「黒のフレーズ」「金のフレーズ」TOEIC高得点への活用術 黒フレ筆者に聞く
TOEIC対策の人気単語帳「特急シリーズ」(朝日新聞出版)。中でも「金のフレーズ」は定番中の定番の一冊です。さらに2020年秋には、よりハイレベルな「黒のフレーズ」が発売され、990点満点を目指す人の学習までカバーできるように。
今回は「黒フレ」筆者で自身も満点を取得している藤枝暁生さんに、TOEICの超実践的な勉強法をインタビュー。黒フレ・金フレでより高得点を取るための活用術も詳しく聞きました。
TOEICで「絶対出ない」単語とは?
120回超におよぶTOEIC受験の中で、独学で満点が取れるようになるなかで、600点〜990点満点を目指す上級者向けの単語帳が特急シリーズになかったためです。
ひとつがTOEICに実際に出る単語を掲載している点です。「出ない単語」は1つも掲載しないのがこだわりです。TOEICには他の英語テストと異なり、戦争や革命、犯罪行為、政治・宗教・民族、核問題、自殺やいじめ、妊娠中絶などのトピックは出題されないため、これらのトピックに関連する単語は出ないことが、過去の傾向からはっきりしています。
しかし、TOEIC受験をしたことがない人が書いた参考書には出ない単語も登場するので、TOEIC対策という面では効率が落ちてしまいます。
600点レベルの学習者なら当然知っている基本的な単語学習を省略することで、得点アップにつながる難単語を効率的に学習できるように配慮しています。
TOEIC試験に初めて挑戦する方や、英語に自信のない方であれば、難しくない「銀のフレーズ」から学習を始めて、次に「金のフレーズ」、そして満点を狙うための「黒のフレーズ」へと進めていく方法がオススメです。
ある程度英語力に自信のある方であれば、単語帳を手にとって実際に見て、自分のレベルにあった単語帳から始めてみてもいいかもしれません。
より高い学習効果を得るコツは、一つの単語をさまざまなセンテンスの中で触れることです。触れる機会が多いほどしっかりと記憶されやすくなるので、一冊の単語帳に絞って学習するよりも何冊かの単語帳を併用してみてください。
「銀フレ」と「金フレ」や、「金フレ」と「黒フレ」では、全く異なる単語を掲載しているわけではありません。一部の掲載単語で被りがあります。これは、読者の方に同じ単語に触れてもらう機会を増やすために敢えてしています。
脳に定着しやすくなるだけでなく、「違う例文で見たら意外とすんなり覚えられた」という場合もよくあります。
そのため、オススメの学習法は、まずは「銀フレ」で基礎固めを行い、続いて「銀フレ」と「金フレ」を併用した学習、次に「金フレ」と「黒フレ」を併用した学習という流れが効果的です。
そして全ての単語帳を使った単語学習を終えたら、日替わりや週替わりで単語帳を1冊選んで復習を繰り返すことでさらに記憶に定着されていきます。一つの単語にさまざまなシーンで出会うこと、さらに繰り返し学習を行うことで新たに覚えるべき単語が自分のものになっていきます。
TOEICはどのスコアレンジの人も同じ試験を受けます。そのため、まだ600点に達していない方が難易度の高い英単語を覚えることは決して無駄なことではありません。TOEICで目標としている得点に近づくためにも、早い段階から単語学習を始めてみるのが良いでしょう。
目指せ満点!「黒フレ」の効率的な使い方
特急シリーズ共通の特徴ですが、新書サイズで持ち運びやすく、開きやすいのでいつでもどこでも勉強することが可能です。
単語学習は反復して何度も見ることが大事なので、持ち運びやすさは重要なポイントです。いくら良い本でも、電話帳のように分厚かったら持ち運ぶ気になりませんよね。持ち運べないと学習する機会も減ってしまいます。
本の始まりから終わりまで難易度を一定にしています。
どういうことかと言えば、一般的な単語学習帳は「易しい単語」から徐々に「難しい単語」へと学習を進めていきますが、「黒フレ」は4段階に単語をレベル分けし、どのレベルの単語も同じページに一定数登場させることで、第一章から最終章まで難易度の差をなくしているのです。
具体的には、1ページの構成が「やや難(Aランク:600〜800点レベル)」が3語、「難(Bランク:800〜900点レベル)」を3語、「超難(Cランク:900〜950点レベル)」が2語、「鬼難(Sランク:950〜990点レベル)」が2語の計10語で成り立っています。
それは3つのメリットがあるからです。
1、一つの難易度をクリアするだけでも一冊読み終えられる
まずは覚えやすい「やや難」単語を一通り学習するだけで「黒フレ」を一周することができるので、達成感が得られ、さらに学習を深めるための自信につながります。
また、単語帳への愛着もわきます。学習を進めても、後半が難し過ぎて途中で心が折れてしまう心配も防げます。
2、知らない単語も、一緒に知っている単語と並べれば抵抗なく覚えやすい
ページ全体が知らない単語だらけでは、せっかくの学習意欲が失われてしまうこともあるでしょう。知らない単語を知っている単語で挟むことにより、馴染みやすくしています。抵抗感がなくなれば、最後まで単語帳をやり通すことにつながるでしょう。
3、「見たことがある単語」が増えることで語彙力増加が加速する
単語学習で大事なことは「見たことがある単語」を増やすことです。「見たことがある単語」は「未知の単語」に比べて何倍も覚えやすいため、「見たことがある単語」を増やすことは、語彙力強化の基本です。
難易度ごとに学習しながら「黒フレ」を何周もクリアする過程で、意識していなくても他の難易度の単語も自然と目に入ってきます。「見たことがある単語」が効率的に増えることで語彙力が増していくのです。
日本語→英語の方が脳にかかる負荷が大きく、その分しっかりと脳に刻まれます。これは、実際に私が学習している中でも実感してきたことです。
また、英語を答える形の方が関連語や類義語と結び付けやすく、見出し語以外の語彙も一緒に覚えることができるので効率的な学習につながります。
TOEICは言い換え表現などの出題が多い点が特徴なので、関連語や類義語を学習することは英語力の強化にもTOEICのスコアアップにも必須です。単語帳を実際に使う際には、派生語も一緒に覚えていくのがオススメです。
おすすめの「黒のフレーズ」勉強方法
自分の実力と目指しているスコアに合わせて活用してください。まずは目標スコアを決めましょう。
ABCSの4つの難易度は目標とするスコアレベルに合わせて設定されています。目標スコアを基準に考えると、例えば800点台までならABランク、900点を超えたいならABCSすべてのランクの単語をクリアする必要があります。
次に、実力に合わせて最初にやるべきことが変わってきます。600点台やTOEIC初心者の方なら、Aランクから順番に、難易度ごとに単語帳を最初から最後までやっていきましょう。
Aランクを一周できたら、次はABランクを最後までやる、次にABCランク、最後にABCSランクというように徐々に難易度を高くしていくのがオススメの学習法です。こうすることで、一通りやった単語帳に愛着が湧いてきますし、未知の単語だらけのページを学習するよりもはるかに覚えやすくなります。
また、覚える気がなくても他の難易度の単語も自然と目に入ってきます。
一方で、すでにある程度実力のある方は、まず最初に黒フレに出てくる単語を三種類に分類するといいでしょう。
Aは完全に知っている単語、Bは見たことはあるけれどはっきりとは分からない単語、Cは全く知らない単語、と言った感じです。単語帳にABCを書き込んだり、マーカーで色分けしても良いです。分類が終わったら、上で紹介した難易度ごとの学習を「全く知らない単語」を中心に行うことで、効率的に語彙力を増やすことができます。
この単語の分類方法に関しては、黒フレ54ページのコラムで詳しく紹介しているので、学習を始める前にぜひ読んでみてください。
まずは学習計画を立てましょう。「200単語」を「一週間」で学習するのがオススメですが、自分の学習スタイルに合わせて一週間単位や一日単位でどれだけやるかの計画を立てることが肝心です。
実際の学習では、まずネイティブの発音を聴きながら単語帳を開き、英単語と日本語訳、さらにその発音を対応させて学習していきましょう。
なぜ最初に単語の発音を確認すべきかというと、間違えた発音で単語を覚えてしまうと正しい発音で覚え直すのが難しく、二度手間になるからです。また、TOEICはリスニングのテストもあるので、字面だけではなく発音を聞いただけでその単語の意味を理解できるようにすることも大切です。
正しい発音と言葉の意味が確認できたら、音声だけで正しいスペルを書けるか、意味が分かるか確認しましょう。
その際には、隙間時間や通勤通学時間を活用するのがオススメです。アプリやダウンロードによる正しい音声を聴く学習は、通勤通学時などの単語帳を開けない時でも出来るからです。
「黒のフレーズ」の音声は公式HPからのダウンロードと「abceed」というアプリの二箇所から入手することができます。公式HPではABCSの難易度ごとに一通り読み上げてくれる音声があり、アプリ版ではフレーズの読み上げる速さを自由に調節できます。
どちらも無料なので、ぜひ活用してTOEIC満点を実現してください!
一番大切なことは、単語を何度も何度も繰り返し見ることです。初めて出会った単語が一度で覚えらるということは少ないです。一度見ただけでは忘れてしまうことも当然なので、忘れることを恐れずに単語帳を何度も開いて徹底した反復学習を行いましょう。
3冊の「フレーズ」まとめ
今回ご紹介した三冊の単語帳について表にまとめてみました。どの単語帳から学習を始めるか悩んでいる方は参考にしてみてください。
藤枝先生が述べられていたように、さまざまなフレーズで単語に触れることにより、語彙力が強化され、英単語の意味の広がりを学ぶことができます。一冊に絞って学習するのも手ですが、段階的に三冊を利用することで広く英単語を理解していくのが、初心者の方にとっても高得点につながる効率的な学習方法と言えます。
ある程度英語に自信のある方は、「銀フレ」や「金フレ」を復習用として使いながら、「黒フレ」で未知の単語を学習することで、さらに高い目標へ向けて学習を進めてみてください。
銀のフレーズ |
金のフレーズ |
黒のフレーズ |
|
---|---|---|---|
学習対象 |
初心者向け |
中級者向け |
中・上級者向け |
難易度別 見出し語数 |
・600点レベル |
・600点レベル |
・600〜800点レベル |
その他 |
金フレからの抜粋単語が半数あり、金フレを初心者向けにアレンジしたもの。ただし、フレーズは全て新しいので金フレ学習者でもやる価値あり。 |
新形式移行後に出された改訂版。さらにTOEICに特化。見出し語以外に、重要語100や多義語、前置詞、定型表現なども掲載されている。 |
600点レベルの学習者が知っているであろう単語をカットすることで難単語が多く盛り込まれている。金フレ見出し語との被りあり。 |
語彙力UPで目指せ目標スコア!
今回は、「黒のフレーズ」の作者である藤枝先生に黒フレや英単語の勉強方法について詳しくお伺いしました!ぜひ参考にしていただいて、自分の目標スコア達成を目指していきましょう。
さらに、なんと藤枝先生は「上級単語特急 黒のフレーズ」の続編である「超上級特急」を現在執筆中とのことです!こちらの発売もお楽しみに!
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