翻訳機ili(イリー)は実際に海外で使える?精度やスペックを検証
オフライン音声翻訳機の代表格である「ili(イリー)」。購入をするにあたって、実際の操作性や機能について、気になっている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、これまでに翻訳や通訳などの仕事に携わってきた筆者が、翻訳精度や翻訳スピード、機能などについて、実際に使用した感想をまとめました。
また、20回超の海外滞在&海外旅行経験を活かし、海外旅行に特化した翻訳機と言われているイリーが、実際に海外で使用できるのかを検証してみます。
この記事が、イリーの購入を検討している方の参考になれば嬉しいです。
ili(イリー)とは
ili(イリー)は、株式会社ログバーが開発・販売している、海外旅行に特化した、オフライン音声翻訳機です。
一方向翻訳に特化、どこでも使えるオフライン仕様
イリーは、双方向翻訳機ではなく、一方向翻訳機である理由は、「伝えたいことを伝える」ということにフォーカスされているからだそうです。
また、オフライン音声翻訳機ということで、不安を覚える方もいるかもしれませんが、国や地域によっては、インターネットは繋がりにくく、オンライン翻訳機では、翻訳スピードに時間を要する場合があります。
さらに、インターネットが接続できない飛行機の中や、山奥などでも使用することができるのはとても便利だと言えます。
対応言語(翻訳言語)
イリーには、日本語入力モデル、英語入力モデル、中国語モデル、韓国語モデルの計4モデルがあります。それぞれの対応言語は下の表の通りです。
日本語入力モデル | 英語入力モデル | 中国語入力モデル | 韓国語入力モデル | |
---|---|---|---|---|
使用言語 | 日本語 | 英語 | 中国語 | 韓国語 |
対応言語 (翻訳言語) | 英語、中国語、韓国語 | 日本語、中国語、スペイン語 | 日本語、英語、韓国語 | 日本語、英語、中国語 |
この記事では、イリーの日本語入力モデルについて、ご紹介します。
イリーの価格
イリーがどこで買えるか、イリーの価格はどのくらいなのか、気になっている方も多いと思います。
公式サイトでは、イリーの日本語入力モデルは、税抜き19,800円(税込21,780円)の値段で販売されています。
価格.comによると、日本語入力モデルは、税込21,384円(送料無料)の値段で販売しているお店が、現在最安値となっています。(2019年10月時点)
ちなみに、イリーの海外版モデル(英語入力モデル、中国語モデル、韓国語モデル)については、公式サイト内で税抜き24,800円(税込27,280円)の値段で販売されており、日本語入力モデルよりも、割高となっています。
※消費税率10%換算
また、Amazon(アマゾン)や楽天市場などでも、イリーを販売しているお店はありますが、Amazonや楽天市場の個人店などでイリーを購入する際は、くれぐれも類似品にお気をつけください。
メーカー保証期間
公式サイトでイリーを購入した場合、メーカー保証期間は、商品到着日より1年間です。
しかし、こちらの保証は、正常使用時の機能不具合が対象で、購入者の過失による故障や、業務利用による故障は対象外とのことなので、注意が必要です。
イリーをレンタルする
購入ではなく、イリーをレンタルする場合は、電話や店頭、もしくはインターネット上で、イリーを扱っているレンタルサービスに申し込みます。
レンタルしたイリーの受取と返却は、宅配か、指定した空港のカウンターで受取・返却といったケースが一般的です。
しかし、配送料や手間などを考えると、空港でイリーの受取・返却を済ませることをオススメします。
イリーの口コミや評価
そんなイリーの、実際の口コミや評価が気になるという方も多いのではないでしょうか。
イリーの公式サイトのレビューを見たところ、「サイズがコンパクトであること」「オフラインで使用できること」「翻訳スピードが速いこと」「電源の立ち上げが速いこと」などに満足している方が多いようです。また、実際に使用してみて、「海外の人たちの反応が良かった」という評価も多く見られました。
翻訳機のイリーさん届いた✨
— ぜんまい🌿 (@naminogre) April 25, 2019
ものすっごい軽い!
年3〜4回海外行くわりに夫婦揃って
英語適当。夫は壊滅的
パッと出てこない単語をスマホ検索するの煩わしいし会話とまるからイリーさん気になってた 期待!
ノジマさん速くて間に合ったー!
ありがとうございます!#イリー #翻訳機 pic.twitter.com/qToHwRnxdP
イリーを購入。試してみましたが翻訳が性格で早い。これ1台で、英語、中国語、韓国語に対応。素晴らしいです♪ pic.twitter.com/OpJYXhtQje
— 泉 裕文 (@COREMAN123) May 20, 2018
日帰り弾丸台湾旅行。
— Oma (@TIMAGIN) January 17, 2018
今回は翻訳機イリーを持って行きました。タクシーや単語の注文などならほぼ完璧。売り場のおばちゃん驚いてました。#ili #イリー #つよぽんイリー pic.twitter.com/eMp0eqW1uy
また、デメリットでは、「音量調節ができないこと」「再生スピードの調節ができないこと」といった機能への不満、「フレーズの量」など、翻訳精度の向上を求める声や、「誤訳」への指摘などが少々見られました。
話題のイリー、操作は簡単だが肝心の翻訳精度が低い。定型文以外のフレーズや固有名詞は翻訳出来ず、しかも翻訳は一方通行。相手からの返事は翻訳出来ず会話にならない。対応言語は3言語のみでもいいが文字で確認出来ないので正しく表現しているか否かが分からず不便。 #イリー pic.twitter.com/kpdQpnZvdl
— 真鯛名人 (@madaimeijin) March 9, 2018
イリー試しに使ってみた
— 平林正教 (@kaerutobiupper) April 18, 2018
長文翻訳、ビジネス用語翻訳はまだまだ苦手な様で購入に至らず
ただ、かなり使いやすいし、この領域はかなりの早さで伸びそう#イリー#グランフロント pic.twitter.com/yLAoqwxgBS
イリーの使い方
それでは、早速実際にイリーを使ってみます。これまでに、翻訳や通訳の仕事に携わってきた経験を活かし、実際のメリットやデメリット、実際に使えそうな場面などを、検証していきたいと思います。
梱包物の確認をする
イリーを入手したら、まずは中身を確認してみましょう。
箱の中に入っている物:
・イリー本体
・USBケーブル
・ストラップ
・ユーザーハンドブック
・クイックスタートガイド
・翻訳言語切り替え機能
もし不足品があった場合は、下記のイリーのカスタマーサービスか、購入した販売店までお問い合わせください。
イリーを充電する
イリーの使用前に、まずは充電をします。同梱されているUSBケーブルを、イリー本体左側にあるポートに接続し、お手持ちのパソコンなどを利用して充電します。
充電中は、イリーの電源が入ってしまうため、イリー本体右側面にある電源ボタンをワンプッシュし、スリープモード(消費電力を抑えるモード)で充電すると、早く充電されます。スリープモードの場合、上の画像のように、イリー上部のLEDランプが、オレンジ色に点灯します。
イリーを通常のモード(アクティブモード)で充電している場合は、LEDランプが緑色に点滅します。緑色でゆっくり点滅したら、充電完了です。
緑色に点灯している場合は、いつでイリーが使用できる状態で、LEDランプが赤に点滅している場合は、イリーの電池残量が残りわずかというサインです。
ただし、ご注意下さい。イリーに付属されている充電器はUSBポート( USBコネクタ)です。そのため、そのままでは家庭用コンセントに差し込むことができません。
家庭用コンセントで充電したい方は、下図のような市販のUSB充電器を別途使用するか、お持ちでない場合は、事前に購入する必要があります。
また、環境やモードにもよりますが、イリーの充電時間は約3時間、イリーの通常使用時間は約3日間です。
最新版にアップデートする
イリーは、無料専用アプリで随時アップデートを行なっているそうで、イリーの機能の改善や向上などがあった場合、このアプリでアップデートをする必要があります。
アプリは、パソコンから下記のリンクをクリックし、ダウンロードすることができます。
ダウンロードすると、パソコン画面に「ili」のロゴマークのアプリが表示されるため、それをクリックし、アプリを起動してください。
イリー付属品のUSBケーブルで、イリーとパソコンを繋ぎます。最新のアップデートがある場合は、内容や所要時間などが画面に表示されます。「更新」ボタンを押したらアップデートが始まるので、完了するまでUSBケーブルは抜かないよう注意してください。
完了通知が表示されたら、アップデート完了になります。
電源のON/OFF
イリーの右側面にある、電源ボタンを長押しすると、イリーの電源をON/OFFすることができます。
イリーの電源をOFFするには、電源ボタンを長押ししてください。LEDランプが切れたら、電源OFF完了になります。
電源をONする場合も、電源ボタンを長押ししてください。LEDランプがオレンジ色に点滅したら、電源ボタンから指を離します。
LEDが白色に点灯したら、イリーを使用することが可能です。
また、イリーには、便利なスリープモードが搭載されています。スリープモードは、イリーの電源ボタンを約1秒押します。
またはイリーを一定時間使用しないと、自動的にスリープモードに入ります。
さらに、スリープモードからの起動時はイリーに搭載されている「1秒ウェイクアップ機能」により、電源ボタンをサッとワンクリックするだけで、高速起動されます。
本当に驚くほど一瞬で電源がつきました。
今は使わないけど、また後ですぐ使う時や、サッと取り出す必要がある時などは、イリーをスリープモードにしておくと良いでしょう。
翻訳言語を切り替える
イリーの翻訳言語の切り替えは、イリー本体右側面にある、電源ボタンの下の音声認識ボタンを押すことで、「英語→中国語→韓国語」の順に、言語切り替えができます。
すると、「◯◯語に切り替え中です。少々お待ちください」という音声が流れ、LEDランプがオレンジ色に点滅します。
ただし、ここで注意していただきたいのは、イリーの言語の切り替えには結構な時間がかかるということです。そのため、イリーを使用する際には、前もって使う言語を設定しておくと良いでしょう。
ちなみに筆者は、電源ボタンと間違えて、音声認識ボタンを押してしまい、「英語→中国語→韓国語→英語」と、元々設定されていた英語に戻ってくるまでに、かなり時間がかかってしまいました。
しかし、また新たなアップデートなどで、今後改善されるかもしれませんので、今後のアップデートに期待したいと思います。
翻訳する
イリーの本体真ん中にある、メインボタンを長押しします。「ピッ」という音が鳴ったら、メインボタンを押したまま、ボタン上のマイクに向かって、翻訳したい言葉を話します。
この時、イリーのマイクから10cmほど離れた位置から話してください。また、話している間は、LEDランプが青色に光ります。
話終わったら、指を離してください。すると、LEDランプが緑色に光り、話した言葉が現在設定している言語に翻訳され、音声再生されます。
「POCKETALK(ポケトーク)W」との違い
イリーと並んで人気なのが、双方向の音声翻訳機「POCKETALK(ポケトーク)W」。「イリーとポケトークどっちが良いの?」などと、疑問に思われている方もいるのではないでしょうか。
過去に人気機種「ili(イリー)」「POCKETALK(ポケトークW)」「Langie(ランジー)」を実際に使用して、比較をした記事がありますので、気になる方はぜひ読んでみてください。
そして、イリーとポケトーク Wの、それぞれの機能やスペックなどを、表でも比較してみました
価格 | 対応言語 | ネット環境 | バッテリー持続時間 | 充電 | 重量 | 長さ | 翻訳方向 | 長文翻訳 | 使用シーン | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ili(イリー) | ¥19,800(税抜き) | 3言語(英語・中国語・韓国語) | オフライン | 3日間 | 約3時間 | 42g | 121.8mm x 33.0mm x 13.0mm | 一方向翻訳 | 旅行に特化 | 旅行に特化 |
POCKETALK(ポケトーク)W | ¥24,880~ | 74言語 | オンライン | 連続待受時間約240時間(4G LTEエリア)、連続翻訳時間約7時間 | 約2時間15分 | 約100g | 110m x 59.8mm x 15.8mm | 双方向翻訳 | 旅行、ビジネス、語学学習 | 旅行、ビジネス、語学学習 |
イリーのスペックを検証
それでは、早速翻訳スピードや翻訳精度など、イリーのスペックを検証してみます。
翻訳スピード
ボタンを離した後、すぐにLEDランプが青色から緑色に変わったのが分かりますか?インターネット回線を使用していないためか、翻訳スピードは圧巻の速さです。話した言葉が一瞬で翻訳されました。
ili(イリー)を開発・販売している会社ログバーの社内検証でも、音声入力から翻訳結果の出力まで、最短でなんと0.2秒という結果を得ているそうです。
ただし、文章が長くなるにつれて、スピードが遅くなる傾向にあるとのことです。実際に筆者も短文と長文で試してみましたが、文章が長くなるに従って、翻訳結果が再生されるまでに時間がかかりました。
例えば「おはようございます」「ありがとうございます」などの短い文章であれば、ボタンを離した直後に翻訳結果が再生されましたが、2文程度の文章を喋った際に、翻訳結果が再生されるまでに一瞬の間を感じました。
しかし、オンライン翻訳機では、インターネット接続環境によってはすごく時間がかかります。筆者の体感として、オフライン翻訳機のイリーは、他の翻訳機と比べ、とてもスムーズに翻訳できる印象でした。
言語変更のスピード
ボタンを押すと、LEDランプがオレンジ色に点滅し始めます。この状態でひたすら言語変更されるのを待ちますが…なんと言語変更が完了するまでに、約30秒程度かかりました。
しかし、頻繁に使用するものではないので、電源ボタンと間違えて押してしまった場合など以外は、特に問題になることはないでしょう。
バッテリー
イリーは、1回の充電で、通常使用であれば2〜3日ほど使用することができます。また、連続使用した場合は、2時間ほど使用できます。
翻訳精度
イリーは、旅行シーンに特化した音声翻訳機です。そのため、イリーをビジネスシーンでの使用することや、医療用語などの専門的な用語を翻訳することには適していないそうです。
また、イリーは長文を翻訳することも得意としていません。イリーで翻訳をする際は、ワンフレーズでの使用が良いでしょう。
イリーを開発・販売している会社ログバーも、「ゆっくり、はっきり、標準語で話すこと」「シンプルで短い文章を話すこと」「え〜、などの不必要な言葉は話さないこと」を推奨しています。
実際に筆者も短文と長文で試してみましたが、長文翻訳時の方が、翻訳精度が低いという結果になりました。
しかし、ビジネスシーンや日常会話などでは、長い説明などをする場面が多いですが、海外旅行先ではそんなに長い文章を使用する機会は多くないため、海外旅行で困ることはないかと思われます。
イリーを使用してみての感想
イリーを実際に使用してみて、筆者が感じた感想をまとめました。
メリット
・オフラインで使用できる(WiFiを探す必要がない、データ通信料がかからない、SIMカード購入の必要がない)
・操作がシンプルで分かりやすい
・見た目がシンプルでおしゃれ
・軽くてサイズもコンパクト
・翻訳スピードが速い
・スリープモードからの起動が速い
・翻訳音声の声が可愛い
イリーのデメリット
・翻訳精度に限りがある(特に専門的な用語や長文)
・言語切り替えが遅い
・ディスプレイがないため、翻訳された文章が目で確認できない(語学学習などには不向き)
・一方向翻訳のため、会話やコミュニケーションには不向き
・対応言語が少ない(タイ語、ベトナム語など、出張の多い国の言語に未対応)
こういう方にオススメ
・海外旅行で使いたい人
・インターネット接続環境にない人
・データ通信料をかけずにオフラインで使いたい人
・操作が簡単な翻訳機を求めている人
・軽くてコンパクトな翻訳機を求めている人
・翻訳スピードを重視したい人
などにおすすめです。
まとめ
一通り使用してみましたが、ili(イリー)は、メーカーも唱えている通り、海外旅行に特化した音声翻訳機です。そのため、ビジネスや語学学習に使用したい人、外国人との会話がしたい人には不向きかもしれません。
しかし、海外旅行先では、いつでもインターネット接続環境にいられる訳ではありません。そんな時に、持ち運びが便利で、かつWiFiスポットやデータ通信料などの心配をすることなく、いつでもどこでもサッと取り出し、すぐに使用できるili(イリー)は、正に海外旅行に適した音声翻訳機と言えます。
これから海外旅行に行く機会があるという方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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