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スマートフォンをのぞき込むだけでロックが解除される「顔認証」。iPhone Xに搭載されたことでその利便性、可能性に大きな注目が集まっている。さらに、スマホだけではなく、出入国管理や入退室管理、犯罪防止など幅広い分野でも活躍。さらなる広がりが期待されている。
では、顔認証はどのような仕組みで行われ、なぜこんなにも注目されているのだろう。現状での問題点や今後の可能性も探ってみた。
顔認証とは
まず、そもそも顔認証とは何なのかについて詳しく見ていこう。顔認証とは、生体認証(バイオメトリック認証)のひとつだ。デジタル画像から人の顔を抜き出し、顔面画像データベースと比較することで自動的に識別を行う。
顔認証技術の始まりは1973年。金出教授が京都大学でスタートした研究がベースになっている。1993年にはアメリカ陸軍研究所が中心となって顔認証アルゴリズム・コンテストを行い、共通の評価データベース基盤を持ったことで、急速に発展。1997年ごろからは米国メーカーが商品化を開始した。
生体認証には他にも虹彩認証、指紋認証などがあるが、それらと比較して顔認証は身体的な接触が低く安心して利用できる点が評価されている。
顔認証の仕組み
顔認証の処理は大きく「顔検出」と「顔照合」の2つに分かれる。
「顔検出」処理から「顔照合」処理までのステップを紹介しよう。
1. 人間以外の動植物やモノが写っている写真のなかから、どれが人間の顔かを検出
2. 画像の中から顔領域を決定し、特徴点を検出
3. 目・鼻・口端などの顔の特徴点位置を求め、顔領域の位置・大きさを正規化した後、「顔照合」処理を行う
なお、これは2D(2次元)顔認証と呼ばれる技術だ。2D顔認証は、人の顔を平面として捉える認証方法で、現在販売中のスマホで主流の認証方法。今後は、3D(3次元)顔認証の普及が期待されている。3D顔認証は、人の顔を立体的に捉える認証方法で、認識の精度が飛躍的に高まると言われている。
顔認証が注目される理由
顔認証が注目される理由は、指紋認証や静脈認証など他の生体認証と違い、装置に接触することなく認証可能な点だ。指紋認証のように指をセンサーにタッチする必要や、虹彩認証のようにセンサーをじっと見つめる必要がないため、ユーザーへの心理的負担が比較的少ないと言われている。さらに、多少であれば距離があっても認証可能な点も大きな魅力だ。防犯カメラと組み合わせ不正行為の抑止・防犯など、用途拡大も期待できる。
Appleの動きを受け、サムスンだけではなく銀行なども顔認証の導入に動き出し、関連技術を持つスタートアップ企業を活気づかせている。
顔認証を搭載しているもの
では、実際にどのようなモノ・サービスが顔認証を搭載しているのだろう。最も身近なプロダクトは、スマホだ。
iPhone Xに搭載された「Face ID」は、指紋を使った従来の認証システム「Touch ID」にかわる生体認証。あらかじめデバイス(iPhone)に使用者の顔を登録し、認証時に赤外線で顔の輪郭や凹凸を読み取り。使用者の顔と照合・識別することで、iPhoneのロックが解除される。また、デバイスのロック解除だけではなくAppleオンラインストアでの購入やApple Payの認証でもFace IDを使用できる。
また、一部のコンサートやテーマパークでは入場時の本人確認に顔認証システムを活用。オフィスへの入退室の許可を顔認証で行っている企業も増加中だ。さらに、イギリス、オーストラリアなど、入国審査に顔認証を利用している国も少なくない。
顔認証の問題点
このように、利用範囲も広く今後さらなる活用が期待される顔認証だが、デメリットもある。
顔認識は完全なものではない。眼鏡やサングラスをかけている場合や髪が伸びている場合、マスクなどで顔の一部が隠れている場合などは認識率が大幅に低下する。また、双子などの厳密な識別は難しい。実際に母親のiPhone Xのロックを息子が解除してしまった事例も報告されている。
顔認証システムの有効性に関しても懐疑の声が上がっている。実際にデータベースに登録されている犯罪者がいたにもかかわらず、システムが犯罪者を一人も認識していない事例や、ボストンの空港でも、顔認識システムによるテロリスト識別という大規模な実験が行われたが、失敗に終わった。
プライバシー問題も大きな懸念の一つだ。常に監視され、行動を把握するようになるのではないかと心配の声も上がっている。
今後はどう活用されるか
顔認証は今後、賃貸不動産や出入国管理など、本人確認が必要な分野でさらに活用が広がるだろう。顔が「鍵」の役割を果たす未来はそう遠くない。実際に、セブン-イレブン・ジャパンは2017年9月から、コンビニエンスストア店舗で顔認証の実証実験を開始している。
また、中国ではすでに身分証明証を使わない本人確認が浸透している。顔認証により、IDカードを使わなくても大学生が講堂に入ったり、旅行者が飛行機に搭乗したり、社員がオフィスに入室できるという。
これまではATMを使用する際に、指紋認証やキャッシュカードと暗証番号が利用されていたが、今後はATMが顔の画像を撮影し、データベース上の顔の画像と照合するようになるだろう。そしてこれは、インターネット上の各種サイトへのログインにも応用できる。
今後、顔認証が普及することで、より安全・カンタンに本人確認を行える未来を期待したい。