IPAビールとは?飲み比べてみたいおすすめのIPAビール15種類
ビールと一口に言っても、その種類は幅広いもの。コンビニでも気軽に購入できるようになったクラフトビールは個性的なものが多く、なかでもよく目にするのが「IPA」です。とはいえ、一度、味を試したくらいでは「IPA」が何を意味するのか分かりませんよね。
今回は「IPA」の意味をはじめ、その歴史や特徴などを詳しく解説します。さらに、おすすめのIPAビールを15種類ご紹介しましょう。
ビールに書かれた「IPA」とは?
ビールに表記されている「IPA」とは、India Pale Ale(インディア・ペール・エール)の略称で、頭文字をとって「アイ・ピー・エー」と読みます。その名のとおり、ペールエールと呼ばれるビールの一種です。
ペールエールは、上面発酵(=エール)で、薄く淡い色合い(=ペール)をもつビール上のこと。しかし、IPAは、ペールエールの一種でありながら、やや濃い色となっています。
IPAの定義とは?
実はIPAと認定される明確な定義はありません。基本的にはイギリスのホップを使用し、苦みが強いものといえます。
国際的に定められた苦味の基準の「IBU(International Bitterness Units)」でチェックすると(数値が大きいほど苦味が強い)国内で主流となっている大手メーカーのビールはIBUが20前後。スーパードライはIBU16と低く、エビスやキリンラガーでIBU25となっています。
一方で、IPAのIBUは50を超えるものが一般的。IBUが高いことも、IPAとされる定義のひとつといえるかもしれません。
IPAの味の特徴は?
気になるのはその味わい。IPAに分類されるビールの特徴は、なんといっても「ホップ感」があること。ビールの材料として使われるホップは、苦みや香りを出す役割も持っています。
IPAは一般的なペールエールと比べて、使われるホップの量が多いため独特の強い苦みが感じられるのも特徴的。濃厚なホップの香りを楽しめます。アルコール度数はやや高く、辛口で、ガツンと来る独特の味わいこそががIPAの醍醐味といえます。
使用されるホップの種類や量によって、風味が異なり、苦みや香りにも違いが生まれます。発酵の過程で、どのタイミングでホップを入れるかによっても、味わいが変わるため、同じIPAのなかでも、さらに細かく分類されています。
IPAはイギリス発祥のビール
IPAを含むペールエールはもともとイギリス発祥のビールです。
通常のペールエールから、IPAのように独特の苦みを持つようになった理由には諸説ありますが、通説となっているのが「防腐作用を持つホップを大量投入した」というもの。
18世紀にイギリスの植民地となっていたインドにペールエールを運ぶ際、長期渡航で腐ってしまわないようにホップを増やし、アルコール度数を高めたビールを製造したのがIPA誕生のきっかけになったとか。当時インドに住んでいたイギリス人が好んでいたことから、本土でも愛飲家が増え、IPAが定着したようです。
しかし、同じ時期に、イギリス国内でもホップを多く使ったビールを醸造していたところもあり、たまたまインドに運ぶのに都合が良かったためにインドで流行し、IPAとして定着していたのではないかという説もあります。
具体的に、どういった経緯でIPAが誕生したのかはナゾのままですが、18世紀に作られた味わいが、200年以上も経った現代のクラフトビール業界でこれほどの人気を集めているなんて、当時の人は想像できなかったかもしれませんね。
IPAの種類
上述したとおり、IPAは強い苦みと香りを楽しめるホップ感が特徴的です。そうした共通の特徴を持つIPAですが、風味や味わい、製法などによってさらに細かく分類されています。
スタンダードIPA
定番となっているIPAは、イギリスのホップを使用しアルコール度数5.0%~7.5%程度のもの。ビールらしい黄金色から、ややオレンジが濃くなった程度の色合いです。
Imperial (インペリアル)IPA
スタンダードよりもさらに強いホップ感があるのが、Imperial IPAです。アルコール度数は7.5%~10%と高く、味も香りもより強烈な印象があります。色も濃く、琥珀色からキャラメル色の見た目が特徴的。
頭文字をとって、IIPAと表示されることもあります。また、略すとIが2つ並ぶことから、DoubleIPA(DIPA)や、W-IPAと記載されることも。IIPA、DIPA、W-IPAと表示されるものは、基本的にImperial IPAと同じタイプです。
WHITE(ホワイト) IPA
ベルギーのエールであるベルジャンホワイトと混ぜ合わせて、ライトな飲み心地に仕上がっているのがWhiteIPA(WhIPA)です。ベルジャンホワイトはフルーティーで飲みやすい特徴があるため、他のIPAと比べてスッキリした味わいが楽しめます。
BLACK (ブラック)IPA
BlackIPA(BIPA)は、その名のとおり、黒みを帯びたビール。黒ビールとIPAを混ぜたもので、深入りしたモルトを使用していることから香ばしさもあり、スタンダードと比べてかなり苦みが強くなっています。
American(アメリカン)IPA
通常、ペールエールはイギリスのホップを使用するものですが、AmericanIPA(AIPA)はアメリカのホップを使用して仕上げたもの。特に、北米産のカスケードホップが使用されています。ホップ感が強調されるIPAでは、材料の違いだけで大きく風味が異なります。
BELGIAN (ベルジャン)IPA
BELGIAN IPA(BEIPA)は、フルーティーな味わいを持つベルギービールの特徴をあわせもつもの。甘味や酸味といった独特の味わいを持つベルギービールに使われる酵母を使いながら、IPAならではのホップ増量で作れています。ホップの香りよりも、どちらかというとベルギービールならではの甘さを感じられるタイプです。
Session (セッション)IPA
「Session」とは、アルコール度数が低いビールを意味します。IPAならではの苦みやホップの香りを残しつつ、アルコール度数が3.5%~5%程度に抑えたのがSessionIPA(SIPA)です。スタンダードタイプと比べて、かなり飲みやすいIPAとなっています。
おすすめのIPAビール 15種類
IPAの特徴がわかったところで、続いて、自分好みの銘柄を探してみましょう。国内を問わず世界のビールのなかから、おすすめのIPAを15種類紹介します。
【アルコール度数 6.0%】ホップ感を強化して、苦みと旨さを閉じ込めたビールであり、ガツンと来るおいしさです。
- ブリュードック
-
PUNK IPA 330ml
- 税込み432円
-
南国フルーツのようなフルーティーな香りを楽しむ
-
スコットランドにあるブルワリー「ブリュードッグ」が提供するIPAで、希少ホップを使った変わり種ビール。
【アルコール度数 5.6 %】IPAらしい苦みを持ちながら、のど越しや爽快感よりも、鼻や喉にかかるホップの香りを楽しみたい人向け。瓶詰後も熟成が進んでいるので、冷蔵保存が必須です。
【アルコール度数 6.0%】「ビールの多様性と豊かさをもう一度取り戻す」というコンセプトをもつ、Far Yeast BrewingのIPAビール。柑橘系のホップが特徴です。International Beer Cup 2018 銅賞。
【アルコール度数 5.9%】後味にはしっかりとホップの旨さが残り、強めの苦みと柑橘系のさわやかさがマッチしています。
【アルコール度数 5.5%】IPAビールにしてはやや低めのアルコール度数で、初心者でも飲みやすいと評判です。
【アルコール度数 5.5%】国内産のホップを使っていることを考えると、新たなIPAの種類として「JapanIPA」と言えるかも。
【アルコール度数 4.5%】ハワイ島カイルア・コナ発祥のビールブルワリー「KONA BREWING COMPANY(コナブルーイングカンパニー)」が提供する「Hanalei Island(ハナレイアイランド) IPA」。
【アルコール度数 5.5%】人気クラフトビールのAIPAです。モンドセレクション2011年に金賞、IBC8年連続で金賞を受賞しています。
【アルコール度数 6%】味わいは、まさに華やか! 2本目が飲みたくなるIPAです。
- SOCブルーイング
-
ノースアイランドビール インディアペールエール 330ml
- 税込み8,712円
-
強烈な香りと苦みがガツンとくるAIPA
-
北海道江別市発の「NORTH ISLAND BEER」シリーズ。カナダで修業したブルーマスターが作り出すクラフトビールは、北海道旅行者にも人気。
【アルコール度数 5.0~7.0%】定番の5種類のうち、最もアルコール度数が高いインディアペールエールです。ただし、1本売りで通販されているのは公式サイトのみ。ブルワリーのある江別市でも飲めるので、現地に行く際にはぜひ!
- Stone Brewing
-
Stone IPA 355ml×6本
- 税込み3,666円
-
世界中から注目されるIPAの代表的存在
-
クラフトビール界では名の知れたサンディエゴ発の「Stone Brewing(ストーンブリューイング)」を代表する逸品。濃厚な苦みとフルーティーな香りが人気。
【アルコール度数 6.9%】悪魔がデザインされたラベルが、その味の強烈さを物語っています。IBUの数値は71と苦味とポップ感強めのアメリカIPUビールです。
【アルコール度数 6.2%】もっとガツンとくるAIPAを飲みたい方は、同じくlagunitas(ラグニタス)のマキシマス・ダブルIPA(アルコール度数8.2%)もおすすめ。
【アルコール度数 6.0%】後口もしばらく苦みが続くため、濃い味のビールが好きな方におすすめです。
【アルコール度数 9.0%】2017年には、International Brewing Awardsで世界金賞を受賞した実力派。一本でも満足感の大きい国内クラフトビール。
【アルコール度数 7.0%】コンビニやスーパーでも購入しやすい、お手頃なIPAです。ひとくちからのチャレンジにどうぞ。
IPAビールのおいしい飲み方
たくさんの種類があるIPAですが、一般的な大手のビールとは異なり、ややお高めの価格設定となっています。近くのコンビニやスーパーで購入しづらいものも多く、貴重な出会いもあるはず。せっかくのIPAを楽しむためには、飲み方にもこだわってみましょう。
IPAは、キンキンに冷やさないのがポイント
ビールといえば、冷やして飲むのが基本ですが、IPAは冷やしすぎないほうがおいしくいただけます。冷たい方がのど越しは良いのですが、IPAの特徴である香りや苦みが減ってしまいます。とはいえ、醗酵が続いているものもあるため、常温で放置するのはNGです。
保存時には、きちんと冷蔵管理をし、飲む15~30分程度前に常温の場所に置いておきましょう。適温となるのは10~14℃といわれています。セッションIPAのようにアルコール度数が低いものは、やや冷たいくらいでも問題ありません。
IPAは、グラスにもこだわってみる
IPAの濃い香りを楽しむために、グラスにもこだわってみて。実は、ワイングラスの老舗メーカーである「シュピゲラウ」がIPA専用グラスを提供しています。
もともとワイングラスを中心に製造してた「シュピゲラウ」が、ビール用に作ったグラスのひとつです。IPAビールは、特有の香りもしっかり楽しめるもの。このIPA専用グラスは、飲むときに傾いたグラスの底で、らせん状の流れを作り、香りを立ち上げるような作りになっています。最後の一口まで、IPAの香りが楽しめます。
好みのIPAを探してみよう!
IPAはビール特有の苦みを際立たせ、ホップの香りをいかに引き出すかを考え抜いて作られるもの。IPAはクラフトビールの種類のひとつであり、さらに、IPAにも細かい分類があります。より濃い苦みを求めるのか、ホップの際立った香りを楽しみたいのか、好みは人それぞれ。ビール好きとして、「推しIPA」となる1本を決めてみてはいかがでしょうか?
※価格はいずれも2020年11月時点のものです。
関連記事はこちら
フードの記事はこちら
-
LINEの友達登録をお願いします!
LINE限定で、毎週の人気記事を配信します!
XでMoovooをフォロー!
Follow @moovoo_