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常識にとらわれない障害者雇用のカタチ。フィリピンのミニチュアアート製作現場から【動画コラム】

こんにちは、海外ノマドワーカーのフィリピン下鳥です。

フィリピンの公共交通手段の一つに、「トライシクル」という乗り物があります。バイクの右側に座席をくっつけたもので、特に地方都市では市民の足として親しまれている乗り物です。

カラフルな外観とローカル感溢れる雰囲気が観光客にも人気で、私もフィリピンに来る人には「ぜひ一度乗ってみて!」とおすすめしています。

そんなトライシクルのミニチュアアート作品が、私の住んでいるドゥマゲテで話題を呼んでいます。細部までつくりこまれていて、ぱっと見本物と見間違うくらいリアルです。

このミニチュアアートの作者がドゥマゲテに住んでいると聞いたので、今回はその製作の裏側を取材してきました!

素材に金属スクラップを利用したリサイクルアート

こちらは作者のルサヤさん。トライシクルをはじめバイク、観光馬車など、ドゥマゲテでお馴染みの乗り物のミニチュアを製作しています。

ルサヤさんがミニチュア製作を始めたのは6年前。趣味で作ったミニチュアが周囲に好評で、友人がSNSに写真を投稿したのをきっかけに広く知られるようになり、製作の依頼を受けるようになりました。

製作はすべて手作業。半田ごてを器用に駆使して、細部まで実物に忠実に作り込まれています。

ルサヤさんのミニチュアアートには、クオリティの高さの他にもう一つ特徴があります。それは素材に金属スクラップを利用していること。

ゴミとして出される金属を回収し、ときには金属についた汚れもリアリティの演出材料にしながら、巧みに再利用しています。ルサヤさんが知る限り、フィリピン国内でリサイクルのミニチュアアートを製作しているのはルサヤさんの工房のみだそうです。

製作の弟子にあえて障害者を雇用

こちらはルサヤさんの弟子の一人のアンディさん。アンディさんは生まれつき両手がありません。

ミニチュアアートを両手なしで作るなんて、一見不可能に思えます。アンディさんは一体どうやってミニチュア製作をマスターしたのか、そのストーリーをうかがいました。

ルサヤさんの元にミニチュアアートの依頼が多く集まるようになった頃、一人で製作が追いつかなくなったルサヤさんは、弟子を雇用することにしました。

しかし雇った弟子は長続きせず、製作をマスターする前に音を上げて辞めてしまったそうです。そこでルサヤさんは、仕事を必要としていて急に辞めることの少ない障害者を雇用することを思いつきました。

たとえば、足を失った人でも、手さえあればミニチュア製作はできると考えたのです。そんなときに出会ったのがアンディさんでした。

ルサヤさんの予想と違い、アンディさんは足はあって両手がない障害者でしたが、アンディさんが既に工具の基本的な使い方を知っていたことや、仕事を得たいという強い情熱を見込んで、ミニチュア製作にスカウトしました。

こうしてアンディさんは、ルサヤさんから宿泊場所と食事の無料提供を受けながら、ミニチュア製作のトレーニングを始めました。最初は良いものが全くできず途方に暮れたそうですが、アンディさんは情熱を失わず、必死にトレーニングを続けました。

そして遂に6ヶ月後、アンディさんは一人でミニチュアトライシクルを完璧に作り上げられるようになりました。ルサヤさんは他にも何人もの弟子たちを特訓しましたが、製作をマスターできたのはアンディさん含めたった4人しかいないそうです。

アンディさんはミニチュア製作の技術を買われ、現在は地元で修理工の仕事も得ることができました。

ルサヤさんはアンディさんの成功をきっかけに障害者雇用に可能性を見出し、今後も彼らの人生をより豊かにする手助けをしたいと語ります。

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両手のない男性が生み出す精巧なミニチュアアートが、魅力的な特産品として地域振興につながるだけでなく、障害をもつ人やその家族、そして社会全体に希望を与えています。

常識にとらわれない障害者雇用のカタチ、そして未来の社会の在り方を考えるうえでのヒントになりそうな気がします。

CREDIT
Videographer :フィリピン下鳥
Support :のだ ゆうた
SNS :にしまり

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