【10円コピーより安い?】激安プリンターインクの印刷コストを検証!
自宅で印刷をしたいときに、インク切れでプリンターが動かなくなった、という経験をした人は多いのでは。特に印刷物の提出が急ぎの場合には、コンビニの10円コピーで代用した方が手短に用が足りるものです。筆者はプリンターの使用頻度が少ないこともあり、瞬時にコンビニが頭に浮かびました。
今回は1回あたりの印刷コストに着目。家庭用プリンターのインクが1色だけ切れた場合を想定し、その際にかかる印刷コストを検証しています。自宅印刷は、果たしてコンビニの10円コピーより安上がりなのでしょうか。
この記事を読めば、インク代をはじめとする1回の印刷に必要なコストはもちろん、互換インクにまつわる問題や注意点もわかるので必見です。
プリンターインクが高いと感じた理由
上の写真は、今回の検証の発端ともいえる、インク切れした純正のICBK80です。
結論を一言でいうと「純正インクは値段が高い」です。プリンターインクがたった1本切れただけで、1,000円も払って買い替えなければなりません。これは筆者独自の相場感ですが、きっと私の理由に共感してくれる人は多いはずです。
インク切れだとプリンターが使用できない
上の写真は、マイプリンターを使用した際に生じたインク切れを示す警告です。
身分証明書のコピーが必要になり、マイプリンターの電源を入れるも、まさかの警告表示が……。黒色のインクがたった1本切れただけなのに、なぜか印刷をさせてくれません。
すぐにネットで複数のショッピングサイトをのぞきましたが、プリンターインク1本の相場は1,000円と高め。「それならコンビニでコピーした方が安いし早い!たった1枚しか印刷しないんだから」というのが、今回の検証をかり立てたきっかけです。
しかし、最初はインク代の安さ重視という考え方でしたが、検証を進めていくうちに、あることの重要性に気づかされました。それは、安いインクには危険もはらんでいる、ということです。
純正インクから検証!
まずは、マイプリンターに対応する純正インクで検証をスタート。インクの型番はICBK80、マイプリンターの機種はEPー708Aです。インク代、プリンター代、用紙代を含めた、印刷コストを計算してみます。
マイプリンター に装着されてあるインクには「ICBK80」という型番が書かれています。それをネットショッピングで検索して、630円のインクを見つけました。相場である1,000円に比べると破格ですが、勝負する相手は10円コピーなので、割高な感じは否めません。
家庭用のマイプリンターは1台27,800円
- EPSON
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EP-708A
- 税込み37,800円
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エプソンの純正インクは1本630円
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EPSONが公式として認める、EPSONプリンターに対応した純正の黒インク。複数色でのセット販売ではなく、使用する色が選べる単体での販売が魅力です。
3年前に新品で購入したマイプリンターですが、値段を忘れてしまったので、改めて価格を調べてみました。(意外と値が張っていたことに驚く!)
インクの寿命は1本400回程度
プリンターインクの値段がわかったので、インクの寿命もわかれば、1回あたりの印刷コストが求められます。とはいえ、1本のインクでどれくらい使用できるかは、素人では判断できません。
そのため、エプソン販売株式会社に直接聞いてみると、「IC80を使用した場合の印刷が可能な枚数は、L判写真用紙で444枚という実験データがでています」とサポート担当者。
L判写真用紙とは、写真に使われる一般かつ標準的なサイズを指します。今回は写真ではなく紙面による身分証明書の印刷のため、A4サイズでの印刷可能枚数も伺いましたが、「L判写真用紙での実験データしかない」とのことでした。
よって、純正インク代の630円で、444回の印刷ができたと想定しています。1回分の印刷コストは約1.4円(630÷444)でした。この時点では、コンビニコピーを圧倒する印刷コストです。
プリンターの寿命は5年
上の写真は、3年前に新品で購入したマイプリンター「EP-708A」です。
印刷コストを最も釣り上げるのが、このプリンターです。1回の印刷で、どれくらいの費用がかかるものかを計算するには、製品の耐用年数や寿命を知る必要があります。そこで、エプソン社に再びマイプリンターの寿命を聞いてみましたが、正式な回答は得られませんでした。
マイプリンターはカラリオインクジェットプリンターと呼ばれ、製品寿命のデータがないとのことです。なお、インパクトプリンターと呼ばれる製品については、寿命5年というデータが存在するそうです。
エプソン社から有力な情報を入手できませんでしたが、消耗品には「法定耐用年数」というのが定められています。この法定耐用年数が用いられる代表例といえるのが、確定申告の際の減価償却です。法定耐用年数の定義では、プリンターを5年と定めています。
プリンターの法定耐用年数を元に、1日あたりの減価償却費を求めてみました。
・5年×365日=1825日
・27,800円÷1825日=約15円/1日
あくまでも減価償却での計算のため、印刷回数ではなく、1日ごとに失われるプリンターの価値を求めたものです。つまり、減価償却に基づいた場合は、プリンターの使用にかかわらず、1日あたり約15円の使用料と捉えることができます。ここまでの印刷コストは1回16円と、コンビニコピーの10円を上回りました。
用紙代は1枚1円
1回の印刷コストを求めるうえでの最後は、用紙にかかる費用です。500枚/600円程度のコピー用紙を購入した場合、1回の印刷で約1.2円がかかります。
純正インクでの印刷コストは1回18円
総じて家庭用プリンターで印刷すると、約18円/1回になり、コンビニの10円コピーより8円割高でした。その内訳をまとめると、
・純正インク1個 価格630円 インク寿命444回 1回の印刷コスト約1.4円
・家庭用プリンター1台 価格275,00円 プリンター寿命5年 1回の印刷コスト約15円
・プリンター用紙 価格500円 500枚入り 1回の印刷コスト約1.2円
家庭用プリンターを使用した際の1回にかかる印刷コストは、17.6円を繰り上げて約18円になります。
激安インクを試すも思わぬトラブルが……
プリンターインクは純正以外にも存在します。それは、ネットショップはもちろん、ホームセンターや100均でも販売されている激安インクと呼ばれる互換インクです。打倒10円コピーの候補として、4種類の互換インクを挙げて検証しています。
4種類の激安インクで生じたトラブル
1回18円より安くするには、純正インクより安価なことはもちろん、インク寿命もはるかに上回るものを探すのが急務です。ところが、安いインクには、それなりのリスクもありました。
100均インク なぜか200円……
上の写真は、筆者の最寄りに位置する100円ショップで購入した、マイプリンターに対応する互換インクを装着した状態です。
最安値ということで、最寄りの100円ショップまで足を運び、マイプリンターの型番に合ったインクを購入。まさかの200円でしたが、いざマイプリンターに装着してみると、「カートリッジが正しくセットされていません」と表示されてしまいます。
ここは安全策をとって、続行を断念しました。強引に進めてプリンターを故障させた方が、余計にコストを上げてしまうためです。今回はダイソーで購入しましたが、セリアという100円ショップでも店員に聞いてみましたが、「カートリッジタイプはあつかっていなく、詰め替えインクのみ」とのことで、ダイソーのインクカートリッジは希少な存在といえるでしょう。
なお、インク寿命までは、ダイソー側でも把握していないとのことです。
互換インク 240円
100均インク同様、互換に変わりはないので、ここも検証回避。実質的な値段では最安値という魅力があり、需要も十分にありそうなことから、打倒10円コピーの一番手でしたが、検証には向いてないようです。ただ、ざっと前述した444回換算で計算すると、1回あたり約0.5円なので、純正インクの1円近くを下回るポテンシャルがあるといえるでしょう。
リサイクルインク 626円
こちらは純正インクとほぼ同価格なので、試す必要性がないと判断しました。ちなみに、リサイクルインクとは、専門業者が回収したカートリッジ(インクを入れる容器)に、非正規のインクを入れて販売しているものです。
詰め替えインク186円(実質8,000円以上)
詰め替えインクは、簡単にいうと「リサイクルインクの自己流版」になります。一般的には、装着してある純正インクのカートリッジを使い、インクのみ非正規品を注入するのが、詰め替えインクの特徴です。
また、カートリッジに内蔵されたICチップを認識させる容器、カートリッジの穴を開閉する道具やインク汚れを防止する手袋などが、詰め替えインクとセット販売されているのが一般的です。というより、初めて詰め替えインクを利用する場合は、キットが必須になります。
詰め替えインクの価格は、1本あたりで計算(注)すると互換インクのレベルに匹敵する安さですが、キット込みだと高額すぎるので、検証をスルーしています。
注:詰め替えインク4回分の使用での販売価格のため、カートリッジ1本分として分割しています。
激安インクの危険性について
100均の激安インクをプリンターにしっかりと装着したのに、エラー表示が出てしまいました。
純正インク以外で検証したものは、100均で購入した200円のインクのみです。しかし、マイプリンターがそのインクカートリッジを認識しないことから、故障を懸念して、検証の途中でストップしています。
プリンターは故障する!?
その際に生じた疑問は2つ。「続行は可能だったのか」と「やはり続行するとプリンターは故障するのか」です。2つの疑問について、PC関連の販売、およびPC関連の修理も担う「PCデポふじみ野店」に伺ってみました。
互換インクでのプリンタートラブルは多い
サポート担当者によると、「互換インクの使用により、お使いのプリンターが動かなくなったという問い合わせは多い」とのこと。ただし、互換インクを外した後、再び純正インクで試して動けば、特に問題はないそうです。
そのまま互換インクを使うのは危険
互換インクを強行することについては、おすすめできないとのことでした。実はサポート担当者もかつて、互換インクでのプリンタートラブルを2回経験しているそうです。そのときのことを詳しく教えてくれました。
「購入から1年間は純正インクの使用のみメーカー保証が効くことを知っていたので、互換インクは使いませんでした。でも、純正インクの割高感は拭えず、2年目に初めて互換インクを使ったとき、プリンターの電源は入りましたが、全然動きませんでした」。
互換インクが危険である正体はICチップの認識
互換インクの使用で生じる危険性の原因については、「ICチップが認識されないことが大半です」とサポート担当者。また、互換インクは、プリンターの各社が認める純正インクではないと前置きしたうえで、「プリンターの販売元に問い合わせても正式な返答はこない」とのこと。
詰め替えインクは液体のカスがでるから危険
詰め替えインクの危険性についても教えてくれました。「純正インクのカートリッジを使いますが、中身が純正ではないと判断されるため、互換インク同様に認識されません」。つまり、プリンターの機能には、ICチップだけでなく、インクの識別もあるとのことです。
さらに、詰め替えインクでも強行使用はできるものの、やはりプリンタートラブルの問い合わせは多いのだとか。その原因について、「互換インクは固まりやすく、カスがでます。その違いが純正インクとの決定的な違いです」と教えてくれました。
プリンターの修理費用は20,000円
最後はプリンターの修理費用について聞いてみました。サポート担当者曰く、「印刷した状態で、用紙に線が入ってしまうレベルだと15,000円です。それ以外は20,000円なので、お客さまによっては『プリンターを買い替えた方が早い』という声もよくある」のだとか。
激安プリンターインクでの検証結果と考察(まとめ)
上の写真は、コンビニのコピー機を撮影したものです。
検証結果の判定は、「家庭用プリンターを使ったコピーより、コンビニの10円コピーの方が、1回にかかる印刷コストは安い」です。1回18円という家庭用プリンターの印刷コストはもちろん、互換インクを使用した場合のリスクや修理費用も考えると、軍配は圧倒的にコンビニの10円コピーにあがります。
とはいえ、利便性を考えれば、家庭用プリンターの貢献度が高いのは確かです。今回は身分証明書のコピーでしたが、年賀ハガキに見られる大量印刷、複数の写真データの簡単印刷やパソコンならではの便利ツールが使用できるなど、家庭用プリンターにはマルチな機能が十分に備わっています。
メンテナンスフリーとコスト、利便性とマルチ機能、どちらを選ぶかは用途によりますが、1回8円と割高でも安全性も買えるなら、純正インクは安いといえるかもしれません。
- EPSON
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EP-708A
- 税込み27,800円
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エプソンの純正インクは1本630円
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EPSONが公式として認める、EPSONプリンターに対応した純正の黒インク。複数色でのセット販売ではなく、使用する色が選べる単体での販売が魅力です。
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