マネジメント=監視になってない?管理職向け「オンラインマネジメント」の鍵
目次
テレワークで増えた、組織マネジメントの悩み
テレワークが普及し、多くのマネージャーの方から「相手の顔が見えない中で、どのようにメンバーをマネジメントしていったらいいのか困っている…」「テレワークでは、どうすれば既存メンバーと新人が一緒に効率よく仕事ができるのかが分からず悩んでいる…」というご相談をいただくことが増えました。皆さまの中にも、テレワークでの業務自体には慣れてきたものの、メンバーや部下との関係構築に悩んでいる管理職の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
「マネジメント=監視」にならないために、身に着けるべき3つのこと
コロナ禍でテレワークを導入する企業が増えた2年前の春、ある大手総合電機メーカーにお勤めの方から、「在宅ワークに切り替えてから上司の監視がひどくなった」という相談がありました。このエピソードをTwitterで紹介したところ、7,000件以上の「いいね」に加え、4,000件近いリツイートがあり、大きな反響がありました。
「在宅ワークになって
— 小澤美佳 | HELP YOU広報 | 活き活きとした組織創り (@mica823) April 25, 2020
上司の監視が酷くなりました…」
大手総合電機メーカーに
お勤めの方から出てきた言葉。
・業務時間中の洗濯や買い物など禁止
・「今テレビみてただろ?笑」と発言
・無駄な業務報告
・10分で終わる会議が1時間
あかん。。
テレワークの本質が
全然ご理解頂けてない。。。
この他にも、テレワークを実施するさまざまな企業のマネージャーの方から「社員が手を抜いていないか心配」といった声を多くいただくようになり、「マネジメント=監視」の図式になってしまっている企業が少なくないのではと推察しています。
結論から言うと、オフライン勤務の時と同じマネジメントをテレワーク下で行うと、それは「監視」になってしまいがちです。オフラインで一緒の空間で仕事をしていたら、横を見れば、部下の働きっぷりが分かります。したがって、部下が業務時間に業務をしているかを確認すること(=サボっていないかを管理すること)を「マネジメント」だと認識している管理職の方がいたら、その考えをまずは改めましょう。
あなたの心配、部下の監視になってしまっていませんか?
そもそも、マネジメントにおいて重要なのは、メンバーの能力を最大化させながら事業推進を行っていくことです。「監視」のマネジメントでは、メンバーが不信感を抱き、関係構築に支障が出るだけでなく、テレワークのメリットである「働く時間帯を柔軟に調整できる」「自分らしい働き方を選択できる」といった魅力も半減させてしまいます。
そうならないために、管理職の立場としてどのようにオンラインでマネジメントしていくべきなのでしょうか。その具体策を紹介していきます。
①仕事をしていると信じる
まず、テレワーク環境において管理職の方が心得ておくべき大前提があります。それは「部下は仕事をしている」と信じることです。
それよりも、むしろ「働きすぎていないか」を心配するべきだと考えています。移動時間というオン・オフの切り替えの時間がなくなったり、物理的に夜中でも働ける環境にあるテレワークでは、働き過ぎによる体調・メンタル不調の方に気を配るべきでしょう。
また、パーソル総合研究所が行った「部下が抱えるテレワーク環境での不安の実態」調査によると、「上司や同僚から仕事をさぼっていると思われていないか不安だ」と感じている人が多いということが明らかになっています。
上司に信じてもらえている実感がなければ、このように不安を感じるのも無理はありません。
では、メンバーのこのような不安を解消するためにどうすればいいのでしょうか。
②信頼関係の構築に努める
それは、信頼関係を構築することです。上司は「部下がさぼっているのでは」と疑いを持ち、メンバーは「上司にさぼっていると思われているのでは」と不安を感じている時点で、信頼関係の構築ができているとは言えませんよね。
上司から信用されていることが感じられない部下は、”自分の仕事ぶりを上司へアピールするため”の報告資料作成にばかり追われてしまうことにもなりかねません。そうなると、業績アップのための本質的な業務時間は減少してしまいます。その結果として、企業の業績が伸び悩むことも考えられます。
部下に余計な作業を増やさないように。
だからこそ、信頼関係が重要ですが、オンラインで信頼関係を築くことは一朝一夕にはいきません。出社して顔を合わせていたら、上司の表情や必死さも伝わりますし、時には飲みニケーションによって想いを伝えたりメンバーの悩みに寄り添う場面もあったかもしれません。しかし、テキストコミュニケーションがベースになるテレワークでは、温度感や空気感が伝わりにくいもの。
そこで、今日から実践できるコミュニケーション法をご紹介します。それは「1日、1褒め」を実践すること。
メンバーを観察し、チャットなどで「昨日の商談、よく頑張ったね!」「●●くんのリサーチしてくれた情報、よくまとめられていて勉強になったよ!」などオフライン勤務の時以上に、積極的にコミュニケーションを取りにいき、日々メンバーのやる気アップを促すことが大事です。このように、監視ではなく「見守る」姿勢を示すことが、心理的安全性を生み、信頼関係の構築につながると考えています。
③「指示能力」と「言語化能力」を磨く
メンバーを信じ、信頼関係を構築するためにコミュニケーションを増やすことを心がけたら、次は「言葉で明確に仕事の指示をする能力」を磨いていきましょう。これは、テレワークを円滑に進める上で重要な鍵を握る、管理職が身に着けるべきスキルだと思います。
上司からの指示が曖昧であったり不適切なものであれば、その指示を受け取ったメンバーはなかなか成果につながる働きができないことも考えられます。結果として、そのメンバーの評価が落ちることにもつながりかねません。また、上司がメンバーに適切なフィードバックができていなければ、その評価に対する不信感や不満が生まれることもあるでしょう。
オフィスでの業務の時は「あの仕事、うまくやっといて」など、ニュアンスでのやりとりも多かったかもしれませんが、テレワークでは、そのような曖昧な指示では相手に伝わりません。テキストやオンラインミーティングなどでも、仕事の内容・目的などを明確に伝えるスキルは不可欠です。
④時間ではなく成果で管理
テレワーク導入前は、「9時から17時まで働く=仕事」であったり「机に向かっていること=仕事」というような状態の企業も多かったのではないでしょうか。しかし、テレワーク環境の中では、この「時間でのマネジメント」から「成果でのマネジメント」に体制自体を変える必要があると考えています。
成果で正しく評価する文化であれば、メンバーは自ずと少ない時間で、きちんと成果を出そうとするでしょう。そしてそれがチーム・会社の業績向上にもつながると思っています。マネージャーの役割は、最小の時間と労力でメンバーの能力を最大化させることです。そのために、前述のように、まずはメンバーを信じて信頼関係を醸成したうえで、上司からの積極的なコミュニケーションを通じて、メンバーのモチベーションを日々高めることが大切だと言えます。
既存社員/新人別オンラインマネジメントのポイント
4月には新入社員を迎える企業も多いでしょう。私のところにも「新人をリモートで教育しなければならない」とお困りの声をよくいただくことから、ここからは、新人/ベテラン社員別のオンラインマネジメントのポイントをご紹介します。
【新人編】オンラインマネジメントのコツ3つ
(1)高頻度のコミュニケーション設計
オンラインでの対新人マネジメントにおいては、コミュニケーションの質や量よりも、頻度を重視して設計することが大事です。月に1回の2時間の1on1より、毎日5分の1on1の方が効果的です。
(2)評価指標:結果50%・プロセス50%
これは新人の評価システムのセオリーですが、新人の間はプロセスでも評価をするようにしましょう。「新人に合ったKPI(業績管理評価のための指標)の設計とKPI達成のために計画したプロセスをやり切っているのか」ということの進捗管理は肝ですね。
(3)育成:アメとムチの連携
アメ役のメンターとムチ役のメンターはオンラインでこそ重要です。なぜなら、ネガティブな情報や注意・指摘などは、テキストで送ると、対面以上に冷酷な印象を与えてしまいます。それにより新人の心理的安全性がなくなり、家で悶々とした時間を送ってしまう可能性もあるからです。そこで、アメ役とムチ役が連携プレーを取り、ムチ役が注意・指摘をした場合は、その後すかさずアメ役がフォローに回ることを徹底しましょう。
【ベテラン社員編】オンラインマネジメントのコツ3つ
(1)評価指標:結果100%
目標を達成したか、しないかの2択で評価します。「頑張ったんだけど、未達」とか「兆しは出てきているけど、未達」といったものは、「全て未達」です。もはやベテラン層にはこういう思想でマネジメントしないと、テレワークのマネジメントは上手くいきません。
(2)「プロセスマネジメント」から「結果マネジメント」の徹底
先述の通り、テレワークでは、時間の管理ではなく結果を管理するという基本的な評価体制を組織内でも徹底しましょう。部下の電話の様子を隣で聞いて、一言一句指摘するようなマイクロマネジメント型の管理職者はテレワークではうまくいきません。
(3)OKR→MBOで運用
一体感が醸成しづらいテレワーク下では、OKRでの運用は難しいかもしれないというのが私の見解です。会社やチーム、個人の全てにおいて、明確に「ここは100%でやり切ろうね!」というMBOの制度の方が合っているように私は考えています。比較的、言われたことに従順な日本人の感覚にも合っているようにも思います。
テレワーク継続の未来を見据えた制度作り
昨年8月に実施された調査によると、テレワーク実施者の約8割がテレワーク継続の意向を示していることからも、今後もテレワークという働き方は継続していくことが予想されます。
組織としてテレワークを継続することを踏まえ、今後の採用の在り方や基準もシフトする時期にきているのではないでしょうか。
テレワークにおける採用のポイント
オンラインでは対面での教育とは違い、手取り足取りの教育ができない状況になります。それに伴い、これからは以下の2点を採用時に重視する必要が出てくるでしょう。
①自律性:自分で自分の仕事を創っていけるか?=指示待ち人間ではない人物
②忍耐力:ストレス耐性があるか?もしくはストレスを解消できるか?
働き方を考える機会に
また、テレワーク導入により、既存社員の不活性人材があぶりだされる現象も起こっています。先日ツイッターで600件近くの「いいね」をいただいた投稿がこちらです。
リモートワークは
— 小澤美佳 | HELP YOU広報 | 活き活きとした組織創り (@mica823) March 21, 2020
不活性人材があぶり出される
・9-17時で何となく席座ってる
・会議で耳打ち
・戦略立案はメンバー
・マネジメントは飲みニケーション
・言われたことをこなすだけ
↓
リモートワークになって
「俺、何やったらいいの?」
となってしまう
自分の仕事を
自分で創れないと厳しい🐏
これまで「仕事=会社に行くこと」ぐらいの感覚だった方々にとっては、在宅ワークは厳しい環境かもしれませんが、企業にとっては「組織の未来を考える」、個人にとっては「自分の生き方を見つめ直す」良い機会なのではないでしょうか。
信頼関係の構築や心理的安全性を確保することが難しいオンラインでの組織作り。だからこそ、メンバーみんなが活き活きと働き、事業を推進していくための業務の設計が不可欠です。
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