ドローンを飛ばす申請って必要?条件や申請方法、申請場所について
この記事では、ドローンを飛ばすための申請についてをまとめました。自分のドローンは申請が必要なのかという部分から、申請方法や海外での申請についてまで、ドローン法務のプロに監修いただき紹介しています。ぜひ参考にしてください!
目次
ドローン法務のプロが監修
今回、記事を監修していただいたのはこちらの方。
- バウンダリ行政書士法人(旧・佐々木慎太郎行政書士事務所)
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佐々木慎太郎(ささき・しんたろう)
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官公庁・大手企業も担当するドローン法務のプロフェッショナル
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上場企業から個人でドローンを運用する方まで幅広く対応している。ドローンスクール(管理団体・講習団体)の顧問や行政書士を対象とした研修会講師、前例のなかった業界初の申請事例など、実績多数。
バウンダリ行政書士法人(旧・佐々木慎太郎行政書士事務所)は、官公庁・大手企業から個人でドローンを運用する方まで幅広く対応している、ドローン法務に強い行政書士法人です。
今回、記事を監修していただいた佐々木さんは、雑誌や書籍の監修、執筆も手掛けています。航空法の飛行申請はもちろん、業務用無線・官公庁の入札・無人航空機飛行禁止法の通報手続・海外企業が日本のドローンビジネスに参入する際のコンサルティングなど、幅広くサポートを行っているそうです。
ドローンを飛ばす申請が必要な条件とは
まず、ドローンを飛ばす際に押さえていただきたい法律に「航空法」があります。この法律では、「機体本体とバッテリーの重量の合計」が200g以上かそうでないかで規制の内容が異なります。バッテリー以外の取り外し可能な付属品の重量は含みません。200g以上の方が規制の種類が多いですが、200g未満でも航空法の規制はあります。
航空法での飛行禁止空域
先で挙げた通り、200g未満の場合でも「航空法」の適用はあります(具体的に規制がかかる可能性があるのは空港周辺や一定以上の高度等です)。
航空法で制限されているのは以下となり、このエリアを飛行させるには原則許可申請が必要です。
・空港等周辺の上空
・人口集中地区(DID地区)の上空
・地表又は水面から150m以上の高さ
ただし、空港等周辺は高さによっては、許可申請不要なケースがあります。
また、上記エリア内でも室内(天井と四方がネット等で完全に覆われている空間を含む)や、災害時等の捜索・捜索等では許可申請が不要です。空港「等」にした理由は、一部ヘリポート等も制限されているエリアに入るためです。
佐々木さんは、「自分の土地の上空でも、これらの空域では原則飛行が禁止されているので、注意が必要ですね」とコメントしています。
また、セキュリティ上の理由により制定された警察庁の「小型無人機等飛行禁止法」は、重さにかかわらず適用されます。
小型無人機等飛行禁止法とは
小型無人機等飛行禁止法とは、重さにかかわらず適用され、飛行が禁止されている場所を示すものです。
ただし、要件を満たすことができれば、「通報書」を提出することにより飛行させることができます。
要件については、下記のとおりです。
■規制対象の例外・対象施設の管理者又はその同意を得た者が当該対象施設に係る対象施設周辺地域の上空において行う小型無人機等の飛行・土地の所有者若しくは占有者(正当な権原を有する者に限る。)又はその同意を得た者が当該土地の上空において行う小型無人機等の飛行・国又は地方公共団体の業務を実施するために行う小型無人機等の飛行については適用されません。この場合、小型無人機等の飛行を行おうとする者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、その旨を当該小型無人機等の飛行に係る対象施設周辺地域を管轄する警察署を経由して都道府県公安委員会に通報する必要があります。対象施設周辺地域において、小型無人機等の飛行を行う場合の手続については、飛行を行う場合の手続詳細をご覧ください。
航空法での飛行の方法
また、航空法ではドローン飛行の方法でも規制があり、下記の方法で飛ばす必要がある場合には、原則あらかじめ申請し、承認を得る必要があります。
※この飛行方法でも室内(天井と四方がネット等で完全に覆われている空間を含む)や、災害時等の捜索・捜索等では承認申請不要です。
・夜間飛行
・目視外飛行
・人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行
・イベント上空飛行
・危険物輸送
・物件投下
この中でも特に注意が必要なのは、目視外と人又は物件から30m以上の距離を確保できいない飛行です。ドローン本体から全く目を離さず、手元も見ず操縦するということは、通常の飛行はもちろん、空撮であればなおさら考えられません。
また、ドローンの飛行関係者以外の第三者、第三者の物件から30m離れていない状況で飛行させる際には、必ず申請が必要です。先に述べた飛行禁止区域外に広大な土地を所有しており、その中で飛行関係者しかおらず、第三者の物件も近くに無いという場合には問題ありませんが、他人や他人の物件の近くを飛ばさなければいけない場合には、申請しておいたほうが確実です。
※この30m未満での飛行は、人と物件は対象になりますが、土地は物件ではなく対象外になります。
佐々木さんは、「電線や電柱も第三者の物件になります。見落としがちなので、常に確認するようにしましょう」と注意喚起しております。
道路交通法、海上での飛行
ほかにも、道路上で工事や作業を行う場合に申請を必要とする「道路交通法」も規制の対象となる場合があるため、警察署長に道路使用許可をもらわなければなりません。
以上は陸地での飛行に関しての申請になりますが、海上になるとどうでしょう。他の船等が30m未満の距離にいない場合は、高さ150m未満の海上で撮影を行うということ自体問題はありませんが、特定の港で多くの船を使って海上に停止して撮影するなど、他船舶の航路を邪魔する恐れがある場合は、あらかじめ特定港を管轄する港長に許可申請をする必要があります。その他、海上保安監部長や海上保安部長に許可申請や届出をするケースもあります。
佐々木さんからは、下記のとおりアドバイスをいただきました。
道路については必ず事前に管轄の警察署に許可の要否を確認しましょう。航空法の許可承認書と申請時の書類一式を持参すると話がスムーズに進みます。
各自治体による飛行の規制
こうした全国共通の規制に加え、各地方自治体でも都市公園条例で公園内のドローン飛行を禁止していたり、許可が必要だったりということがありますし、それ以外にも、それぞれ独自の条例を制定していることがあります。
佐々木さんによると「条例によっては明確に罰金や科料が定められているものもあるので、知らなかったでは済まされません。事前に管轄の役所に確認するか、専門家に相談するようにしましょう」とのことでした。
おっしゃる通り、知らなかったでは済まされないため、困った時のためにいつでも頼れる専門家を見つけておきたいですね。
申請書の条件を満たす
さらに、申請を出せば必ず飛ばせるということではなく、申請書に添付する「無人航空機を飛行させる者に関する飛行経歴・知識・能力確認書」の中にある条件を事前に満たす必要があります。
まず最初に飛行経歴として、「無人航空機の種類別に、10時間以上の飛行経歴を有すること」という項目があるほか、「GPS等の機能を利用せず、安定した離陸及び着陸ができること」などGPS機能がついていない機体を飛ばすことができる技術を持つという条件もあります。
佐々木さんは、「記載方法だけでなく、内容もしっかり理解し、適切な申請書を作成しましょう」とコメントしています。
これらの数多くの条件を自力でクリアするためには、ドローン練習場として認められた場所やドローンスクールなどでしっかり技術を磨き、知識を身に着けるのが近道と言えるでしょう。
ドローンの申請方法
ドローン(無人航空機)を全国で飛行可能かつ、今までできなかった飛行方法をするための申請書が許可・承認されました!わーい! pic.twitter.com/ZqMeEUnd2f
— Lina KATAYOSE(selina) (@selina787b) 2018年1月29日
それでは、上述の申請までの条件をクリアした前提で、実際に申請を行うにはどうしたらよいのでしょうか。方法としては、4種類がありますが、いずれにせよ最低でも飛行予定日の10開庁日前までには申請書を提出する必要があります。実際には許可までもっと時間がかかる場合もあるため、余裕をもって提出することをおすすめします。
オンラインの場合、国土交通省のドローン情報基盤システムで申請が可能です。
国土交通省によると、郵送の場合は、中に切手を貼った返信用封筒を同封した上で、簡易書留での発送をおすすめしています。もちろん普通郵便でも構いません。
持参も可能で、開庁日の9時から17時の間に窓口に申請書を持参しますが、許可書の返送を郵送で希望の場合は、切手を貼った返信用封筒も一緒に持参します。
公共性が高く、かつ人道的な支援等により緊急を要する場合に限っては、メール、電話、FAXでの申請も受け付けることもあります。
詳細は下記のリンクを参考にしてください。
佐々木さんからは、下記のとおりアドバイスをいただきました。
郵送の場合、事前にメールで審査してもらい、確認手続きを終えてから送付するとスムーズに許可承認書が発行されます。
申請書の提出先は、航空法第132条第1号の空域(空港等の周辺、高さ150m以上)における飛行の許可申請については、飛行させる行為を行おうとする空域の場所を管轄する空港事務所、それ以外の許可・承認については地方航空局になります。
ドローンの申請にかかる時間と費用
先の方法でもお伝えしたように、申請は10開庁日前に提出しなければならないため、最低でもそれくらいはかかりますし、むしろそれ以上かかるといった方が良いでしょう。条件を満たしたら、すぐにでも申請書の提出に取りかかった方が安心です。
費用に関しては、自分で行なう場合びっくりするくらい安いです。というのも、ドローンの申請には現状手数料などが科されていないためです。オンラインであればネットの接続料程度ですし、郵送でも往復の送料しかかかりません。
これについては、申請が増えている現状を考えれば、今後有料化もありえるかもしれませんので、あくまで2020年1月現在の状況となります。
佐々木さんによると、「今後、機体の登録制度も始まる予定ですが、こちらの制度は登録手数料が発生することになっています」とのことでした。
随時情報を確認していきましょう。
海外でもドローンの申請は必要?
そいえば中国でドローン飛ばす申請したから、ドローンでも飛ばしに行こうかな👍👍
— 池澤あやか / いけあや (@ikeay) 2017年9月16日
(中国でドローン飛ばす申請オール中国語だし、中国の携帯の番号必要だし、海外勢にはマジハードモードだった😭) pic.twitter.com/oOpXXx5iCr
海外旅行の際にドローンを使って撮影したいという人も増えていますし、仕事で撮影を行う人もいることでしょう。人気の高い国を訪れた際に必要な申請についてまとめました。
佐々木さんは、「海外から来たクライアント達からは、『日本のドローン規制は他国と比べると厳しいね』という声をいただくことが多いです」とコメントしております。
アメリカのドローン申請
アメリカ国内でホビーまたは仕事用のドローンを飛ばす場合には、事前に登録が必要です。
仕事でドローンを使用する際は、FAAから証明書を取得する必要があります。
飛行ルールに関しては、ホビー用、仕事用、それぞれに定められています。
アメリカ合衆国内とはいえ、独自の文化を持つハワイにも多くの美しい景観があり、日本人観光客の数も多いです。上記のアメリカの法律に準じていますが、州立公園内での禁止事項はハワイ特有のルールとなります。
多くの日本人が訪れるグアムもアメリカの法律に準じています。ただ、グアム自体島の面積が小さく、米軍基地や公園などが占める割合が大きいため、実際にドローンを飛ばすことができる地域が限られます。
オーストラリアのドローン申請
オーストラリアでは、ドローンを飛ばす際のルールはありますが、ルールさえ守っていれば申請の必要は無いようです。
ただし、機体の重量が2㎏以上でビジネスとして空撮を行うなどの際は、別途申請が必要です。
シンガポールのドローン申請
シンガポールでもルールさえ守れば、特に申請等は必要ありません。ドローンでの禁止事項をイラストでわかりやすく紹介しているページがありますので、そちらを参考にしてください。
タイのドローン申請
タイではドローンの規制が厳しいということがあまり知られていないかもしれませんが、カメラ付きの場合(重さにかかわらず)、または2㎏を超えるドローンはすべて事前登録が必要です。
さらに、25㎏以上であれば、運輸大臣への申請も必要となります。
ドローンの申請を代行してくれる業者
色々調べたけれど、やはり自分でやる時間や気力が無いという方は、ドローン申請を代行してくれる業者にお任せするのも一つの方法です。おすすめできる代行業者をいくつかご紹介します。
バウンダリ行政書士法人(旧・佐々木慎太郎行政書士事務所)
今回記事を監修してくださった、佐々木さんの事務所。一般社団法人宮城ドローン研究会代表理事もつとめ、多くの申請を経験しているプロフェッショナルです。
中島行政書士事務所
自分で申請する場合のマニュアルが詳しく書かれてる親切な行政書士で、DJIの場合は29,800円または39,800円で日本全域包括申請を代行してくれます。
行政書士 前場亮事務所
趣味だけでなく、無人農薬散布機(ヘリコプター)などの申請も数多く手掛ける東京の行政書士で、ホームページには簡単な質問に答えるだけで申請が必要かどうか判断してくれるシステムが搭載されています。
まとめ
ドローンの法律は、ドローン市場の急速な成長に伴い、日々新しいものに更新されています。今回の記事は2020年1月現在の内容になりますが、お伝えしたことが明日にでも変わってしまう可能性もありますので、日本国内であれば国土交通省などのサイトをご確認の上、正しい情報を基に申請を行ってください。
▲パソコン教室の講師をして今年で9年目。3児のママライター。教室では、ワードやエクセルを主に、WordPressでのサイト作りやコンテンツ作成、画像加工やスマホ、タブレットの使用法など幅広い分野の内容を教えています。小学校教員、オンラインショップの運営経験もあり。趣味は、旅行と写真。タイを中心に、東南アジアへの海外旅行も何度か。最近はアクションカメラにハマっており、旅行の際動画撮影を楽しんでいます。
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