【文房具のプロに聞く】人気消しゴムと選ぶポイント
勉強やオフィスシーンでよく使う文房具の消しゴム。
使う用途によって、消しやすさや適した形状など、消しゴムを選ぶポイントが異なってきます。
小さい頃から見慣れたカバーに印刷されたロゴやブランド、有名なメーカーの製品でも、その特徴や実際の消しやすさまでわからないですよね。
そこで、今回は東急ハンズで長年、文房具売場を担当する池内さんに消しゴムの選び方について取材しました。
売り場にいるからこそ分かる、人気の消しゴムや最新の技あり消しゴムまで、今トレンドになっている消しゴムについて聞きました。
消しゴムのあれこれに精通!文房具のプロに取材
美術系の学校出身で、もともと漫画家を目指していたこともあるという池内さん。その時の経験からペンや画材への興味を持ち、東急ハンズに入社します。
約10年にかけて文房具担当を勤め、2018年3月にできた東急ハンズ新宿店内の「万年筆のエフピー堂・店主」に就任。
池内さんは「文房具は暮らしに最も身近なツールの一つ」という信念のもと、昔ながらのベーシックな文房具から最新式の進化した文房具まで、幅広い商品を取り揃えた売り場を展開しています。
目次
▼Moovooでは、付箋ノートの達人にも取材しました。以下の記事もあわせて参考にしてください。
使う用途や使い心地を重視して選ぼう
いつでもすぐに手に入る安価な文房具と思われがちな消しゴム。
けれど、用途によって適した消しゴムを選ぶことで、消しやすさを実感しながら使うことができます。
また、消した後の消しくずの掃除も悩みのタネですが、消しくずがまとまるタイプなど、後処理にこだわった商品もあります。
そこで、東急ハンズ新宿店の池内さんに消しゴムの特徴やメーカーについて聞きました。
身近なブランドでも知らなかった、驚きの裏話もありますので、ぜひチェックしてみてください。
タイプ別!消しゴムの種類を解説
主な消しゴムのタイプには大きく分けて7種類あります。それぞれの素材の特徴や用途について池内さんが説明します。
プラスチック製
現在、最も使われていてシリーズも豊富な消しゴムです。大阪のシード社が特許を取得して製造販売したのがはじまりです。
鉛筆で書かれた字を消す能力に優れていて、汚れた部分が消しクズとなって取れやすく、汎用性が高い消しゴムです。
一般的に「消しゴム」と呼ばれていても、ゴムが使われていないプラスチック製の消しゴムはJIS規格によって「プラスチック字消し」と表示する必要があります。
ゴム製
戦前まで消しゴムは天然ゴムから製造されていたことから、「消しゴム」という名称で普及した歴史がありますが、「ゴム字消し」が正式名称です。
プラスチック製が広がる前に使われていた昔ながらの素材で、やや硬めの質感のため、消字能力はプラスチック製より劣るのがデメリットです。
主にシャープペンのノック部分に付属されていたり、消しゴム付き鉛筆のゴム部分に使用されていて、独特な匂いがあります。
砂製
「砂消し」や「砂消しゴム」という商品名で、ザラザラとした質感の消しゴムです。ゴムと粉末を混ぜた半砂、よりハードに消せる全砂タイプがあります。
ボールペンで書いた文字や印刷された字を消してくれますが、インクを紙ごと削りながら字を消すので、紙にキズがついたり、薄くなることがあります。
練り消し
「ネリケシ」や「練り消しゴム」と呼ばれる商品で、よく練ってから、消したい箇所に押し付けるようにポンポンと叩いて使う消しゴムです。
柔らかい質感で紙を傷めないので、主にデッサン画やパステル画などの粉が多く出る画材を消す時に使います。
鉛筆で描かれた線や塗った部分を少しずつ消すことで、トーンの調整などに使用することが多いです。柔らかくて力を入れにくいので、普通の消しゴムのようには使えません。
ノック式/ペンタイプ
細長いペン型の容器に入った消しゴムで、ノックや繰り出しで必要な文だけ消しゴムを出して使用します。
中の消しゴムがなくなったら替えゴムを入れることで長く使えてエコな上に、ペンケースの中に収納しやすく、細かい場所も消せるといったスマートさが魅力です。
電動式
電動のモーターで消しゴムを振動させることで字や線を消します。中の消しゴムを用途によって入れ替えて使います。
ピンポイントで特定の場所を消すことができるので、製図やイラストの細かい所を素早く消すのに使われていましたが、現在は製図がデジタル化されてきたので、需要が減ってきています。
モーターに強弱がある場合は、強すぎると紙を傷つけることがあります。
おもちゃタイプ
ゴムは整形がしやすいので、昔に流行したスーパーカー消しゴムや人気のキャラクターをかたどった人形など、造形に凝った消しゴムも多数あります。これらは文字を消すためというよりも、遊びの要素が強く、コレクション性の高さが特徴です。
女の子に人気の香り消しゴムは、かわいい形やパッケージで消しゴムに香りを付けてあるものが多く、甘い香りやチョコレートの香りなどが人気です。
その他
修正テープはがし:修正テープを貼った箇所を削り取れる消しゴムです。何度も重ねることで、汚くなってしまった部分をこすると、修正テープが削れて元の文字が出てきます。
ザラザラした質感なのでこすりすぎると紙が傷ついて、文字まで削れることがあるので要注意です。
オリケシ:バンダイから発売されている、電子レンジを使用してオリジナルの消しゴムが作れるキットです。色の異なる消しゴムを組み合わせることで、好きな絵柄を作ることができます。
オリケシ公式サイト
用途別の適した消しゴム
今までの消しゴムの種類を踏まえて、池内さんに使うシーン別に適した消しゴムの種類と選ぶポイントを聞きました。
鉛筆やシャープペンシルを使う勉強
勉強では書いたり消したりといった作業が繰り返して行われるので、消しカスが少なく素早く消せる商品が良いでしょう。
大人と子どもでは指先の力に差があるので、子どもは柔らかくて折れにくい消しゴムを使うと紙を傷めません。大人は力の調整ができるので、やや硬めの消しゴムを使うと、力を入れやすくスピーディに消せるでしょう。
小学生用:近年は2B~6B等の柔らかい鉛筆を使用する傾向があるので、消しゴムも柔らかく、黒鉛を密着してかき取るタイプが使いやすいです。低学年用に濃い鉛筆をきれいに消す消しゴムもあります。
中学生以上:受験などで勉強の量が増えてくると、シャープペンシルでHB~Bの芯を中心に使用することになります。やや硬めの芯では紙をへこませながら記入することが多いので、やや硬めの消しゴムで溝から掻き取るタイプが望ましいでしょう。
小さな文字を書く人なら、細めのポイント消しが使いやすいですし、試験用にマークシートの鉛筆をきれいに素早く消せる「マークシート用」や、答案用紙が途中で破れないように工夫されている消しゴムもあります。
イラストやお絵かき
絵を描く際に使用される筆記具は、芯が柔らかくて色も濃いので、消しゴムは柔らかい素材で消しカスが出にくいフォーム系の消しゴムを使うと良いでしょう。
トーンを調整するような細かな調整が必要であれば、ねり消し使いましょう。
子供のお絵かきには、色鉛筆やクーピー専用の消しゴムを使いましょう。色鉛筆にはワックスや油分が含まれているので、通常の消しゴムでは、完全に消すのは難しいでしょう。
ボールペンを使うビジネスシーン
オフィスでは書類の記入や、会議のメモなどで消しゴムを使いますが、どの場合でも限られた時間でスピーディに消せることが重要になります。
力を入れて素早く動かしても、耐えられる硬さのある消しゴムが適しています。
製図や緻密なものを書く時
図面など精密なものは、消す場所がピンポイントになるので、スリム型の消しゴムを使うことで細かい所も素早く消せます。
消す時にゴムがブレると余計なところまで消えてしまうので、ゴムがしならない適度な硬さがあるとより良いでしょう。
知らなかった!人気消しゴムにまつわるうんちく
文房具の情報を網羅する池内さんだからこそ知っている、おなじみの消しゴムにまつわるエピソードをご紹介します。
MONO(モノ)/トンボ鉛筆
1969年に発売された消しゴムのロングセラー商品。日本人なら誰でも知っている有名なブランドで、柔らかめの質感で消しやすいのが特徴です。今ではMONOブランドで、用途に応じて様々な消しゴムが製造販売されています。
<プロのうんちく!>
もともとはMONO100鉛筆のオマケでしたが、「よく消える」と商品化を望む声が高まり、「MONO消しゴム」として発売されました。
Arch(アーチ)/サクラクレパス
スリーブ前部がアーチの形状になっているので、消しゴムに食い込んで負荷がかかってしまうのを軽減します。アーチ状のスリーブを活かすために、後部から切り離せるようにミシン目が入っています。消しゴム自体も滑らかに消すことができる、フォーム生地を採用しています。
<プロのうんちく!>
試験中など焦って消すとき折れたりするのを防ぐ、アーチ状のスリーブが画期的な消しゴムです。
Rader(レーダー)/SEED(シード)
プラスチック消しゴムを発明したシード社の代表的な消しゴムで、定番中の定番。
「日本字消工業会」基準の消字テストで97%のとても高い数値を記録している高性能消しゴムで、良く消えます。
色々な大きさの消しゴムがあり、1万円もする超巨大なサイズのRadarもあります。
<プロのうんちく!>
「レーダー」のネーミングは発売当時(1968年)、最新技術の象徴であった電波探知機にちなみ、レーダーのようにニーズをとらえて高性能の消しゴムを提供したい、という意味が込められています。
最近、店頭では完全透明のクリアRadarが爆発的に売れています。
Ain(アイン)/ぺんてる
軽いタッチで素早く消せるので、学生に人気がある消しゴムです。 アインシリーズには消しくずがまとまってなめらかに消せる「まとまるタイプ」や、ブラックのボディで汚れが目立たない「ブラック」があります。どれも耐久性があって長持ちするのもポイントです。
<プロのうんちく!>
綴りは違いますが、「アイン」という読みはドイツ語で「1」の意味があり、№1の消しゴムという意味で作られた消しゴムです。
RESARE(リサーレ)/コクヨ
軽い力で消せる・コシがあり折れにくい・消しクズがまとまる・よく消える、と消しゴムに備える機能の平均値が高く、弱点の少ない消しゴムです。消しゴムでは珍しく7色展開で鮮やかなカラーから選べます。
<プロのうんちく!>
RESAREとは、英語で消しゴムを意味する「ERASER」のつづりを逆から読んだもので、「RE (再び)」「SARE(サラッと消す)」という意味を込めた造語です。
AIR-IN(エアイン)/プラス
発売から30年を超える隠れたロングセラーの消しゴムです。
ゴムにエアーが入っているので、いつもカドで消すような軽い消し心地で、鉛筆の鉛粒子をしっかりと包み込んで、筆跡をきれいに消してくれます。
<プロのうんちく!>
漫画家やクリエイター、消しゴムマニアといった大人にも選ばれることが多い商品です。
定番消しゴム比較表
池内さんが紹介した定番の消しゴムブランドのスタンダードな商品を徹底比較しました。
ブランド | MONO | Arch | Rader | Ain | RESARE | AIR-IN |
---|---|---|---|---|---|---|
メーカー | トンボ鉛筆 | サクラクレパス | シード | ぺんてる | コクヨ | PLUS |
素材 | PVC樹脂 | 塩化ビニル | PVC | PVC | PVC-P | PVC |
大きさ | 23x11x55mm | 19x10x45mm | 24x55x12mm | 26×65×13mm | 24.5x59x12mm | 19×48×11mm |
重さ | 19g | 11g | 19g | 29g | 22.7g | 13g |
硬さ | 柔らかめ | やや固め | やや柔らかめ | やや固め | やや固め | 柔らかめ |
消字能力 | 良い | 良い | とても良い | 良い | 良い | 良い |
消しくず | 普通 | まとまる | 普通 | 普通 | まとまる | 普通 |
特徴 | 定番中の定番 | 折れにくい | 消しゴムのパイオニア | 耐久性がある | カラーが豊富 | エアー入り |
文房具のプロがおすすめする消しゴム7選
池内さんによると近年では今までの消しゴムにはなかった機能の付いた消しゴムが出てきているそう。そこで、最近のヒット商品に多いやや硬めの消しゴムを中心に、トレンドの消しゴムを選びました。
<池内さんのポイント>
学生に絶大な信頼性のある「Ain消しゴム」。素早く消せてカスが少なく、しかも折れにくいので、勉強中の煩わしさがこれである程度解消すると思います。
- パイロット(PILOT)
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フォームイレーザー Sサイズ
- 税込み55円(楽天市場)
-
軽く消せて、消しくずもまとまる
-
従来の消しゴムは消し心地が良いと消しカスが細かくなる傾向にありましたが、特殊発泡体を採用することで軽く消せるのに、消しクズがまとまる高性能な消しゴムです。
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<池内さんのポイント>
デザインやイラストで消しゴムを使う人から支持されている、パイロットの「フォームイレーザー」。程よく柔らかで、よく消えカスも少ないので人気があります。
- シード(SEED)
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クリアレーダー100 EP-CL100
- 税込み107円(楽天市場)
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透明だから、消したいところが見える
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クリアな素材で透けて見えるので、消したい場所を確認しながら使うことができます。透明性があるのに、レーダーの優れた消字能力もそのままです。
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<池内さんのポイント>
消す部分を視認しやすい透明タイプの消しゴム。折れにくい特殊な生地で、グリップ力のあるやや硬めの消し心地が特徴です。
- トンボ(Tombow)
-
消しゴム モノタフ EF‐TH
- 税込み140円(楽天市場)
-
MONOシリーズ最強の消しゴム
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硬くてしなりにくい素材で、スリーブに食い込みにくくなっています。また、斜めにカットされたスリーブが消しゴムにかかる負担を分散してくれます。
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<池内さんのポイント>
名前の通り、折れ、割れ、カケに対応したM0N0シリーズの中でも、タフな消しゴム。やや硬めの消し心地です。
<池内さんのポイント>
消しゴムの中に鉄粉が混ざっていて消しカスを本体付属のネオジム磁石でくっつけてまとめるという、画期的な消しゴムで、学生を中心に物凄く売れています。
- ヒノデワシ
-
まとまるくん MM‐100
- 税込み132円(楽天市場)
-
まとまる消しくずの先駆者
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発売から30年以上経っても、なお愛用者の多い消しゴムです。ネーミングの通り、消しくずがまとまってくれるのが特徴です。
- ハンズで見る
- Amazonで見る(3個)
-
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<池内さんのポイント>
毎年限定のフレーバーを出し、まとまるくんファンを楽しませてくれるシリーズで、マニアにも人気の商品です。
ソフトな消し心地で軽く動かすだけで消せますが、素材がとても柔らかいので減りが早いのが難点。
<池内さんのポイント>
消しゴムとして普通に使用できますが、ゴムが減っていくことで富士山の形状に変化していき、目にも楽しませてくれる消しゴムです。
番外編!消しゴムライフを広げるアイテム
今まで消しゴムを紹介してきましたが、番外編として東急ハンズの池内さんに消しゴムの新しい使い方が楽しめるグッズや、消しゴムと一緒に使うおすすめアイテムを聞きました。
消しゴムはんこでオリジナルのスタンプを作る
筆記用具としての消しゴムだけでなく、消しゴムを趣味で楽しむ人が増えています。
最近では自宅にいる時間が長くなって、子どもと一緒に家でできる趣味として「消しゴムはんこ」が注目されています。
- シード(SEED)
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シード ほるナビA6 KH-HN1
- 税込み690円(楽天市場)
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消しゴムはんこ初心者向け
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ハガキサイズの消しゴムに、色のついた層があることで、彫ったところと彫っていないところが一目瞭然。彫り残しが少なく、きれいな消しゴムスタンプが作れます。
- Amazonで見る(5個)
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楽天ブラックフライデー開催中!楽天市場で見る
- Yahoo!で見る
消しゴムはんこに特化した機能が備わった消しゴムです。
白い消しゴムだと、どこが彫ったところかわからなくなったり、彫りが浅くてうまくスタンプできなくなることも。けれど、ほるナビは色の異なる2層構造で、彫った場所がわかりやすいのが特徴です。
また、初心者でも彫りやすいように、適度な硬さで削りやすい素材になっています。
ハガキサイズと大きめなので、年賀状や挨拶状に使ったり、使う分だけ切り取ってミニスタンプを作ったりと使用用途が広くて便利です。
消しカスはクリーナーで簡単お掃除
消しゴムというと消しカスの処理が面倒という人も多いのでは?ノートの周りに散らばってしまうと、集めて捨てるだけでも一苦労ですが、消しカスを効率よく集めて捨てられるクリーナーがありますよ。
クルマ型のコンパクトなサイズで、指先で軽く転がすと車内の2つのほうきがパタパタと動いて、消しゴムのカスなどの小さなゴミを集めます。
集めたゴミは、底のフタを開けるだけで簡単に捨てられます。
直径8.5cmというコンパクトなサイズなので、勉強机やオフィスのデスクに置いても違和感がありません。
空気が上面に向かって排出されるので、掃除した場所のゴミを舞い上げずに、くまなくお掃除できるので、勉強の後に机全体をお掃除する際に活躍してくれそうです。
目的にあった消しゴムを選ぶと、消す作業が快適に!
今回は東急ハンズ新宿店の文房具のプロである池内さんに消しゴムについて聞きました。
最近は消せるボールペンなども出ていて、シャーペンや鉛筆を使う機会が少なくなったという人もいるかもしれません。それでも消しゴムは文房具としては必須アイテム。
100円均一ショップでも売っていますが、人気ランキングに入ってくるような商品は、消しやすい、折れにくい、消しクズがまとまりやすいなど、どこかに優れたポイントがあります。
単純にメーカーやレビューのコメントなどで決めてしまわずに、この記事の情報をもとに、それぞれの特徴を知り、用途にあった消しゴムを見つけてください。
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