TCL製QLEDテレビ「65C815」をレビュー、驚きの性能とコスパを実感
世界第2位のテレビ出荷台数(2019年)を誇り、米国で売り上げ第1位を記録した中国大手家電メーカーTCL。世界のテレビ市場は頭打ち状態にあると言われる中、尚も販売拡大を続ける躍進中の家電メーカーです。
日本市場に本格参入したのは2019年夏。新時代を感じさせる量子ドット技術「QLED」を搭載したテレビは、今後のテレビ選びの選択肢の一つになることが大いに期待されます。
そこで今回、MoovooではTCL Japanより4K対応の65型QLEDテレビ「65C815」をお借りして、QLEDテレビの実力を検証してみました。
「QLEDって何?液晶テレビや有機ELテレビと何が違うの?」
「価格は安くても映像やサウンドに満足できる?」
「テレビ放送を見る以外に何ができるの?android TVって何?」
こうした疑問にも答えていきますので、ぜひこの機会にTCL製QLEDテレビをチェックしてみてください。
TCLとは|QLED技術で世界トップシェアを狙う
TCLは中国広東州恵州市に本社を置く大手家電メーカー。現在日本向けにテレビを主力製品として販売していますが、他にもIoT家電やオーディオ機器などの開発も行っています。
TCL製品の強みは何と言ってもコストパフォーマンス。ゲームや動画配信サービスなどをより高精細に、より大画面で楽しみたいという多くのニーズに対し、満足度の高い性能でありながら手に入れやすい価格帯を実現。新興メーカーでありながら米国アマゾンのテレビ販売において長期にわたるトップセールスを記録しています。
ユーザーの厳しい目にさらされるテレビ製品において、海外で高い評価を積み上げてきたTCL。自国製品が強い日本市場に風穴を開けられるのか、今後の活躍に期待です。
QLEDとは|液晶の進化版「量子ドットLED」に注目
大型4Kテレビやスマートフォンなどで耳にすることの多い「有機EL」。「OLED(Organic Light Emitting Diodeの略)」とも呼ばれ、電気を流すことで光る有機発光ダイオードを利用して画像を映し出しています。
一方、「QLED」とは、Quantum dot Light Emitting Diodeの略で、量子ドット発光ダイオードを意味しています。一見、字面が似ているため間違えやすいですが、仕組みが大きく異なります。
簡単に違いを説明すると、OLED(有機EL)ではパネルに並ぶLEDが自発光して画を作り出しているのに対し、QLED(量子ドットLED)は従来の液晶テレビと同じくバックライトの光を変換することで色を表現し、画を作り出しています。
世界のテレビ市場は今や「OLED」と今回ご紹介する「QLED」の熾烈な競争の渦中にあります。
量子ドットLEDの仕組み
仕組みとしては、直径2nm(ナノメートル)から10nmという非常に小さな量子ドットに青色LEDのバックライトを照射すると波長が変わる特性を活かし、様々な色を表現することが可能です。量子ドットのサイズが小さければ青色の光は青く光り、大きくなると光は赤色に近づきます。
従来の液晶テレビでは、白色LEDのバックライトをフィルターに照射することで、任意のカラーを抽出しています。実際に目で見る色はフィルターによってほとんどの光をロスしているため、消費電力を無駄にしているという一面があります。
一方、QLEDテレビの場合、バックライトの光を利用している点で従来の液晶テレビと同じではあるものの、光の波長を変換するという画期的な方法により効率的に光を利用することができます。
少ない電力でも十分に光量を活かすことができるため、クリアでしかも臨場感のある高いコントラストや、目に飛び込んでくるような鮮やかな色彩表現が可能になるのです。
BT.2020に対応、自然界に存在する80%の色を再現可能
QLED技術による光の波長変換は、高精細な4Kや8K映像に求められる広色域をカバーすることが可能です。今回ご紹介するC815は4K放送や映画などで採用されている色域規格「BT.2020」に対応しています。
TCL製のQLEDテレビは約80%の広色域をカバー。従来のハイビジョン放送が74.4%(BT.709)であるのに比べて、QLEDテレビは自然の美しさを表現するのにより適したデバイスであると言えるでしょう。
QLEDテレビは有機ELを超える次世代型液晶
液晶(LCD)テレビの進化版とも言えるQLED(量子ドットLED)テレビですが、競合相手はOLED(有機EL)テレビです。QLED、OLED、LCDについてそれぞれどういった特徴があるのか比較してみます。
量子ドットLED |
有機EL |
従来の液晶 |
|
---|---|---|---|
コントラストの高さ |
◎ |
◎ |
◯ |
視野角の広さ |
◎ |
◎ |
△〜◯ |
画面の焼きつき |
起きにくい |
起きやすい |
起きにくい |
ディスプレイ寿命 |
◎ |
◯ |
◎ |
生産コスト |
安い |
高い |
安い |
省エネ性能 |
◎ |
△ |
◯ |
表の通り、液晶テレビの弱点とも言える「コントラスト」や「視野角」は有機ELと肩を並べるまでに向上しています。しかも液晶テレビのメリットである「コストの安さ」や「焼きつきの起きにくさ」は変わらない点は評価できます。
「焼きつき」とは、同じ画面を表示し続けた際にディスプレイ上に残像のようなものが残る現象です。有機EL技術を採用したテレビやスマートフォンなどで無視できない問題となっています。焼きつきはデバイス自体の寿命を短くすることにも繋がる厄介な問題です。
QLEDテレビはコストを抑えながらも長寿命である点がコスパ最強と呼ばれる1つの大きな理由です。
QLEDテレビ「C815」の実力をチェック
それではいよいよTCL製QLEDテレビの実力について、実際に使ってみてチェックしていきましょう。
今回レビュー用にお借りしているのは、2020年11月20日にTCL JAPANより発売されたばかりの4K対応65型の「65C815」。同時に発売された3シリーズ7機種の中で、立体音響システム「Dolby Atmos」に対応したサウンドバーと120Hzの倍速駆動(MEMC)が特徴的です。
デザイン|スリムなディスプレイと存在感あるサウンドバー
65型の65C815のサイズは、幅約150cm、スタンドを含む高さが約100cmあり、設置してみるとその大きさと存在感に驚かされます。映画館のスクリーンを前にしているかのような迫力を感じました。
映像を映し出してみて、まず印象的だったのは画面の端にあるベゼル(額縁)の狭さです。視聴時に画面の端が気になることはありません。映画や3Dグラフィックスのゲーム動画を見ても、没入感を損なうことなく楽しむことができました。
ディスプレイを横から見ると、その薄さに驚かされます。液晶テレビはバックライトを内蔵しているために厚みが出てしまうのが一般的ですが、C815は有機ELテレビのようなスリムなディスプレイが特徴的です。
ディスプレイの下にはC815シリーズの特徴であるサウンドバーを搭載。一般的な薄型テレビではディスプレイの最大化やボディのスリム化のためにスピーカー性能を犠牲にしていることが多いですが、C815は15Wのスピーカーを2基搭載したフロントサウンドバーと、20Wのサブウーファーを背面に搭載し、計50Wのスピーカーを積んでいます。
映画やゲーム音楽をより楽しむためにサウンドバーを追加で購入する必要がないのは大きなメリットです。
付属のリモコンは手に馴染みやすい曲面が特徴的。リモコンの下部には「NETFLIX」「hulu」「YouTube」など、動画配信サービスに即座にアクセスできるボタンが並んでいて便利です。また、リモコン中央に配置された白色の「Google Assistantボタン」を使えば、音声認識を利用して見たい映像を検索したり、音量調節なども可能です。後ほど詳しい操作方法をご説明します。
サイズ |
【スタンド含む】 |
---|---|
重さ |
【スタンド含む】 |
ディスプレイ性能|視野角の広さ、クオリティの高い映像表現
ディスプレイ性能でまず注目すべきは視野角の広さです。178度という広視野角を実現しています。
多くの液晶テレビで問題となるのが視野角の狭さ。正面ではなく、斜めから見た時に画面全体が白っぽくなり、画質が落ちてしまい、見にくくなるものですが、C815は斜めから見ても色が締まっていてクリアな画質を維持しています。
さらに、65C815には、ユーザーの視聴体験を高める機能をいくつも搭載しています。
65C815は最新7機種の中で唯一120Hz(1秒間に120回の画面更新)に対応しています。「MEMC」とは、一部のスマートフォンなどでも採用されている「動的画質補正技術」のことで、残像感を感じやすい一般的な60Hzの映像を補正することで滑らかな表示を可能にする機能です。画面のチラつきも感じにくくなり、快適な視聴体験を得られます。
実際に120Hzの4K映像を視聴してみて感じたのは、テレビを介して映像を見ているというよりも、実際に自分の目で見ていると感じられるほどに、動きのあるものがクリアに表示されました。カクツキなどが抑えられ、長時間見ていてもストレスを感じません。大画面テレビにこそ特に求められる性能だと感じました。
マイクロディミング(Micro Dimming)とは、画面を1,296のゾーンに分割して映像情報を分析する機能です。画面内での暗いところと明るいところを判別して光の出力を調整するため、従来の液晶テレビでは弱かった「明暗差」をしっかりと表現することが可能になります。
また、ドルビー・ビジョン(Dolby Vision)とは、画面上の明るいところから暗いところまで鮮やかに表現できるHDR動画規格の一つです。最近のテレビでは高精細な4K動画を美しく見せるために「HDR10」に対応したモデルが一般的ですが、HDR10が表現できる明暗差が1,024段階であるのに対し、ドルビー・ビジョンはなんとその4倍の4,096段階で明暗差を表現することが可能です。
従来の液晶テレビはバックライトを画面全体に一律に照射するため、完全な黒を表現しにくく、さらに、明るい部分はぼやけやすいという弱点がありました。また、強い光は白飛びをしやすく、暗部は黒くつぶれやすい点もデメリットでした。
実際に銀座の夜景の様子を見てみると、夜空がしっかりと黒く映し出され、さらに、きらめく照明の灯りはとてもシャープです。また、照明に照らされて明るくなっている箇所は白飛びを抑えて色合いの違いが細かく描き出されてます。そのため、暗い箇所も明るい箇所ものっぺりとせず、画面に奥行きが感じられます。
幅広い表現域に対応していることで、映し出されるリアルさが従来の液晶テレビとは段違いであると感じました。
サウンド|ドルビー・アトモスが立体的なサラウンドを実現
映像が素晴らしくてもサウンドがいまいちでは臨場感に欠けてしまいます。ところが、C815シリーズにはドルビー・アトモス(Dolby Atmos)対応のサウンドバーとサブウーファーが搭載されています。
ドルビー・アトモスとは、映画館などでも採用されている技術で、スピーカーから音が平面的に出るのとは異なり、左右から音が聴こえたり、頭上から音が降ってきたりと、包み込まれるような立体的な音響体験を可能にする技術です。
従来は、そうした音響システムを組むために様々な方向に複数台のスピーカーを設置する必要がありましたが、ドルビー・アトモスは一方向に配置されたスピーカーだけで立体的なサラウンドシステムを実現することができます。
実際にアニメやゲーム映像、映画などを視聴してみて、まず感じたのはサブウーファーによる確かな重低音です。テレビ背面にあるサブウーファーの音が壁に跳ね返り、部屋全体に響き渡る重厚なサウンドが映像の迫力を増してくれます。
さらに、映画を視聴していて、雨のシーンでは雷鳴が頭上から聴こえてきているかのような体験ができました。映像への没入感が一般的なスピーカーとは全く異なります。まさに映画館にいるような視聴体験ができます。
また、C815シリーズのフロントサウンドバーはテレビを視聴している側に向かってしっかりと音を響かせるため、クリアでしかも心地良く感じます。
先に触れていますが、65C815に搭載されているスピーカーは15W×2基のフロントサウンドバーと、20Wのサブウーファーという構成です。一般向けに100Wやそれ以上のW数のあるサウンドバーも販売されていますが、一般的なリビングや部屋で視聴するには65C815のサウンドバーで十分なパワーを感じました。
操作性|Android TVを快適に視聴できる
Android TVとは、Googleが提供しているテレビ向けのプラットフォームです。スマートフォンやタブレットのように「Google Playムービー&TV」から動画コンテンツをダウンロードしたり、動画配信サービスを利用することもできます。
地デジ放送だけでなく、ネット上に配信されている動画コンテンツも大画面と迫力あるサウンドで楽しめるのが魅力です。
見たい映像を見るうえで便利な機能が「Googleアシスタント機能」。リモコン中央にある白いボタンを押してリモコンに向かって話しかけると、見たいコンテンツを検索してくれます。最初にGoogleアカウントでログインすることで使えるようになります。
「Googleアシスタント機能」を使えば面倒な文字入力の手間を省けるため、いつでも押しやすいリモコン中央に配置されているのがポイントです。
マイクは電源ボタンの横。集音性能は高く、リモコンを持つ腕を伸ばしきった状態で話しかけても正確に認識してくれました。
リモコンだけではなく、スマートフォンでも音声認識や文字入力による検索機能が利用できます。普段操作に慣れている分使いやすく感じることでしょう。
Googleから「Android TV」アプリが提供されています。Androidスマホやタブレットだけでなく、iPhone用のアプリもApp storeからインストールできます。
入出力端子|4Kに対応したHDMI2.0の入力ポートは3つ
レコーダーやホームシアターシステム、またはゲーム機などをテレビと接続する場合に、HDMI入力端子の数は重要です。C815シリーズは4K映像に対応したHDMI2.0の入力端子が3つ搭載されているため、一般的な用途であれば足りないということはないでしょう。
まとめ
今回Moovooでは、2020年11月にTCLより発売されたばかりのQLEDテレビ「65C815」の実力について検証を行いました。映像のクリアさはもちろん、臨場感を感じる鮮やかな色彩や明暗差が印象的でした。
ドルビー・アトモス技術による立体的な音響効果も確かに実感することができ、自宅にあれば映画やドラマ、ゲームなどもより一層楽しめそうだと実感しました。
何より魅力的なのが価格です。今回ご紹介した65C815は、有機ELテレビに劣らない質の高い映像を65インチの大画面で楽しめて、さらに立体音響技術を搭載したサウンドバーを搭載、これだけの機能と性能を12万円ほどで手に入れることができます。
自宅を映画館にする夢はここまで手軽に叶えられるようになったのかと驚くばかりです。
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