企業がオンライン採用で成功するには? SNSの活用法と面接のポイントを伝授します

小澤 美佳
2022-01-26

コロナ禍で加速する採用のオンライン化

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、企業の採用活動を取り巻く環境は急激に変化しています。2021年5月に株式会社リクルートが発表した「企業人事 1,015 人に聞いた 2021 年度中途採用の計画」の調査レポートによると、企業が新たに導入を検討している採用手法として、オンライン面接が22.7%、オンライン説明会が21.0%、SNSを通じた募集が19.4%と上位に入り、採用活動のオンライン化が進んできました。

このような動きは、採用市場に大きな変化をもたらす可能性があります。採用活動のオンライン化により、これまでは市場にいなかった人材にもアプローチできるからです。

中途採用

例えば、中途採用。オフィスで直接顔を合わせながら選考を行う場合は、採用候補者は会場まで物理的に移動する必要があるため時間もコストもかかります。選考を実施する時間帯によっては、有給休暇を取得する必要があるでしょう。
必然的に、仕事を休みにくい業種や職種の人は転職活動がしづらい状況がありましたが、オンライン選考会に切り替えることで採用候補者の負担が減り、忙しい人でも転職活動に取り組むことができます。

新卒採用

新卒採用においては、地方に住む学生が都心の企業を受けるハードルが下がりました。決して安くはない交通費や宿泊費をかけて選考に臨む必要がありましたが、オンラインならそのようなコストをかけずに挑戦できます。

これまでは、都心での就職活動を諦めて地元就職をしていたような学生も、自分の好きな場所で好きな仕事を選べる可能性が広がったといえるでしょう。企業側としても、採用候補者の母数が拡大することで優秀な学生に出会いやすくなります。

オンライン採用の懸念点

採用活動のオンライン化は企業・個人双方にメリットがある一方で、企業の採用担当者の中には「画面越しでは相手の本質を見抜けないのではないか」と不安に思っている方もいらっしゃるかもしれません。

実際、直接顔を合わせる面接とオンライン面接とでは何が異なるのでしょうか。フルリモートの当社(株式会社ニット)で、オンラインの採用活動を日頃から行っている筆者の観点で、両者の違いを解説するとともに、オンライン採用で優秀な人材に出会うためのコツをご紹介します。

企業がSNSを使った採用活動のコツは「らしさ」を出すこと

企業がオンライン採用で成功するためには、SNSの活用が一つの鍵となるでしょう。なぜなら、今の就活生にとってはSNSは主要な情報収集ツールの一つだからです。

株式会社DYMが就活生を対象に行った調査では「SNSで情報発信していると企業の印象がよくなる」と回答する学生が約80%にものぼりました。また、就職活動で情報収集を行うSNSの種別として、「Twitter:41.3%」「Instagram」36.2%」「企業のブログ:16.6%」とTwitterが41.3%と最も多い結果に。
その理由としては「時代に合わせて変化している企業というイメージがあるから」「身近に感じるから」「情報発信をしっかりと行っているという信頼性が上がるから」などでした。

日本国内におけるTwitterの月間アクティブアカウント数は4,500万人。つまり、採用関連のツイートを投稿すると、それだけ多くの人の目に留まるチャンスがあるといえます。

また、企業にとっては、転職エージェントを介さないダイレクトリクルーティングができる点でも採用活動でTwitterを活用することは有効です。現在、筆者個人で運営しているTwitterアカウントには30,000人のフォロワーがいます。ありがたいことに、Twitterのダイレクトメッセージを通じて採用に関するお問い合わせや応募をしていただくケースが増え、最近では私が面接をする4人に1人はTwitter経由で応募していただいた方で、直近だと3名の入社につながりました。

上記はあくまでも筆者の事例ですが、世の中的にも、特にスタートアップ企業やIT企業ではTwitterで採用活動を行っているところが増えたと感じます。

企業もSNSを活用しよう

SNSを通じて日頃から会社の情報をこまめに発信し、フォロワーとコミュニケーションを図ることで「会社のファン」になっていただくことが大切です。これにより、採用がスタートした際に「前々から応募したいと思っていました!」と好反応をもらえる可能性が広がります。

ただ、Twitterは採用ツールではなく、あくまでもコミュニケーションツールです。SNSを通して「自分らしさ」を知ってもらうことが結果的に採用につながるのではないでしょうか。だからこそ、「すぐに人を採りたい。成果を出したい」と先走る気持ちを抑え、中長期的な目線で自分を知ってもらう努力をすべきだと考えます。

企業のSNS活用の5つのポイント

◆SNSで「らしさ」を出すために工夫できる5つのポイント
①投稿内容(扱うテーマ。興味があることや得意分野を伝えるのに有効)

②投稿の頻度/1投稿ごとの文字数(熱量を伝える手段として有効)
・文字量は、Twitterの投稿可能文字数の140文字いっぱい書く。
・頻度は、オリジナルツイートを、1日2ツイート(朝・夜)行う。
(外部リンクを貼ったり、引用リツイートではなく、自分の言葉のみで発言したツイート)

③プロフィールアイコン(個人アカウントの場合は自分の顔写真を使うのがおすすめ。表情によってキャラクターを演出できる)

④言葉遣い/ワードチョイス(人柄やセンスを伝える手段として有効)
・人を攻撃したり、否定をしない
・あまり難しい専門用語を使わず、誰が読んでも分かりやすい言葉を選択する
・漢字・ひらがな・カタカナのバランスを考え、改行も入れながら、読みやすくする
・自分の考えや、趣味や興味があることを発信する

⑤投稿コメントに対するリアクションの仕方
・自分の投稿へのリプライや引用リツイートをしてもらったら、必ず返信する
・最後は自分でのコメントで終えるため、自分に見立てたスタンプを作成して、押している
・自社発信のプレスリリースや取材記事などをシェアしていただいたら、いいねを押したり、コメントをしたり、何らかのリアクションする

⑤筆者が使用しているリアクションのスタンプの一例

就職活動をする際に、社風を知るために社長のSNSアカウントをチェックする人も多いでしょう。社長という立場上、忙しい方がほとんどかと思いますが、そのような中で、いつも丁寧で温かいコメントをしていたら企業に対する印象アップにつながるのではないでしょうか。

企業の立場としても、社会人顔負けのしっかりとした持論を持っている学生は好印象です。逆に、コミュニケーションが非常に軽かったり、ネガティブなことを発信し続けていたりすると、企業の採用担当者の目に悪く映ってしまうこともあります。

人にはプライベート用の顔と仕事用の顔があるので、プライベートのアカウントだけを見て採用候補者の人柄や能力を完璧に測ることはできません。そのことを念頭に置いたうえで、相手の一面を見るための手法として有効活用することは、これからの時代において必要だと筆者は考えています。 

オンライン面接で優秀な人材を見つける12のポイント

面接の場は、採用候補者が企業に対して自己アピールをするだけではなく、候補者に自社のことをより深く知ってもらうための機会であるといえます。

そのことを念頭に置き、まずは面接官の自己紹介を行いましょう。面接官が自己開示をすることで心理的安全性が生まれやすくなります。特にオンライン面接では、対面と比べて相手の本音を引き出しにくいので、冒頭にアイスブレイクの時間を設けてから面接を開始するのがおすすめです。

面接官が採用候補者に質問をするだけの一方的なコミュニケーションになりがちですが、自社や自分自身の情報も伝えることで、相互理解を深めることができます。

では、短い時間で相手を理解するためには、どのようなポイントに注目すると良いのでしょうか。

◆オンライン面接時の5つのチェックポイント

①ログイン時間
時間通り、もしくは少し早めにログインしているか

②服装
・清潔感のある服装か
・Tシャツなどカジュアルすぎない服装ではないか

③姿勢
・背筋を伸ばし、面接に臨んでいるか

④背景
・洗濯物など、面接のシーンにふさわしくないものが映り込んでいないか
・バーチャル背景を使用している場合、面接の場に合っているものか

⑤最初の入り方
・自分から挨拶をし、積極的にコミュニケーションを図ろうとしたか

◆対面・オンライン面接 面接時の7つのチェックポイント

①表情
・適度な緊張感があるか
・笑顔を見せるなど、表情を通じて相手と良好なコミュニケーションをとる姿勢があるか

②言葉遣い
・基本的なビジネスマナーを意識しているか
・自分の言葉を相手にきちんと伝えるための配慮があるか

③論理的思考力
・物事を順序立てて説明することができるか
・数値や経験を元に説明することができるか

④根底にある価値観
・採用候補者の根底にはどんな価値観があるか
→5回程度「なぜ」と繰り返し尋ねることで価値観を深堀りする
→面接の形にはまらない質問も入れることで本音を引き出す


⑤会社のビジョンや理念への理解・共感
・ビジョンや理念をリサーチしているか
・ビジョンや理念をどう捉えているか

⑥自身のキャリアに対してビジョンを描く力
・何をしたいかではなく、何を成し遂げたいのか
→単なる「やりたい」ではなく、「成し遂げたい」ことを聞くことで将来の展望を引き出すことができる

⑦自己認識能力
客観的な事実を元に自己分析できているか
→自分が思う強み・弱みを最後に聞く

面接の最後に「強み・弱み」を聞くのは、今までの会話との整合性を確認するためです。これにより、論理的思考力を見ることもできます。

筆者が新卒で入社し10年間勤めたリクルートでは「当事者意識」という言葉をとても大事にしていました。人事ではない社員が面接に参加し、ビジョンへの共感を確認するだけでなく、面接でのコミュニケーションでどれくらい熱意や当事者意識があるかを確認していました。これにより、面接官自身も自分が会社に所属し続ける理由を改めて考える機会になると同時に、採用候補者も働く人のリアルな声を聞けるのでとても有効な手段だと考えています。

オンライン採用で出会える人材の幅が広がる

面接は採用の場であると同時に、人と人との心が触れ合う機会でもあります。

筆者は面接官として参加する際、毎回とても緊張します。なぜなら、面接を受ける人の中には、人生を賭けているといっても過言ではないほどの熱意を持つ人もいるからです。だからこそ、こちらも相手の熱意に応えるべく、毎回、本気で挑むようにしています。

世の中には数え切れないほど多くの企業がある中で、自社に興味を持ってもらえることは簡単なことではく、もはや奇跡です。だからこそ、SNSでたくさんの繋がりをつくり、企業と求職者の出会いのチャンスを増やすことの重要性を日々感じています。

非対面で採用活動を行うことに対して抵抗がある方もいるかもしれませんが、SNSを活用したオンライン採用で素晴らしい社員が入社したケースは多くあります。筆者自身もTwitterで募集をかけたところ、多数の応募があり、その後面接を経て入社してくれた社員がいます。本社が東京にある当社ですが、愛知県から応募し、面接も研修もオンライン、そして、現在もフルリモートで営業として何不自由なく働いています。

今回の記事が、対面での採用活動だけでは見つからなかった優秀な人材に出会えるきっかけになれば嬉しいです。

株式会社ニット 広報
小澤 美佳
2008年に株式会社リクルート入社。リクナビ副編集長として数多くの大学で、キャリア・就職支援の講演を実施。採用、評価、育成、組織風土醸成など幅広くHR業務に従事。2019年にニットに入社。現在、広報に従事する傍ら、オンラインセミナーの講師やイベントのファシリテーターを実施。直近の1年間でメディア執筆100本以上。Twitterは2.9万人のフォロワーを保有している。副業で嘉悦大学の大学講師も務めている。

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