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気づかぬうちに食べている、日本の宇宙食たち。「2021年 宇宙食の旅」 bouncy Lab.イベントレポ

火星に探査車が降り立ち、民間企業による宇宙船事業も着実に進行中ーー。新型コロナウイルスによる閉塞感に満ちた日常を送る今、時に届く「宇宙ニュース」に胸が高鳴る。

bouncyが定期開催しているファンイベント「bouncy Lab.」は今回、こうした状況に寄り添う内容を目指した。しかし、単に直球で宇宙を扱わないところがbouncy。テーマを「宇宙旅行」と「宇宙食」に絞ってみた。

「2021年 宇宙食の旅 ~食べながら考える宇宙旅行と食の未来~」のタイトルで2月25日夜に開かれた、約1時間半の内容を報告する。

タレントの黒田有彩さんや宇宙食に関係する企業4社(亀田製菓ホテイフーズローソンニチレイ)から4人を招き、完全オンラインで実施した。司会は、bouncy編集長の津田啓夢が務めた。


抽選で選ばれた60人に、事前に「宇宙食セット」を発送

せっかく「宇宙食」がテーマなので、仕込みの段階でもひと工夫。抽選で選ばれた60人に、事前に「宇宙食セット」を発送した。イベント時間は夕食時間と重なったこともあり、当選者たちは画面前で亀田製菓の「柿の種」などを片手にしていたようだ。

「えっ、柿の種が宇宙食?」との疑問が生じた人は、イベントのアーカイブ映像を見て頂くか、本稿を最後まで御覧頂きたい。

1部の「宇宙はどれだけ身近になった?」では、黒田さんが宇宙食の歴史などを解説した。宇宙飛行士を目指している黒田さんの知識は、宇宙食もしっかりカバー。思わず「ほーっ」「へー」と反応したくなる内容だった。

宇宙食の条件とは?

例えば、日本人宇宙飛行士の毛利衛さんは、納豆を宇宙に持っていこうとしたという。あの独特の臭いはクリアできたが、糸を引く点が問題視された。ふわふわ漂い、機内の精密機器に影響を与える可能性があるため、米航空宇宙局(NASA)に持ち込みが却下された。

黒田さんによると、そんな制限を持つ宇宙食の条件は以下の4点だ。

1、軽ければ軽いほど良い
2、液体が飛び散らないこと
3、常温で保存が可能な物
4、衛生的である物

狭き門だが、日本の食品メーカーは自社製品を宇宙食にすべく工夫を重ねている。具体的にはJAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)による「宇宙日本食」認証をゲットすることを目指す。

黒田さんからは、日清食品が手掛けた「日清スペースカップヌードル」や「スペース日清焼きそばU.F.O」などの紹介があった。

もう食べている? 日本生まれの宇宙食たち

続けて、2部「もう食べている? 日本生まれの宇宙食たち」に移った。

このコーナーでは、宇宙食を手掛ける4社の社員がオンラインで参加。自分たちの商品がどう宇宙食の認証を得て、宙(そら)に羽ばたいていったのかを話した。

ホテイフーズからは、販売部商品企画課の水野拓真さんが登壇した。同社の「やきとり缶詰」と言えば、お酒のつまみ、ご飯の一品の定番だ。幅広いラインアップの中、「たれ味」と「柚子こしょう味」の二つが宇宙食になっている。

日清食品の宇宙食は無重力でも食べられるように、通常商品とは違う工夫を施していた。他方、ホテイの2商品は、缶詰外側が白地に変わった以外、中身は一緒だ。機内では食材が飛び散ることはNGだが、「やきとり缶」の鶏肉とコラーゲンならばその恐れはない。

なお、ホテイファンならば定番の「たれ」以外に、「柚子こしょう」が選ばれたのを不思議に感じたかも。「塩味」を抑えての採用は、ピリ辛さにある。宇宙では味覚が鈍くなる傾向があるため、刺激的な味が飛行士たちに喜ばれるからだ。

おつまみにおやつに大人気の「柿の種」が、宇宙食になるまで

亀田製菓は経営企画部コポレートコミュニケーションチームの池ノ上雄樹さんが参加。こちらも、おつまみにおやつに大人気の「柿の種」が、宇宙食になるまでの過程を紹介した。

2014年に開発を開始し、2016年に正式なプロジェクト化。最終的に同社60周年となった2017年にJAXAの認証を取得した。

スーパーなどで変えるオレンジ色パックの「柿の種」は、賞味期限が180日だ。ところが、宇宙食の場合は1年6カ月が求められた。約3倍の期限に対応するために密封パッケージにするなど包装に工夫を凝らした。その一方、商品自体の味や形を変えることはなかった。

宇宙食「柿の種」を入れる透明な容器の底と側面には、ベルクロ(面ファスナーの一種)がついている。容器を機内の都合の良い場所に、くっつけられるようにする工夫だ。

説明を聞いた瞬間、大ファンの筆者は、「これ普通に欲しい」。散歩中、腰につけたベルクロ付き容器をパカリと開けて、ポリポリする。室内より美味に感じそうだ。

亀田製菓のグループ企業「尾西食品」が既に宇宙日本食の認証を受けており、それに触発されて柿の種の宇宙食プロジェクトがスタートした。

宇宙食「スペースからあげクン」の開発話も

最後はローソン・マーケティング戦略本部の白井明子さん、ニチレイフーズ研究開発部の金平佳乃さんが、タッグで登場した。両社は共同で「からあげクン」を手掛けており、宇宙食「スペースからあげクン」の開発話を語った。

白井さんは、ローソン公式ツイッター(@akiko_lawson)の中の人だ。558万ものフォロワーがいるだけに、視聴者も即座に反応。YouTubeのコメント欄には、「えーっ!」「すごーい!!!!!」「びっくりしました!」などの反応が並んだ。

黒田さんが1部で言及したように、宇宙食には様々な制限がある。揚げたてのような「からあげクン」をそっくり宇宙に持っていくのは、技術的に難しい。試行錯誤の末に金平さんはフリーズドライにすることで、味の再現を狙った。

その試みは成功したようだ。試食した黒田さんは「からあげクンのスナックとしては、美味しい」。

ニチレイフーズのサイトでは、冷凍食品開発秘話など、様々な情報が掲載されている

そんなに遠くない将来「ちょっと宇宙に」となっているかも

米民間企業のSpaceXなどが先導し、民間人による宇宙旅行が確実に現実味を帯びている。そんなに遠くない将来、私たちも「ちょっと海外に」のノリで、「ちょっと宇宙に」となっているかも。

その機内で食する「やきとり缶」「柿の種」「からあげクン」の味は、普段よりも美味に違いない。宇宙船では、今はアルコールはNGというが、いつか解禁されるかもしれない。

なじみの3品をつまみに、「地球に向かって乾杯!」。巣ごもりの毎日なだけに、このイベントは筆者の妄想を十二分にかきたてた。

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次回の「bouncy Lab.」は3月末の夜開催を予定している。「2030年の未来予報~賢人たちが未来を楽観する理由~」(仮)のテーマでお送りする予定だ。

クセが強めのゲストをお呼びし、SFのような未来が待つ2030年を語る。ワクワクできる60分少々をお送りしたい。


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