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日本にカンボジアコスメ コロナ苦境に和僑が挑む

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新型コロナウイルスは人の動きを止め、観光業に大きな打撃を与えた。その大波は自国外からの訪問客で成り立っていた世界的な観光地ほど、ひどい。さらに途上国の場合は、政府からの支援も行き渡りにくく、関連産業の人々は苦しむ。持ち前のチャレンジ精神で数々の苦難を乗り越えてきた、ある日本人が今、クラウドファンディングで支援を呼びかけている。

「上を向いて頑張りたい」

「私たちはこれからもカンボジアのハーブにまつわる文化、伝統を日本の皆様にお伝えすると共にこれから先、海外旅行がまたできるようになった時には、スタッフ一堂、笑顔でお客様をお迎えできるように上を向いて頑張っていこうと思っています」

「このクラウドファンファンディングに皆様のご支援と応援をお待ちしております」

動画でこう訴えるのは、クルクメールボタニカル社代表の篠田ちひろさんだ。同社は、世界遺産アンコールワットの観光拠点となっているカンボジア・シエムレアプに拠点を構える。

笑顔で信頼関係築く

篠田さんは同地に11年前、カンボジアに古来より伝わる調合法と地場のオーガニックハーブを使った自然派コスメの工房を立ち上げた。

日本から海外に移住し、ビジネスの最前線で活躍する人たちを「和僑」(わきょう)と呼ぶ。世界に散らばる「華僑」をもじった言い方だ。特に海外で起業した日本人を指す傾向がある。

篠田さんはそんな和僑の一人で、海外志向のある日本人から注目を集める。これまでNHKやフジテレビの番組などで取り上げられた。

筆者はちょうど4年前の秋、ミャンマー、カンボジア、シンガポール3カ国の和僑を現地で取材する機会を持った。篠田さんとも、その時に初対面した。シエムレアプの中心部から農村部に一緒に移動。人なつこい笑顔でカンボジア人の懐に飛び込み、信頼関係を築いている様子を間近に見た。

努力実り 直営店とスパ開業

現在はカンボジア社会に溶け込む篠田さんだが、11年前に工房を立ち上げた際はトラブル続きだった。商品作りが思い描いたように進まない。カンボジア人の気質が分からない。資金面でのやりくりにも頭を悩ませた。

そんな中でも、アンコールワットを訪れる外国人のお土産需要を着実につかんだ。自然派コスメの販売を伸ばし、2012年5月にはオールドマーケットの一角に直営店を出す。さらに2015年4月には自社製品を使ったスパの開業も成し遂げた。

夢中で駆け抜けると、あっという間に10年が経っていた。昨年時点で、同社は日本人とカンボジア人を合わせ約40人を雇用するまでになった。

一転苦境に 従業員の一時解雇も

お客が喜び、雇うスタッフの自立につながり、原料の仕入れなどを通して地域にも役立つ。篠田さんが掲げる「三方よし」の理念だ。

この理念を守りつつ、今年も着実に会社を成長させるつもりでいた。

しかし、コロナ禍が篠田さんの構想をくじく。

今年1月末、中国人観光客が来なくなり、シエムレアプ国際空港の免税品店での売り上げが蒸発した。

同空港は1日で110便前後が利発着し、年間400万人の利用者があったという。それが3月になると外国人の入国制限のため全便運行停止になり、国際線ターミナルが閉鎖となった。

外国人観光客が来ないと、篠田さんが手がけるコスメ事業、スパ事業共に成り立たない。3月末に休業を決めた。約40人いたスタッフも数人を残し一時解雇するはめになった。

虫除けスプレーなど日本で販売へ

少しでも事態を好転させるため、篠田さんが考えたのが日本への逆進出だ。年間1万本以上を販売している天然ハーブの虫除けスプレーや、女性の支持を集めてきた入浴剤などを日本で販売する計画を立てた。

日本で売れるとなれば、カンボジアでスタッフを少しは雇うことができる。細々とでも事業を継続し、アフターコロナに備える構えだ。

実はこの日本への逆進出は、2011年にも試みて、失敗している。篠田さんは当時を振り返り、「経験も人脈もスタッフも商品も、何もかも足りなかった」と語る。

逆を言えば、経験、人脈、スタッフ、商品共に実力を増したことから、今回は勝機を見いだしている。

クラファンに挑戦中

カンボジアで「三方よし」のビジネスに挑む姿を知ってもらうと、同社は初めてクラウドファンディングに挑戦している。

目標金額は400万円で、期日は2020年10月10日までだ。支援のリターンには、同社自慢の入浴剤などが用意されている。

コロナ禍で、日本では在宅時間が長い状態が当面は続きそうだ。入浴剤で癒やされつつ、カンボジアの暮らしを支える和僑の挑戦を支援してみては、どうだろうか。


CREDIT
Videographer/Writer :高野 真吾
SNS :にしまり


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