【専門家に取材】MCTオイルはダイエットに効果あり? おすすめの摂り方や注意点は……
今、話題のMCTオイル。ダイエットや認知症予防、運動時の疲労にもおすすめと言われていますが、実際にはどんな効果があるのでしょうか? MCTオイルメーカー最大手の日清オイリオグループ株式会社中央研究所でMCTオイルの研究をしている渡邉愼二博士に、なぜMCTオイルが美容や健康に良いのか、その仕組みやおすすめの摂り方を教えていただきました。
目次
MCTオイルとは?
MCTオイルは、ココナッツオイルなどで注目されている「中鎖脂肪酸油」のこと。「脂肪酸」とは、油脂を構成する成分のひとつで、構成する炭素の鎖の長さによっていくつかの種類があります。
上の図を見てください。サラダ油など一般的な食用油に含まれる長鎖脂肪酸のひとつであるパルミチン酸を例にすると、炭素が16個ついていますが、MTCオイルに含まれる中鎖脂肪酸のひとつであるカプリル酸の場合は半分の8個。脂肪酸の長さが短いと分解が簡単なため消化吸収が良く、早くエネルギーに変わります。
中鎖脂肪酸は、母乳や牛乳、ココナッツの実にも含まれる天然の成分ですが、「MCTオイル」は中鎖脂肪酸100%です。
ちなみに、編集部おすすめのMCTオイルについては、以下の記事で紹介しています。気になった方はぜひご覧下さい。
MCTオイルの効果①:ダイエットできるって本当?
渡邉さんによると、上の図にあるように、一般的な植物油が、リンパ管を経由してゆっくり全身に吸収・分解されるのに対し、MCTオイルは水に溶けやすい性質を持っているので、門脈を通ってすみやかに肝臓へ運ばれるのです。
上の図からも分かるように、肝臓に運ばれたMCTオイル(中鎖脂肪酸)は、一般的な植物油(長鎖脂肪酸)よりも素早く分解されてエネルギーとして消費されます。このため、脂肪として体に蓄積されづらいのだそうです。
この図からも分かるように、MCTオイルを継続的に摂取することで、体脂肪や体重を減らすことができるという研究結果が出ています。
MCTオイルには、もともと体についている脂肪を燃焼しやすくする効果もあるので、筋トレなど軽い運動と組み合わせて継続的に摂取することでカロリー消費量を増やし、体脂肪の蓄積を予防することができるのです。
ダイエット効果を期待するなら、摂りすぎに注意!
脂肪として蓄積されにくい性質を持っているMCTオイルですが、油であることに変わりはないので、摂りすぎに注意が必要です。
「MCTオイルはサラサラして無味・無臭なので、ドリンクのようにごくごく飲んでしまったという話も聞きますが、あくまでも油なので、そんな摂り方をすると完全にカロリーオーバーです」と渡邉さん。
ダイエットを目的に摂取する場合は、1日にスプーン1杯程度を料理にかけたり、飲み物に入れて摂る程度で十分です。
食事から炭水化物を減らし、その分をMCTオイルに置き換える糖質制限などの工夫をしないまま、ふだんの食事にMCTオイルを大量にプラスしてしまうと、効果が出ないだけでなく、逆に体重や体脂肪が増えて太ることになりかねません。
MCTオイルの効果だけに期待しすぎず、ダイエットをサポートしてくれる食品として、軽い運動と組み合わせるなど上手に活用することが大切です。
MCTオイルの効果②:運動時の持久力がアップ!
「運動をする時、MCTオイルを摂取することで持久力が上がり、疲れを感じにくくなるという効果もあります」と渡邉さん。
マラソンや競歩、サッカー、水泳など持久力が求められるスポーツでは、炭水化物に含まれる糖質を節約しながら、脂肪をより利用した方が、長時間高いパフォーマンスを維持することができるのだそうです。
提供:日清オイリオグループ株式会社
提供:日清オイリオグループ株式会社
上の2つの図を見てください。MCTオイルを一定期間続けて摂取しながらトレーニングを続けることで、筋肉が脂肪を燃やしてエネルギー源とする体質に変わっていき、脂肪を効率的に利用できるようになることが分かっています。その結果、持久力がアップし、疲労回復を早める効果も期待できるのです。
MCTオイルの効果③:認知症予防にも効果あり?
消化・吸収されやすく、短い時間でエネルギーに変わるMCTオイルは、食事で十分な栄養を摂ることが難しいシニア層にとっても、心強い味方になってくれます。やわらかいごはんやおかゆにかけるなど、少量でしっかりエネルギーを補給することができるので、低栄養状態の解消に役立ちます。
また、ふだん脳はブドウ糖をエネルギー源にしていますが、認知症になると、脳がブドウ糖をうまく使えなくなってしまいます。MCTオイルが人の体内に入った時に生成される「ケトン体」と呼ばれる物質が、ブドウ糖の代わりに脳に必要なエネルギー源になり、認知機能の改善や、認知症の予防にも役立つと言われています。
この図からも読み取れるように、MCTオイルを継続的に摂取することで、記憶力の低下を抑えることができるという研究結果もあります。
渡邉さんによると、「MCTオイルに認知症そのものを治療する効果があるわけではありません。あくまでも進行を遅らせたり、症状を軽減するためのサポートとして、運動や脳トレと組み合わせ、食生活に取り入れることが理想」とのことです。
MCTオイルの効果④:便秘が治る?
MCTオイルを摂るようになって、便秘が改善したと感じる人も多いようです。
渡邉さんによると、詳しいメカニズムは分かっていないものの、MCTオイルを継続的に摂取した人の7~8割に、便通改善の効果がみられたそうです。
逆に、MCTオイルを一度にたくさん摂取しすぎると、便通がゆるくなりすぎて下痢をしてしまうこともあるので、注意が必要です。
便通解消には、水分や食物繊維を十分に摂ること、適度な運動をすることも大切です。MCTオイルだけに頼りすぎず、バランスの良い食生活を心がけると良いでしょう。
子どもが摂取しても副作用はない?
もともとMCTオイルは、母乳や牛乳にも含まれている天然の成分。赤ちゃんの成長を促す作用があると考えられています。
「小児てんかんや小腸の機能不全を持つ子どもの治療など、医療用として長く使われてきた経緯があります」と渡邉さん。子どもがMCTオイルを摂っても、適量を守れば副作用や腹痛などの心配はなく、健康にプラスの効果があると考えられます。
いつ、どんな料理で摂るのが効果的?
MCTオイルの効果的な使い方を見ていきましょう。
摂取する時間帯は「朝~夕方」がおすすめ
日清オイリオグループ株式会社の渡邉愼二博士
MCTオイルを入れた「バターコーヒー」を寝る前に飲むダイエット法も流行していますが、「実は、MCTオイルを摂る時間帯は『朝~夕方』がおすすめです」と渡邉さん。消化が良いオイルとは言え、油であることに変わりはないので、活動量が落ちる就寝前の時間帯に摂ってしまうと、エネルギーとして消費されず蓄積されやすくなってしまいます。
空腹になると、人の体内では「ケトン体」が分泌され、深い眠りを促すと考えられています。MCTオイルにはケトン体の生成を促す働きがありますが、眠る直前に摂取して満腹の状態になるとケトン体が分泌されにくいため、眠りが浅くなってしまうことも考えられます。渡邉さんによると、MCTオイルを摂るなら遅くとも就寝の3時間前、夕食と一緒に食べることが望ましいそうです。
また、運動と組み合わせて摂る場合には、体を動かす前に摂取することで、脂肪燃焼や疲れにくくなる効果が期待できます。
基本の摂り方~食材にかける・飲み物や調味料に混ぜる
「MCTオイルは、無味・無臭でサラサラしているので、どんな食材にも合わせることができます」と渡邉さん。基本の摂り方として、まずはいつものサラダやおかゆにかけたり、コーヒーやスープ、みそ汁などの飲み物に入れてみましょう。
ダイエット目的で摂取するなら、ごはんやパンなどの糖質を減らす糖質制限を行った上でMCTオイルを摂ることもおすすめです。炭水化物を食べる前に、MCTオイルをトッピングしたサラダを食べれば、インスリンの分泌を促し、血糖値の上昇をゆるやかにする効果があります。血糖値をコントロールすることで、糖が脂肪に変わることを防ぎ、健康的なダイエットにつながると考えられます。
渡邉さんは、野菜のスムージーにMCTオイルを入れて飲んでいるそうです。MCTオイルには、脂溶性のビタミンAやビタミンEの吸収を促進する作用があるので、ニンジンやブロッコリーなどの緑黄色野菜と一緒に摂るのも良いでしょう。
料理に使うときの注意事項
MCTオイルは、通常の食用油とは違う性質を持った油です。そのため、料理に使う際には、いくつかの注意事項を守ることが必要になります。
揚げ油や炒め油として使わない
揚げ油や炒め油として100%純度のMCTオイルを使用すると、一般的な食用油よりも低い温度で煙が出たり、泡が発生して引火する可能性があり、とても危険です。
炒め物と一緒に摂りたい時は、出来上がった料理に和えたり、仕上げにかけて使うのがおすすめです。
渡邉さんによると、炊飯器は揚げ物や炒め物ほど高温にならないので、ごはんと一緒にMCTオイルを入れて加熱しても大丈夫だそうです。
カップ麺の容器や食品トレイに入れない
カップ麺の容器や食品トレイに使用されているポリスチレン製の容器にMCTオイルを入れると、容器が変形することがあります。お湯などがこぼれると危険ですので、ほかの容器に移し替えて使用してください。
生の肉・魚類と一緒に放置しない
MCTオイルを生肉などに混ぜたまま放置すると、脂肪分解酵素と反応して油が分解し、独特の匂いが発生することがあります。たとえばハンバーグのタネに混ぜて長時間寝かせるなどの使い方はせず、出来上がった料理にかけることを基本にしましょう。
パウダータイプやゼリータイプの活用も
MCTオイルには、料理に使いやすいパウダータイプや、運動中のスポーツ選手や高齢者でも手軽に摂取できるゼリータイプ、カプセルタイプのサプリなど、さまざまな形状の関連商品が販売されています。
パウダータイプのものは、牛乳を使った料理や卵料理にも活用することができるので、MCTオイルを使った料理のバリエーションを広げたい方におすすめです。
MCTオイルを生活に取り入れて健康的な生活を
今回は、日清オイリオグループ株式会社でMCTオイルの研究をしている渡邉愼二博士にお話を伺いました。
継続的に摂ることで、ダイエットや認知症予防など、さまざまな美容・健康効果が期待できるMCTオイル。使い方の注意や容量を守って、毎日の暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか?
編集部おすすめのMCTオイルについても、以下の記事で紹介しています。気になった方はぜひご覧下さい!
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