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相続登記に役立つオンラインサービス6選 手続きの流れや注意点を解説

佐藤 孝生,相続会議
公開: 2025-08-08

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相続登記の申請が2024年4月から義務化されました。不動産を相続した際に名義変更を行わず放置していると、過料を科される可能性があります。

相続登記には、戸籍の収集や遺産分割協議書の作成、法務局への申請など、多くの準備と手続きが必要です。そのため、何から手をつければよいのか分からず、不安を感じる人も少なくありません。

こうした負担を軽減し、スムーズに手続きを進めるために活用できるのが、相続登記をオンラインでサポートしてくれる各種サービスです。この記事では、相続登記の基本的な流れを整理しながら、便利なオンラインサービスを6つ紹介します。各サービスの特徴や使い方を比較し、自分に合った方法を見つける参考にしてください。

元弁護士・ライター
佐藤 孝生
中央大学を卒業後、司法試験に合格。弁護士として約10年の実務経験を経て、現在は専業のライターとして活動。弁護士時代に相続・交通事故・離婚・労務・M&A・債務整理など幅広い分野を担当していた経験を活かし、法律記事の執筆を専門としている。
この記事は、「相続会議」から提供を受けています。2025年8月1日時点の情報に基づいています

1. 相続登記とは

相続登記とは、被相続人(亡くなった人)が所有していた不動産の名義を、相続人の名前に変更する手続きのことです。名義変更を行わないまま放置していると、登記簿上の所有者と実際の所有者が異なる状態になり、さまざまな問題が生じるおそれがあります。

2024年4月からは、相続登記の申請が義務化されました。相続によって不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しなければ、10万円以下の過料を科される可能性があります。

この制度は、相続登記の放置による所有者不明土地の増加を防ぐとともに、不動産の権利関係を明確にすることを目的としています。たとえば、長年名義を変更していない土地があると、その土地を売却したり担保にしたりする際に支障が生じるだけでなく、相続人同士でトラブルの原因になることもあります。

こうしたリスクを避けるためにも、相続登記は速やかに行うことが重要です。

2. 相続登記申請の流れ、申請方法は

相続登記の手続きを円滑に進めるためには、手続き全体の流れと申請方法を事前に把握しておくことが重要です。

相続登記の基本的な流れは、以下のとおりです。

  • 被相続人や相続人全員の戸籍などを収集する
  • 相続人を確定し、遺産分割協議書を作成する(必要な場合に限る)
  • 登記申請書を作成し、必要書類とあわせて法務局へ提出する

申請方法には主に3つの選択肢があります。

【窓口申請】

まず、もっとも一般的なのが、法務局の窓口で手続きする「窓口申請」です。書類を直接提出するため、不明点をその場で確認できる利点があります。

【郵送申請】

書類一式を法務局へ郵送する「郵送申請」を行うことも可能です。時間や場所の制約がある人にとって便利ですが、内容に不備があると差し戻されることがあるため、慎重な準備が必要です。

【オンライン申請】

法務省が提供する「登記・供託オンライン申請システム(登記ねっと・供託ねっと)」を利用すれば、自宅からでも「オンライン申請」が可能です。パソコンとマイナンバーカードなどがあれば、基本的に来庁せずに手続きが進められます。

このように、相続登記は複数の方法で申請できますが、どの手段を選ぶにしても、必要書類の正確な準備と記載内容の確認が不可欠です。自身の状況に応じて、最適な方法を選びましょう。

3. 相続登記をサポートするサービス

相続登記は専門的知識が求められるうえ、必要書類の収集や申請書の作成などに時間と手間がかかります。しかし、司法書士や行政書士などの専門家が運営するオンラインサービスを活用すれば、こうした負担を大幅に軽減できます。

多くのサービスでは、基本的な情報を入力するだけで、必要な書類を自動作成したり、戸籍などの収集を代行してくれたりします。オンラインで手続きが完結するケースも多く、遠方にある不動産でも対応できるのが大きなメリットです。

ここでは、代表的な6つの相続登記オンラインサービスについて紹介します。料金やサービスの詳細は各サイトを参照してください。

3-1. そうぞくドットコム不動産

株式会社AGE technologiesが運営する「そうぞくドットコム不動産」は、スマホで不動産の相続登記の手続きができるオンラインサービスです。家族構成や相続方法などの情報を入力すると、必要書類の収集や申請書の作成、法務局への提出を代行してもらえます。

資料請求をすると割引が適用され、利用料金は93500円(税込み)。相続人の人数や不動産の件数により追加費用がかかることはありません。費用を抑えたい場合は「申請書類作成のみのプラン」も用意されており、利用者のニーズに応える料金体系となっています。

3-2. ネットでかんたん相続登記

一般社団法人法務アシストが運営する「ネットでかんたん相続登記」は、オンライン型の相続登記サポートサービスです。戸籍謄本や不動産情報などの取り寄せ、法定相続情報一覧図の作成などを行政書士が代行するため、自分で役所や法務局へ出向く必要がありません。

利用料は5万円(税込み)となっており、相続人の人数や不動産の件数による追加費用は発生しません。相続専門の行政書士が監修するシステムで、時間や手間を抑えて手続きを進めることができるでしょう。

3-3. better相続登記

better相続登記」は、辻・本郷 ITコンサルティング株式会社が運営する相続登記支援のオンラインサービスです。スマホやパソコンから必要情報を入力するだけで、登記申請書や遺産分割協議書などの書類を自動作成できます。相続人の状況に応じた必要書類の洗い出しや登録免許税の計算も行えます。

料金は19800円(税込み)とリーズナブルに設定されています。相続人の人数や不動産の件数による追加費用は発生しません。ただし、作成された書類は利用者自身が法務局に提出する必要があります。できるだけ費用を抑え、自分で申請手続きを行いたい人に向いているサービスだといえるでしょう。

3-4. 相続登記ラボ

相続登記ラボ」は、司法書士・行政書士事務所リーガルエステートが運営する、相続登記に特化したオンラインサービスです。相続登記に必要な書類を取得してもらえるのはもちろん、遺産分割協議書の自動作成や相続登記のオンライン申請などを代わりに行ってもらえます。

相続登記の経験豊富な司法書士・行政書士と無料相談を行い、必要な手続きの方向性について相談できます。オンライン専用の料金プランは76780円(税込み)となっており、相続人の人数によって追加費用がかかることはありません。相続した実家、空き家、土地などの売却について相談できるサービスもあります。

3-5. 相続登記あんしんネット

相続登記あんしんネット」は、たぐち司法書士事務所が運営する相続登記専門のオンラインサービスです。

料金プランは、被相続人の除籍・戸籍謄本などの証明書類を自分で用意することで費用を抑えられる「相続登記基本プラン:30800円(税込み)」と、不足する証明書類の代行取得まで含む「相続登記サポートプラン:40700円(税込み)」の2種類があります。どちらのプランもメールや電話での無料サポートがついています。

3-6. 「スマそう-相続登記-」

スマそう-相続登記-」は、司法書士法人みどり法務事務所が運営する相続登記のサポートサービスです。登記の専門家である司法書士に、相続人調査から必要書類の収集、法務局への申請手続きまで一括で依頼することができます。

自宅にいながらLINEやテレビ電話で相談することもでき、料金プランは定額制で87780円(税込み)となっています。

4. 相続登記のオンライン上のサービスを利用する際の注意点

相続登記をオンラインサービスで進める際は、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。とくに「どこまで代行してもらえるのか」「費用は総額でいくらになるのか」など、サービス内容と料金体系を事前によく確認しておくことが重要です。

4-1. サービス内容と料金

オンライン相続登記サービスは、提供するサポート内容や料金体系が事業者ごとに大きく異なります。

たとえば、申請書の作成のみをサポートしてもらえる簡易的なサービスもあれば、戸籍謄本の収集から遺産分割協議書の作成、法務局への申請までを一括で代行してくれるフルサポート型のサービスもあります。まずは自分がどの程度のサポートを必要としているのかを明確にし、それに合ったサービスを選ぶことが大切です。

費用面についても、表示されている利用料だけでは判断できないケースがあります。登録免許税や戸籍取得費用といった実費のほか、証明書の収集代行や書類郵送の手数料などが別途必要になる場合があります。依頼後の金銭トラブルを避けるためにも、最終的にかかる費用総額を必ず確認しましょう。追加費用の有無や内訳についても、事前に問い合わせておくと安心です。

加えて、わからない点をすぐに確認できるように、電話やメール、チャットなどでのサポート体制が整っているかどうかも確認しておきましょう。とくに初めて相続登記を行う人は、手厚いサポートがあるサービスを選ぶと、スムーズに手続きを進めやすくなります。

4-2. オンラインで完結しない場合も

多くの相続登記サービスは「オンライン完結」をうたっていますが、実際には一部で郵送対応が必要になることがあります。

たとえば、戸籍謄本や住民票などの原本、本人確認書類、遺産分割協議書といった書類は、原則として紙でのやり取りが求められます。サービスによっては法務局への登記申請を代行してもらえるものの、原本の返送や書類への署名・押印といった手続きは利用者自身で対応する必要があります。とくに遺産分割協議書は相続人全員の署名捺印が必要となるため、郵送のやり取りが発生する点に注意が必要です。

オンラインだけですべてが完了するわけではないことを理解し、必要な作業範囲と手間を事前に確認しておきましょう。

4-3. 運営主体を確認する

相続登記は専門的な知識を要する法務手続きです。利用するサービスを選ぶ際は、サービスの運営に司法書士や行政書士など、適切な専門家がかかわっているか確認しておきましょう。

5. まとめ 困ったら法務局や司法書士事務所などに相談を

相続登記のオンラインサービスは、手続きの手間を大幅に減らせる便利な手段ですが、各サービスごとに対応範囲や料金体系が異なります。自分で書類を提出する必要があるプランもあれば、登記申請まで一括で代行してくれるプランもあります。費用やサポート内容をよく比較し、自分に合ったサービスを選ぶことが大切です。

ただし、相続関係が複雑な場合や、不動産が複数ある場合などは、オンラインサービスだけでは対応が難しいこともあります。そのようなときは、無理に自分で対応しようとせず、早めに法務局や司法書士事務所へ相談しましょう。専門家に相談することで、ミスを防ぎながらスムーズに手続きを進められます。

不安を感じたときには、一人で抱え込まず、信頼できる専門家に相談するのが安心です。

この記事は、「相続会議」から提供を受けています。2025年8月1日時点の情報に基づいています

この記事を書いた人

元弁護士・ライター
佐藤 孝生
中央大学を卒業後、司法試験に合格。弁護士として約10年の実務経験を経て、現在は専業のライターとして活動。弁護士時代に相続・交通事故・離婚・労務・M&A・債務整理など幅広い分野を担当していた経験を活かし、法律記事の執筆を専門としている。

相続会議 / 朝日新聞社運営のポータルサイト

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