Social Good

落合陽一がテクノロジーで挑む音楽のバリアフリーとは?

※bouncyではアフィリエイト広告を利用しています。記事で紹介した商品を購入すると、売上の一部がbouncyに還元されることがあります。


2月28日、茨城県つくば市にある筑波大学の一室で、落合陽一准教授が主催する公開実験が行われた。聴覚障害者の協力のもと、音を視覚と触覚で感じ取れるデバイスを開発するためだ。

そのプロジェクトの名は「耳で聴かない音楽会」。クラウドファンディングサービス「Readyfor」で開発資金を募り、4月22日(日)に、日本フィルハーモニー交響楽団との連携のもと、東京国際フォーラムで室内楽コンサートを開催するという。

「耳で聴かない音楽会」はオーケストラの演奏と連動した全身で振動を体感出来る仕組みを作ることで、健常者だけでなく聴覚障害者も「音楽を楽しめる」ことを目標としており、筑波大の一室で行われた実験では、開発中の2種類のデバイスを聴覚障害者が実際に体験することで、システムの調整や課題の発見が行われた。

音に合わせて振動するボールとジャケット

開発中の聴覚補助システムは、本コンサートのために新たに開発した、音の振動を身体で感じる球体形デバイス「SOUND HUG」のほか、ジャケット型ウェアラブルデバイス「ORCHESTRA JACKET」、頭に装着することで音に反応し光と振動を生みだす「Ontenna」(提供:富士通)。また、手話等での会話・言語補助も実施する予定だ。

「SOUND HUG」

抱きかかえることで音楽を視覚と振動で感じられる球体型デバイス

「ORCHESTRA JACKET」

落合陽一氏と博報堂、株式会社GOが開発した、着ることで音楽を全身で体感できるジャケット型のウェアラブルデバイス

今回のデバイスの開発者、落合陽一氏と主催の日本フィルハーモニー交響楽団の山岸氏から今回のプロジェクトの経緯を聞いた。

ーー今回なぜ「耳で聴かない音楽会」をやることに?

落合:もともと博報堂の方と、ONE OK ROCKとのコラボ企画で、お客さんが「よりライブ感のある大きな音」を聴けるように、全身で音を体感するスーツを作っていました。

そのスーツを難聴の方が着た時に「身体で音楽が聴けるからスゴく良い」という意見を貰ったことで、「耳の聴こえない人にも音楽を届けたい」と考えていた日本フィルとつながり、やることになりました。

山岸:最初から耳の聴こえない方だけのためのコンサートにするつもりはなくて、耳の聴こえる方も聴こえない方も一緒にライブの演奏を聴いて頂きたい、という思いで始まった音楽会です。

耳の聴こえない方とお話をしていてすごく感じたのは、耳の聴こえない方にとって、音楽は触れる機会がそもそも少なくて、興味・関心を持つ機会を得ることが難しいんだそうです。だけど、好きなものなんです。

ーー「耳で聴かない音楽会」を通して伝えたい事は?

山岸:耳の聴こえない方も聴こえる方も、音楽は積極的に楽しめるんだということを感じて頂ける機会にできたら嬉しいなと思います。

だから、他の楽団や多くの方にも関心を持っていただきたいし、日本フィルでやるんだから自分たちでもやろうかな、と思っていただき、機会が増えていって欲しいですね。

落合:補聴器は日常のコミュニケーションをとるために作られたデバイスだから、音楽を楽しむとかアドバンテージな事の為に作られていないモノだと思います。

テクノロジーの力でまだまだ解決する事はあると思っていて、マイナスをゼロにするのが補聴器だけど、マイナスをプラスに昇華できるデバイスに出来れば良いなと思っています。

・ ・ ・

現在、公演で使用する「ORCHESTRA JACKET」も「SOUND HUG」も、まだまだ完璧なものではなく、実験段階。開発資金確保のため、クラウドファンディングをReadyforにて実施中。

今回、日本フィルの室内楽コンサートには、「ORCHESTRA JACKET」を1〜2着用意。さらに「SOUND HUG(サウンド ハグ)」を50個導入し、聴覚障害のある方にはこれを持ってコンサートを「聴く」ことができるという。聴覚障害のない方も、一般席(SOUND HUGは無し)で演奏を楽しめる。

テクノロジーの力で健常者も身体障害者も隔てなく音楽を楽しめる、文字通りダイバーシティの時代がもうすぐそこまで来ている。このプロジェクトは、その未来を強く引き寄せる試みではなかろうか?

日程:4月22日(日)
開演:14:00

場所:東京国際フォーラム・ホールD7

RECOMMEND



PAGE TOP