日本酒を熱燗で!銘柄の選び方やお燗のつけ方ってどうすればよいの?
暑い季節にはきりっと冷やした冷酒、ほのかに寒くなってきた秋なら冷や(常温)のままでもおいしい日本酒。
しかしやはり温度を変えて楽しむのなら、熱燗を避けて話すわけにはいかないでしょう!寒い季節に暖かい部屋の中で、雪景色を見ながら熱燗をクイッといただく…。ちょっと考えただけでも熱燗好きからすれば、早く寒くならないかなぁと考えてしまうものです。
しかし、熱燗はどうつければよいのか?と聞かれた時に明確に応えられる方は実は少ないのではないかと感じます。そこで今回は熱燗の基本知識からつけ方、熱燗に向いた日本酒の銘柄まで紹介していきます。
▲日本酒好きになって15年、好きが高じて全国の酒蔵訪問旅行を趣味にしているフリーライター。美味しい、珍しい日本酒の紹介・楽しい飲み方を提案していければと思います。
そもそも日本酒の熱燗とは?
まず最初は熱燗の基本知識について触れていきましょう。単純な事実から、日本文化らしい熱燗につけられた和名までしっかり確認してみてください。
熱燗とはごく簡単に紹介してしまえば、日本酒を温めたものを指します。徳利やちろりなど、専用の器を使って温めた日本酒のことですね。
ごく簡単に紹介していますが、熱燗、また冷酒にはそれぞれ温度によって雅な名前も付けられていますよ。それぞれの温度と名前も覚えておくと粋な感じになるでしょうか。
飛び切り燗 | 55℃ | 55℃に限らず突き抜けて熱くした熱燗のことです。キリッとした辛みが前面に出て、初心者さんでも飲みやすくなりますよ。 |
---|---|---|
熱燗 | 50℃ | いわゆる熱燗の温度。キレの良さと旨みのバランスがよい味わいになってくれます。 |
上燗 | 45℃ | 熱燗につけた徳利を何とか触れる程度の温度でしょうか。熱燗よりも甘みやうまみを感じやすい温度です。 |
ぬる燗 | 40℃ | うまみや甘味を感じやすい温度。香りも非常に引き立つので、日本酒が好きな方におすすめの温度です。 |
人肌燗 | 35℃ | 人の体温と同じくらいの温度になりますね。口に含んだり喉を滑る際に引っかかりがないので、飲みやすく感じるでしょう。香りが引き立つので初心者さんにはNGかも。 |
日向燗 | 30℃ | 日向に置いておいたときにぬるくなったような温度。優しい味わいを楽しめるので、甘口よりも辛口の日本酒がおすすめです。 |
冷や | 20℃ | 常温の日本酒を指します。雑味が少ない大吟醸などの、本来の味を楽しみたい時に。 |
涼冷え | 15℃ | 口に含んだ瞬間にひやりとする程度の温度。甘味と香りを抑えてくれるので、初心者さんにおすすめの温度でしょうか。 |
花冷え | 10℃ | 手に持っても十分に冷えていると感じられる温度。甘みやうまみを抑え、シャープな後味を実現してくれます。 |
雪冷え | 5℃ | キンキンに冷えた日本酒ですね。香りや甘味を抑えきりっとした喉越しを楽しめる温度。生酒などにもおすすめです。 |
熱燗に適した日本酒の選び方
熱燗、冷酒ともに5℃刻みで名前が変わっていく点がとても面白いですよね。また冷酒に比べて熱燗は、温度によってより味わいの変化を楽しめる点も特徴的です。
では美味しい熱燗をつけるには、どんな銘柄の日本酒を選べばよいのでしょうか?
・特定名称で選ぶ
純米酒や吟醸酒などの特定名称で選ぶ方法が一般的だといえます。日本酒はお燗すればするほど辛みがましますが、同時にお米が持つうまみも膨らませてくれるもの。したがってシンプルな材料を使っている純米酒系を選ぶと、お米の甘みやうまみをより一層楽しむことができます。
反対に飛び切り燗などにして辛みやシャープさを楽しみたいのなら、本醸造系の日本酒がおすすめ。熱燗にしても旨みが飛びにくいので、熱や辛みを楽しみながらも米のうまみを堪能することができますよ。
・酸度で選ぶ
熱燗に適した日本酒を選ぶ際には、裏のラベルに記されている酸度の確認もおすすめ。基本的に酸度が高い日本酒が熱燗に向いているので、選ぶ際には裏面もチェックしてみましょう。
素朴な疑問。熱燗の作り方はどうすればよい?
日本酒を温めていただく飲み方
ではいよいよ、熱燗のつけ方について詳しいところを見ていきましょう。実際のところ徳利と日本酒を出されて、熱燗作って!といきなり言われてもどうすれば…と悩んでしまう方も多いですよね。
簡単な方法から、こだわりのつけ方まで紹介していきます。
日本酒を湯煎で温める
基本的な熱燗のつけ方といえばやはりこれでしょう。非常に簡単に思えますが、実は奥深いつけ方でもありますよ。
以下、湯煎で温める場合のコツを見てみましょう。
・徳利に日本酒を入れてラップをする(香りが飛びにくくなります。飛ばしたい方は逆にラップなしで)
・水を張った鍋を火にかけ沸騰させます
・沸騰した後に火を止めたら徳利を鍋に沈めます
・お酒が徳利の縁まで上がってきたら出来上がり
・温度を確認していただきましょう
上記の作り方は熱燗、上燗のつけ方です。飛び切り燗の場合は水の状態から鍋に入れて沸騰させる。ぬるめがよい場合は早めに徳利を引き上げるなど、好みによって調節してください。
友達が
— ™️ (@nakasumasan) 2019年11月20日
『熱燗は絶対レンジでやるな。湯煎でやれ、味が違うから』
と教えてくれたのでやってみてるが…
たしかに美味しい気がする。 pic.twitter.com/gikvB5AH8U
日本酒を電子レンジで温める
続いては、レンジでチンする方法。湯煎よりも早くできるので、時間がないときや早く飲みたい!なんてときに便利です。
徳利の素材や日本酒の温度によって温める時間が変わるので、適宜試しながら調整してください。電子レンジでつける際のポイントは以下。
・温める目安は一合で40秒ほど(500W)
・香りが飛ばないよう、急に温めることでお酒が噴き出さないよう徳利の口にラップを
・上下で温度差が出やすいので、途中で一度取り出し徳利を振ってあげましょう
寒い…凄い…欲しい…電子レンジで熱燗作れる… pic.twitter.com/t2CamS7dpJ
— かなでっくす (@kanadex69) 2019年11月21日
道具にこだわって粋に楽しむ
徳利で熱燗をつけるのもいいものですが、より美味しく、粋に熱燗をつけようと考えるのなら道具にもこだわってみましょう。
古くから使われてきた代表的な道具といえば「ちろり」です。片方に注ぎ口があり、上部が解放された筒形の道具ですね。使われている素材には錫や真鍮がありますが、おすすめは錫性のちろり。
熱伝導率が高く、マイナスイオンの効果でお酒をまろやかにしてくれるといわれています。ちろりだけのものから、プチ居酒屋を楽しめるセットものまで販売されていますよ。
燗付器「ミニかんすけ・匠」が届いた〜。今日はこれで熱燗を飲もう。錫のちろりがいい感じ。 pic.twitter.com/WQhQHrW1zW
— KUBOYAMA (@kuboyama) 2018年3月5日
意外?アウトドアでお燗をつける!
日本酒といえば何となく自宅、またはお店で飲むものなんてイメージがありませんか?ビールやワインはキャンプなど、アウトドアで楽しんでいる姿を見かけますが、熱燗を…とはなかなか聞きませんよね。
しかし、熱燗をアウトドアでいただくこともとってもおすすめなんですよ!
熱燗は体の芯から温めてくれる効果も期待できるので、肌寒い季節のキャンプなどにピッタリなんです!焚火を囲みながら、もしくは熱燗をつけられるグッズを使ってお外で熱燗…なんて贅沢な時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
焚火で熱燗と土瓶蒸し。道の駅菰野で売っていた松太郎という松茸と椎茸をかけあわせた品種。ビックリするくらいの旨みでした。日本酒はいただきものの二兎を。#メスティン飯 #キャンプ飯 #熱燗 pic.twitter.com/TJ2RoiZu1Y
— ウワグチタカキヨ (@t_uwaguchi) 2019年10月17日
熱燗におすすめ!日本酒の銘柄10選
最後はやはり気になる熱燗に向いた銘柄は何なのか?といった点を見ていきましょう。しみじみと旨い銘柄はもちろん、購入のしやすさにも注目してみてくださいね。
- 秋田酒類製造株式会社
-
高清水 辛口
- 税込み1,650円
-
きりっとした辛さが特徴的!濃い目のおつまみと一緒に
-
非常にシャープな印象を持つ日本酒。お燗につけることでよりインパクトが強くなるので、辛口が好きな方におすすめできるでしょう。
こちらの日本酒は、口の中一杯に辛みが広がるので、合わせるおつまみは淡白なものではなく味の濃いものにしておきましょう。
特定名称酒:本醸造
アルコール度数:15~16%
精米歩合:60%
内容量:1,800ml
産地:山形県
シンプルに作られているからこそ、お米のふっくらとした甘みを楽しめる日本酒です。
特定名称酒:純米酒
アルコール度数:14.5%
精米歩合:65%
内容量:1,800ml
産地:兵庫県
こちらの日本酒は、熱燗にしても飲みやすさは変わらないので、食中酒としても優秀です。スーパーでもよく見かけますが、2Lでこのお値段と安いので手が届きやすいでしょう。
特定名称酒:醸造酒
アルコール度数:13~14%
精米歩合:不明
内容量:2L
産地:兵庫県
- 宮坂醸造
-
真澄 銀撰
- 税込み1,925円
-
気軽に購入できる点も魅力的な甘口の日本酒
-
パック日本酒でお燗につけるなら。このお題で外せない1本がこちらの真澄でしょう。何度も日本燗酒コンテストで金賞を受賞しているという、実力派の日本酒でもあります。
こちらの日本酒は、ほんのりと甘く上品な旨みを感じさせるので、お燗の温度によって味わいの変化を楽しめる点もおすすめですね。
特定名称酒:醸造酒
アルコール度数:15%
精米歩合:68%
内容量:1,800ml
産地:長野県
こちらの日本酒は、純米酒なのでお燗にする際にはぬる燗程度がおすすめ。お米の味が膨らむとはどういったことか?これがよくわかる1本ですよ。こちらも2Lでこのお値段は安いので手が届きやすいです。
特定名称酒:純米酒
アルコール度数:14~15%
精米歩合:70%
内容量:2L
産地:兵庫県
お手打ちぬる燗部門でトップに輝いた、熱燗にピッタリな日本酒です。ぬる燗でいただいて雑味のないお米のおいしさ、香りを楽しめます。
特定名称酒:純米吟醸酒
アルコール度数:15%
精米歩合:55%
内容量:1,800ml
産地:宮城県
こちらの日本酒は、お燗にすることで華やかさと軽さが加わり、口いっぱいにお米の甘さやうまみを感じることができるでしょう。おすすめの温度は少し珍しい人肌燗。
特定名称酒:純米酒
アルコール度数:15%
精米歩合:65%
内容量:1,800ml
産地:福島県
こちらの日本酒は、酸味が強いことも特徴ですが、燗につけることで酸味をやわらげ、より優しい味わいを堪能できるようになりますよ。
特定名称酒:純米酒
アルコール度数:15%
精米歩合:60%
内容量:1,800ml
産地:秋田県
冷酒では酸味が強めに感じられますが、お燗をつけることで優しく口当たりの良い酸味に変化。温度によってどう味が変わるのか、しっかりと堪能できる日本酒だといえるでしょう。
特定名称酒:純米酒
アルコール度数:14%
精米歩合:80%
内容量:1,800ml
産地:福島県
こちらの日本酒は、冷やのままで飲んでも美味しいですが、ここはやはり少し熱めの熱燗でクイッと一杯いただきましょう。
特定名称酒:本醸造
アルコール度数:15~16%
精米歩合:70%
内容量:1,800ml
産地:山形県
まとめ
日本酒初心者さんからしてみれば、少しとっつきにくいイメージを持たれがちな熱燗について紹介してきました。日本酒といえばきりっと冷やした冷酒。こんなイメージがまだまだ強い昨今、わざわざ熱燗用の日本酒を…と考える方は少ないかもしれませんね。
しかし、日本酒は本来さまざまな温度を楽しめるお酒です。
もちろん冷酒も美味しいものです。しかし寒い季節に日本酒をいただくのならやはり熱燗が一番!自宅で簡単に試してみるのもよし、アウトドアで冷えた体を温めるもよし。一度は熱燗のおいしさを実際に体験してみてくださいね。
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