〈プロ解説〉育毛剤の効果とは? 発毛剤や養毛剤などの特徴から読み解く方法を紹介

matsumura
公開: 2020-03-23

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薄毛や抜け毛対策に育毛剤を使ってみたいものの、本当にその商品に効果があるのかないのかを判断するのは難しいですよね。自分の髪の悩みに適した商品かどうかを見極めるには、効果や成分が記載されたパッケージやメーカーの公式ウェブサイトを見るのも一つの方法です。

今回は髪のプロに育毛剤、発毛剤、養毛剤・スカルプケア剤の効果を読み解く方法を聞きました。薄毛をケアする製品を選ぶ際の参考にしてください。


育毛のプロが教える!育毛剤の効果を読み解く方法

取材協力

  • 毛髪診断士
  • 鎌田妹さん

  • 美容師/毛髪診断士/指定認定講師。
    髪に悩みを持つ方向けのサロン「INTI新宿店」でデザイナーとして3年間勤務し2020年よりフリーランスの毛髪診断士として独立。
    現在はヘアサロン銀座ROOMS内で薄毛に悩む顧客にヘアカットやパーマ、ヘアセットを施すことで、薄毛が目立たなく見えるヘアスタイリングを提供しています。

鎌田さんは17年の美容師とヘアメイクのキャリアの中で、お客さまから毛髪の少なさや薄さ、地肌のトラブルなどの相談が増えてきたと実感したそう。これらの悩みに応えるため2015年に毛髪診断士の資格を取得しました。その後も認定講師に加えて、毛髪診断士へ指導が行える指定認定講師も取得。

銀座ROOMS個室

現在は銀座にある全室個室のヘアサロン「ROOMS」内にて薄毛全般に関する悩み相談や、薄毛の部分を目立たなくするようなヘアメニューを提供しています。男性、女性と性別に関わらず薄毛の悩みは多く寄せられていて、個室空間だからこそ言いにくい悩みも打ち明けられることが多いと言います。

例えば、「抗がん剤の影響で脱毛してしまったので、ウィッグのヘアカットをお願いしたい」や、「植毛したけれどヘアスタイルがきまらないので、カットとスタイリングをしてほしい」など、薄毛を得意とする毛髪診断士だからこそ対応できるサービスが特徴的です。

中でも特に多い相談が「今使っている製品は使い続けて大丈夫なの?」という内容。AGAクリニックの処方箋を持参されて、「この成分は自分の悩みにあっているのか?」と聞かれたり、個人輸入で海外から取り寄せた塗り薬や飲む育毛剤のパッケージを見せて「この成分は使って大丈夫なのか?」などと聞かれるそう。

ウェブサイトを確認する鎌田妹さん

今回の企画を鎌田さんに相談した際も「効果の読み解き方って、お客さまから一番聞かれることなんです!」と言うので、いかに世の中の髪に悩む人たちが商品選びに悩んでいるかがわかりました。

そこで、今回は鎌田さんと一緒に、代表的な発毛剤、育毛剤、養毛剤・スカルプケア剤の公式サイトやパッケージを見ながら、効果のある/なしを判断できるポイントを解説します。

発毛剤・育毛剤・養毛剤の効果について

ドラッグストアやECサイトで市販されている製品は大きく分けて3種類あり、それぞれに得られる効果は異なります。まずは、各分類の目的や特徴と見分け方について説明します。

発毛剤

目的:髪の毛を生やす
分類:第一類医薬品
成分:ミノキシジル
見分け方:公式サイトやパッケージに「発毛」と書かれている


発毛剤は第一類医薬品なので、基本的には薬局やドラッグストアなどで薬剤師から購入します。日本国内で販売されている発毛剤には、「ミノキシジル」という発毛成分が配合されている場合が多いです。

大正製薬リアップX5プラスのウェブサイト

ミノキシジルはAGA治療薬にも使われている成分で、発毛クリニックで処方されたお薬でも発毛剤でも基本的な発毛成分は同じです。

大正製薬リアップX5プラスのウェブサイト2

「発毛」という表現は発毛成分が含まれていなければ記載できないので、公式サイトやパッケージに「第一類医薬品」という記載とともに発毛と書かれていれば発毛剤だと認識できます。

育毛剤

目的:頭髪の現状維持
分類:医薬部外品
成分:センブリエキスやニンジンエキス、グリチルリチン酸ジカリウム、アデノシン等の「有効成分」と記載された成分が配合されている
見分け方:「発毛促進」「抗炎症効果」「かゆみやふけ対策」といった表記が多い


育毛剤は毛髪が今以上に減らないように、現状をなるべく長く維持することを目的としています。公式サイトやパッケージに「医薬部外品」と書かれているものが目印です。

医薬部外品には厚生労働省が認めた有効成分が一定量以上配合されている必要があるので、有効成分が記載されていなければなりません。

チャップアップのウェブサイト

育毛剤の主な有効成分は「血行促進」「抗炎症効果」「かゆみを抑える」という3つの効果を謳っているものがほとんどです。これらの文言も医薬部外品ならば効果として記載できる表現とされています。

チャップアップのボトルを持つ鎌田妹さん

また、「ヘアサイクル」について言及している製品も多く見かけますが、毛髪の成長期・後退期・休止期に働きかける有効成分が配合されていれば記載してもいい表現です。

養毛剤・スカルプケア剤

目的:頭髪の環境改善、見た目を良くする
分類:化粧品
成分:保湿効果のある成分が記載されていることが多い
見分け方:第一類医薬品や医薬部外品の表示がなく、「頭皮ケア」や「健やかな」などと表現


第一類医薬品や医薬部外品と記載されていない商品は、化粧品に分類される養毛剤やスカルプケア剤と見ていいでしょう。毛髪に働きかける有効成分が含まれていない、または、厚労省が規定した一定量以上を使用していない製品と言えます。

フーチェのウェブサイト

養毛剤は保湿効果が頭皮環境改善に働きかけたり、配合成分が髪の毛に艶を与えて健康的に見せてくれるような製品が多いです。化粧品だからダメ!というわけではありません。

頭皮の乾燥は脱毛や薄毛の原因にもなるので、保湿成分のあるケア製品で潤いを保つことで頭皮環境を整えることができます。また、乾燥したパサついた髪よりは艶のある髪の毛のほうが健康的に見えます。見栄えを良くするという観点からも養毛剤をうまく活用しましょう。

成分について

発毛剤や育毛剤、養毛剤には多種多様な成分が含まれていて、それぞれに効用や効果、効き方が異なります。生薬由来や天然成分といった表記も多く見られますが、カタカナの成分は化学化合物だから人体に悪いというものでもありません。化学式が同じであれば効果や効能は同じですし、人工的に精製した成分の方が不純物が少なく一滴当たりの効果は高くなります。

以下では、発毛や育毛に関する成分や添加物について、その特徴や効果を説明します。

代表的な発毛成分の効果

ミノキシジル…日本で最も使われている発毛成分で、AGA治療薬や発毛剤に含まれています。日本皮膚科学会には下記のように説明されています。

毛乳頭細胞を刺激して毛母細胞の増殖を促す成長因子を出させる作用があります。

日本皮膚科学会HP

男性は5%まで、女性は1%までと成分中の分量が決められています。規定量以上のミノキシジルを含有した製品を使用すると、頭皮のただれや痛みなどのトラブルが発生する可能性があります。

フィナステリド…AGA治療薬として処方こされることがありますが、国内の一般的な市販品に配合されていることはほぼありません。海外製品や個人輸入した発毛剤に含まれている場合がありますが、妊娠中、又は妊娠の可能性のある女性への取り扱いの注意が必要な成分です。

代表的な有効成分の効果

センブリエキス…毛細血管の増強や血行促進に作用する成分です。古くから漢方薬として使われていて、比較的副作用やアレルギー性の低い成分と言われています。

ニンジンエキス…朝鮮人参から抽出される成分で血行促進や新陳代謝の促進が期待できる成分です。

グリチルリチン酸…カンゾウエキスやカンゾウとも記載される成分で抗炎症効果や抗アレルギー作用があるとされています。医薬品や食品にも使われる成分なので副作用はほとんどないとされています。

その他の成分の効果

トコフェロール…皮膚へビタミンEを与える目的で使用され、酢酸トコフェロールと表記される場合もあります。抗酸化作用や血行促進作用があり、食品では酸化防止剤としても使用されます。赤ちゃん用のヘアケア・ボディケア製品にも使われていて、副作用や皮膚トラブルがほとんど起きないとされています。

アロエエキス…アロエベラという多肉植物から抽出された成分で、アミノ酸、ビタミン、ミネラル、食物繊維、酵素などが多く含まれていることから、昔から火傷や外傷の治癒目的でも使われてきました。化粧品やヘアケア、ボディケアなど幅広い製品に多用されているメジャーな成分です。育毛剤に使用される際には保湿作用を目的として配合されているケースが多いです。

添加物について

育毛剤や養毛剤の中には無添加やアルコールフリーをアピールしている商品が多数存在します。しかし、添加物は一概に悪いものとは言えず、厚生省に認可された成分であれば使用に問題はありません。

市販されている製品は有効期限を記載するか、記載がなければ未開封で3年は同じ状態や効果を保つ必要があるとされています。添加物が入っていないことで商品の状態が保てなくなり、使い続けているうちに酸化したり、カビが生えてしまうこともあります。鮮度の面では冷蔵庫で保存することも有効ですが、やはり管理が難しくなってしまいます。

添加物の成分によるかゆみや肌荒れなどを伴わないのであれば、適量の添加物は許容して使用することをおすすめします。

防腐剤…保存料とも言われ「パラベン」などの成分名で記載されています。殺菌・静菌作用があり、細菌やカビの発生を防止します。定められた配合量以下であれば人体に対する悪影響が低いとされています。

アルコール…ラウリル硫酸ナトリウムと記載され、乳化剤として配合されています。成分を混ぜた状態を保つために用いられているので、メーカーが推奨する使用期間の間は同じ状態や効能を発揮するために必要な成分です。

香料…合成香料と天然香料がありますが、どちらも製品に香りをつける目的で配合されています。無香料を謳っている製品もありますが、香りがないことで薬品臭や独特の匂いが頭髪につくこともあります。適度な香りは清潔感や使用中の気分を良くしてくれることもあるので、無香料にこだわりすぎる必要はないでしょう。

個人のブログやECサイトのレビューは本当?

個人による口コミやレビューは主観的な意見や感想が記載されていることが多く、自分と同じ症状なのか、また、同じ効果が得られるのかはわかりません。「効果がなかった」と書かれているケースの中には用量が少なかったり、使用期間が短いなど、効果が現れにくい使い方をしている場合も多く存在します。

使用期間や薄毛や脱毛のバックグラウンドなども含めて参考程度にチェックするのが望ましいでしょう。検証レビューや総合評価、ランキングといった表記も多く見られますが、やはり自分で使ってみないと判断できない、というのが正直なところです。

全額返金保証や返品可能という商品であれば実際に製品を試してみることもできますが、やはり一定期間以上使い続けなければ効果が現れないので保証期間や返品期間に注意が必要です。

効果の読み解き方について

チャップアップのボトルを持つ鎌田妹さん

公式サイトやパッケージから製品の効果や特徴について確認する順番は以下の通りです。
1. 製品の分類はどれか?
2. 発毛成分や有効成分は何か?
3. 副作用はあるか?
4. 容量と用法が記載されているか?
5. 効果が出るまでの期間はどのくらいか?
6. 購入し続けられる場所で売られているか?

1. 製品の分類はどれか?

「第一類医薬品」と書かれていれば発毛効果のある発毛剤です。「医薬部外品」の記載があるものは有効成分が一定量含有された育毛剤です。

どちらの記載もないものは化粧品に分類される養毛剤やスカルプケア剤でしょう。自分が薄毛ケアに求める効果によって、どの分類の製品を選ぶべきかをチェックしましょう。

2. 発毛成分や有効成分は何か?

公式サイトやパッケージに「有効成分」と書かれていれば発毛や発毛促進に効果のある成分が含まれていることになります。それぞれの成分に期待される効果や効能が説明されていることもあるので確認してみましょう。

日本皮膚科学会では発毛剤の成分に関する有用性を説明した資料があるので参考にしてみてください。

3. 副作用はあるか?

育毛剤に使用されている有効成分は比較的、副作用が発生する可能性が低いとされていますが、発毛剤に使われている成分には副作用を伴うリスクがあります。

発毛剤では副作用について必ず記述されています。もし、個人輸入品や育毛剤の有効成分の副作用について調べたい時は厚生労働省のホームページが参考になります。

4. 容量と用法が記載されているか?

それぞれの製品には効果が得られる使用量と使い方があり、公式サイトや説明書に使用目安が記載されています。使用頻度が朝夜2回と記載されているのに、1日1回だったり数日おきに使ったりしては効果を得ることは難しいでしょう。

また、1回の使用量も重要です。メーカーが推奨する使用量は1回で30プッシュや4mlなどと記載されていますが、どれも実際に使ってみると少し多いのでは?と感じるかもしれません。実際に鎌田さんが容量どおり顧客の頭皮に塗布すると、頭髪全体がかなり濡れた状態になります。やはり、頭皮に成分を浸透させるためには、それ相応の量を使用する必要があります。

液体であれば毛髪が乾くまでに揮発してしまう分もあるので、しっかりと容量を守って使用してください。スプレータイプやジェット式のノズルだと頭皮に直接塗布できる、というメリットがあります。

もし、自分のライフスタイルやヘアスタイルだと髪の毛や頭皮に直接育毛剤をつけるのが難しいようなら、クリニックから処方された飲み薬を服用するか、植毛やヘアスタイリングでカバーするという方法も検討しましょう。

5. 効果が出るまでの期間はどのくらいか?

ヘアサイクルは毛周期とも呼ばれ、成長期・後退期・休止期に分けられます。健康な毛髪ならば男性で3~5年、女性で4~6年おきに成長期がまわってきます。このことからも、製品を使い始めてもすぐに効果は出てきません。ヘアサイクルの周期を考えると、少なくとも半年程度は使い続けなければ効果を感じることはできないでしょう。

用法・容量の説明や使用上の注意に、使用期間についても記載されていることがあるので確認してみてください。

6. 購入し続けられる場所で売られているか?

発毛剤は第一類医薬品なので薬剤師に相談の上でしか購入できません。ECサイトや通販で購入した際も、別途薬剤師の確認が必要だったりと、購入方法が限られるので注意が必要です。

鎌田さんからは「発毛はデリケートな内容なので、みなさん声に出して言いにくいようです。けれど、薬剤師に相談する際にはメモやスマホで「発毛剤」と見せれば、周囲に知られることなく商品を購入できます」とアドバイス。

育毛剤や養毛剤はドラッグストアだけでなく日用品を扱うスーパーマーケットや各種ECサイト、直販サイトなど様々なところで購入できます。

1ヶ月おきに配送してくれる定期コースなどのサービスもあるので、いちいち購入しに行くのが手間という人は利用を検討してみてもいいでしょう。その際は解約可能なクーリングオフ制に該当するかを購入前に確認しましょう。

実際に鎌田さんと効果に関する文言を検証しました

以上の効果に関する見分け方をもとに、実際に各製品の公式サイトやパッケージを見ながらポイントを教えてもらいました。

①男性用発毛剤
  • 大正製薬
  • 【第1類医薬品】リアップX5プラスローション 60mL

  • 税込み7,752円
  • 有効発毛成分ミノキシジルを5%と最大限配合

  • 育毛剤で有名なメーカー大正製薬が販売する「リアップX5プラスローション」は、壮年性脱毛症による発毛と抜け毛の進行を予防する人気の男性用発毛剤です。

リアップシリーズはウェブサイトで詳細な情報を掲載しています。

大正製薬HP

リアップX5プラスのトップページでチェックするのは2つです。

有効成分が「ミノキシジル」であることから発毛剤と読み取れます。また、「第一類医薬品」と記載されているので薬剤師への相談が必要だとわかります。

他のページには発毛効果のデータは臨床データなども記載されていますが、脱毛や薄毛の原因や使用環境が同じ条件とは限らないので、参考程度にしてください。ここで参考にすべきは製品情報ページです。

大正製薬HP

「使用上の注意」の「その他の注意」に「本剤の有効性は4ヵ月使用後から認められています」と記載されています。効果が現れるのは4ヶ月目以降となるので、使い続けることを前提に購入する必要があります。

大正製薬HP

「効果・効能」にある脱毛と薄毛のパターンのイラストには「※脱毛範囲がこれら以上の場合には効果が得られない可能性があります」とあります。髪の毛が抜けて皮膚化した部分には毛根がなくなり、どのような処置をしても毛は生えてこなくなります。「※」のような状態まで脱毛が進行していると、頭皮が皮膚化している可能性が高いため、使用しても効果が得られないかもしれません。

大正製薬HP

「成分・分量」にある「ミノキシジル」の成分量を確認します。日本国内ではミノキシジルは5%までと定められているので、100ml中5gというのは定量に近い濃度で配合されていると言えます。

大正製薬HP

「用法・容量」には「1日2回、1回1mLを脱毛している頭皮に塗布してください」とあります。小さじ1杯が5mlなので1mlというのは塗るのに無理がない量でしょう。

②男性用育毛剤
  • アンファー (ANGFA)
  • [医薬部外品] スカルプD 薬用育毛トニック 180ml

  • 税込み3,500円
  • 有効成分が抜け毛予防に働きかける

  • タマサキツヅラフジから抽出したエキスなど有効成分3種類が発毛を促進します。スカルプD独自の豆乳発酵液が潤いを保つことで健やかな頭皮に導きます。

スカルプDのウェブサイトは男性的なインパクトのある印象でキャッチコピーやイメージを多用しています。「商品ラインナップ」からヘアケア製品を選べたり、「WOMEN」から女性用のスカルプDボーテの製品がチェックできるのは利便性が高いです。

スカルプD 薬用育毛トニックの商品ページでチェックするのは以下になります。

アンファーHP

「有効成分」や「医薬部外品」と記載があるので育毛剤だとわかります。

アンファーHP

有効成分が「酢酸-DL-α-トコフェロール」「タマサキツヅラフジアルカロイド」「グリチルリチン酸2K」の3種類であり、血行を促進効果とフケ・かゆみを抑える効果があるでしょう。

アンファーHP

ノズルの形状によって液垂れがしにくくなっているので、頭皮に液剤がとどまって毛穴に浸透しやすいでしょう。

アンファーHP

スカルプDの独自成分「豆乳発酵液」について説明されていますが、オリジナルで開発された成分だから他製品より優れているとは言い切れません。

ここでは「※湿潤剤」と記載されているので、この成分に関しては保湿効果が期待できるでしょう。保湿は頭髪環境の改善に働きかけてくれるので、配合されていると良い成分だと思います。

使用量や使用期間についての言及がありませんが、直販サイトの「アンファーストア」内で「頭皮に約1秒、頭全体で5カ所程度直接スプレーします」とあります。この程度の使用量であれば無理なく続けることができるでしょう。

③女性用発毛剤
  • 大正製薬
  • 女性用発毛剤【第1類医薬品】リアップリジェンヌ 60mL

  • 税込み4,844円
  • 国内でほぼ唯一の女性向け発毛剤

  • 男性用の発毛剤で有名なメーカー「大正製薬」が販売する壮年性脱毛症による発毛と抜け毛の進行を予防する人気の女性用発毛剤です。

リアップ リジェンヌも男性用のリアップX5プラスと確認事項はほぼ同じです。

大正製薬HP

トップページには「女性のための」とあるので女性向け商品ということがわかり、「第一類医薬品」と記載されているので薬剤師への相談が必要な発毛剤と読み取れます。

「ヘアケア講座」やモデルのインタビュー記事などが掲載されていますが、発毛効果とは直接関連しない内容なのでブランドイメージの把握程度にチェックしましょう。

大正製薬HP

「使用上の注意」の「その他の注意」に「本剤の有効性は6ヵ月使用した場合に認められています」と記載されています。男性よりも女性の方がヘアサイクルの周期が長いため、より長期間に渡って継続的に使用しなくてはなりません。

大正製薬HP

「成分・分量」にある「ミノキシジル」の成分量が1gとありますが、女性向け製品に含有できるミノキシジルは1%までと定められているので、100ml中1gというのは定量に近いと言えます。

大正製薬HP

「用法・容量」には「1日2回、1回1mLを脱毛している頭皮に塗布してください」とあるので使い続けるのに無理がない量でしょう。

④女性用育毛剤
  • 資生堂
  • 薬用アデノゲン(ADENOGEN) グレイシィ 150mL 【医薬部外品】

  • 税込み5,273円
  • 資生堂独自の成分「アデノシン」配合の女性のための育毛剤

  • 化粧品メーカーとして有名な資生堂が長年の育毛研究で発見した「アデノシン」を含む人気の女性用育毛剤です。

アデノゲンシリーズは化粧品メーカーである資生堂のブランドイメージに則った洗練されたデザインになっています。

資生堂HP

「女性の」「女性向け」とあるので女性が使うことを前提とした商品と認識できます。また、有効成分は「アデノシン」であることがわかります。

ここに「医薬部外品」と書かれていないのですが、資生堂の直販サイト「ワタシプラス」に医薬部外品の記載があったので育毛剤に分類されます。

資生堂HP

有効成分「アデノシン」は資生堂が独自に開発した成分で、人体にすでにある生体成分であることから副作用やリスクが低いと注目されています。日本皮膚科学会にも有用性が記載されているので、効果が期待できる成分です。

資生堂HP

「有効な使用方法」によると1度の使用量の目安は「ゆっくり10回振った分」とあります。髪の毛が濡れる程度の量だと推測できるので、朝のヘアスタイリングと併用できるかを確認しましょう。

資生堂HP

使用方法にはマッサージの方法も紹介されています。発毛剤や育毛剤にはマッサージを推奨する商品がありますが、鎌田さんによると「器用な人でないと正しく再現するのは難しい」と言います。実際にサロンで教えてみても、なかなか手指がうまく動かない人が多いようなので、事前に自分がマッサージをできるかどうか試してみるのもいいでしょう。

⑤養毛剤・スカルプケア剤(化粧品)
  • 日本ロレアル(L'Oreal)
  • ロレアル セリオキシル デンサーヘア 90ml

  • 税込み4,899円
  • ヘアサロンや美容師が使うスカルプケア剤

  • ロレアルが独自で開発した健やか成分「ステモキシジン」が毛髪の密度感を整え、しっとりとした質の高い毛髪を生み出すためのサポートをします。

ロレアル プロフェッショナルはサロン専用製品のブランドなので、ウェブサイトでは一般消費者に向けた情報はかなり少ないです。これは資生堂プロフェッショナルやケラスターゼといったプロ用ブランド全般に言えることです。

メーカーがヘアサロンや美容師、正規小売店に対して詳細な情報を提供して、その内容を使用者や購入者へ説明するというスタイルが浸透しているからです。対面販売を前提としているのでウェブサイトには限られた情報しか掲載されていないのです。

ロレアルHP

セリオキシルのブランドページには「サロントリートメントシステム」とあるので、ヘアサロンや美容室用の製品として販売されています。

また、「抜け毛予防・発毛促進」については医薬部外品のYTHローションのみが該当するので、今回紹介するデンサーヘアは化粧品に該当するスカルプケア剤ということがわかります。

ロレアルHP

ロレアルの独自成分「ステモキシジン」が配合されていますが、「健やか成分」とあるので見た目や環境改善を目的とした化粧品の役割を果たす成分になります。隣に記載された「ユーソオリューション」は医薬部外品とあるので、有効成分を一定量含んだ育毛剤に分類されます。

同じブランドの製品でも細かな違いで「育毛剤」と「養毛剤・スカルプケア剤」と効果が変わるので注意深く重要なキーワードを読み解いてください。

パッケージの見方

⑥パッケージ参考例
  • チャップアップ
  • 【医薬部外品】チャップアップ(CHAPUP)薬用育毛剤

  • 税込み8,690円
  • 3種の有効成分に天然成分とアミノ酸を70種類配合

  • 育毛に必要とされる有効成分である、センブリエキスやグリチルリチン酸ジカリウム、ジフェンヒドラミンHCLが配合されていますので、血流を促進し、毛穴を健康に保ち、健やかな髪の毛を育てる効果が期待できます。

チャップアップの製品とパッケージを見ながらチェックポイントを説明します。他の製品でもパッケージから効果を確認する際の参考にしてください。

チャップアップのボトルを持つ鎌田妹さん

パッケージには「効能・効果」「使用方法」「使用上の注意」「有効成分」「販売元」「全成分」が表記されています。「発毛促進」などと書かれた効果の部分を見るよりも、有効成分をチェックします。ここでは「センブリエキス」「グリチルリチン酸」とあるので、血行促進と抗炎症効果が期待できると考えられます。

「使用方法」には毎朝夕の1日2回使用するとあるので、自分のライフスタイルから使い続けられるかを判断しましょう。

チャップアップHP

公式サイトには「No.1」や「受賞」といった文言が見受けられますが、効果について言及されたものではないので、使用者や専門機関からの評判が良いといった程度に認識しましょう。

チャップアップHP

「使用方法」に約30プッシュした量が推奨使用量とあり、これは約4mlでティースプーン1杯分程度です。毎回の使用量は多くなるので、使用後は髪の毛が濡れる程度になります。朝に使用する際には、ヘアスタイリングとの兼ね合いも考えましょう。

チャップアップHP

「全額返金」や「返金保証」については効果が現れなければ返品を受け付けてくれると受け取れますが、初回限定や都度購入の場合は30日間といった条件が記載されているので、返金条件についても事前にしっかり確認してください。

チャップアップHP

「毛髪診断士が相談を承ります」とありますが、鎌田さんの印象としては「実際に毛髪診断士に症状や悩みを伝えられるのは魅力的」とのこと。毛髪診断士は抜け毛や発毛に関する専門知識を持っているので、専門家に相談できる機会は活用しましょう。

よくあるメーカーやブランドの製品はどの分類?

鎌田さんのお話を要約すると下記のようにまとめることができます。

発毛剤=第一類医薬品=発毛が目的
育毛剤=医薬部外品=現状維持(脱毛や薄毛の進行を防ぐ)
養毛剤・スカルプケア剤=化粧品=頭皮や毛髪を整える、頭髪の見栄えを良くする


しかし、現在使っている商品やこれから購入を検討している製品がどの分類に属するのかを確認するのが難しいですよね。以下に市販品の中から代表的な商品をカテゴリごとに分類したので参考にしてください。

発毛剤
男性用 リアップシリーズ(大正製薬)、リグロ(ロート製薬)、メディカルミノキ5(アンファー)、ラボモ(アートネイチャー)、プロペシア錠(MSD製薬)
女性用 リアップリジェンヌ(大正製薬)
育毛剤
男性用 カロヤン(第一三共ヘルスケア)、薬用アデノゲンEX(資生堂)、スカルプD育毛トニック(アンファー)、フレッシュリアップ(大正製薬)、アデノゲン(資生堂)、サクセスバイタルチャージ(花王)、毛髪力シリーズ(ライオン)、インセント・モウガシリーズ(バスクリン)、チャップアップ(ソーシャルテック)、イクオス(キーリー)、MARO(ネイチャーラボ)、リデン(美元)、HMENZ(イルミルド製薬)、M-1(サラヴィオ)、ニューモ(タマゴ基地)、ペルソナ(ダブルへリックス)
女性用 薬用アデノゲン グレイシィ(資生堂)、スカルプDボーテ エストロジー(アンファー)、50の恵(ロート製薬)、モウガ・モルティ 薬用シリーズ(バスクリン)、ベルタ(ビーボ)、毛乳源(柳屋本店)、柑気楼 増 (はぴねすくらぶ)、マイナチュレ(レッドビジョン)、スティミュリスト(ケラスターゼ)
養毛剤・スカルプケア剤
男性用 ウーノ(資生堂)、プランテルEX(ユーピーエス)、ポリピュアEX(シーエスシー)、マスターピース(ジェイクロス)
女性用 ベネフィーク(資生堂)、キュレル(花王)、インヴァティ(アヴェダ)、アペザント アンタンス(ケラスターゼ)、フーチェ(T-ブレイス)、コタ セラ(コタ)

プロの裏技!裏付けのある公的機関の情報をチェック

毛髪診断士の鎌田さんは髪の悩みを持つ方から相談される機会が多いので、こまめに公的機関の資料をチェックしたり、皮膚や頭髪に関する勉強会や研修会に参加しています。公的機関の情報の中には一般の人がアクセスできるものもあるので、これから発毛剤や育毛剤の効果について参考になる資料をご紹介します。

特定の成分を使うべきか否かを判断したいなら

特定の成分を使ってもいいか、使わない方がいいのか迷ったら、日本皮膚科学会のウェブサイトから調べることができます。

「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」というデータ内の「表1 Clinical Question(CQ)のまとめ」に代表的な発毛成分の推奨度が記載されています。

「A.行うよう強く勧める」から「D.行うべきではない」までの5段階評価で記載されているので、Aと記載されていれば発毛効果が期待できると判断できます。C2.やD.であれば使用しない方がいいことがわかります。

特定の成分の副作用について調べたいなら

特定の成分の副作用について調べたい時は厚生労働省のウェブサイトから調べることができます。

トップページの右上にある検索ボックスから調べたい成分名を検索します。検索結果に「○○○(成分名)のリスク」といった文言が出てきたら、その成分によって副作用や発生したトラブルについて報告されている可能性があります。実際にミノキシジルの副作用について報告された件数や内容がレポートにまとまっているので、例としてご紹介します。

発毛剤に関する注意点

育毛剤と養毛剤やスカルプケア剤に含まれている有効成分には副作用が少ないものが使われていますが、発毛剤に使われている成分には注意が必要です。

ミノキシジルの注意点

ミノキシジルは肌質や体質によってはかゆみや発疹などの肌荒れを起こす可能性があります。鎌田さんが知るケースにも、ミノキシジルを用法以上に使用したことで、産毛が生えてきたけれど、頭皮が腫れてしまった。というケースがあります。高血圧などの心臓疾患や甲状腺疾患がある人も使えません。女性の場合は許容量が1%未満と定められているので、男性用・女性用の製品をそれぞれ使用して下さい。

日本では頭皮に塗布する外用薬として市販されていますが、海外製品には飲み薬もあり個人輸入をしている人もいます。

ミノキシジルを服用すると「多毛症」になることがあります。毛根に働きかける成分なので、体毛も含めて体中の毛に影響が出る可能性があり、髪の毛だけでなく眉毛やまつ毛、髭なども生えてくることがあります。

プロペシアの注意点

プロペシアは「フィナステリド錠」などの処方薬に含まれる成分で、女性に関して使用はもとより、扱いそのものも注意しなくてはなりません。

「男の子を妊娠している女性の体内にプロペシアの有効成分が入ると、それが口から入った場合であっても、皮膚に付着して吸収された場合であっても、男の子の生殖器に異常を起こすおそれがあります」

厚生労働省「プロペシア(PROPECIA)(男性型脱毛症用薬)に関する注意喚起について」

プロペシアの錠剤はコーティングされているので、砕けたり割れたりしない限り、通常の取扱いで有効成分に触れることはありません。しかし、砕けたり割れたりしたプロペシアの錠剤を触ってはいけません。

また、塗布するタイプの発毛剤にもフィナステリドが入っていることがあります。頭髪に塗布した状態で美容室などの女性担当者が触ったり、女性が頭皮や毛髪に触れることがないように、特に注意した上で使用してください。

専門知識がなければ、女性がうっかり使用したり触ってしまうこともありえます。女性と接する機会が多い男性がプロペシアを含んだ製品を使用する場合には、取り扱いに注意してください。

まとめ

インタビュー中の鎌田妹さん

今回は毛髪診断士である鎌田さんと一緒にメーカーの公式サイトやパッケージを実際に見ながら、発毛や育毛に関する効果の読み解き方を聞きました。効果のある/なしだけでなく、有効成分だからこそ注意しなくてはならないポイントもあります。

これから発毛や育毛ケアを始めたい方や具体的な製品の購入を検討している方は、選び方の参考にしてみてください。

マーケター/ライター
matsumura
インテリア会社や駅ナカ商業施設のマーケティングを経験後、5年間シンガポールで現地メディアの編集に従事。日本へ帰国してからはフリーランスのマーケター&ライターとして活動しながら、事業会社での経験を活かしモノ系取材記事を中心に執筆中。趣味は旅行で、海外22カ国53都市を訪れ、国内も離島や僻地を中心に巡っています。

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