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あなたのことを60秒で教えてください 飯塚敦さん(54) 【動画ライター】

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動画ライターの弓月ひろみです。新企画「あなたのことを60秒で教えてください。」は誰かの人生観を知ることで、楽になる人を増やしたい、そんな思いでスタートしたインタビュー動画。ゼロ回は「まずは自分が裸にならなきゃね」ということで、自分自身についてお話しました。


そして今回。記念すべき1回目に登場するのは、飯塚敦さん(54)。

◆“死にゃあしない”の江戸っ子っぷり。飯塚さんの人生観

フードジャーナリストで、ビデオブロガーの飯塚さん。食をテーマとしたライフスタイルブログ「カレーですよ。」に、なんと5000記事の実食カレーレポートを掲載している、フードジャーナリストです。著書に技術評論社「iPhone x Movie スタイル」笠倉出版社「カレーの本」がある他、ぶんか社月刊誌「エキサイティングマックス!」にてカレーの記事を7年連載しています。現在は、TV、ラジオ、雑誌等メディアで活躍するほか、食べ歩きオールスターチーム「たべあるキング」メンバーでもあります。


飯塚さんと言えば"カレーに詳しい人"であり"カレーの文化を伝えるジャーナリスト"なのですが、その件については様々なところでインタビュー記事が掲載されているので、今回は、彼の人生観と仕事観をインタビュー。アンケート全文はこちらです。

◆飯塚敦さん アンケート全文


●自分の仕事のどこが好き?
自身の表現で人に体験を伝えられること。
体験というものは本当に人それぞれで、その一例を世の中にドロップしてフィードバックををもらうというのは、 1回の体験でフィードバックの数分のもう一つの体験をするということに合い等しく、大変な刺激がもらえる。わたしの場合はそれが食というジャンルで、それは人間すべての共通体験。可能性を感じている。
それと料理を食べ、それによって経験数が増えることによって、舌を通して感じられる要素が徐々に増えていくあの感覚も、心から楽しい。それが知識と組み合わさり自分の文章が生まれるのは、快楽とさえ感じる。

●喜怒哀楽のうち、あなたを一番動かすものは。
実は、哀。「哀しみ」は「いとおかし」とも言えるわけで、そういう心動くものの方へ進んでゆく自分がある。おもしろうてやがてかなしき、はよいもの。

●どうして働くの?

金が欲しくて 働いて 眠るだけ by 仲井戸麗市


●自分の嫌いなところ
少々時間にルーズすぎる。年老いた両親にもう少し優しくしてやればいいのにと思う。スケベなのにそれをうまいことスマートに見せようとする。もっとはっちゃけた方がいいと思っている。腹が出ていて体力がない。ハゲはかなり気に入っている。

●あなたにとって人生とは
毎日、毎秒が選択。すっと選択しながら進むもの。いつでもどっちに進むかを問われていて、その選択肢の基準が揺るがないほど、面白い人間に育っていくと思う。わたしの選択基準は「カッコいいか、そうではないか」「気持ちいいか、そうではないか」「楽しいか、そうではないか」。その3種だけの選択基準で54年生きてきたら、こういう男になった。気に入っている。

●仕事に欠かせないものは。
信頼とギャランティとiOS。信頼ってもんはちょっとやそっとでは手に入らないし、崩れるときはいともあっさり崩れる。これがないと個人商店はやっていけない。あと、ギャランティがあとだしのクライアントは、信頼関係ができないと思っている。iOSは早いとこハードウェアの呪縛から解かれるといいなと思っている。年々高くなるよね、Apple製品。必需品になってるけど、これ以上高くしたらやめるぞと言いたい。そこまで来ていると思う。

●人生を変えたフレーズは?
いつまで砂糖水を……いや、なんでもない。
人間そうそう死にゃあしない。死ぬ人もいるけど運もあるけど、死ぬほどのことなど滅多にない。それと、昔々、もう本当に言われたかどうかも定かではない記憶がある。母に言われた言葉「お前の頭上、ずーっと上の方に一つ、お星様が輝いていて、それがいつでも見守っているので何があっても大丈夫」。それと「女の子に優しくしなさい」。この二つでやってこれた。お星様の件は一度大人になってから母に聞いたことがあるが、そんなことは知らんとあっさり言われた。

●落ち込む瞬間は?
同業他者がうまくやってる時。落ち込むというよりも嫉妬か。でも、あの仕事はわたしではないな、と思う時も多い。ああ、わたしももう後進に道を譲るか、など言ったりするが本当はそんな気はさらさらない。やれるもんならやってみろ、と思っている。口には出さない。

●元気になりたい時はどうする?
メシを食う。仕事メシではないメシを食う。できれば腹に詰め込むようなメシ。むしゃむしゃバンバン食べるメシ。人の精神は肉体の上に乗っかって初めて人間として機能し、逆に精神、心があるからこそ肉体にそれが宿りはじめて人間となる、とも言える。どちらかがダメでも、どちらかがなんとかしてくれる。どっちもダメな時はとりあえずメシを食う。そうすると体が戻してきて、そうすると気持ちもなんとかなってくる。空腹は敵だ。

●謝りたいひとは誰ですか
たい焼き屋のおばさんと気まずくなって、なんとなくそのままになってる。あと、喧嘩して、仲直りしないまま死んじゃった友人。あとまだ死んでない自分のおやじ。痴呆になって、なんか向き合い方がわからずぞんざいにしているから。どれも急がないと間に合わなくなる。

●お礼をいいたい人は誰ですか
母。それとカレー。

●人が知らない自分の一面は
けっこう自分勝手でけっこうスケべでけっこうかっこ悪い。

●やりたくないことは?
くだらない仕事。ギャラのない仕事。人を貶めるような物言い。お付き合いのパーティ。

●今までで一番辛かったのは?
若い頃の仕事ができなかった時期。会社にいて、言われたことができない時期があった。難しいことを言われたわけではないのに、できる方法が見つからなかった。ボスにひどくいじめられた。今から思えば自分の力不足とコンプレックス、それとパワーハラスメントや少々の発達障害的な要素とか、たくさんの要因があったと思う。一番辛かったのがそういう職場に、なぜだか自分から見切りがつけられなかったこと。

●何故フードジャーナリストという仕事をえらんだの?
誤:気がつけば書いててそれに値がついたから。
正:飲食の現場に10年、そこをケガでやむなく離れ、それでも食に携わる仕事の場所にいたかった。
 
●カレーにこだわって発信する理由は。
誤:たまたま好きだったから。
正:その多様性やあやふやな輪郭を自分なりに見える化してみたかった。

●あなたにとってカレーとはなんですか?
地位と国籍と性別と年齢を超えて、目線の高さを同じに調整してくれるコミュニケーションツール。カレーだけではなく食というのはそういうものだから。知らない同士、まず同じ皿を真ん中に挟んで、喋るきっかけを作ろうぜ。

●いまやりたいことは
お金儲けのモデルを作ること。ちゃんと楽しいことをして、誰も嫌な思いをせずに、自分の手元に永続的にお金が残るようなものを考えてみたい。
それと日本や世界の各地域をクルマで取材して歩きたい。食と文化と人と土地。折り重なるレイヤーをわかりやすく、興味が持てるような文章に落とし込んでみたい。そういう本を書きたい、世に出したい。あとはクルマと自分のコンビで体験したことをエッセイにしてみたい。

●あなたにとって過去とは
引き出し。知らぬ間に宝物が溜まってゆく引き出し。ふとした瞬間にその引き出しのことを思い出して引っ張って開けてみると、叡智があったり経験があったり反省があったりして、楽しくてうずうずする上に今の自分に役に立つ。度々思うのは役に立たないことなんか一つもなかったこと。本当に心からそう思う。

●あなたにとって現在とは
歳をかさね、ここちよく整理された世界。それと、理解者がきちんとそばにいて助けてくれる穏やかな世界。しかし外に目を向けると無秩序で混沌としていてこちらに牙を向けてくる世界。

嫌なものは素直に退け、好きなものは引き寄せて、過不足なく。嫌な人間とはただもう付き合わなければいいし、好きな人には会いに行けばいい。そう素直にやっていいんだというのを発見できて、ホッとした状態。それを続けていたら、自分がただの読者だったりオーディエンスだったりメディアの向こう側の人だったりという人々と、気がつけば友人だったり知り合いだったり隣でメシを食ってたり。そういう今。

●あなたにとって未来とは
霧の中にあるが心配はしていない。今も昔も未来は霧の中にあったが、今、まだ生きて楽しくやっているという経験則が、霧の中にある未来もそう悪くはならないだろうという楽観を作っている。未来が楽しくならないわけがない。いつでも楽しくやっていこうという力が自分の中にあれば、楽しい未来は必然としてやってくる。

●20年後何をしていたいですか?
きちんと家族が健康で、前を向いていられれば他に欲しいものはない。あとは、テクノロジーの進化スピードが予想を超える状態なので、健康なままその変化するライフスタイルを見ていたい。

●あなたの考える、「人間」の未来とは
「自浄」。そろそろそういうものが世界に対しても自分に対しても働かないと、色々ダメになってゆくと感じることがある。テクノロジーのリセットという未来を描くSFは多いが、そうではなく、そこに至る前にブレーキを人類全体でかけて、人類の歩みを緩やかにスピードを落とす、そういうことがあってもいいのではないかと思う。黄昏を穏やかにみんなで迎えるという考え方。週末思想かもしれないが、そこに心の平穏があれば、それは退化ではなくてチューニング。人の意思でそういう穏やかな場所を作り上げられないものか。

撮影協力:インド料理レストランHATTI 新宿店  写真協力:KEN3TV,Hirofumi Jaffa Morita





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