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6月9日、ソフトバンクグループが子会社を通じて買収することを発表した、「Alphabet」傘下のロボティクス企業「Boston Dynamics」。
MITでロボット工学を研究してきたMarc Raibert氏が立ち上げた同社は、これまでに数々のユニークなロボットを発表しロボティクス業界を牽引してきた。また、開発したロボットたちへの「テスト」と称した過酷な仕打ち(?)でもよく知られている。
今回は、「Boston Dynamics」が開発してきたロボットたちを紹介しながら、そのロボットの進化の過程を見ていきたい。
脅威のバランスが衝撃を与えた「Big Dog」
同社を一躍有名にした四足歩行ロボット「Big Dog」。
国防高等研究計画局(DARPA)の支援で開発されたこのロボットは、センサーによる制御システムで自動的にバランスを取ることができ、動物のように軽快な四足歩行ができる。荷重150kgまで耐えることができ、雪道や山道から傾斜や水たまりの上など、悪路も必死にバランスをとりながら歩く姿が話題となった。また、あまりにも人間的な動きから、「Big Dog」のコスプレをするパロディ動画も多数アップされた。
また、「テスト」の一環として開発者がロボットにケリを入れるなど、ロボットに対するハードな扱いがYoutubdeで公開されると、以降この「テスト」は同社の代名詞となり、その後の様々なロボットでユニークな動画が公開されていくこととなる。
https://www.youtube.com/watch?v=cNZPRsrwumQ
作業もこなす二足歩行ロボット「Atlas」
年々の改良を経て実用域に入っている二足歩行の人型ロボット「Atlas」。電気だけでなく油圧駆動が可能で、雪道を長時間自立歩行したり、不安定な石の上を歩いたり、鉄球をぶつけても倒れないなど、「Big Dog」同様高度なバランス感覚を実現している。
また両手で重い荷物を持ち上げ運ぶなど、最新のAtlasは屋外と屋内の両方で自然な環境下における複合的な手作業を、人と協調して行うことができるという。IHMC Robotics社が行ったAtlasを用いた最新の実験では、幅約2cmの板の上で両手を広げバランスをとったり、掃除までこなす様子が公開されており、まるで人間のような動作が可能なことが垣間見える。
https://www.youtube.com/watch?v=rVlhMGQgDkY
キモかわいいペット風ロボット「SpotMini」
高度な性能を持ちながら、見た目はどこか不気味なものが多い同社のロボットだが、小柄なペット風のどこか可愛いらしいロボットも開発されている。
「SpotMini」は4本足で機敏に動きまわることができ、小柄なのでテーブルの下をくぐったりと家の中でも活動可能。キリンのような長い首が特徴で、器用に物をつかんで運んだり、ユニークな動きで日々の生活をサポートしてくれる。バナナの皮で転んでも自力で起き上がるなど、同社ならではの高度な自立性能も健在。ちなみに歴代ロボットに対するハードな扱いとは違い、なぜか「SpotMini」に対してはスタッフも笑顔で優しく接しているのが印象的。
https://www.youtube.com/watch?v=tf7IEVTDjng
脅威の最新型ロボット「Handle」
最後に紹介するのは、2017年に入り発表された同社の最新ロボット「Handle」。
もはや「歩く」のではなく、人馬一体型のような独特なフォルムで、車輪を搭載した脚部で華麗に立ちがり、その姿勢のまま車輪走行したり時速14kmで走行したり、スピンをこなすことができる脅威のロボットだ。馬のような4足ロボットの後ろ足に車輪を搭載し、美しく2足で立ち上がり、その姿勢のまま車輪走行したり、スピンしたり、障害物をジャンプしたりする様子が公開されている。
電動と水圧の両方の動力を利用しており、わずか10箇所の駆動関節や、歩行よりも効率の良い車輪による移動を採用するなど、同社のロボット研究の次なる試みを見ることができる。極端に重心を低くしても転倒することがない様子は、またこれまで開発してきたロボット同様絶妙なバランス感覚が受け継がれていることがわかる。
https://www.youtube.com/watch?v=-7xvqQeoA8c
加速するソフトバンクのロボット開発
今回の「Boston Dynamics」と同じタイミングで、ソフトバンクは日本の東大発のロボットベンチャーで、同じく2足歩行ロボットを開発する「SCHAFT」も買収している。これらの企業と共に、ソフトバンクのロボット開発の技術はさらに進化のスピードを上げていくはずだ。
同社の買収に際し、ソフトバンクグループの代表孫正義氏は以下のようにコメントしている。
今日、人間の能力では解決できない数多くの課題が存在する。スマートロボティクスは情報革命の次のステージの重要な推進役であり、また、Boston Dynamics創業者のMarc Raibertとそのチームは、最先端のダイナミックなロボット分野における明確なテクノロジーリーダーだ。私は彼らをソフトバンクファミリーに迎え入れることができ感激している
どうなる…「Pepper」くん!
https://www.youtube.com/watch?v=OX2-tpTkLA0
ソフトバンクのロボットとして忘れてはならないのが、既に店頭など様々な場所で見かけることも多くなった「Pepper」だ。あの優しそうな顔をした「Pepper」くんが、Boston Dynamics伝統のあの過酷な「テスト」をくぐり抜けることができるのか?近い将来、「Pepper」くんに「足」が付いて歩き回ることになるのか?
そんなことも想像しながら、ソフトバンクが決断した新たなロボット戦略に期待したい。