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税金、仕事、学校、法律、健康…。「国」や「政府」が作り出すこれらの「システム」。国民はこうしたものに守られている一方で、時にはこうした枠組みが上手く機能せず、国家の経済破綻を引き起こしたり、国際的な紛争を巻き起こす原因にもなりえることも事実だ。
また、既にでき上がったこうした「システム」からはみだしてしまう人たちは、社会不適合者としての烙印を押されてしまったり、差別を受けたり、社会からドロップアウトしてしまったりする。
では、自分たちの理想とする「新しい国」を創ってはどうだろうか?そんな思想のもとに立ち上がったのが、海に浮かぶ自治都市「Seasteading」だ。
人類の次なるフロンティア
2008年、ノーベル賞経済学者を祖父に持つ政治経済学者で、「Google」のソフトウェアエンジニアでもあったPatri Friedman氏と、著名な投資家で、「ペイパル・マフィア」の中心的人物として知られるPeter Thiel氏によって設立された非営利団体「Seasteading Institute」は、海に浮かぶ自治都市「Seasteading」を作るプロジェクトを進めている。
彼らは「現在の時代遅れの政治制度は、21世紀の現在に大きな革新をもたらすことはできない。現在の政府に“スタートアップ”の感性を与える」という考のもと、新しい都市を創造し、今の社会や政府の在り方を変えていこうとしている。
「Seasteading」が海に浮かぶ理由
「実験はすべての進歩の源である」と信じている彼らにとって、「新しいものを試みる場」が必要だった。しかし、地上には新しい社会を「実験」するためのオープンスペースはなく、地球上の全ての土地は、どこかの国がすでに権利を主張している。
そこで彼らが人類の次なる新天地として選んだのが公海、つまり「海の上」だったのだ。
「インターネット的」な「Seasteading」の構造
2015年5月には、「Seasteading」の3Dデザインコンテストの入賞作品が発表され、多くの画期的なコンセプトのデザインが集まり、大きな話題となった。
都市の機能をモジュール化してカスタマイズ可能にするなど、「インターネット的」な斬新な発想や、太陽発電や海洋発電など、クリーンエネルギーを活用した、サスティナブルな都市の循環機能などが盛り込まれ、新しい時代における「都市」の姿が描かれた。
これらの作品は、これまで「海に浮かぶ自治都市」をイメージできていなかった人たちにとっても、プロジェクトの具現化を実感する効果的なニュースとなったことだろう。
実現に向けて動き出す「Seasteading」
この「夢物語」とも思える壮大なプロジェクト、本当に実現は可能なのだろうか?
彼らにとって大きな課題だった建設の場所については、2017年1月に、フランス領のポリネシアが「Seasteading」建設に合意する覚書に署名したとの発表があった。これで、海に浮かぶ都市の建設に向けて大きな一歩となったわけだ。
「Seasteading」のプロジェクトを「単なる空想」として捉えていた人々も、このニュースを知り、彼らの「本気度」を改めて実感したことだろう。
「2050年までに数千万人が居住すること」を目標に掲げるこのプロジェクト。壮大な夢物語は現実に向かって、着実に進化を続けている。
Courtesy of The Seasteading Institute