初心者にもおすすめ!酒屋さんに聞いたフルーティーで飲みやすい日本酒5選
日本酒は銘柄によって個性があり、甘口、辛口といった味覚の違いだけでなく、香りもそれぞれ異なります。なかでも日本酒初心者や女性を中心に人気なのが「フルーティー」なタイプです。日本酒の原料はお米ですが、なぜ果物のような香りで評されるのでしょうか? 今回も「酒のやまもと」京都店勤務の前田さんに、おすすめのフルーティーな日本酒をご紹介いただきました。
目次
フルーティーな日本酒って、どういうもの?
今回もお世話になったのは、「酒のやまもと京都店」勤務の前田さん。日本酒業界歴25年という前田さんから、まずは「フルーティーな日本酒」とはどんなものかを聞いてみました。
「フルーティー」にも種類がある
もともと「フルーティー」という表現はワインに使われていたもので、以前には日本酒をそう表現される機会はほとんどありませんでした。
前田さんによると、「近年の技術革新によって、各酒造メーカーが独自の味わいを開発するなか、果物のような香りや華やかでありながらさっぱりした味わいの日本酒が増えています」とのこと。
また、「フルーティーと評される日本酒にもタイプがあり、果物のような香りだけが特徴的なものもあれば、甘さのなかに酸味があるといった果物ならではの味わいを感じさせるものまで、それぞれに個性がある」ということで、一口に「フルーティー」といってもその味わいや風味はかなり違うようです。
例えば、どっしりと重い甘みを感じさせる濃厚な日本酒もあれば、ライトでふんわりと果実感を感じるものまで、同じように「フルーティー」と評されるものでも、その口当たりは異なり、幅広いタイプがあることがわかりました。
フルーティーを作り出す“吟醸香”
では、なぜお米を原料とする日本酒が「フルーティー」に感じるのか? その答えは「″酵母”の違いにある」のだそう。
日本酒は、精米されたお米を原料に、酵母や麹、水などを仕込んでゆっくり醗酵させながら作られます。生成の段階で、酵母が醗酵するときに出てくるのが、“吟醸香”と呼ばれる日本酒特有の香りです。
前田さんに詳しく聞いてみたところ、「吟醸香を作る成分は大きく分けて2つあります。青リンゴのようなさわやかさがあるカプロン酸エチルと、洋ナシやバナナのようにやや重さが感じられる酢酸イソアミルです。どちらもフルーティーな印象がありますが、近年人気があるのは、前者のさわやかなタイプ。後者は、以前からある伝統的な香りをイメージするとよいでしょう」とのこと。
どちらがおいしいかについては、結局のところ、個人の好みといえます。同じように「フルーティーな日本酒」と評されるものでも、さっぱり系なのか、濃厚な香りを求めているのかを考えながら、好みに近いものを選んでみてはいかがでしょうか?
「酒のやまもと京都店」前田さんおすすめ!フルーティーな日本酒
フルーティーな日本酒にも、いろんな種類があることがわかったところで、改めて、気になる銘柄をチェックしてみましょう! 日本酒のプロである前田さんに、おすすめの銘柄を教えていただきました。
酸味が少なく、初心者でも飲みやすい「鳳凰美田」シリーズ(栃木県:小林酒造)
華やかな香りが特徴的な「鳳凰美田(ほうおうびでん)」は、酸味が少なく、旨みのバランスの良さもすばらしい1本。口当たりがやさしく、体にすーっとしみ込んでいくような旨みが感じられます。甘口で飲みやすいため、女性にもおすすめです。どちらかというと濃厚な香りがあり、食事に合わせるというよりは単体で楽しみたいタイプです。
製造元は、栃木県にある小林酒造。1972年創業という老舗で、しっかりと手をかけた伝統的な日本酒造りを続けているという小さな酒蔵とのこと。「鳳凰美田」は栃木を代表する銘酒としても注目され、近年人気が高まっているのだとか。純米大吟醸であっても、意外なほどお手頃価格なのもうれしいところ。日本酒になじみのない方でも、一度は試してほしい銘柄です。ただし、アルコール度数は16度とやや高めなので、飲みすぎにはご注意を。
透明感のあるさっぱりとした香り「羽根屋」シリーズ(富山県:富美菊酒造)
テレビに紹介されてから、一時的に品薄となっていた富山の「羽根屋(はねや)」。火入れされていない生酒のみとなっており、冷蔵管理が基本です。
こちらは、強調しすぎないみずみずしい香りが特徴で、すっきりとした後味が魅力だそう。食事に合わせて飲めるタイプで、普段使いにもおすすめ。雑味を感じさせない大吟醸はもちろん、純米酒であっても大吟醸と同じように手間をかけた商品ラインアップとなっています。
なかでも、夏場も日本酒を楽しみたい方におすすめなのが「羽根屋 夏の純米吟醸」。すっきりさわやかな口当たりは、暑気払いにぴったりです!
甘い香りと酸味が両立する「寫楽」シリーズ(福島県:宮泉銘醸)
フルーティーな日本酒として人気が高い「寫楽(しゃらく)」は、甘い香りと酸味を同時に感じられるという、まさにフルーツのような味わいが特徴的です。食中にも飲めるライトなタイプから、どっしりと濃厚な味わいのものもあり、商品によって飲み方を変えるとよいでしょう。
季節ごとに、その月をイメージした商品ラインアップは、使われるお米を変えるというこだわりぶり。6月には、寫楽シリーズで最高峰となる大吟醸「しずく取り」が販売され、口のなかでふんわりと香る吟醸香が楽しめます。種類によって、味わいが変わるので一年を通して楽しんでみてはいかがでしょうか?
フルーツ風味を目指した日本酒「たかちよ」シリーズ(新潟県:高千代酒造)
タータンチェック柄というポップなラベルが目を引くユニークな日本酒「たかちよ」。
一般的な日本酒は、出来上がり後の味わいから、その特徴が作られます。フルーティーな日本酒を作ろうと考える酒蔵さんがあったとしても、その果実感はあくまでも結果論。しかし、高千代酒造さんはその逆。最初から、グレープフルーツやリンゴなどの風味を目指して日本酒を作るという遊び心満載の酒造りをされています。
たとえば、グレープフルーツの味に寄せた「おりがらみ」は、軽い苦みと柑橘系のようなさっぱり感のある日本酒に。また、生原酒は、フルーツポンチ風味を目指したというから驚きです。そのほか、夏にはメロン味やパイン味に寄せた日本酒を作るなど、これぞまさに「フルーティー」といえる銘柄。新潟県の日本酒は端麗辛口というイメージがありますが、「たかちよ」シリーズは、固定概念にしばられない独自の路線を走っています。
食中にも飲めるタイプですが、こだわりのある香りや味わいを楽しみたいなら、単体で飲むのをおすすめします。
親子二代でこだわりの酒造り「くどき上手」(山形県:亀の井酒造)
華やかな味わいが特徴的な「くどき上手」は、その名のとおり、色香を感じさせる逸品。親子二代で作り上げた銘柄であり、父と子それぞれが作る日本酒は、その風味も異なります。社長である今井俊治氏がつくる日本酒は、青リンゴのようなさわやかなと、濃厚な口当たりが魅力。一方で、息子である今井俊典氏が作る日本酒は「くどき上手Jr.(ジュニア)」と銘打ち、洋ナシのような濃い目の飲み口でありながら、やや酸味のある上品な味に仕上がっています。それぞれに特徴は違うものの、共通しているのはその華やかさと濃厚さ。どちらかというと、食中に飲むというよりデザートワインのように単体でじっくり味わうのがおすすめです。
フルーティーな日本酒の美味しい飲み方
フルーティーといわれる日本酒も、それぞれ個性がありますが、共通するおいしい飲み方があるそうです。それは、「冷やして飲むこと」。
日本酒は涼しい場所での保管が基本ですが、フルーティーなものは特に冷蔵庫で管理しながら、冷やして飲むのがおすすめとのこと。熱燗にすると香りが立ちすぎてしまうかもしれません。もちろん、お好みの飲み方で問題ないのですが、香りと味わいをしっかり楽しむなら、冷やで飲むのがよいでしょう。
もうひとつ、食中に飲む場合のポイントは、「料理にお酒を合わせるのではなく、お酒を中心にして料理を考えること」だそう。これを飲む、と決めたら、そのお酒をメインに考えてメニューを構成してみましょう。
フルーティーな日本酒は、単体で自己主張の強いものが多いため、どちらかというと料理に合わせて選ぶよりも、そのものを楽しむための時間にするのがおすすめです。
フルーティーにもいろいろある!好みの味と香りを見つけよう
今回は、「酒のやまもと京都店」勤務の前田さんに、フルーティーな日本酒についてお聞きしました。酒造業界歴が長いこともあり、全国各地のさまざまな日本酒を知り尽くす前田さんは、お酒の選び方をはじめ、おいしい飲み方も教えてくれます。
紹介した銘柄は、あくまでも参考であり、好みは人によって異なります。酒屋だけが扱っている銘柄もあり、通販では見つからない貴重な一本もあるようです。自分好みのいっぽんを探したいなら、「酒のやまもと京都店」の前田さんに直接電話して、相談することも可能だそう。電話注文での宅配もできるとのことですので、気軽にご利用くださいね。
フルーティーな日本酒といっても、その種類は千差万別。全国の酒造メーカーがこだわりぬいた味と香りをたどれば、きっと理想の一本が見つかるはず。好みの日本酒を探してみませんか?
取材協力
住所: 京都府京都市左京区川端通り 三条上ル法林寺門前町36-3
電話番号: 075-761-0124
営業時間: 10: 30~18:30(電話注文での宅配可能)
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