化したもので、人気が広まるにつれて、今のようにスタウトと呼ばれるようになりました。
スタウトは麦芽化せずに焙煎した大麦(ローストバーレイ)を用いて製造します。その分、濃厚な苦みや香りのあるエールビールになっています。
⑨ フルーツビール|甘い香りと味わい
「フルーツビール」はその名の通り、製造工程でフルーツを使用しています。醸造の途中でフルーツを漬け込んだり、フルーツエキスを加えたりと、いくつかの製法があります。甘い香りと味わいで、ホップの苦手な方でも楽しみやすいのが魅力。
フルーツビールで使用される果物には、以下のような種類があります。
⑩ ランビック|酸味が強くワイルドな香り
ベルギー発祥の「ランビック」は、ラガーやエールに属さない「自然発酵」で造られるビール。ブリュッセル近郊にしか生息しない野生酵母と、バクテリアを使用しています。
ほかのエリアで同じ製法を用いて造ったとしても「ランビック」のブランドは名乗れません。
ランビックは大量の麦芽に、発芽前の小麦、酸化したホップを加えて長期間にわたって熟成させます。そのため、酸味が強くワイルドな香りを持った独特な仕上がりになります。
⑪ グーズ|シャンパンのような味わい
「2〜3年間熟成させたランビック」と「1年ほど熟成させた若いランビック」をミックスしたのが「グーズ」です。これらを半年〜7年ほど寝かせて二次発酵させることで、通常のランビックとは異なる味のビールになります。
若いランビックに含まれる糖によって二次発酵が進むことで、グーズには炭酸が多く含まれ、「麦のスパークリングワイン」と言われるほど一般的なビールとは一線を画しているのも特徴。シャンパンのような味を楽しめます。
⑫ チョコレートビール|カカオ豆のエキス入り、独特な苦みや甘み
スタウトなどの黒ビールを造る際に、チョコレートモルトやカカオ豆のエキスを使用します。名前に反してチョコレートは含まれていないものの、ビターチョコレートのような苦みや甘みを感じられるのが特徴です。
バレンタインデーや父の日に、ビール好きの方にいつもと違うプレゼントを渡したいなら、チョコレートビールを選択肢にしてみるのも手です。
まとめ
今回はビールの定義や製造方法、種類について解説しました。紹介したビールは世界に100種類以上あるビールのほんの一部です。世界中のビールを取り寄せて、飲み比べしてみるとビールの歴史や深みを感じられるかもしれません。
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