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新聞輪転機の消耗品にともなう廃棄量
「ローラ再生装置(ARS:Awakening Roller press System)」とは、新聞輪転機で使われるゴムローラーを再生する装置。朝日新聞を中心に多様な印刷を行う朝日プリンテックが、新聞輪転機で使われる消耗品を少しでも長く使い、廃棄物削減に貢献しようと独自に開発した装置だ。
硬くなり縮んだゴム製ローラーをふっくらと元に戻す装置
朝日プリンテックは1997年の創業以来、環境にやさしい取り組みを続けている。その試みは、紙のロス削減から、操業で使われる電気を太陽光発電で賄うなど、あらゆる面で行われている。朝日プリンテックが独自に開発し、販売をしている「ローラ再生装置(ARS)」もその一つ。新聞輪転機で使われている消耗品をできる限り再生し、廃棄物の軽減に貢献したいという志から誕生した。
お話を伺ったのは、技術センター長の椙原浩史さん。そもそもローラーとは、印刷機のどの部分で使われているものなのか。「新聞輪転機には、版胴にインキや水を供給するために、金属製とゴム製のローラーが取り付けられています。ゴム製のローラーは、印刷を繰り返していくとだんだんと性状が硬くなり、縮んできてしまいます。また紙やインキから溶け出した成分がゴム面にこびりついて、インキののりが悪くなります。こうしたことから、ゴム製のローラーはある程度使うとゴムの巻き替えが行われるのですが、この時に大量のゴム廃棄物を発生させていました」。
そこで朝日プリンテックでは、ゴム製ローラーの硬さや縮みを元のように弾力のあるものに戻し、表面のこびり付きを取り除く「ローラ再生装置」を独自に開発することにした。
「以前は、ゴム製ローラーが古くなると、メーカーさんに出して巻き替えてもらっていました。ローラーを再生することによって廃棄物を減らすこともできますし、替えに出すための輸送にかかるCO2の削減の効果もあります」
ゴム製ローラーはおおよそ2年に1度の割合で替える。朝日プリンテックでは新聞輪転機1セットで、150から200本のゴム製ローラーが取り付けられているという。工場によっては新聞輪転機が5セットあるというから、その分のゴムの廃棄量も約1千本分と膨大となる。さらに輸送時のCO2が削減できるというから、地球環境を守るためにメリットが大きい装置といえるだろう。
使用済みのゴム製ローラーをわずか30分で新品に近い状態に戻す
「ローラ再生装置」は、横長の装置の上半分が開閉できるようになっており、そこに再生したいローラーを取り付ける。装置の中にあるもう一本のローラーと接触回転させながら、ゴムを再生する溶剤を染みこませる仕組みだ。
開発しようと思ったきっかけを聞くと、「私たちは現場でゴムが膨潤する性質であることを目の当たりにすることがあります。この性質を利用することで、縮んだゴム製ローラーを元に戻せるのではないかと思いつきました」と椙原さん。最初は劣化したゴムをふっくらと戻せる液体にそのまま漬けてみたが、膨潤度合いにムラができて、ローラーの表面に凹凸ができてしまったという。そこで、ローラー同士で均等な圧力を掛けながら液体を染みこませる方法に変えてみたところ、均一に戻せることに成功した。しかも1本のゴム製ローラーを再生する時間はわずか30分程度という。
「再生頻度も巻き替え期間と同様、2年が目安です。ゴム製ローラーの表面がむしれているなど、物理的に破損していなければ2回ほど再生できるので、寿命が2年だったものが6年間使えることになります」。
朝日プリンテックでは、「ローラ再生装置」を製品化して販売をしている。すでに大手の新聞印刷工場や、更には商業印刷の工場でも使われており、内外的にも廃棄物削減の効果が表れている。
「おかげさまで導入いただいた印刷会社様からは、巻き替えを外注する頻度が大幅に減ったとよろこびの声をいただいております」
環境にやさしい取り組みを自社だけで終わらせることなく、同じ印刷会社とも共有していく。朝日プリンテックは、新聞印刷にとどまらず、印刷業界全体の可能性を広げる開発を続けている。
(話を伺った方)
株式会社朝日プリンテック
技術センター長 椙原浩史さん
*組織、所属などは撮影時点で記載しております
【お問い合わせ】
株式会社朝日プリンテック
TEL 03-6278-5680(代表)
https://asahi-pt.co.jp/
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