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夢が広がる未来の乗り物。bouncyでは、世界各国で開発されている未来の乗り物をたくさん紹介しています。商品化まで至っているものから、コンセプトCG段階のものまで、まだ乗ったことのない未来の乗り物は、私たちをいつでもワクワクさせてくれます。
ですが、ご覧になってる方からよく指摘を受けるのが、「でもこれ、日本では乗れないよね」「そこ走って大丈夫なの?」というご意見。確かに、外国の道交法と日本の道交法の違いから、外国の商品を日本にそのまま輸入しても公道で走れないのがほとんどです。
今回は、さまざまなモビリティがなぜ乗れないのか、乗れる可能性はあるのか、今の日本の問題点、海外の状況と今後の展開を、詳しい人に聞いていきます。
電動キックボード
第1回目のテーマは、すでに世界的には出回っているが、日本では公道で乗れない電動キックボードの現状と未来について。
海外で人気が高く、bouncyでも度々紹介しています。特にサンフランシスコやヨーロッパの若者間で人気を集めており、とても身近なモビリティです。
電動キックボードは通常のキックボードや自転車のように脚力を使って漕ぐ必要がなく、またスリムな車体で場所を取らないことから、とてもスマートに移動や停車ができるのが人気のポイント。
海外では、乗りたい車体を見つけたらスマートフォンのアプリでロックを解除し、乗った時間だけ利用料を支払うという「シェアリングサービス」が、利用者にとってはとても手軽なため爆発的な広がりを見せています。
そもそも電動じゃない、普通のキックボードは日本の道交法でどんな扱いなのでしょうか。
実はキックボードは、ローラースケートと同じような扱い。
ローラースケートは、「交通のひんぱんな道路において乗った場合またはこれらに類する行為をすることを禁止行為」とされています(道路交通法76条4項3号)。
この「ひんぱん」という文言の定義がされていないため曖昧ですが、原則公道で乗ることは禁止されているようです。
ちなみに、道交法上「自転車」というには「ペダルやハンドクランクによって動く乗り物」という決まりがあるため、キックボードは自転車とは違います(道交法第2条第63条の3道路交通法施行規則第9条の2)。
道路交通法では、「電動キックボード」は、道路交通法第2条第1項第10号の規定により、「内閣府令で定める大きさ(0.60キロワット)以下の定格出力の原動機を用い、かつ、レール又は架線によらないで運転する車」に該当し、かつ、自転車、身体障害者用の車いす及び歩行補助車等には該当しないので、原動機付自転車に該当します。
そのため、
・車道を走行する場合は、車体が原付の保安基準を満たしている必要がある
・走行時は原付の運転免許と、ヘルメットが必要
・原付なので歩道は走行できない
ということになります。
つまり、これらの整備をせずに日本の公道を走行した場合、道路交通法第62条の違反「整備不良」として罰則の対象となってしまいます。
原付扱いの電動キックボードに必要な装備は以下の5点です。
・バックミラー
・方向指示器
・前照灯
・番号灯
・ナンバープレート
また、車体の装備以外で必要なものは以下の4点になっています。
・運転免許証
・自賠責保険への加入
・軽自動車税の納税
・免許携帯、ヘルメット着装など交通法令の遵守
これらの条件を満たすと日本の公道で電動キックボードに乗ることができます。
ちなみに原付としての保安基準を満たしていない場合でも、電動キックボード自体が日本では「原付扱い」となるので、歩道の走行はできません。
上記の電動キックボード、INMOTION L9は折りたためる、ボード横にライトがついていると大変魅力的な商品。
しかし、残念ながら電動キックボードに必要な装備の
・バックミラー
・方向指示器
・前照灯
・番号灯
・ナンバープレート
を満たしていません。
日本で電動キックボードに乗る場合、現在は日本の法律に適用する専用の型を用意するしかなさそうです。上記の装備とスタイリッシュなキックボードのデザインをどのように組み合わせるか。デザイナーさん、期待しています!
海外との違い、そしてこれからを、詳しく聞いてみた
日本でも乗れる電動キックボードを開発しているglafitの代表取締役、鳴海禎造さんに詳しく聞いてみました。
鳴海さん
「そもそも原付というカテゴリーが海外には基本的にありません。
25キロまでスピードがでる乗り物は自転車の延長で取り扱う国がほとんでです。
海外では公道を走らせる前に議論しようというよりは、先に製品が出て問題があった場合に規制するという動きが一般的。
電動キックボードは特に問題が発生しなかったため、そのまま普及して自転車と同じ扱いになっています。」
鳴海さん
「現在コロナウイルスをきっかけに、公共交通機関で大量に移動することが見直されつつあります。自動運転など多くのことが議論されていますが、それに当てはめるとモビリティを定義する法律や、道路で走った時の法律の定義などを抜本的に見直さないといけません。
実際に現在国でも議論され始めていて、中長期的には間違いなく変わっていくでしょう。
今までは車を中心とした街づくりだったのが、これからは人を中心として人の生活に合わせた乗り物や法律が求められているのが現状です。
これからは公共交通機関はおそらく自動運転にどんどん置き換わっていくと思います。また、自転車というポピュラーなパーソナルモビリティがあった個人のパーソナル領域の近距離移動の分野では、進化してモーターのついた自転車だったり、電動キックボード型のモビリティが登場してきました。
道交法の制限があるのでスピードを速くしたり、今までにない斬新なデザインにするのは難しいですが、もっと柔軟な発想で生み出すことができる環境が整ったら、個人がそれぞれのデザインの機能を備えたプロダクトを選択することができるようになるでしょう。
そして、近距離でパーソナルモビリティで移動することが主流になっていくと思います。一方、中長距離移動を担ってくれる乗り物は自動運転化が進むでしょう。それらのようなモビリティに適した道路を街ごと作り変えていく、というのが中長期的な世の中の流れになっていくと思います。」
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先日、国家公安委員会から電動キックボードのレンタル事業者が事業活動を展開する区域で、特例措置を実施するという旨の発表がありました。
特例措置は2020年9月下旬から実施される予定です。
電動キックボードは確かにまだ乗れないものが多いですが、確実に乗れる方向に国が動き初めています。当たり前のように近距離移動に電動キックボードが使われる未来が、すぐそこまで来ているかもしれません。