幼い子どもに初めての水筒、どう選ぶ? メーカーのオススメは?

ぼー太郎
公開: 2020-02-28
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「子ども目線」の水筒選び

2歳児の長男に初めての水筒を買ってあげよう。保育園で遠足に行き始め、家族でピクニックも楽しめる年ごろになったので、そろそろ本人の水筒があってもいいなと考えるようになりました。

ところが店舗をのぞいたりネットで調べたりすると、意外に種類が多くて迷ってしまいます。どんな水筒を選べば子どもにとって使いやすくて安全で、喜んでもらえるのでしょうか。「子ども目線」にこだわって、主なメーカーの担当者にオススメを聞いてみました。

6社のオススメを検証

 おすすめ水筒の推薦、検証に協力してくれたのは次の6社です。国内外の市場で水筒を売っている日本企業だけでなく、米国などで人気がある海外のメーカーにもお願いしました。

 ①Thermos(サーモス、本社・東京都港区)
 ②象印マホービン(本社・大阪市北区)
 ③TAKEYA(タケヤ化学工業、本社・大阪府羽曳野市)
 ④タイガー魔法瓶(本社・大阪府門真市)
 ⑤thermo mug(サーモマグ、本社・東京都港区)
 ⑥Camelbak(キャメルバック、本社・米国カリフォルニア州)

 各社には、2~5歳の子どもが初めて自分で水筒を使うことを想定して、オススメを紹介してもらいました。その際、素材はステンレス、または強化プラスチック製で、子どもが持ちやすく、飲みづらさやこぼすリスクを感じにくい独自の工夫をアピールしてもらう要請もしました。衛生面でも安心でき、親の立場で洗いやすいかどうかも重視したいと伝えました。

高い好感度のサーモス

国内最大手のサーモスからは広報部門の担当者に直接、話を聞きました。広報宣伝課の簑島久男さんと吉行俊介さんが応じてくれました。

サーモスは世界で初めて魔法瓶を製品化したドイツ発祥の企業で、日本の化学業界最大手、三菱ケミカルホールディングスグループの大陽日酸が1989年に傘下におさめた経緯があります。海外ブランドというイメージが強いですが、実はいまでは完全に日本の企業です。

親目線ではまず、飲み口がストローか直飲みか、それともコップに入れ直して飲むタイプかで悩みます。サーモスによると、1歳半から3歳ごろまではストロータイプがオススメ。3歳後半になるとコップに入れ直して飲めるようになり、4歳後半からは大人と同じ直飲み型でも対応できるとのことです。

サーモスの水筒はサラリーマンやOL向けのオフィス需要でも人気がありますが、大人向けの水筒を単に小さくするのではなく、子どもが使う想定でいろんな工夫を凝らしています。漏れないことや保温効果、洗いやすさに気を遣うことは大人向けでも同じですが、子どもが自分でフタを開閉できるかどうかや、泥遊びなどで汚れた指をストローや飲み口に触れさせないことにも注意して設計してきたそうです。

メーカーのおすすめ①
  • THERMOS
  • 真空断熱ストローボトル 0.4L FHL-402F

  • 税込み2,419円
  • ステンレス魔法びんで高い保冷効果!

2歳児でも両手で握れ、やり方を教えると自分の力でフタの開け閉めが難なくできました。ストローに触れずに飲めるので、清潔さも保てそうです。水洗いのための分解も難しくなく、親にとっても使い勝手が良い水筒です。ストローやパッキンをしっかり装着してあれ漏れる心配はなさそうです。

軽いけど丈夫な「米国発」

Camelbak(キャメルバック)は米国のアウトドア関連商品のトップブランドのひとつで、水筒にも力を入れているメーカーです。キャメルバックの子ども向け水筒の最大の特徴はペットボトルと同じ飽和プラスチック製で軽いこと。重さ150グラムは今回おすすめする水筒の中では最も軽く、樹脂製ですが通常のペットボトルよりかなり固く、しっかりしたつくりになっています。

メーカーのおすすめ②
  • CamelBak
  • CamelBak Eddy Kids ウォーターボトル 水筒 0.4L

  • 税込み2,948円
  • 軽さと飲み応えが幼児のお気に入りに

シリコン製のストローが太く、口に含むと飲み応えだけでなく咬み応えも良くて口になじみやすい設計になっていることも特徴です。ふつうのストロータイプの水筒は、かむと摩耗してしまいそうですが、キャメルバックの水筒は少しかまないと水を口に含めません。かむ感触が心地よいのか、実は、すべての水筒を試した長男の最もお気に入りの水筒でした。

ただ、樹脂製なのでステンレス製のような保温や保冷の機能はありません。子どもが使う水筒なのでアツアツの飲み物はいれないとは思いますが、本体部分の耐熱温度は70度と高くなく、熱い飲料は入れられないことも念頭に置かなくてはなりません。本体とフタ、ストローの分解は簡単ですが、飲むためにはストローを所定の位置から指で引っ張り上げる必要があるため、親の立場では指の汚れが気になりました。

漏れない設計は評価

キャメルバックの水筒の場合、太いストローの内部をしっかり洗うのは他社のストローより難しく、手間がかかりました。一方、他社の水筒はフタの締め付けが甘かったりパッキンが緩んだりすると中身が外に漏れますが、キャメルバックのものはフタを甘めに締めたり漏らそうと思って振ったりしても決して漏れることはありませんでした。このことは評価できる要素だと思います。

意外だった「お気に入り」

thermo mug(サーモマグ)はスタイリッシュなデザインを売りに2000年に創業した日本のメーカー。マグカップや水筒が主力商品で、子ども向けの水筒にも力を入れています。

子ども向けはシロクマやペンギン、カエルなど動物をモチーフにした可愛らしいデザインに凝っていることが特徴。ステンレス製で保温・保冷機能もあり、口の部分を持ち上げると、シリコン製の柔らかいストローの飲み口が出てきます。2歳児でも両手でしっかり握ることができ、ストローやパッキンがしっかり装着されていれば漏れる心配はなさそうです。

メーカーのおすすめ③
  • thermo mug
  • アニマルボトル ブラック(ペンギン) 0.38L

  • 税込み2,590円
  • 幼児の目を引く可愛らしい動物のデザイン

2歳児の長男はアンパンマンやミッキーマウスなどのキャラクターは大好きですが、水筒のデザインにはこだわらないだろうと考えていました。だから飲みやすさと安全性を最優先にするつもりでしたが、この考えは「親目線」の誤りでした。長男はペンギンの水筒を1回しか使っただけではっきり覚えていて、翌日も「ペンギンさん(で飲む)」とせがんできました。

「大きすぎ」は問題?

TAKEYAからお借りした水筒を手にしたとき、「大人目線」ではとても良い水筒だと思いました。ステンレス製で保冷機能も十分。しっかりした手持ちが本体に装着され持ち運びも便利そうだったことが理由です。

メーカーおすすめ④
  • TAKEYA
  • タケヤフラスク GoCup水筒 ステンレスボトル 直飲み 0.4L

  • 税込み3,410円
  • 抜群の保冷機能 年長さん世代にオススメの高品質

飲み口は直飲みタイプ。しかも間口が小さくなく、飲み口から出る水の量は2歳児が口にするには多い感じでした。直飲みなので、長男はこぼすまいと、こわごわと口にしていました。TAKEYAの商品案内を参照すると、「お受験」世代をターゲットにしているようです。大人目線ではベストの水筒と思っても、2歳児に買い与えるには少し早いかなという印象を持ちました。

象印は大ぶりな「520ml」

象印マホービンは日本で極めて評価の高い水筒メーカーです。今回、お借りした水筒では、飲み口のストロー部分の周辺には抗菌加工が施され、本体内部もフッ素コートで汚れがつきにい構造になっており、安心して使える設計。内部のシリコン製のストローが中身を最後まで吸い上げてくれるつくりになっていて、水筒を持ち上げなくても最後まで飲みきることができます。アマゾンの口コミでも高評価がほとんどで、実際、手に取ってみても、とても良い水筒だと思いました。

メーカーおすすめ⑤
  • 象印マホービン
  • 象印水筒 ストロータイプ ステンレスボトル 520ml

  • 税込み3,127円
  • 安心安全ではピカイチだが、2歳児には大きすぎ

しかし、容量が520ミリリットルあり、今回、お借りした水筒のなかでは最も大柄です。2歳児の長男はこぼしてしまう気配は感じさせませんでしたが、抱えるように持って飲まざるをえませんでした。飲みやすさは実感できたようですが、やはり大きさは本人にも厄介だったようで、飲んでいるうちに「これパパの(水筒)」と口にしてしまいました。やはり、まだ早かったようです。

「直飲み」に初挑戦なら

タイガー魔法瓶のオススメは小ぶりな350ミリリットルのステンレスボトルです。飲み口は直飲みタイプ。親の立場では2歳児に買い与えるのはやや心配な設計です。

長男はこぼさないように慎重に飲んでいましたが、大人なら軽くワンタッチで開くフタを自力で開けたり締めたりすることができませんでした。水洗いも簡単で保育園のかばんにもすっきり収まるので親目線では高評価なのですが、やはり少し早いようです。もう少し子どもが成長して直飲みに挑戦させてもいいかなと感じたころに購入を検討したいと思いました。

メーカーおすすめ⑥
  • タイガー魔法瓶
  • かめいち堂 マグ ステンレスボトル ワンタッチ水筒 350ml

  • 税込み2,709円
  • コップ使いができるようになったら挑戦させたい「直飲み」

「9カ月」の赤ちゃん向けも

「実はこんな水筒もあるんです」。サーモスの簑島さんから、より小さな水筒があることも教えてもらいました。何と生後9カ月の子どもに使わせる想定でデザインしているそうです。

9カ月といえば、やっと離乳したばかり。哺乳びんを卒業できていない子どもも多いのでは。サイズは250ミリリットル、または350ミリリットルで、これまで紹介してきた水筒より小ぶりです。本体の重さも200グラム(250ミリリットル)、300グラム(350ミリリットル)と軽めです。小さな手でも両手でしっかり握れるハンドルが付いており、飲み口は大人向けよりはやや柔らかめのシリコン製のストローになっています。ふたを開けたときや逆さまにしたときに飛び散ったり漏れたりしないよう設計にこだわったそうです。

とはいえ、まだコップで飲むことが満足にできない赤ちゃんに使えるのでしょうか。半信半疑で、1歳半の次男に使わせてみました。

コップやペットボトルで水や麦茶を飲ませても、ほぼ毎回こぼしてしまう次男。親が楽をしたい本音もあり、家庭ではこぼすリスクがない哺乳びんを使い続けています。

「水筒なんてまだ使いこなせないだろう」と思いながら、350ミリリットルの水筒に麦茶を入れて与えてみました。すると、次男は自分から両手で握り、ストローをくわえてチュルチュルと飲み始めました。予想を裏切る驚きでした。

ストローを覆うフタの開け閉めは自分ではできず、親のサポートが必要でした。飲み飽きると手から離して落としてしまいますが、ストローが直接、床や地面に触れる落ち方にはなりづらい設計になっており、衛生面でも安心して落ちた水筒を再び手に取らせることができます。麦茶は容量のおよそ半分、200ミリリットルほど入れたのですが、重さの面で負担はないようでした。

メーカーおすすめ⑦
  • THERMOS
  • まほうびんのベビーストローマグ FHV-350

  • 税込み2,427円
  • 漏れない安心 生後9カ月から使いこなせる

哺乳びんを常用している次男が使いこなせる水筒があることは驚きでした。ストローの口当たりも悪くなさそうで、本人も満足そうにゴクゴクと飲んでいました。水洗いなどの手入れも簡単にできます。

「子ども向け」ゆえの禁止事項も

まだ幼い子どもが使う想定だけに、メーカー側も多くの禁止事項を取扱説明書などに明記しています。いずれも親向けの注意です。

あふれたりこぼれたりすることを防ぐためにも、容量いっぱいまで飲み物を入れることは避け、1センチ以上のすき間を空けるよう促しています。

さらに、赤ちゃん向けに粉末から調乳したミルクや牛乳、乳飲料、果汁などのジュースや炭酸飲料も、実は絶対に入れてはいけない飲み物です。ミルクや牛乳は腐敗しやすいので、放置し続けていたり水洗いが不十分だったりすると内部でガスが生じ、吹き出したりふたを開けられなくなったりする危険があるためです。

大人用でも同じことですが、塩分を多く含んだみそ汁やスープ、茶葉なども、サビやつまりの原因になりかねず、洗うのも大変なので禁物です。ストローやパッキン、飲み口の周辺は洗剤でこまめに洗い、細かな異物が残っていないかどうかやカビが生じていないかを確認する習慣をつけることが大切です。

高熱で部品や本体が変形して水漏れを起こす危険があるため、食器洗い乾燥機(食洗機)では洗えない水筒も多いので、取扱説明書でしっかり確認するようにしてください。

ストロー・パッキンは「消耗品」

せっかく買うのだから、できれば長く使い続けたい。けれども、幼い子どもが使い手だけに、飲み口のストローをかんでシリコンが摩耗したり、飲み口や漏れを防ぐパッキンの汚れやざらつきが目立ってきたりするのが気になるようになってきます。

ストローの摩耗を理由に水筒ごと買い直すのはコスパが悪いので、ほとんどのメーカーは飲み口やストロー、パッキンを消耗品として別売しています。逆に、ストローなどを別売しているかどうかを確認したうえで購入する水筒を選んだ方がいいかもしれません。多くのメーカーは使用後1年を目安に確認し、損傷や汚れが目立つなら交換することを勧めています。ほとんどの消耗品は千円未満。専門店やホームセンターなど水筒を数多くそろえているお店のほか、ネット通販でも入手できます。

参考までに、「おすすめ①」で紹介したサーモスの水筒の消耗品を見てみましょう。

消耗品①
  • THERMOS
  • ストローボトル(FHL-400シリーズ)用 飲み口・ストロー・バルブ・パッキン 4点セット

  • 税込み847円
  • ストローやパッキンの劣化が目立ってきたら交換を

消耗品②
  • THERMOS
  • ストローボトル (FHL)用 飲み口

  • 税込み206円
  • シリコンの劣化が目立ってきたら交換を

ここではサーモスの消耗品しか紹介しませんが、今回掲載しているすべての水筒は消耗品を別売しています。

親目線のチェックや手入れが不可欠

どんな水筒も幼い子どもが1人で使いこなすことは難しく、フタをしっかり締めたりストローやパッキンをしっかり装着したりする親のサポートが不可欠です。水洗いなどの手入れが不十分だったり摩耗した部品を交換せずに使い続けたりしていると、上の動画のように水漏れを起こしたりカビが繁殖したりする不具合が生じかねません。安心して使い続けるためには親の気配りが大切です。

まとめ 

メーカーの協力も得て、幼い子どもが使う水筒をどう選べば良いのか、しっかり勉強ができました。容量や素材、飲み口の形状や洗いやすさなど、選ぶ要素はたくさんあり、それだけに、品数も豊富にあります。いろんな水筒を実際にわが子に使わせてみるうちに、子ども目線で選ぶ大切さを改めて実感しました。みなさんも何かの「気づき」を得られたならうれしいです。


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